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「ちょ、ゼクス! 高砂! お前ら何やってるんだ!? そして、なんで一緒!? すごい目立ってるぞ!」
「ん? ラフ牧師の悪口を罵詈雑言放ちながら一緒に数珠作るの」
「「ぶはっ」」
「ゼクス、あのな、待って。何それ、僧侶風の箒について?」
「ああ、それそれ」
「ちょ、あのなぁ……はぁ。待ってくれ。俺もあの後考え直して、326クリアだから」
「「え」」
「ラフ牧師……よく住職になったな……俺、今俺の中で、僧侶が二名になった」
「ゼクスのハードル、高すぎるけど乗り越えた高砂、俺が悪かったよ」
「いえ……――え、本当ですか?」
「ああ。やったよ、俺は。言わなかったけどな。なぁなぁなぁ、高砂それ、当たったの?」
「ええ」
「うわああああ、良いなぁ!!! ゼクス、予約無いのか? か、ルシフェリアみたいにオーダーしないのか?」
「武器は今、全部今後の販売方法は検討中で未定なんだ。俺個人は。もし、オーダーやるなら、俺は相手のステも見て決めたいけど、俺的にラフ牧師なら、まさに今高砂と話していた漆黒数珠で、手袋は聖職者にして、武器は扇が良いと思うんだ。バシンで範囲。先全部刃物。忍者の爪350のデザイン適用。けどあれ、忍者より、僧侶超短〜中向き。扇はこれ見本。どう? 数珠は、高砂デザインあるなら俺あるけど、どう? 手袋は付けてる」
「――こういうので良い?」
「あ、むしろ良い。わー、ピンクダイヤ? すごい、綺麗だ。これ、数珠。四個で一個ロック」
「はい。あ、どうぞ」
「わー!!! 漆黒って数珠の色じゃねぇのな。俺が馬鹿だった。お前らは僧侶だった。へぇ、あ、うん。確かに上がる。ねぇ、高砂、一瞬錫杖持たせて」
「――どうぞ」
「んー、手布変えても、確かに俺の場合は、扇だ。有難う!」
「どういたしまして」
「じゃあラフ牧師は、そのサンプルと数珠つけて、俺と高砂の僧侶力と数珠威力をアピって歩いてきてくれ」
「「ぶはっ」」
「バイト代に、数珠とサンプルを上げるぞ」
「喜んで――つぅか、他に誰当たったんだ? 青薔薇のギルマスが喜びの声しか知らん。魔道書15冊は、リクエストする奴一人しか心当たりなくてそいつは狩りに没頭していてチャットに出ない。Eさんだ。イニシャルがまさにな」
「企業秘密だ」
「一人は桃雪様ですよ」
「えっ!?!?!?!? オリジナル忍者!? マジで!?!? ゼクス、その子は俺の孫だ」
「えっ!?!?!?!?!? そ、そうだったのか。パーフェクトなデザインくれたから、商品化打診しようか悩んでいたんだ。もうちょっと検討してみるけど、一番はっきりとしているデザイン案で、わかりやすかった」
「泣いて喜ぶわ。打診はともかくパーフェクトは伝えておく」
「確かに感動の涙だと俺も思いますよ」
「あはは。それは良かった」
「え、え、あと一人は?」
「聖職者のTさんって書いてあっただろう? それ以上は無理だ! あ、ラフ牧師もザフィスお祖父様の館に行くか? Tさん目撃情報があったよ」
「行く。今、ザフィスいんの?」
「うん。なんか、最高学府でVRデザイン学部新設で、医療院でVR医学専攻新設で、それの準備しているはずだ」
「「え?」」
「なんかな、案内所置いてって公式から連絡あって、お祖父様がVR医学をどうせなら学習システムやれないのかというから、公式にお祖父様が言ってたって書いてみたら、公式が最高学府でどうですか? って言って、お祖父様が出かけていて、帰ってきたら、そうなった。あれ、高砂って資格どうなんだ? 学部がデザイン検定で、院が個別技能検定やるみたいなんだ。国際」
「国際!? ま、マジで!? プロだろ」
「――一応個別全180以上ですけど、そこまでです」
「えっ、十分すぎる。今な、教授探してるんだけど、やってくれない?」
「「えっ!?」」
「いや、人に教えられるレベルではないです」
「いや、そんな事はない。ちなみに入学条件は、アースタロット・オンラインのゲーム側の判定で60からだから、企業の人もレベルを10自分で上げてくるか、資格持っていたら飛び級可能となるそうだ。後は、そうだった、声かけしようと思ってたんだった。よし、メール完了――あ、三人教授が見つかった。高砂のYESで四人になる」
「誰?」
「デススターロックの、生産者名だと、梟と蜩と虎鉄」
「――ああ、うん。やっても良いけど、分担による。個別開講?」
「を、俺は考えてるけど、自主学習にアドバイスでも良いし、そこから相談だな。有難う!」
「へぇ、高砂が先生か。高砂先生だ」
「やめて下さい」
「いいじゃん。最高学府とか!」
「うん。似合う――あ、ここだ。どうぞ」
俺は、エクエス・ロードクロサイトの館に二人を通した。内部の視線が俺達に集中して、ざわっとなった。お祖父様が顔を上げた。
「お祖父様、聖遺物見に来たんです」
そう言いながら、俺は目撃者情報通り、Tさんが医療装置前にいるのを見た。二人をチラっと見て、視線を戻したら、二人が目を瞠っていた。そして、俺が視線を戻した時、あちらも俺を見た。
なんかこう、壮絶に――ポカンとなった。口が空いている。俺を見て硬直だ。そんなに杖が嬉しかったのだろうか? そう思い、目があったので会釈したら、体がビクッとしていた。
「――時東?」
すると、高砂が言った。あれ、知り合いか? まぁ、二人も有名人で、アイゼンバルド新人としては超偉業だから、知り合いでも分かる。
「た、た、高砂……」
「久しぶり。どうかしたの? いつになく、というか、俺は時東が気怠く無い顔をしているのを初めて見たんだけど。もしかして、杖が当たった?」
「いや、うん! そ、そうだけ、ど、あ、あの――……サファイア――あ、俺もう無理だ、これ!」
「?」
そのまま時東さんは走り去った。何が? サファイアは、ゼスペリアの青を使えるアイテムだから、それが何かだったんだろうが、無理はどこにかかるんだろうか?
