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 初めて、そう、初めて、ゼクスの色気たっぷりの写真となったのだ。艶だ。それは肉食獣系ではない。『抱きたいオーラ』である。ゾクっとくる首筋、俯きがちで斜めの視線。きっちりした和服なのだが……色っぽい。休日だから違う側面という事だったのだろうが、ちょっとこれは、やばすぎた。これは、3月20日発売号に、無理矢理ねじ込んで貰ったのだが、それがもう、完売だった。増販決定、予約殺到である。久しぶりだからではない。クラウンズ・ゲートの関係者も買ったが、それが理由でもない。あんまりにも美しかったのである……。また、デザイアの放映も、この月にねじ込んでもらったのだが、初のリア友が、なんとすごい二人と判明して、しかも蹴落としたライバルかと思っていたら、開発特許者ゼクスであり、何ともこう、ゼクスの評価を上げる形となった。理由は、今までと違い、ゼクスが本気で笑顔だったからだろう。相手もゼクスを畏怖していないし、完全に対等だ。だが、これは、本来ゼクスが下手に出るはずなのだが、違うというアピールと、逆になっていたのだ。ただしトーク内容は、今までで一番専門的である。ペラペラのドイツ語と英語だった。ルシフェリア、ドイツ人ハーフ、ゼスト、日系アメリカ人。専門家しか分からないトークを満面の笑みで語るゼクス。これは誰も理解できない感じだから、台本不要だったし、用意もできない。子供みたいだが、これに関してはそれで問題ゼロだった。ゼストも子供みたいだった。ルシフェリアは、ちょっと大人で、聞き上手である。レクス&三名での方は、レクス&イリス、デザイア、レクス&ルシフェリア、デザイア、レクス&ゼスト、デザイアでゼスト、で、四月にレクス&ゼクスが予定されていた。

 雑誌発売の翌々週、四月の最初の水曜日、レクス&ゼクス。

 インフィニティの和服でゼクスは登場した。レクスは、貴族衣装である。黒騎士のデザインだ。これ、視聴率が、やばかった。クラウンズ・ゲート外のファンも見まくりだった。さて、鴉羽武器について、語った。そして――衝撃の発表。鴉羽商會の希望武器アンケートに答えてくれた人の中から5名、その希望武器をゼクスが、無料プレゼントと発表したのだ。実は、4月1日からのオープン時、期待された販売はなくて、99個ロックされていたはずが、1個のみロックに変わっていて、みんな涙していたのだ。代わりに、枠が50増えていて、50商品増えていた。当選者は、イニシャルのみ、発表だった。朝の9時から12時がメンテナンスである。この日、特番は、13時まで延長となっていて、返信で名前公表OKならば、13時半から、その人の所にインタビューに行くとした結果――5名から返信、2名は、名前は良いが、1名は学校なので無理(涙)、1名は偶然にもフレなので、そして内容も明らかにフレしようなので、コメントとなった。なのでコメントは、放送内で発表となった。当選者『英刻院藍洲』である。実は伝説かつ、かなり見かけやすいプレイヤーである。コメントは以下だ。

「魔術師360武器の魔道書15冊(現存する全部)を無料プレゼント感謝する。1冊の希望額、99億ゴールド(上限:9万9千円)としたが、99億までしかなかったからで、俺的にはゼロ一桁多くても良かった。有難う! ただ次からは、アンケートに答える前に、いつも通り作って売ってくれ」

 とあった。ゼクス、吹いていた。そこから、「英刻院閣下とも親しいのか!?」となり、ゼクスは笑顔で、頷いた。超貴重である。さらに「ラフ牧師とも仲良しだ」となって、ゼクスすごいとなった。これは、ラフ牧師から、ゼクスへの質問&コメントがVR送信されてきたのをレクスが拾ったのである。ラフ牧師も伝説の一人だ。さて、十三時手前に、当選者の名前一覧を改めて全員分出した。そのまま、お店街に移動した。待っていた観衆、大騒ぎである。リアル共有で、待ち合わせ場所にて、当選者三名と会った。ど緊張2名、1名壮絶にハイテンション。

 僧侶の高砂、聖職者の時東、聖職者のアルト、全員有名人である。もう一人の桃雪さんは、初心者だ。アルト、ずっと武器に感動している。黒騎士のデザインも好きらしい。

 なお、時東は、アイテムもやばかったが、実は、VR救急の専門医だから、ゼクスについて知っていて、そちらで会いたかったため、呆然としている。その会いたかった相手、美人過ぎた。かつ、猫ゼクスには、ヘルプられた事がある。

 高砂は、ゼクスって流行ってるけど別に、だったのが、インフィニティの和服に釘付けになり、冷や汗で硬直し、目を疑い、一目惚れしていた人である。かつ、猫ゼクスにはヘルプられたことがあり、元々鴉羽武器の大ファンかつ、猫ゼクスのファンでもあったので、呆然としていた。さらに本物、やはり色気が凄すぎた。

 アルトのみ、そういう動機はない。武器だ。武器に歓喜だけだ。
 ゼクスもニコッとして、一人一言コメントで、終了した。
 撮影はそこで終了したので、レクスは帰った。ゼクスは猫に戻った。

 アルト、話しかけた。ゼクスに。みんなそうしたかったが、できないでいたが、アルト、テンションのままいった。ゼクス、のほほんとしている。猫だと普段、こうである。

「本当に有難う!」
「いやいや。そう言ってもらえて良かった」
「俺、使いに行きたい。攻撃聖職者、少なすぎる」
「だよな。回復も攻撃も楽しいよな。行く?」
「行く!」
「二人も行くか?」
「「!?」」
「行こう。僧侶と回復、ゼクス前衛で完璧だし」
「うん。どこに行く? あと二人、誰か呼ぶ? 募集?」
「呼べる人いる?」
「んー、あ、榎波と橘が立ってる」
「私は行っても良いぞ。私が前衛をやる」
「俺も行きたい。俺後衛やる。召喚で。ゼクスは、榎波補佐か、魔術で俺補佐は?」
「うん、そうする。あれ、高砂と時東はどうする? というか、久しぶりだな、お前らが当たったのか。俺の事覚えてる? 昔会った」
「――覚えてるよ。逆に俺の事覚えてたの? 行きます」
「うん、覚えてた。良かった」
「俺も行く。久しぶりだな。お前があのVR遠隔手術をやったとは、なんていうか、一致するようなしないような……」
「あはは。時東も、リアルでもゲームでも回復系か?」
「「「「ぶは」」」」
「ま、まぁな」

 こうして、六人で、ボス連戦に、彼らは向かった。そして、三名は、フレになった。超強いメンバーだった。榎波と橘も有名人で、橘は生産でも神様である。