【6】二人部屋――グレン
まずいまずいまずい。
シオン先輩と二人きりである。俺は、シオン先輩を一瞥しては視線を逸らしている。幸い先輩はこちらを見ていないため、気づいた様子はない。だが、それにしても、可愛すぎる……! 犯罪級だ。同じ空間にいられるだけで、幸せすぎる……!
物憂げな表情のシオン先輩を見ていると、今すぐにでも押し倒したくなるが、ぐっとこらえた。俺が欲しいのは先輩の笑顔であり、体ではないのだ(仲良くなるのが第一であり、それを達成してからは話が別であるが! 別だが! 別だ!)。
しかし好きすぎて、何を話していいのかわからない。
なにやら料理はできないらしいから、俺が頑張ろう。料理のできる格好いい姿を見せたら、ときめいてもらえるかもしれない。