「確か、イリスちゃんの運命のライバルの、天才的なゼスペリアの医師の時東だろう?」
「ええ。野良で何度か」
「いつでも沈着冷静で、どんなボスでも余裕で、無表情かニヤっか、ごくたまに天然のイケメンスマイルって、嘘じゃん」
「――いいえ、俺もこれまでそれ以外のパターンは一度も見た事がありません」
「じゃあ今の挙動不審っぷりは何だね?」
「杖かアイテムが嬉しかった。その製作者を見て上がった。あるいは、VRの天才を見てど緊張。最終案は、外見に気圧された」
高砂がそう言った時だった。
「全てであろうな。ゼクスの論文の愛読者だった。エクエス・デザイアの動画を全て見ていて保存していた。杖にまず大歓喜だが、アイテム側が想像の範囲を超えていたそうで興奮が止まらなかったようだ。そしてそのアイテムは私も非常に気になる。私と時東の復古遺物スキルには存在しない。何由来だ?」
「あれは、ゼスペリアの青がPSY円環に入っていないと出ないレシピだ」
「なるほどな」
「――このロードクロサイトの青緑Otherが出るアクセも?」
「そうそう」
「なんだと!? ゼクス、両方大至急提供を頼む」
「え? 奥にある」
「なんだと!? 行く。どれだ?」
「俺達も行く。行こう」
「お、おお。お前ら祖父と孫って信じられない。ザフィスがまず若い。ゼクスは逆に年齢不詳だ」
「ぶは」
こうして俺達は中に入った。お祖父様にアクセを示したら、手に取って確認して使っていた。扉は俺達入室後、お祖父様が閉めた。俺が、高砂と三人が教授してくれると話したら、非常に大きく頷かれて、高砂に「よろしくお願いします」と言っていて、高砂が動揺していた。ラフ牧師は、腕を組んだ。
「つぅか、ザフィスがそんな金持ちの権威とか思わなかった。俺の花ちゃんを奪った恋敵認識意外なかった」
「え、なにそれラフ牧師」
「俺の幼馴染が、お前のおばあちゃんのお花の先生だ」
「えっ!? そうだったのか!?」
「そして俺は、お前のお茶の先生の後のお茶の家。現高砂の家」
「ああ、それは聞いたけど、そうか、四代目がラフ牧師なのか。へぇ。失礼しました。ゼクスと申します(略)それはそうと、ラフ牧師フラレたのか?」
「ぶはっ!!! ちょっと、おい。フラれてねぇよ。俺が先に自分の奥様と結婚しました。しかしまぁ、ゼクスの色っぽさはおばあちゃん譲りだろう。俺、お前のお母さんも見たことあるし、クライスなんかガキの頃から知ってるけど、お前の色気は、花ちゃん」
「そうなのか? 色気って具体的には? 着物の着こなしか? 共通点」
「――まぁそれもあるかもな。首とか。どう思う? ザフィス」
「骨格はあるだろうな。クライスとレクスは、細い」
「へ? 俺、細いか?」
「ああ。私とレクスは、筋肉がつく。お前達は、最低限しかつかない上、一食抜くだけで落ちる。代謝も良すぎる。顔はゼクスもレクスもそれぞれの母親似だが」
「あ、そうそう、俺とレクスは異母兄弟なんだ」
「――そうなんですか」
「そういやそうだったな。執事、仲良くなって大歓喜だろ」
「うん。悪くなかったんだけど、良くもなかったから心配していたらしいけど、俺、仲良いと思ってる」
「良いことだ。なぁ、高砂、話戻すけど」
「なんですか?」
「ゼクス色っぽいよな?」
「え、ラフ牧師、なんでそこに戻したんだ?」
「全くですよ――ただ、そうですね、インフィニティの和服は、俺も驚きましたし各地もその話題で持ちきりでしたね」
「あれ、すっごいよな。その前のページまでイケメンカッコイイで、いつもどおりに遊び心いいじゃんとか思ってたら、ドンって、色気だだ漏れ。視線が斜め下で首も鎖骨も見えて、ゾクっ、みたいな。男の美人って存在するんだなと、俺、人生で思ったの二度目。一度目ザフィス。完全に同じ角度で初めて和服着たその日。俺、自分を疑ったから。視線と眼力と迫力は、完全にザフィス似。クライスは花ちゃん」
「ああ、ええ、言われると、動画のデザイアの空気は、近いですね。動画は。ただ、モデル時は、もうちょっと内向的か気怠そうというか――あの動画はイメージが違いました。ただ、学習システム製作者のデザイア代表の聞いていたイメージは動画でした。現在のイメージがどちらとも違う上、アバター時の動画と同じで、非常に困惑しました、最初」
「ね。俺もさ、困惑した」
「うむ。私でさえも困惑する」
「いや待って、あのな、動画は、服のモデルをやってるし、インタビューも相手をひきたてるモデルをやってるだけで、俺のこれのままじゃ、ひきたたないだろうが!」
「そう? 俺こっち方が好き。高砂は?」
「そう言われても、会って一時間弱なので」
「ザフィスはどう思う?」
「ゼクスはゼクスである。私にとっては同じだ。ただ、集中時は、完全に動画であり、その集中は、単独デザイン時とソロ時――VR内部動作集中時、それこそ手術、それらで発揮されるゆえ、個人的にはそちらが有難い。ただし、家族としての率直な感想は、こちらは見ると心が休まるから、良い」
「それ、お祖父様も同じじゃないか? 集中したら、誰だってソロをああやるだろ?」
「いや、それは無理。あれ、おかしい。なんだよあのタイム」
「どれだ? 俺、アイリスなら現時点で、二人パテ、俺&高砂で、俺&ゼスト抜く自信あるぞ」
「「「え」」」
「え、何それ、俺みたいんだけど」
「私も見たい。撮影は任せよ」
「――流石に無理が」
「やってみようか? あ、数珠、数珠さこれ、とりあえず話に出たの全部とりあえず10個に適用複製して、一個ロックで、俺達に配ってくれ。俺、装備の他を用意する」
「え、あ」
「高砂ファイト!」
「楽しみである」
俺は視界操作で倉庫を開けた。誰も使ってくれなかった俺の理想装備、335台! この頃、5レベルずつ作っていた俺。さて、高砂イメージで、和服デザインを適用し、『銘・鴉羽商會×高砂』と入れた。作っておいた中のを手直しして、数珠と合わせた。全装備を用意し、高砂に渡した。高砂が固まっている。ラフ牧師が「早く着ろ」と言ったら動いて着替えた。似合う。
「どうだ? 動きとか」
「最高すぎるけど、あの、これは……――うわあっ、すごいな。感動的な装備だよ。しかもデザインが……涙が出るほど好みだ」
