高砂が腐男子だった場合




 さて――円卓である。
 周囲がそんなVS×5を見たいというのは、分かっているものもいつつだが――彼らの内心は全然違った。

 まずは高砂。こちらの万象院列院総代――生粋の腐男子である。無表情を貫いているが、頭の中には、ゼクス×時東×ゼクスしかない。どっちが攻めか、そればかりを考えている。頭の中で乱れに乱れている二人……今後の生活が楽しみすぎた。萌えを期待していた。

 なお、腐レンドである橘は、高砂の心中を知っている。そのため、完ロス兵器で親しいとしか周囲は思っていないが、二人は先程から、眼福だと通じ合っていたりする。

 榎波は、当て馬――扱いされていたが、彼は、この中で唯一の恋愛脳肉食獣である。腐ではなくリアルに、ゼクス・時東・高砂をいかにして食べるか検討を始めていた。ちなみに本命は、橘である。

 唯一真面目であるゼクスは――久しぶりに顔を見た異母弟レクスが気になりつつ、使徒オーウェン礼拝堂をESPサーチしていた。大体の地図を思い浮かべる。これから役割分担をして展開していくのだと信じていた。

 さて、時東である。時東は、早く帰りたかった。もっともやる気がない。いつも通りだ。時東は、ちらっとゼクスを見た。

「やってくれ」

 展開を。そう思った。

「「ヤってくれ!?」」

 橘と高砂の声がそろった。榎波が首を傾げる。

「何をだ?」
「――? 使徒オーウェン礼拝堂の展開だろう? 分かった、闇猫担当分を先に行ってから、ギルドにルシフェリア礼拝堂関連の相談をすることとする」

 ゼクスが逆に榎波に首を傾げてから、時東の意図を汲み取りまとめた。橘と高砂のドキドキがちょっと収まった。ただ、見ていた周囲は、なにか不可思議だと思っていた。