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さて――英刻院閣下から、チャットが飛んできた。
「感謝する!!!!」
「いやいや、抽選ですから。アンケート有難うございました」
「夢のようだ。使ってみたが、最高だ。また行ってくる。本当に有難う!」
「いえいえ。ってか、普通に言ってくれ」
「あはは、有難う」
こうして英刻院閣下は、試しに行ったようで切れた。超テンションが高くて声が笑顔だったから、なんだか嬉しかった。
その後は、生産在庫を増やして、来月のPSY融合医療装置の部品作りと、父上から来た建築依頼、レクスから来た建築依頼をガツガツこなして、残りは適度にデザインしながら、予約対応を悩んだ。
なお、アンケートは撤去してある。
探している人がいっぱいだがアナウンスはしない。ちなみに父上は、アルトさんと知り合いらしく『死ぬほど喜んでいたよ』と言っていて、さらに英刻院閣下とも知り合いらしく『あいつは、もう今日は仕事にならないだろうな』と苦笑していた。多分、リアルの経営者関連の知り合いだろうなと俺は思った。触れなかったが。
それからお祖父様から学習システムの件でチャットが飛んできたので、
『PSY融合医療装置をずっと見ていた時東という、おそらくPSY医療の医療院専門医が、装置を予約していった。ちなみに、俺のお礼杖も当たった』
と、報告したら
『時東? 聞いた事がある。そうか、装置対応は私がする。場合により、バイトとVR専門医の医療院講座に誘う』
『分かった』
『それでシステムだが、今、私が話してきた内容を送る。大学院以上はお前が決めてくれ。複合資格も。天才機関と医療院は、確認して意見があれば言って欲しい』
『分かった――ああ、学部で総合検定で、院で個別技能検定、良いんじゃないのか? 教授に、デススターロック三名と猟犬クラウンとか、こう、検定持ってる人を誘う。天才機関は、VR身体技能と五感か。PSYは? 医療院はパーフェクトだと思うが、これもPSYは?』
『分かった。うむ、PSYが私も悩んだ。今は、入れないでの公開を検討したものがこれだ。何か良い案はあるか?』
『VR色彩検定の応用で、PSY円環と色相と細かい数値や比率を出すというのは? まず、研究からやる感じで』
『ああ、良いな。サンプルを本日のなるべく早い内に作ってくれ』
『今やりだした。ちょっと待っててくれ――あ、後な、時東という人は、医療用復古聖遺物と高レベルPOTが作れて、薬剤と装飾具とその関連個別はカンストみたいだ。多分だけどな。装置の融合装置部分の宝石と、稼働薬剤も作れるんじゃないかなって俺思う』『何? 大至急連絡をとる。アンケートは、これか。送ってくれて助かった。POT類の話しかないから見る気が起きなかった――ふむ。時東……もしかしたら、東京VR医療センターの本物のVR救急専門医の時東修司かもしれん』
『え!?』
『登録IDの自主入力アルファベットと任意数字が同じだ。ゲームとセンターで』『ぶはっ』
『言われてみると顔も似ているような気もするし、日本は救急はほぼないから、待機中のVR内部はゲームを皆しているそうだ。月に一度、水曜日の午前中に、東大院VR救急医療研究室で講義をしているという』
『ぶは、メンテ日』
『その場合、医療院のVR医学専攻の、奴の足りない部分を全部覚えさせれば、リアルの研究室に引き抜ける。アースタロット・オンラインはやり放題条件だ』
『いいかもな。あ、できた。送った』
『うむ、さすがだな。これは、とりあえず、VR医学側を取ってからの受講として、サンプル設置させてもらう。VR医学は、最高学府のデザインの最低限と医学部必須だ。医師免許保持者はスキップ可能だ』
『いいな、本格的で俺は好きだ。学習システムセットは用意してあるけど、俺やる? 送る?』