「良かった! 似合う」
「うん。似合う。高砂の男前度が上がった。ぶっちゃけ、お前の和服見慣れすぎてて、ネットで騒がれるほどじゃないと思っていたが、これはやばい。カッコイイ」
「うむ。カッコイイ。ゼクス、私にも和服を頼む。その黒曜宮の服が良い」
「あ、いいよ。はい」
「うむ。どうだ」
「「ぶは」」
「ちょ、ザフィス、真面目にカッコイイ」
「うん! 俺と違う。なんで!?」
「か、カッコイイ……うわぁ。同じ服なのに、美人とイケメンが」
「まさにそれ」
「なんだそれ? あれ、お前ら、俺をイケメンと呼んでいなかったか?」
「「……」」
「口調マジックもあるだろう。ゼクスは、オシャレをそれで行くのか?」
「ああ。扇子が武器だ。よし、ボス直で良いか?」
「「ああ」」
「ええ」
こうして俺達は向かった。ついた現地で、お祖父様がカメラを構えて、ラフ牧師が紹介して(数珠を作っているらしい、後の最高学府教授である、とか)から、奪ってお祖父様と俺を並べて写して(なんでこれ、雰囲気違うのか話し合ってる)とか言ってから、ザフィスお祖父様にカメラを戻した。
「よし、高砂頑張ろう。全部自由で行こう。とりあえず、やってみよう!」
「自由……? あ、うん」
「行きます」
俺が進むと高砂も進んだ。一歩遅かったが、足が長いので並んだ。そしてモーションに入った。終わった瞬間俺は消えた。後ろから左首。高砂も左だが、正面から下顎にズドンと錫杖高威力中範囲。俺のは、高威力超短範囲。両方僧侶だ。『クリア』と出た。俺が降りた直後だ。高砂まで唖然としていた。
「どうだった?」
「う、う、うん? え? 何今の、二十一秒って、一分以上更新してるんだけどな」
「言っただろうが! 鴉羽色相326だと! 完璧僧侶二名なら、当たり前だろ」
「え、俺とゼクスでも行ける?」
「ああ。やってみよう。326にした僧侶力を見せよ!」
「ぶはっ、おう」
こうして、呆然としている高砂とチェンジして、俺達は進んだ。モーションが終わった。打ち合わせとか無いが、今度はラフ牧師が正面から高威力超短範囲プラス中範囲。そして俺が、上に飛び、高威力短範囲でラフ牧師の中と俺の短いをクロスさせた。俺のは右首、ラフ牧師は左下首。ねじ切って、ドーンと落ちた時、俺達着地して、『クリア』である。三十秒ジャストだ。
「え!?!?!?!? 俺、俺、ゼスト&ゼクスに勝った!!! やばい、ブログに書かないと。動画くれ」
「うむ。レクスとのサイトには、私が更新しておいた、既に。実況だ。ここに来た最初からだ。という事で終わる――終わった」
「あ、そうなのか。有難う。高砂もお疲れ様です」
「……お疲れ様です。え、ちょっとどうしていいか分からなくて、信じられない。俺ともラフ牧師とも打ち合わせ無しなのに、あの動きは? ラフ牧師とは慣れとして」
「ああ、いや、こいつな、空気読むの上手いんだ。そして相手が動かないとこいつのソロと化すからな。俺、一回も相談した事ないけど、ゼクスとだけは、一回もぶつかった事ねぇよ。高砂も、俺と同じで、自分の方向がある方だから、ゼクスと組むと楽すぎて他と組めなくなるから気をつけろよ。俺の場合は、さらに自分の方向にしか突き進まない英刻院がいたから治ったが、危なかったな。しかし、猫アバターも俺好きだけど、こっちのほうがカッコイイ」
「……気をつけます。楽の部分」
「じゃ、俺はログアウトする。動画とサイトはそこにもリンクするわ、数珠と学習システムについても書く。じゃあな! サンプルも感謝だ!」
「いやいや、またな!」
「ああ。高砂も頑張れよ。ザフィスもじゃあな。たまにはリアルで茶でも飲みに来い」
「うむ。その内また。ウイスキー持って行ってやる」
「有難う!」
こうしてラフ牧師は帰っていった。俺の方は、ゼストとルシフェリアから大絶賛だ。高砂に見せたら、滝汗された。橘が、「高砂の店が人ごみやばい」と教えてくれた。高砂がさらに滝汗になった。
「行くか?」
「え、う、うん」
「じゃあ行こう」
「え?」
「ん?」
「――一緒に?」
「うん。ダメ?」
「いや有難いけど、良いの?」
「ん? 何が?」
「何でもないよ。行こう――失礼します」
「お祖父様、また!」
「ああ。今後共よろしく頼む」
俺達は、そのまま高砂の店前にワープした。確かに壮絶な人だかりだった。しかも、玄人だらけ。みんな欲しいのがあると気づいていなかったり、見学だから後でコースだったようだ。俺達の姿に、即座にほぼ全員が振り返った。
「高砂お前すごっ!」
「つぅか、ゼクスと知り合い!?」
「え、なにこれ、本物!? 今帰り!? うわっ!」
「高砂を見直した」
「高砂すごい……」
「俺は鴉羽色相の326とか都市伝説だと思っていた、いました!」
「うわあああ、鴉羽卿の実況で、鴉羽色相二名が最速」
「熱すぎる……すごい、すごいです」
と、ざわっと高砂のフレらしき人は声をかけ、高砂ファンらしき――美女の群が、キラキラした瞳だ。みんななんか、大人の女性だ。美しい……羨ましい……。さらに、武器店から顔を出した高レベルプレイヤーは、それぞれの専門の新進気鋭系。つうか琉衣洲がいた。俺は声をかけた。
「琉衣洲」
「あ、どうも……!」
「こちらは高砂だ。高砂、こちらは琉衣洲だ」
「よろしくお願いします」
「よ、よろ、よろしくお願いします!」
琉衣洲が赤面した。可愛い。それで俺に、こそっと、『濃黒の数珠を二つ予約させて欲しい』と言うから、高砂にチャットで二個くれと話した。多分レクスじゃないから、鴉羽の箱にいれて、リボンをつけて二個あげたらキラキラしたお目目で、俺達に頭をさげてお礼を言い帰っていった。和んだ。一瞥したら、高砂も和んでいた。高砂のフレも和んでいた。吹いた。そして、誰かが言った。
「いやぁ……美少年だ」
「うん」
「な! いや、高砂もイケメンだよ? 高砂先生になったら学生殺到だろ」
「それは間違いない。だが、横にレベルおかしいイケメンもいる」
「それな。あの、ゼクスさん、美の秘訣とかあるの?」
「いや、無いですけど、なんだそれ。高砂はあるのか?」
「あるわけないでしょ」
俺達は談笑した。高砂が、フレとだと空気が緩んでいる。こちらの方が良い。
