IF-U・卒業







「てめぇの名前が奴隷オークションに並んでるから、驚いて落札してやった。ありがたく思え」
「五泰良……」

 呆然としながら、首輪の鎖を引かれつつ、誰もいない校舎の中を進み、五泰良の寮の部屋へと連れて行かれた珠白は、ベッドに座るように促され、これから抱かれるのだろうかと考えた。すると五泰良がベッドに上がってきて、後ろから珠白を抱きしめた。

「辛かっただろ?」
「っ」
「俺はお前を手酷く扱ったりしねぇよ」

 苦笑するように言われ、繊細な壊れ物を扱うように抱きしめられた時、目を伏せ珠白は涙を零した。声を堪えようとしたのに出来なくて、すぐに嗚咽が息に混じる。

 その日ずっと五泰良は、珠白を抱きしめていた。
 ほっとしてしまい、腕の中で珠白は眠ってしまった。
 次に目を覚ますと、優しく腕枕をされていた。

「目、覚めたか」
「……ああ」

 頷きつつ――珠白は、ドキリとした。体温を感じるだけで、やはり体が反応する。陰茎が持ち上がりそうになっていた。朝勃ちではない。

「どうかしたか?」
「い、いや……なんでも……ない」

 そう言って誤魔化した。
 嫌な動悸がした。
 ――それから、三日。

「っ、ぁ……ハ」

 腕枕をされている状態で、珠白は必死で熱い吐息を逃がしていた。これまで毎夜抱かれていた、快楽をたたき込まれた体は、三日何もされなかっただけで熱くなった。

 ――シたい。

 その欲望で頭が染まる。
 だが、こんな事は、五泰良には絶対気づかれたくない。助けてくれた五泰良にだけは。

 珠白は、知らない。
 そんな珠白の様子を、寝たふりをしながら、五泰良が楽しんでいる事に。


「っ、はぁ……ッは」

 翌日、苦しくなって必死に呼吸していた珠白を、ギュッと五泰良が抱きしめた。

「いやぁああああ」

 その感触で、限界が来た。

「ん? どうしたんだ? あ?」
「や、やだ、やめ、やだぁ、ああああ、抱いてくれ、抱いて」
「――へぇ。随分と開発されたらしいなぁ。でも別に、俺はお前を抱きたいわけじゃねぇ。俺様に抱かれたいなら、俺様をその気にさせろ」

 それを聞いて、もうヤりたいという事しか考えられなかった珠白は、服を脱ぎ捨てた。座っている五泰良に無我夢中でキスをし、フェラをし、解していないが、腰を落として上にのった。そして受け入れた五泰良の陰茎を締め付け、腰を激しく揺らし、五泰良の首に抱きついて、ひたすら快楽を求めて動き続けた。

 ――事後。
 自分の痴態と体に絶望して、ボロボロと珠白は泣いた。
 すると優しい顔で、五泰良が珠白の頭を撫でる。

「お前が悪いわけじゃないんだから、気にするな」

 その優しさが逆に辛い。さらに珠白の涙が増える。
 珠白は、やはり知らないままだ。全てが、五泰良の計画通りだと言うことを。