【10】繋がる(★)



 ――その後の夜も、セリスは指で俺の中をほぐし続けた。俺の中は、どんどん広げられていって、今では三本の指がスムーズに動くように、体が変わってしまった。

 時々セリスは、先端を俺の入口に当てるようになった。けれど――中には挿入しない。俺は今では、そうされると自然と腰が動くようになってしまった。なにか……足りないのだ。

 今もセリスは、散々俺の中をほぐしてから、後孔に先端だけをあてがっている。

「う、うう……」

 内部から無くなった刺激が恋しい。俺は最近明確に脳裏で、もっと太く硬いもので貫いて欲しいと考えるようになった。

「挿ってしまいそうだな」
「あ、あ……」
「――そろそろ、良いか」

 俺がクラクラした気持ちでいると、セリスがポツリと呟いた。涙で滲む瞳で、俺はセリスを見上げる。

「ヴェル。きちんと確認したい。俺に初めてを捧げてくれるか?」
「う、ン……あ……」
「大切にすると誓う。どうしてもヴェルが欲しいんだ」
「俺、前にあげるって言った……っ、ッ……」
「……ヴェルに、俺を好きになって欲しいんだ。愛している。俺は、お前を。きちんとそれは伝わっているか?」
「愛……?」

 その言葉に、俺は熱い体のままで考える。背をシーツにあずけたまま、セリスを見上げた。

「それは、ドキドキする事だよな?」
「そうだな。俺はお前を見ていると癒されて和む反面――どうしようもない激情に駆られる事がある。誰にも渡したくない。ただ、ヴェルには気になる相手がいるんだろう?」
「俺のドキドキする相手は、セリスだよ……――ああああああ!」

 俺が述べた瞬間、セリスのモノが入ってきた。根元まで一気に入ってきたそれに、俺の体が押し広げられる。指とは全然違う。固くて熱くて、繋がっている場所から体がドロドロに熔けてしまいそうになる。最奥まで入ってきたセリスの自身が、俺の一番奥を突き上げた。

「やあああああ!」

 気持ちが良くて、頭が真っ白になった。セリスの熱と俺の内側の熱が溶け合うようになっている。どちらの温度か分からない。俺の中は、セリスのモノで満杯になってしまった。

 セリスのものが太く長いせいで、セリスが動きを止めた時、俺は最奥を押し上げられる形で動きを止められた状態になった。じわりじわりと体になにかがせり上がってくる。

「いや、あ、あ、ダメ、ダメだ、あ――!」
「悪い、抑制が効かなくなってしまった――辛いか?」
「あ、あ、ダメ、奥に当たってる……当たってる所、変な感じする。ダメ、ダメ、あ、あ、ああ……やぁああ、おかしい、体熱いよぉ!」

 俺がむせび泣くと、セリスが腰を揺さぶった。そうされた瞬間、頭の中が弾けた。真っ白に染まってしまい、気づくと俺は放っていた。なのに押し上げられたままだから、快楽が止まらない。

「あ、あ、ダメ、また、ああああああ!」

 大きい。俺は目をきつく閉じて、セリスの首にしがみついた。セリスは俺の腰骨を両手で掴むと、本当にゆっくりと、腰を揺する。

「まだきつかったか。悪い、お前が可愛い事を言うものだから……嬉しくて感極まって、止められなかった……っ、動くぞ。悪い」
「あああああ!」

 セリスが抽挿を始めた。最奥を容赦なくガンガンと突かれて、俺はすぐに理性を飛ばしてしまった。気持ち良すぎて、何も考えられない。ただ涙が溢れていく。ぎゅうぎゅうと俺の内部は収縮し、セリスのモノを締め付けているのが分かる。

「出すぞ」
「ああああああ!」

 セリスが一際強く突き上げて、俺の中に放った。その衝撃で、俺も出した。汗と白液でお互いの体がドロドロになる。結合している箇所から、白い液が溢れていくのが分かる。

「無理はさせたくない。でもな――もう止まらない」

 セリスは俺から一度自身を引き抜くと、ぐったりとしていた俺の体を反転させた。そして今度は後ろから、深々と貫く。俺の腰を掴んだセリスが、激しく俺を後ろから責め立て始めた。肌と肌がぶつかる音がする。白液と、瓶の液体が混じり、ぬちゅりぬちゅりと音を立てている。いつもとは異なる角度で刺激され、俺は泣き叫んだ。

「や、やぁ、気持ち良い、あ、あア!」

 今度は最奥まで貫いては限界まで引き抜く動作を、セリスが始めた。ぐったりとシーツに体を預けて、手で布を握り締める。そんな俺にセリスが体重をかけた。奥深くまで貫かれた状態で、身動きがとれなくなる。俺の右耳の後ろをセリスがねっとりと舌でなぞった。両手では俺の手首を掴んで、シーツに縫い付ける。

「今日はたっぷり出させてもらう」
「あ、ハ……ふァ」

 セリスが擦り上げるように俺の内部を抉り、再び放った。俺はまつ毛を震わせ泣きながら、この夜、何度もセリスの白液を受け入れたのだった。