「ゼクスさんって彼女は?」
「結婚?」
「いっぱいいるとか?」
「案外バツとか?」
「いや俺、真面目にモテなさすぎて、泣きたいレベルです。周囲を見てくれ。高砂は女の人が立ち止まる。俺のフレも、イリスとか女の人に囲まれる。ルシフェリアは、この高砂の空気に似ているが、もうちょっとガチより。それで俺、男の人しか周りにいない」
「「「「「「ぶはっ!」」」」」
「これどう思う? 俺、ずっと考えてたんだ。猫アバターでも同じだ。俺も、高砂のように、キラキラした瞳の女の人いっぱいに囲まれたい」
「「「「「ぶはぁっ!!!」」」」」
「いやそれ、正直な気持ちだよな」
「うん、俺も高砂が羨ましいからそういう意味ではよくわかる」
「けど俺らとゼクスの違いとして、お前はレベル高すぎて近寄れない。こう、尊敬とか憧れの男しか」
「全くだ」
「いや、そう言ってもらったら、さ? 死ぬほど嬉しいよ? 恐縮だ。け、ど、さ? どう思う? お前らが俺だとして」
「「「「「う、うーん」」」」」
「ほらな? どうしたら良いんだろうなぁ。高砂先生アドバイスくれ」
「「「「ぶは」」」」」
「そこで先生とか」
「高砂センセ、俺にも俺にも」
「冗談がきつい。ゼクスの場合、画面越しじゃないと囲めないレベルのオーラなんでしょ」
「「「「「「ぶはっ」」」」」
「それさ、PCゲームの二次元の壁の逆じゃね?」
「「「「「ぶはっ」」」」」
「何それ、俺2次元? ダメだ、ツボに入った」
「ゼクスがそういう風に笑うの良いよな」
「猫の時にツボってずっと笑ってるの見たことがある」
「笑い上戸だよな」
「うん、そうだけど、そんな情報いらないだろ。より遠巻きだ」
「「「「「ぶはっ!」」」」」
「あ、高砂と一緒に居れば、高砂のファンに囲まれるんじゃん?」
「ああ、それは良いな。俺それルシフェリアでたまにやって、気分だけ味わってた」
「「「「「「ぶはぁっ」」」」」
「経験者かよ」
「猫の時は、うん、なんかこう、ふわっとしていたけどな、今はこう、ほわっとしてるのに面白いな」
「あ、なんかわかる。けど俺等的には、猫ゼクスが、伝説の伝説だよな」
「まぁな。ゼストがゼクス知らないともぐりって言ってたのは、俺等レベルの話だろうな」
「うん。俺もそう思う。今の280以上で、アイゼンバルド公開後のアイリス開始組あたりで、ユレイズ攻略組のレクスくんとかはまたちょっと違うけどな、ユレイズ意外で、レクスくんレベルで知らなかったら、キャラレベのみを疑うな」
「まぁな。えっ、ていうか、ゼクスがアイゼンバルド手伝いまくってた伝説期に高砂が現地にいて攻略組にもゼクスいたってのは分かるけど、いつからフレ? あれ、フレ?」
「今日だよ。武器当たったから、二階にいるって噂を聞いて、行って、目があったら会釈されたから、怒られたら間違いましたというつもりでパーティ申請されたらOKで、そこからラフ牧師とかクラウの話をして、フレ。俺とゼクスは、同じ事を彼らに言って、なぜかゼクスが言った場合は爆笑された話。かつラフ牧師が、今日会ったら、鴉羽色相完になってた」
「「「「ぶは」」」」」
「そうそう。俺も驚いた。僧侶風鴉羽卿が、僧侶になった、っていったら、ボコられた」
「「「「「「ぶは」」」」」
「けどさ、超早かっただろ?」
「「「「「うん」」」」」
「僧侶強いんだよ。けどなんか、一部の強い僧侶以外弱いイメージついてるよな。俺はあれが不可思議だ。確かに僧侶風は多いが、それは内容の話であって、スキルは強い。それで暗殺者は強いみたいなさ。俺、暗殺者だけど、一番暗殺者弱い気がする。暗殺者が好きだけどな」
「「「「「ぶは」」」」」
「いや、さ、そりゃあ、ゼスト&ルシフェリア&義兄弟二名とお前っていう最初の最強の暗殺者集団のイメージが、だな。今も前二名は、暗殺者も売りだろ。それこそ憧れ。インフィニティとかクソかっこよかった」
「あれ、カッコ良い」
「思った。なにあれ」
「けどあれの僧侶服やばいよな。この似てる黒曜宮服もあれはあれで良いし、あれはこうモデルって感じだけど、あの僧侶服、なにあれ?」
「底力を見た感があったんだ、あの写真で、モデルの――けど、動画のあの男の色気とのギャップ」
「わかるわかる。あれさ、合わせてみてさ、動画見てからもう一回雑誌の和服見ると感覚がまた変わるのな」
「そうそうそう」
「なんかぐさっとくるよな」
「あるあるある。つぅか双子でも信じるレベルのギャップ」
「それ!」
「それだ!」
「ギャップだ!」
「なんかこう、絶対近づいたら、ぶち殺されそうなクールイケメンが動画で、それがさ、実はこうゾクっとする色気で華奢で、俺がぶち殺せちゃいそうな、そういうのだ」
「「「「「ぶは」」」」」
「なんで俺とPKする前提なんだよ」
「「「「「ぶは」」」」」
「なんかそういえば、俺の色気は、花ちゃんっていうラフ牧師の幼馴染の色気を受け継いでいるとか言われて、それは俺のおばあちゃんだった」
「「「「「ぶはあああっ」」」」」
「ラフ牧師が、人生で男に色気を感じた瞬間は二回。インフィニティの俺の和服。同じ角度でザフィスお祖父様が和服きた時にうつむいた時が最初とか聞いて、俺爆笑したんだけど、え、お前ら、わかるの? あるの? 俺、色気。花ちゃん? 花ちゃんの中身はクライス父上らしいけどな」
「「「「「ぶは」」」」」
「レクスに聞いてみよう。花ちゃんとレクス仲良しでな、一緒に音ゲーやってゲーセンで長らくトップだった。レクス三歳だ」
「「「「「ぶはああああああああ」」」」」
「花ちゃんもゲーマー!!!」
「ダメだツボった」
「三歳っ」
「女装の和服クライス様が音ゲーを幼児レクスくんとしてる光景が見えた」
「「「「「ぶはああああ」」」」」
「やばい何それ。超見たいな――あ、なぁ、あのな。俺今さ、武器の予約と値段迷ってるんだけど、普通いくらだと思う?」
「いやそれゼクスさんがプロだろ」
「予約迷ってるっていうのは?」
「そもそも予約を受け付けるか、受け付ける場合、何個とか一個ずつとか納品までどのくらいとか。どれだけかけるのかとかな。予約制とさ、店ブラどっち好き?」