『送ってくれ。十分だ。非常に助かった』
こうして、チャットは終わった。
その後、本日分の自分ノルマの建築なども終わったので、各地を眺めた。和服店に絞って回って会ってこようかなと若干思ったが、わざとらしい。
そう思っていたら、二階の端にいた。びびった。こっちは見てないが、俺がいるの絶対気づいてる。だが、気配はゼロだった。なお二階は、取材陣と俺と高砂さんと一部の観衆だけで、観衆は、俺をチラ見するが、俺にとって空気だし、あちらも俺が仕事中と判断して声はかけてこないし、そちらも仕事中らしい。
VR内部でやっているから、内容は不明だが。口とか読めないのである。そうしたら、高砂さんと目があったので会釈した。さて、どうしようかなとまた地上を見た。会おうかなと目的設定した瞬間に終わった。黒十字同盟を見に行くか、案内所各地を巡るのも良いかもしれない。
後は、橘とか榎波の所、あるいは、各職。そう思っていたら、パーティ申請がきた。びっくりした。高砂さんだった。承認してみた。
「こんにちは?」
「こんにちは。先程、錫杖が当たったので、思わず、お見かけしたので。突然失礼しました」
「いえ、アンケート、有難うございました」
「こちらこそ――……クラウとラフ牧師と一緒にいた事があるんですが」
「あ、ええ。お名前と職を抽選して拝見して、ご無沙汰致しておりますと付けようか迷いました。お久しぶりです」
「……お久しぶりです。華道の滝椿流家元のご関係なんですか?」
「ええ。祖母がその出です。前代ですが」
「――茶道は、峯岸流三代目家元ですか?」
「そうです。お詳しいですね。着物の帯ですか?」
「ええ。帯です。峯岸流の五代目をしていて」
「えっ!」
「雑誌でまさかアースタロット・オンラインの僧服を見るとは思いませんでした」
「ああ、イリスがどういう経緯なのか頂いてきたんです。サンプルですか?」
「ええ。後は、インフィニティも定期契約なので、今回は特集記事のみ先行配送だったので、拝見しました。あちらの僧服も驚きました」
「そうですか。高砂さんも、僧服と袈裟を置いていらっしゃるのを、案内所を作る時に拝見して、俺は赤い袈裟と、245レベル僧服の青緑が良いなと好きになりました」
「っ、有難うございます」
「良かったら、フレになって下さい」
「……良いんですか? 俺は構いませんが」
「お花売ってらっしゃいますよね? 俺花瓶作りたくて」
「申請有難うございます。花瓶?」
「ええ。あの、青と紫のオリジナルの花を見て、こう、あの、これ、テディベアのお店をフレとやっていて、そこに、置きたくて、この、クマの横の時計の文字盤と同じ模様の花瓶に立てたかったんです」
「――生産同盟の橘さんですよね?」
「ええ」
「いつでも使って下さい」
「わぁ! 有難うございます! ええと、もう、花瓶は、考えて、お花も勝手にその部分は落書きですが、さしてみたんです。これ、どうです?」
「――え、ええ。良いと思います」
「嬉しいです。じゃあ完成したら一個送ります。その時にお花も買います」
「有難うございます。華道セットはやらないんですか?」
「レクスが得意なので、やるとしたら、レクスですね。俺は、華道も茶道も手習い程度なので。高砂さんは、茶道セットを?」
「ちょっと迷いはしましたが、やるとしても様子を見てからです」
「なるほど。じゃあ、俺とその様子を見る間、医療用復古聖遺物にデザイン適用で、数珠専門店やりません?」
「っく、げほっ」
「だ、大丈夫ですか?」
「いや、え、俺は大歓迎ですが、驚いて」
「あはは。わぁ。俺、数珠はいくつか考えて、俺の数珠は個性がないと思って諦めかけていたから嬉しいです。ええと、こういうの」
「悪くないですが、特別『すごい』というのも無いですね。ただ、シンプルで数珠らしいといえば数珠らしいと思いますよ。個性が欲しいなら長い念珠にしては?」
