甘いのか?





 五泰良と珠白が恋人同士になって、半年が経過した。

 この半年の間、放課後はずっと体を繋いでいる。経験の無かった珠白の体は、既に五泰良によって、快楽にとても弱く作り替えられてしまった。五泰良に触れられるとすぐに体がグズグズに蕩けてしまう。

 今はベッドの上に座り、五泰良に抱きしめるように腕を回されている。
 シャツ一枚のみで座るよう言われたのは、先程の事だ。

「よく引き締まった体をしてるよな」

 後ろから腕を回している五泰良の声は、優しげだ。けれどそれは多くの場合と同じであり、行為とは裏腹だ。珠白には強すぎる快楽を、いつも容赦なくたたき込んでくる五泰良の声は、甘いけれど今となっては辛くてたまらないものの一つだ。

「ッ、ぁ……! っ、ッ」

 五泰良の指先が、シャツの布地の上から、珠白の乳首を掠めた。思わずピクンと珠白が肩を跳ねさせる。すると喉で笑った五泰良が、今度はきちんと狙いを定めて、珠白の両方の乳首を軽く摘まんだ。そのままきゅっきゅっとするように何度も指に力を込め始める。

「ァ、ぁ、あぁ、あああ! ッん!!」

 指の動きに合わせた、珠白は声を零してしまう。

「随分敏感で尖るようになったな」

 そういうと、シャツの上から五泰良が、乳首を抓った。走った甘い痛みに、今度はビクンと珠白の体が跳ねる。そのまま五泰良が、珠白の乳首を布越しに擦り始めた。

「待ってくれ……っ、ぁ! それ、は……あ! ダ、ダメだ!! あ!!」

 いやいやとするように、珠白が首を振るが、当然五泰良の手は止まらない。

「あ、あ、あ!! やぁ! やっ!! ァ……ン――っ!!」

 気づくと珠白は腰をくねらせていた。
 ――直接触れられたい。
 開発されきっている体が、欲望を珠白に知らしめる。けれど恥ずかしくて、それを口から出すことが出来ない。そうしていたら、見透かすように五泰良が、ポツリポツリと後ろから回した手で、珠白のシャツのボタンを外し、開けた。

「あ! アぁっ……ンぅ!」

 珠白は首を斜めにして、ビクビク震えながら、より強くなった刺激に震える。五泰はが珠白の乳頭を押しつぶすようにしたり、きゅっと摘まんでは左右に動かしたりと、乳首を嬲り始める。そうされると、乳首からジンジンと快楽の予兆じみた疼きが広がっていく。

「真っ赤に尖ってんな」
「ぁァ! 言わないで……くれ……っ! んン!!」
「乳首、本当に好きだな。こんなに敏感じゃ、日常生活に差し障るんじゃねぇのか?」
「ああッ!! 強、っ……強い、っ! ン!! あ、強す……ぎ、っ!! ああ!」
「強く抓られるのが好きなんだろ? ほら、こんなに真っ赤になって悦んでんじゃねぇか?」

 実際、その通りだった。少し痛いくらいに抓られるのが、たまらなく気持ちが良い。
 露出していた珠白の性器は、とっくに持ち上がっている。
 先走りの液まで垂れている始末だ。

「きちんと答えてみろよ」
「あ! あ!! 気持ちいいっ……や! おかしいっ! あ、ァ! なんでっ!! うぁ!! どうして、ぁ! こんなに気持ちが良いんだ……っ、うあ!! あー! おかしっい、俺の体、変だッ、あああ! も、もう!! 気持ちよくて、やぁァ!! あ! あ! ああ! ン!!」

 それを聞くと、五泰良が満足したように頷いた。
 そしてベッドサイドからローションのボトルを手に取ると、己の手を濡らす。

「ひッ!!」

 ぬめる手で、五泰良が指の合間に珠白の乳首を挟む。そして振動させるように動かしては、親指の先でごくごく優しい力で乳頭を弾いたりした。

 ――ツキン。

「あ……っ、ン――!! ひぁ! あ! ああああ! あ、ゃ!! んぅっ!!」

 ぬめる感触と甘い刺激が生みだした疼きが、全身に広がる。
 きちんと射精したわけではなかったが、珠白は確かに軽く――甘イキしていた。

「あ、あ、ああ……あああ! 待っ……今、イ……ああ! あ! あっ!! またイっ! やぁ! 今イってるからぁ!! あ! んぅ!! も、もう無理だ、あ!! 待って、まだイってて! あっ!! やぁ……あ!! 頭ばかになっちゃ……! あああ! うぁあ!」

 乳首を優しく刺激される度に、開発されきっている珠白は、甘イキした。ずっと刺激されているから、連続絶頂の状態だったが、穏やかすぎる快楽は、明確な射精は許さず、ダラダラと白濁とした液を零させるだけだ。緩慢な吐精の連続に、頭がクラクラとしはじめ、快楽しか体が拾わなくなっていく。

「あン! ん! あ、ああっ、あァ!! ンあ――っ! もう無理っ、ぁァ! あっ! いやぁァ!!」

 甘い声で啼きながら、ピクピクと肩を震わせ、珠白が泣き始める。
 すすり泣くような息づかいだったのだが、すぐにそれは号泣するようなものに変化した。

「いやぁァ! ダメ! だめぇ! もうおかしくなる……あっ! や、おかしくなっちゃった! あ、あ、あっ……! 待ってくれ……あ、あ! や、こんな! っ!! やぁ! ずっとイってる! イってる!! あっ、は! ダメだ、イくのが止まらなっ……あー!!」

 イきっぱなしの感覚に飲み込まれているというのに、射精感が無い。体が熱くなり、号泣しながら珠白は震えるしか出来ない。五泰良はニヤニヤと笑うような気配を放ちながら、ずっと珠白の乳首を擦り続け、愉しそうにしているばかりだ。

「あー!! あ! やぁ……ヤ、んン! ぁ!! ああ! ア――っ!!」

 緩急をつけて珠白の乳首を、五泰良は二時間ほど愛でた。
 その間ずっと甘イキをさせられ続けたけれど、きちんとは放てないままだった珠白は、この日――結局射精を許されず、五泰良が休息した後、翌朝までずっと再び甘イキさせられ快楽地獄に突き落とされたのだった。