「店ブラで、なんかこう、コレ! っていうのは、店主が奥から」
「「「「「ぶはあっ」」」」」
「なにそれ楽しいな。けど俺、武器屋にずっといるの? フィールド行くからそれは不可能だ」
「だからほら、巡り会えるのも運、店主とも武器とも。本日の高砂と錫杖とゼクスみたいな」
「あ、ああ! それわかる! それ、良い! ゼクスと運で会いたい、俺」
「「「「「ぶは」」」」」
「運レベルとか」
「「「「「ぶは」」」」」
「ここは青き弥勒に祈る系?」
「「「「「ぶはあっ」」」」」
「え、ちなみに店主が奥から持ってきて、手持ちより高額だったらどうするんだ?」
「「「「「ぶはっ!!!」」」」」
「か、買えない、とか、か」
「笑った」
「ありえる」
「え、だからさ、いくらだと思う? 普通に『ちょ、ちょっと高いけど店主が出してくれたし』みたいなレベルの額」
「んー、課金露店だろ?」
「うん」
「高砂の、あれらの15億円均一は、俺等は納得できる。レベル差じゃなく、必要性わけで同価格」
「うん、俺もそれすごく良いと思った。高砂すごいよな。続けてくれ」
「ええと、それで、ただし鴉羽武器は、お前しか作れないの多数ある。はず。PSY色相と他の個別で、建築いるような武器とか。生産カンストだけに限らず、習得レシピとか制作数とか。俺は生産専門ではないけど、それでも聞いたことがある」
「うん、合ってる。続けてください」
「うむ。で、ほら例えば今日だったら、青薔薇のギルマスの光攻撃杖とか、欲しいけど巡り会えないとか、な。もう片方の回復杖は、巡り会えない事はないけど、製作者のゼスペリアの青の含有量で、能力変わるとかな。もはや別物」
「うんうん」
「それらは均一よりは、需要があったら提供が良いだろうと思う。そして現在、その欲しいのにお前に伝える窓口が無かったから、今ここで、課金露店でむしろテンション上がったガチ勢かなり多い」
「ほう」
「そこ行くと、ルシフェリアのオーダーメイドは、超良い。だが、鴉羽武器は、必ずしも高レベル帯が欲しいわけでもなくて、意外と色々な層に人気だ。レベルカンストごとにそこ横並びであるから、古い武器がお下がりとか転売とかで、中級の憧れのもある」
「ふむふむ」
「よって、ある程度は、均一商品も欲しい。それが店ブラ。奥がオーダーだけど、ただそこの配分もむずい。で、均一は、あくまで買い手目線で、売上とかじゃなく欲望と願望で言うと、初心者1億円まで、中級100〜150が、3億円、上級200〜240で5億円、240〜260で7億、260〜280で10億。280〜300は15億――が、上限で、できれば、三千万・一億、二億、三億、四億、五億が最低ライン。半額で悩む。これが願望だ。で、280〜300、300〜320、320〜345、346〜350で、最初二つは、オーダーの型リスト、320〜345は適正個別オーダー。それ以降は完全オーダーっていうか、逆に俺からするとゼクスチョイスが良い。むしろ、ゼクスが武器選んでくれます、だったら、モデルとかだからじゃなく、ユーザーは行列だろうな」
「すごく参考になった。適正個別オーダーと、俺の武器選びちょっと詳しく頼む」
「高砂はさ、自力で326にたどり着けたけど、普通できない。その辺のが出るのが320からだから、見て、スキル指示とか調整アドバイスが欲しい。それにあった武器。完全チョイスは、個人にあった武器。憧れとか知ってる装備じゃなく、ゼクスしかわからないのも大量にある。大体お前チョイスの組み合わせを伝説級の有名お前フレは使ってるからな。ルシフェリアでさえも。型リストは前フリで、光攻撃杖みたいなのだ」
「なるほどな。なあ、それさ、武器ONLYか? 装備も? 個別オーダー、俺思うに武器のみは厳しい気がする」
「そこはな、鴉羽じゃなくても安いのを各個人が探すのも醍醐味」
「ほー!」
「そっちは、五円均一とかのイメージで、ここの各地全部見るくらい頑張れる」
「あ、うん。五円な。あれはどうだ?」
「好き」
「俺も好き」
「俺も地味に好き」
「有難う。なるほどな、じゃあ武器だけで良いのか。あともう一個。デフォルトに銘と、デザインに銘、どっちが良い?」
「オーダー280からは、デザイン有り。一律均一は、デフォルトに、銘プラス刀なら持つところの紐の色が違う程度で、どの武器かわかる形で、デザイン入れるなら、よく見るとなんか彫ってあるとか細部違うとか。じゃないと初心者わからないからな。鴉羽は知っていても」
「ほー! すごい勉強になる。その場合は、予約じゃなく、来た人に、フラッと運で巡りあったら――『じ、じつは』として、オーダー? え、実は、とか言って『あなたにはこの個別が』とか『この型が』って言ったらさ、押し売りっぽくないか? さらに偉そうじゃないか?」
「いやむしろ、そこは動画キャラで押して偉そうでもいいかもよ? あーけど、猫ゼクスのまったりのほほん武器講座、俺好き」
「俺も猫好き」
「俺も俺も。けど武器は、こっちのリア共有でもってきてほしい」
「わかる。複雑だ。なんかな、まったりのほほんが好きなんだけど、もっと偉そうでも良いと常々思う。お前、なんかこう、レベルとか、ないよな。全部こう、『みんな!』みたいな」
「「「「「ぶは」」」」」
「ああ、うん、わかる。ゼクス、差別あんまり無いから。まぁ押し売りに関しては、行く奴ら見んなそれ狙いと思っていいから、大丈夫だ。逆に声かけて挨拶だけショボーンとかあるレベル」
「それは確実だな。ただ、確かにゼクスが言いたいこともわかる。それにそのレベルは、自分理論できかけとかもいるからな。どちらかといえば、相談室をそのレベルでやって、武器は欲しければ、で良いかもな」
「ああ、相談室いいよな。高すぎるレベルの人々に中々聞けないけど、同レベル減るし、職あげで全然変わるしな」
「うんうん。相談室やってほしい。しかもこう、気軽に聞きたい。そしてじっくり時は個室も行きたい。個室っていうか、仕切りあるブースレベルで良いんだけどな」
「あー、それわかる! 俺も。聞きたいのに中々聞ける人いないしな。それに、鴉羽商會と連絡とってみたいっていう奴らもこられる。ただし、レベル制限は、ある。たまに、初心者相談室とかは良いが、それは、ハーヴェストでも良いかもな」