「あ、なるほど……長いのか、ちょっと考えてみます! 勾玉とか付けたら、宗教チャンポンですかね?」
「大丈夫でしょう」
「お店デザインは、希望はありますか? 高砂さんが建てる?」
「建てても構いませんが、逆にご希望は?」
「ええと、高砂さんのスキル書のお店の外装を緑っぽくして、看板は、黒曜宮案内所の入口天井のようなのを上か斜めら辺で、内装は高砂さんチョイスが良いです。場所は、俺――ここ、この、デススターロックの和ロック小物店脇に、和系を置きたかったから抑えていたんですけど、ここどうでしょうか?」
「――良いと思います。資産は分担はどうしますか?」
「俺もう入れてあるので、そちらは大丈夫です」
「そういうわけには」
「いえ。あ、そうだ、そうしたら、お花を、青&紫を500セットとかすみ草を1000セット欲しいです」
「構いませんが……いくら投入し――……なるほど、フル課金ですか。0が数十個、セットでも足りないですが、良いんですか?」
「ええ。デザインの環境整備の一環で、こう、何も気にせず、みたいにしたいだけなので。倉庫等追加は、最初お任せします。販売時は、売れ行きで、俺勝手に増やすか閉鎖するかもしれないですが、一言断ります」
「分かりました。じゃあここに建てておきます。後で、変更修正を」
「はい、お願いします。高砂さんは、どんな数珠を?」
「黒白の瑪瑙で、銀の束。それで、鴉羽色相の中範囲中を強化する、ミナギスを作りたいかなと思っていて、自分用はデザインはあります。ミナギスは、作ってないです」
「あ、俺、ミナギスある。これは? ちょっと、やってみて欲しいです」
「! 有難うございます――こういうの」
「あっ、これ良い。俺も欲しいので、複製して、三個に。一個ずつで、一個ロックで」
「――ええ。どうぞ」
「わぁー! これ良い。短と長と超長と、濃黒と濃灰と石灰とほぼ白も欲しいです」
「ずっと聞きたかったんですが、鴉羽色相、完ですか?」
「俺としては完ですが、弄れるからどこまでも試せますからねぇ。俺のレベルの限界値までは全部完了で、俺が好きな配置、という意味の完です」
「っ、350?」
「ええ」
「良かったら、ステ見せてもらえませんか?」
「あ、はい」
「うわ――……分かる、やっぱり、こうなりますよね。俺、現在レベルで同じです。これです」
「わぁ!!!! ですよね!? 326からこれですよね!?」
「ええ。俺もそう思います。それにここから威力が全く違います。320からは範囲が違って」
「分かる! そう、それ! 誰もわかってくれない! わー! 狩り行きたい!」
「――ゼクスでも分かってくれない人が? 狩りはこちらこそぜひ」
「むしろ、僧侶でわかる人いるか? 俺、初めて会ったんだけど。俺の僧侶としてOK出せる僧侶は、初めてだ。僧侶風じゃダメだろっていうのに、爆笑されて終わるんだ……狩りは、ニルヴァーナ渓谷に行きたいです」
「OK基準何?」
「鴉羽色相を出現させた上で、基本値34レベル、72レベル、124レベル、213レベル、285レベル、320レベル、326レベルをクリア。さらに、濃度調整を6段階していると、俺は、その人は住職クラスだと思う。俺のフレは、なぜなのか、213か285で満足して、濃度は4段階で満足する。それでは僧侶風の門の前の落ち葉を掃いている通行人と変わらないって言ったら、ラフ牧師に頭殴られた」
「くっ、全文同意なのに、どうして俺が言うと大喧嘩の口舌戦で、ゼクス様だと頭殴られて爆笑なんだろう。ただ、その口調と雰囲気で、しかもその表現をされるとわかる気もするから不思議だよ」
「あはは。クラウにもこれ言ったら、クラウは『他から見れば区別がつかなければそれはもう僧侶だ』とか言うから、俺が爆笑して、ツボってしばらく笑っていたら、周囲が焦って、俺の笑い解除に悩んだ。クラウまで笑い出してやばかった」
