愛に溢れている日々(困窮フィーバー)
仕事終わり――本日は、ローラの家に行く事になった。不思議と、最近は恐怖を感じないから、たまに行く。ただやっぱり不思議な感覚がする事はあるんだけれども……。
ローラの部屋には、沢山の書籍がある。様々な言語の本がある。日本語のものに限ってもジャンルは雑多で、難解な書物から、街で無料配布されている娯楽本まで多数ある。
豪奢な椅子に座り、俺は近くにあった百科事典を開いた。
そうしていたら、ローラが後ろから俺に抱きついてきた。顎を俺の肩に乗せて、手に力を込める。
「何見てるんだ?」
「ん? あ、ああ。置いてあったから、なんとなく」
「俺といる時は、俺の事だけを見て欲しいな」
後ろから俺の和服の合わせ目に、ローラが手を入れた。そしてキュっと俺の乳首を摘まんだ。もう一方の手で、帯を解かれる。袈裟は先程、入室した時に脱がされた。そのままローラの手が、俺の肌を這う。腹部を撫でられ、ローラの長い指に陰茎を握り混まれた時、俺は真っ赤になって唇を噛んだ。ローラの手が動き始める。
「可愛い」
ローラはそう言うと、ねっとりと俺の耳の後ろを舐め、それから耳朶を甘く噛んだ。ピクンと体を跳ねさせた俺は、首だけで振り返りローラを見る。その端正な唇に引き寄せられたようになってしまい見惚れていると、唇にチュッとキスをされた。
一度離れた後、何度も啄むようにキスをされる。その間も陰茎を擦られていた。
「ぁ……は……」
「藍円寺。好きだぞ」
「俺も……」
「きちんと言ってくれ」
「ローラが好きだ」
ローラは俺に、正確に言うようにと求めてくる。だがローラを前にしていると、そんな余裕がなくなりかけるというのが本音だ。
その後、俺達は奥の寝台に場所を移した。手を突き、膝で立った俺に、バックから挿入したローラは、強く俺の腰を掴むと、ゆるゆると動き始めた。かなりゆっくりと、だが奥深くまで、ローラの長い陰茎が挿ってくる。そうして今度はギリギリまで引き抜く。たまに全部抜かれると、俺の菊門はひくついてしまった。
「俺が欲しいか?」
「あ……ああ……もっとしてくれ」
「いいぞ。俺ももっとしたいからな」
再びローラの陰茎が挿ってくる。擦りあげるように貫かれ、先程よりも深く、より感じる場所を突かれる。ギュッと両手でシーツを握り、俺は快楽に耐える。たらたらと、俺の前からは先走りの液が零れ、シーツを汚している。
「あ……ぁ、ああ……あ、あ、あ」
ローラの動きが緩慢すぎる。次第に俺の体が震え始める。はっきりと、もっと激しく穿たれたいという欲望が渦巻き始める。足りない。
「ローラ、ぁ……あ、あ……も、もっと……」
「ダメ。今日は、俺のもので、中だけでイけ。お前、それが好きだろ? 『そうだろ?』」
「あ、あ、あ――!!」
俺の思考が霞んだ。震えながら頷いた俺は、ギュッと目を閉じ、強くなった快楽に喘ぐ。繋がっている箇所から、快楽が染みこんでくる。こうなってしまえば、もう俺の体はダメだ。出したい、でも出せない。だけど、ローラと繋がっていられるのは、幸せだ。
「や、やぁ……イきたい……う、ぁ」
「イけばいい」
「ダメだ、足りない。あ、あ、ああ、体が熱い、熱い……っ、うああ」
ローラの先端は気持ちの良い場所を掠めるも、すぐに抜けていく。もどかしさのあまり、俺は腰を揺らした。するとローラが笑う気配がした。
「ずっと藍円寺を感じてたい」
「あ、あ……う、うあ……ひ!!」
ぐっと感じる場所を押し上げるように突かれる。もうちょっとで果てそうだというギリギリの状態になり、俺は太股に力を込めた。あ、あ、来てしまう。絶頂の瞬間を思い描き、俺は怖さと、そうなりたいという欲望を、同時に感じた。
「ああ、あ、ローラ、も、もっと」
「いいぞ」
「やぁあ」
再び緩慢な抽挿が始まり、果てるギリギリの所を維持される。俺はボロボロと泣きながら、腰を揺らす。
「どうして欲しい?」
「もっと、あ、あ……イきたい」
「誰のもので?」
「ローラしか無理だ」
「そうか。うん。俺も藍円寺以外、考えられねぇよ」
「ああ! あ、ああああ!」
ローラがいきなり激しく動き始めた。打ち付けられる度に、水音と、肌がぶつかる音が響く。俺の背筋に、バチバチとした快楽が走る。
「ああああああ!」
最奥を激しく刺激され、俺は中だけで果てた。長い絶頂感が、手足の指先までもを絡め取る。しかし前からは出せない。でも、確かにイった感覚がする。ダラダラと俺は唾液を零しながら泣いていた。あんまりにも気持ち良い。声を抑えられない。
ローラの動きは激しいままだ。そのまま俺は、連続でイかされた。何度も何度も中だけで。最終的に俺の中は、ローラの放ったものでドロドロになってしまい、手をついている事も出来なくなって、俺はベッドに沈んだ。すると俺の背中にローラが体重をかけた。押しつぶされた俺の陰茎が、シーツに擦れる。敏感になっていたそこは、もう限界まで張り詰めている。
「あ、や、やぁ、あああア!!」
その時ローラが俺の陰茎を握り、激しく擦りながら、律動を再開した。俺の理性が焼き切れた。俺は唇を震わせながら、ただ喘いだ。気持ちが良くて、おかしくなりそうだった。
「ああああ、ローラ、ぁ」
「もっと俺の名前、呼べよ。な?」
「ローラ! あ、ああ」
「うん、良い子だな。そろそろ出して良いぞ」
「あああ――!!」
そのまま、俺はローラの手で射精を促され、ほぼ同時に内部も突き上げられて、そちらでも果てた。同時に襲いかかってきた強烈すぎる快楽に、俺は気絶するように意識を束なした。
――事後。
目を覚ますと俺は、ローラに抱きしめられて眠っていた。
「本当、好きだぞ、藍円寺」
「……俺も、ローラが好きだ」
新しい朝が来ていた。俺はローラの体におずおずと腕を回し、ローラの頬に唇で触れた。するとローラが少し驚いた顔をしてから破顔した。
「藍円寺からチュウされるの、良いな」
「……いくらでもしてやる」
このようにして。
俺とローラは、幸せな日々を順調に重ねている。毎日が、愛に溢れている。