「ふむふむ。なるほど。思うんだけど、それやるとしたら、俺単独大変だから詳しい人が欲しいけど、お前らバイト募ったら来てくれるか?」
「いや、俺等聞く方のレベルだろ。初心者なら良いけどな」
「俺も中級までだな」
「頑張って150だ」
「俺、いけても200」
「え、お前らそれさ、自分らでそこら辺、回すのやったらどうだ? 露店で。絶対はやるだろ。あ、けど、一応それはギルドのはずなんだよな」
「ギルドなぁ」
「うん」
「ギルドもな、俺達レベルは、下とも上とも溝だ」
「ゼクスってそういえばギルドは?」
「今もソロ?」
「ソロなの!?」
「ソロだよ」
「「「「「え!?」」」」」
「あ、知らない奴これはいるよな」
「ゼクスな、なんかいたる所に入ってそうだけど実はどこにもなんだよな。あの人どこのギルドってよく言われてた」
「そこは知ってても、今もソロとか思わないだろ」
「まぁな」
「作ったりしないのか?」
「特に考えた事ないな」
「どこかに入るとかは?」
「んー、特にそういうの考えてなかった。考えてみようかな」
「それなら作るの考えてよ。ゼクスさんがギルマスで相談乗ってくれるギルドとか絶対神」
「うわあそれ入りたい」
「相談なしでもソロボス見学だけで良い」
「「「「「わかる!」」」」
「生で見たい」
「高砂のもそれは見たい」
「二人のパーティ見たい」
「動画も定期的に欲しいけどな、生が見たい」
「高砂って今ギルドは?」
「あ、俺も知らない」
「あれ、どこ?」
「言え」
「――入ってないよ」
「「「「「え!」」」」
「じゃあゼクスとやれば?」
「ゼクス、高砂にサブマスやらせれば?」
「いいじゃん」
「うん」
「そのギルド、しまってそう。ゼクスのほほんでも高砂がいたら、しまる」
「「「「わかる」」」」
「あと一人いるだろ、誰?」
「理想は、んー」
「あ、思い出した。ほら、高砂なみに有名なゼスペリアの医師が『ゼスペリアの青は回復にはやはり必要は必ずしもいらないと再確認したが、他の部分で大きく必要だったから不要というのは間違いだった』っていう持論撤回、あれさ、青薔薇のギルマスの攻撃杖じゃないよな? なにあれ?」
「Tさん、時東ってさっき言ってた。アイテムの方が、ゼスペリアの青使えるんだって」
「「「「「え!?!?!?!?」」」」
「作れるのはゼスペリアの青持ってる生産カンスト者。他にも色々ゼスペリアの青関連生産があるから、という意味かもね。ただ、話によると、時東はVR専門家で、ゼクス先生の論文の愛読者だそうだから、他の部分かもしれない」
「へぇー! いや、そっか、Tさん時東説は出てたけど、高砂が言うならまじか」
「それあれだろ、なんかロードクロサイトの館とやらで、時東がテンパってどっかいったとかいう地味な大ニュース。何があったんだ、高砂」
「さぁ。俺達が行って、俺が声をかけたら、もう直後にはいなかったからね」
「ふぅん。けどけどけど、もう一人なら時東良いよな」
「思った。アイゼンバルド開始の最強の二名。高砂僧侶、時東聖職者。限定組にも迫ったというか抜き去ったし。あと、ゼクスと一緒にいて、さらに高砂といて、耐えられる顔面レベルも必要だからな、キャラの他に。むしろゼクスならキャラレベルはいらない」
「「「「「ぶはああ」」」」
「時東はイケメンだよな。わかる。けどそのメンバー新しいよな。俺等、高砂&ゼクスで度肝抜かれただろ」
「「「「まぁな」」」」
「だって、ゼクスは、みんなと仲良い方だけど、クラフとラフ牧師、超古くから長くから仲いいのに、高砂どっちとも揉めたのに、って、な。ラフ牧師駆けつけてその後動画とかさらに予想外だよな。ただ俺達も歩いてた段階でざわざわ。ゼクス、クラウとかからなんか連絡なかったのか?」
「ん? クラウからは、動画見た数珠売ってくれしか来てない」
「「「「「ぶは」」」」」
「あとさ、それで言うなら、時東はイリスとミナスとライバルだろ? イリスとかゼクスと同じマンションのリアフレでモデル&デザイン仲間だろ? そこはどうなんだ?」
「どうって?」
「時東とギルドやったら、イリスきれないのか?」
「イリス、天使風モデルだけど、俺等が知るイリスは鬼神だからな」
「「「「「ぶは」」」」」
「イリスはキレないよ。キレてるっぽい顔立ちなだけだ」
「「「「「ぶは」」」」」」
「笑顔でブチギレてるゼストの方がキレやすいよ。あいつが温厚とか誰のデマ的な」
「「「「「ぶは」」」」」
「けど、キレてもゼストは、すぐ忘れる。長引く時もあるけどな。うーん、ギルドか。高砂はギルド、どうする予定だったんだ?」
「――正直、しばらくはお店やりつつソロかなと」
「ふぅん。俺もそう言う感じだったな。時東さんは、ソロなのか?」
「うん。あいつはソロだね」
「むしろ、ゼクスがソロってあんまり知られてないけど、『ソロといえば時東』みたいなのはある」
「「「「「ある!」」」」」
「それ、なんで、サブマスやってくれそうな風にお前ら言ったの? 無理だろ」
「だってゼクスのファンなんだろ?」
「あいつは、尊敬できるギルマスいないから入らない派だからな」
「尊敬されてるなら無問題だ」
「いやそれ未確認デマだからな」
「「「「「ぶは」」」」」
「あー、俺も『ソロといえばゼクス』『イケメン』『抱いて!』ってなんないかな」
「「「「「ぶは」」」」
「俺がさ、ソロしててもさ、ほら、お前ら『幻』とかこう『座敷わらし』みたいな架空っぽく言うからぼっちにしかならない。何この違い。なぜ彼は目立ち、俺目だたないの?」
「「「「「ぶは」」」」」
「幻はあってた。しかしながら、幻想動物、妖怪!」
「「「「ぶは」」」」」
「いないよな」
「ああ」
「ぼっちとか」
「今回目立っただろ」
「「「「ぶは」」」」
「そういうんじゃなくてさ、自然とこう、すれ違ったら『今の猫、イケメン!』みたいな」
「「「「「ぶはああ」」」」
「ねぇよ!」
「吹いた」
「ありえねぇだろ」
「リア共有で良いだろうに」
「ぶはっ」
「なに、ゼクスはモテたいのか?」
「当たり前だろ。見ろよこのシティ的な所を。恋人達が、今や、デートに使いだした」