「俺、それクラウに行ったらガチ切れされてギルド追放だったんだけど、それ、いつ?」
「え? いやどっちもぶっちゃけ、お前がギルド出た時の喧嘩直後に愚痴聞いて、俺が言ったの」
「くっ」
「なお、クラウは、俺にはその後も見ると笑った。ラフ牧師は、その件じゃなくて、なんか、お前に言い過ぎた的な感じで鬱で機嫌超悪くて、よりにもよって英刻院閣下に八つ当たりして、より最悪な口舌戦をヨゼフの初心者街で繰り広げて全員震撼レベル。それで俺が、『ラフ牧師は愛弟子に嫌われて寂しいから苛立っているんだ』と伝えたら、二人が吹き出して終わった。そこから機嫌戻った。なんか、愛されていたイメージがあります。クラウとラフ牧師が揃うと、『最近の僧侶について』として、高砂さんの話しかしてないしな」
「……へぇ。まあお世話になったし、感謝もしてます」
「ま、けど、あんまり気にしなくて良いだろう。俺もお世話になったり感謝した人が大量にいるはずなんだけどな、寝て起きると記憶から消えていくんだ」
「ぶはっ」
「顔を見ると、『あ!』ってなる。名前見ると『ん!?』ってなるんだ。けど、こう、ボスは見た目も名前も覚えられるのに、人って、難しいよな」
「ちょっと、待って――あはは。へぇ、そうなんだ」
「うん。あ、そうだ。さっきのさ、濃淡、濃い順に、ラクラス・ラプラス・ミージナ・マリリアは?」
「理想だけど、ヒクラテスとアルメギアってどうなの? 俺作れないから、それ分からなくて」
「あ、じゃあ、医療用復古聖遺物、ザフィスお祖父様と俺の医療系露店にロック展示全部してあるから、行くか? 触れる」
「いや、それ、本当? 知らないし、そんな話は聞いた事が無かった。PSY融合医療装置と高性能POTじゃなくて?」
「その奥が、スキル書、レシピ書、聖遺物、白衣、全部医療系だ。お祖父様、医学マニアだからな。けどPOTがこうなんかPOTばっかり言われるから、奥の扉はあんまり開けていないようだ。あいてるから、自分で開ければ誰でも入れるんだけどな、みんな装置で立ち止まる」
「そう。行きたいです」
「うん。案内する。しつつ、先に効果も話すと、ヒクラテスは、濃黒だけ見るなら優秀なんだけど、超長に使えないから、320以上はあんまり不要で、装着レベルも320だから、持っていた場合、逆に短距離単発を一時的に上げるには良いかもと俺は思う。ただ、僧侶でそれは、手袋布指輪付きの330の方が上がるから、俺はそっち派。ただこれは、どの装備選ぶかにもよるから、数珠として置くには、一つ良いと思う」
「そうなんだ。確かに手袋布は優秀だよね」
「うん。まずもう、330以上でそれじゃない場合、他も見てではあるけど、俺、それは僧侶風じゃなく、コスプレ僧だと思ってる。コスプレ僧のカンスト者が多くて俺やだ」
「ぶはっ、うん、分かる」
「だよな? それで、アルメギアは、ほぼ白で優秀ではある。ただし法力が上がり過ぎるから、鴉羽色相の326調整が、俺達のやつだと、黒の二列目が狂うんだ」
「そうなの?」
「うん。バグかと思って問い合わせたら、違うって言われて、宗教建築で祈ったら確かに回復するんだ。けど、一回僧侶範囲を放つ事に狂って行くから、戦闘中に祈れないから、あ、これ、ダメだ、と、俺は思った。あれさ、見た目も数珠っぽい空気だから俺は涙した」
「教えてもらって良かったよ。俺は涙しなくて良さそうだ」
「あはは。ちなみに、範囲はどう思う?」
「俺としては、エルギナ・ファイス・ディアザ・エーダ。短の前に、法力防御」
「おおー! あ、ああ! エルギナ、確かに防御行ける! 俺それ思いつかなかった! すごい! 高砂天才!」
「はは。この五つは、作りたくてデザインを適度に考えていたんだ。濃度が作れないものもあるし、検討がいると思っていたけど、理想の4つで良いなと認識できてホッとした」
「俺もだ!」
そうして歩いていたら――ラフ牧師が走ってきた。