時東の欲しいもの




 さて、共闘において、ロードクロサイト議長は、さすがというか何というか、目覚しい成果を上げている。さすがにギルドのハーヴェスト派としても、報奨を出さないわけには行かなくなった。そこで、クライスが意識不明のため、レクスがギルド総意・ハーヴェスト意思として聞くことになった。

「ロードクロサイト議長、何か欲しいものはあるか? ハーヴェストで用意できる範囲で頼む」

 ただ、ルシフェリアの十字架とかは無理だと、内心でレクスは付け加えた。彼は、顔には出ないがユクスなみのルシフェリアフリークである。まぁ、少なくとも『品物』という考えだった。

 しかし――時東は、違った。

「え……本当に、良いのか?」
「ああ。何でも言ってくれ」
「ゼクスを俺にくれ。一生幸せにするから!」
「――は?」
「ハーヴェストの許可があれば、結婚できる!」

 その言葉に、聞いていた人々、レクスも含めて、ポカーンとなった。ゼクスは確かにレクスの異母兄だという。闇猫の所属だが、結婚となれば、保証人家族の同意が必要だ。

「――……ロードクロサイト議長は、兄上と、そ、その、付き合っているのか?」
「いいや。見合いからセッティングを頼む」
「え、ええと……た、確かにそれは、ハーヴェストで用意可能な範囲だが……何故?」
「何故というのは?」
「どうして兄上とお見合いして結婚するんだ? ハーヴェストの後ろ盾なら、別に今更」
「ゼクスが好きだからに決まってるだろうが!」
「えっ!?」