「中身おっさんだろ」
「「「「「ぶはあ」」」」」
「わかんないだろ。俺、交流ってあんまりやった事ないけど、これからはコミュ達人のゼクスを目指そうかな。コミュ障ではなく。達人レベル5くらいまで」
「カンストいくつだ?」
「350」
「「「「「「ぶはあ」」」」」
「志低いだろ」
「「「「「ぶはっ」」」」」
「リアルに恋人いないの?」
「いない」
「週刊誌に『いないそうだ』って連絡しても俺セーフなレベルでいないの?」
「いないし余裕でセーフだけど、連絡すると何か良いことでもあるのか?」
「さぁ。なんとなく言っただけだ。作らないんじゃなくて?」
「ひきこもってるから、出会いゼロだ。スタジオ最近VRだし」
「「「「「ぶは」」」」」
「え、セレブだろ? パーティとかないのか?」
「いっぱいあるらしいけど、俺、ほら、『VRデザインの都合で……』と――父上がみんなに言ってくれてるから、俺まで届かない」
「「「「「ぶは」」」」」
「だって、アースタロット・オンラインできないだろ、パーティ行ったら」
「いや、たまにさ。っていうか何、毎日あるのか?」
「一日五件くらいあるって聞いた」
「「「「「ええええええええええええ」」」」
「秘書さんを七人雇って、一人ずつだって。二人おやすみでローテーション」
「「「「「ぶはっ」」」」」
「かつな、たまに行くんだ。すると、俺の周囲は全員男性実業家となるんだ。ルージュノワールの女性ジュエリーコーナーですら、そうなる。なんで?」
「「「「「ぶはあああ」」」」」
「え、動画キャラでいったの?」
「このキャラ?」
「ん? キャラっていうか、今のこの、このまんま。動画はモデル意識キラリンみたいな。昨日はデススターロックをかっこよく紹介しよう! みたいなモデル感」
「う、うーん。いやほら、動画見てて、会ったら話しやすかったら囲むよな」
「「「「「「うん」」」」」
「俺不可思議なんだけど、話しやすいとか面白いって言われて、それってコミュ達人だと思うのに、なんで俺、コミュ障なの? なんかね『もっとコミュニケーションをとれ!』『外へ出ろ!(VRでも家から)』『連絡をマメにしろ!』『会話に参加しろ!(チャット)』って言われるんだ。なんでだろう?」
「そりゃお前、狩ってる時とか、生産時、何も目に入らず全て無視して全力投球で集中して終わるまでやるからだろ」
「「「「「それだ」」」」
「ぶはっ、え、じゃあ、俺矯正できないだろ」
「「「「「ぶは」」」」」
「高砂規則正しいから止めてもらえば?」
「あ、いいかもな。ゼクス、そうしてもらえば?」
「そうなのか? 高砂は、ライフスタイル(ゲーム)どんな感じ?」
「「「「「ぶは」」」」」
「ライフスタイル」
「吹いた」
「別に普通に、朝起きて、インして、仕事してインしてお昼食べて、インして仕事してインして寝てます」
「ええとな、朝五時に起きて仕事、六時手前インで、七時半からご飯で、八時に戻ってきてイン、そこから十一時までやって、ログアウト。一時半から二時くらいにインして、そこから四時半までやってログアウト。その後七時半過ぎに戻ってきて、十時半くらいにアウト。の、ローテーションで、これは毎日同じ。月に何度か、いない日がある」
「ねぇ、なんで俺のイン時間にそんなに詳しいの?」
「俺も知ってる」
「俺も」
「高砂ファンクラブに書いてある」
「待って、何それ」
「「「「「秘密」」」」
「……へぇ」
「ゼクスファンクラブある?」
「公式があるだろ」
「「「「「ぶは」」」」」
「えー、違う! 高砂みたいなの。スケジュールとか」
「あるわけねぇだろ」
「あったら、誰も連絡とれないとか言ってないだろ」
「ぶは」
「いつもいるんだけどいないからな」
「幻」
「「「「「ぶは」」」」
「うーん」
「あれ、けど、今ほら、梟とかも家にいるんだろ?」
「いるいる」
「起こしてもらえば?」
「いや俺起きてるんだけど、どういう事?」
「「「「「ぶは」」」」」
「ごめん、朝いないのかと思った」
「あはは。いるから。俺、超規則正しく、朝十時からご飯で、十一時から仕事開始で、二時に終えて、コーヒー飲んでから、インして、四時にアウトして、デザインとかの趣味部分やって、七時にご飯を食べて八時にインして、三時くらいには寝るように気をつけてるよ。繁忙期とか突発的な仕事以外は」
「あっ、規則正しかった。むしろ俺より」
「うん、ごめん。ちなみに仕事ってなに?」
「ん? 生産」
「「「「「「「「「「ぶはあああああああああああああ」」」」」」
「趣味のデザインって何?」
「おしゃれ装備の組み合わせとか、武器と装備のおしゃれコーディネートとか。デフォ時」
「「「「「「ぶは」」」」」」」
「え、それさ、食事二回の他、ゲームだろ?」
「そうだ。俺のライフワークだ」
「「「「「「ぶは」」」」」
「いやなんか、ビジネス欄を埋め尽くした、世界No1の若手実業家イメージゼロなんだけど、どこに忘れてきちゃったんだ?」
「それさ、俺爆睡してて見てないんだ。どんなのだったんだ?」
「いやなんかもうパーフェクトなキングみたいな」
「意味わからない」
「ゼクスの一言での株の変動とかだな、これまでの優秀さとかな。実力も自信も地位も名声も何もかもある上、御曹司的なので、大天才で、イケメン。要約するとこれ。これを難しい経済用語とか、難解な横文字で表現して、ビジネスにしてたけど、中身はネットとかわらんかった。ゲームキャラスキルか会社レベルかくらいの違い」
「「「「「ぶは」」」」」
「ふぅん。まぁさ、VRやってる奴が少なくてさ、その中に、曽祖父の代から会社の人って、VRの歴史がまず二世代目くらいだからあんまりないし、VRやってない人とやってる人だったら、やってない人的に『天才?』ってなるし、服装力とかでイケメンにはなれるから、それ全部業界が良かったと俺は思う。俺、宇宙も好きだけど、望遠鏡の鏡のデザインするっていったら、フルボッコにされて、お前のレンズは売れないから大至急手に職をつけろと言われて、泣きながらモデルをやった。そのレンズは、VR内部で再現して製品になったけどな」
「手に職がさ、モデルの時点で生まれ持ったものが違うだろ」
