【73】家(★)




 先生のお部屋は、上から二番目の階にあった。
 一番上には、レストランが入っているらしい。
 吹き抜けのエレベーターからは夜景がよく見える。

 どう考えてもマンションではなくて豪華ホテルだ。
 エレベーターの係りの人がボタンを押してくれるのを眺めてから外に出て、先生の部屋の扉の前に立つと、勝手に扉が開いた。最先端である。

「お邪魔します。お風呂入りた――!」

 靴を脱いでからそう口にしたとき、不意に腰に腕を回され、顎を掴まれた。
 上を向かされたのとほぼ同時に、深々とキスされた。
 すぐに体の力が抜けた。

 ツキンと内側が疼いた。

 病院の時もそんな気がしたが、全然違う。濃厚なキスに体が瞬時に熱くなった。
 何も考えられなくなっていく。

「ぁ」

 唇が離れたとき、そんな声が出てしまった。
 だがすぐにまた塞がれ、角度を変えて貪られる。
 息が苦しくなった頃、少し角度を変えられる。私は必死に息をした。

「ん」

 とっくに立っていられない私は、壁に押し付けられていて、先生に支えられている。

「あ……」
「濡れてる」

 ようやく離れた時、先生に下着の上から撫でられた。

「我慢できなかった俺も悪いけど、キスでこれかぁ。俺の方は風呂、別に気にしないけど、どうしても入りたい?」
「……ぁぁぁ」
「三日しかないかもしれないんだし、ベッドに行こう」

 下着の上から刺激され、それだけで、先生が言うところの「軽く」イきかけた私は、思わず頷いてしまった。

「胸が赤くなるか試してみる?」
「……先生、私……」
「名前」
「……紫さん」
「私、なに?」
「も、もう……」
「試そう」
「……でも」
「――まぁ実際俺も限界だから、それは後ででも良いんだけどね。ゆっくりしてあげようかと思ったんだけど、君がそう言うんなら。それで、どうして欲しいか言って。そうしたら、希望を叶えてあげるよ。無理矢理は好きじゃないんだ、これでも一応」
「いれてください」
「――いいよ」

 そのままベッドに押し倒された。指が一本、二本と増えた。
 三本目になった時息を飲んだ。

「待って、そんなに入らない」
「大丈夫だから」
「や、あ」
「後で大変だよ」
「うあああ、ンーっ」
「この水音、聞こえる? グチャグチャだ。これからもっと、そうなるけど。濡れやすいんだ」
「あ、もう、ああ……っ、い、いきた」
「……」
「いれて」
「――君が言ったんだからね」

 そのまま、指が引き抜かれた。思わず大きく息を吐いた直後、私は目を見開いた。

「え」

 ゆっくりと、だが確実にいっきに深々と貫かれた。
 こんなふうにすぐに奥まで入ってくるとは思わなかった。
 それ以上に、なによりも――

「あ、嘘、え」

 熱くて、大きくて、長い。

「大丈夫? だから言ったのに。それに君、狭いんだから」
「ああっ、待って、動かないで、や、何これ」

 揺さぶるように小刻みに動かされ、私の頭は真っ白になった。

「やー! だめ、まっ、イく、あ、ああああ」
「これでイけるの? こうされたいんじゃないの?」
「あああああああああああああ」

 感じる右の奥を的確に刺激され、大きく声を上げてしまった。
 陰茎自体でここまで刺激されたことなんてない。
 果てると思ったその直前で、陰茎は再び元の位置に戻った。

「や、やぁああ」

 そして再び緩慢な動きになる。

「やだやだやだ、いかせっ」
「どうやって?」
「さっきのところ、もっといっぱい」
「別にいいけど、中に出すよ。ゴムつけてないけど」
「え?」
「この家、ゴム無いんだよね」
「そんなっ、あ、まって、そんなのだめ、だめ、子供できちゃう! 嘘、あ。だからこんなに熱いの? え、あ、嘘やー!」
「熱いんだ。かもねぇ。生でしたことないんだ」
「あるわけな、っ、抜いて」
「抜いたらイけないよ?」
「で、でも、あああああ」
「子供いっぱい欲しいんでしょ?」
「え、あ」
「生んでよ、俺の子供」
「あ、ああっ」
「この家に女呼ばないのもゴムが無いのも、作る気なかったら呼ばないからだ。悪いけど、俺は最初からその気だよ。こうでもしないと、俺が本気だって伝わらなそうだし」
「ああああああああああああああああ、だめ、もう」
「出していい?」
「うあ、それは」
「どっち? 俺の子供産むのは嫌?」
「嫌じゃないけど……で、でも」
「嫌じゃないんだ。なら、それで良いんだよ」
「うあああああああああああああああああああああ」

 その後、激しく突かれて、中に熱い液体が飛び散った。
 初めての経験と、あまりにもの快楽にわけがわからなくなる。
 必死で息をしながら落ち着こうとしていると、腰に手を添えられ、再び動かれた。

「――え?」
「どうしたの?」
「もう終わったんじゃ?」
「一回出したけど、まだ満足してないから終わるつもりはないな」
「え、でも、二回も続けてなんて」
「――したことないの?」
「ないです、そんな、うああ、あっ、や、嘘」
「できるだろ、伊澄」

 初めて名前を呼ばれ、目を見開いた。

 それから人生で初めて太ももを持ち上げられて交わった。
 より深々と突き上げられ、再び中に出された。
 さらに続けて三度目、後ろから突かれ、荒々しく吐精された。