「――まぁな。VR解剖実験の標本モデルだからな。特殊だな」
「「「「「ぶはあああ」」」」」
「それは泣く」
「泣くの意味が違った」
「吹いた」
「俺は恵まれているようだ」
「「「「「ぶは」」」」」
「ゼクスって、初体験いつだ?」
「何の?」
「エロ」
「「「「「ぶは」」」」
「何突然。エロ? それはあれか、R18制限コードにひっかるようなのか?」
「そうそう。VRで」
「俺、VRで、一回もない」
「「「「「マジで!?」」」」」
「うん。リアルも二回しかない」
「「「「「ええええええええ!?」」」」」
「なんか、『押し倒される』やる『またね★』みたいな。お姉さんと二回だけ。遊ばれてポイされた。切ない。俺の純情を返せ、と、思った」
「「「「「ぶは」」」」」
「え、何それ」
「何歳頃、どこで?」
「ん? 一回目は、フランスで、俺が旅行で、あちらも観光に来てた日本人の某芸能――いや、なんでもない。二回目は、アメリカに俺が旅行に行って、ハリウッドスター! これまじ! 俺びっくりして、サイン未だに貰えなかったのが後悔だ」
「「「「おおー!」」」」」
「ちなみに、言うとあちらが捕まる、俺は十代前半と、後ろは十六歳だった。俺そこから賢者」
「「「「「ぶはああ」」」」」
「俺、すごくない?」
「すごい」
「俺がゼクスなら日替わり」
「俺なら好きな相手一人でいいけど、ゼクスの顔なら口説いてる」
「ゼクスはもったいないな」
「ああ、色々な。それ今のカットが良いだろ。みんな聞いちゃったけどな。言わないで良いだろ。普通に開始したからな。聞いたのお前だろ、何聞いてんだよ」
「えっ、だ、だって、うーん、予想外だった」
「ちなみにネタか?」
「あ、そうなのか?」
「ネタということにしておいたらどうだ?」
「「「「「「ぶは」」」」」
「え、あ、う、うん。ネタです! ネタ! そ、そう! ネタだから!」
「「「「「ぶはあああ」」」」」
「わかんねぇ。どっちだろう」
「吹いた」
「うん。ゼクスうまいよなぁ。ハリウッドスターとか、ぶはっ」
「あはは」
「けど、ゲーム内部でも告白は猫でも多数されただろ? リアならもっとじゃないのか? 断るにしろ。何回くらいだ? 数え切れない場合、月平均」
「さぁ。わからないな。ほら、学会期間に、ドーンって増えたり、ゲームも新しい街にいったら、ドーンとかあるけど、無い月が年に十二である場合もあるからな。平均するなら、年に1回あるかないかだろうな。でもこの前、レクスとのインタビューで『月に3回くらいかな』とか言っちゃった」
「「「「「「ぶはあああああ」」」」」
「ひっそりと終了後に、雑誌社にメールして『事務所で禁止につき削除願います』と送った。マネージャー事務所の人のふりしたけど、事務所、デザイン事務所で社員俺のみ」
「「「「「ぶはあああああああ」」」」」
「こんな事してるから、『きゃー、高砂様』みたいじゃなくて『わー、ゼクス様(廃神★)』なのかな」
「「「「「ぶはあああああ」」」」」
「俺ね、喋らない方が良いっぽい事言われるんだ。いいというのは、イケメンって。どう思う?」
「「「「「その通り!」」」」」
「ぶはっ、えー! けど、喋らないと彼女できなくないか?」
「見合いとかないの?」
「無い」
「高砂さんは彼女いるのか?」
「いないよ」
「いつから? 君はいただろう、絶対」
「去年の終わりかな」
「「「「「おおおお!」」」」」」
「何人目?」
「期待」
「2人目だよ。両方3年」
「「「「「おおおおおお!」」」」」
「リア充」
「そう、こういうのが、イケメン。俺想定の」
「わかる。なんでゼクス違ったし」
「全くだ」
「いや本当それ俺自分にも聞きたい」
「「「「「ぶは」」」」」
「高砂はどうやって出会ったんだ? きっかけは? 俺に教えてくれ」
「――普通に仕事だよ」
「いいなぁ」
「羨ましい」
「仕事何? デザインだったのか? これ、プロだろ?」
「な。俺も気になってたけど、びびった」
「これは趣味からの副業だよ」
「「「「「え!?」」」」」
「リアル僧侶で、今はお茶をやってます」
「「「「「「ぶはああああああ!」」」」」
「あ、え? 僧侶だったのか? お茶しか聞かなかったから、びっくりした」
「うん」
「――あ! 検索したら出てきた。リアと同じ顔だ。やはりイケメンだった……」
「「「「「あー!!!!」」」」」
「す、すごい! 高砂もセレブだ」
「俺これ知ってる。VRって、そっか、これか」
「え、やばい、ここ俺の家のお墓」
「「「「「ぶは」」」」」
「VRセレモニーホール経営者!!!! カッコイイ!!! しかも超有名なガチの歴史ある寺の、平安から続く寺の長男。そして今、超有名な茶道の家元とか、あー!! 鴉羽卿が前の代の家元だ! その前、の、人の姉、これ、花ちゃん!?!?!?!?」
「そうらしい。世間は狭かった。さっきお互いの着物屋の帯模様で、『もしや?』ってなって話したら、近場の茶道と華道だった。俺の所は、両方レクスが継ぐ」
「「「「ぶはああああああ」」」」」
「帯」
「すごい」
「へぇ」
「リアル僧侶で職も僧侶、ぶはっ。あ、けど、話によると、時東ってリアルも医者で、ゲームでも回復してるとかって聞いた」
「「「「「ぶはあああ」」」」」
「ゼクスも、リアルでも中でもデザインになったし、似たような三人で良いな」
「「「「「ぶはあああ」」」」」
「リアルでも全て、ゲームでも全てを持っている(ただし女性ファンと恋人以外)」
「「「「「ぶはああああ」」」」」
「けど、花ちゃん死ぬほど美人だな。音ゲーやるように見えない」
「うん、思った。色気がさ、この年齢の写真でもすげぇよな。完全にインフィニティの着物ゼクスはこれだわ」
「うん」
「お前らそれラフ牧師と同じ見解だな」
「「「「「うん」」」」」
「いやもういっそさ、着物だけ抜いて、今のゼクスだったら、俺、男相手のネコいけるとおもうよ」
「えー?」
「逆に性別こだわるの珍しいよな、VRで。お前のところは、性別の別服で置いてあるから逆に人気だけど、VRは同性愛が半分だろ? 今、リアルも三分の一くらいは同性愛だろ? かつイケメンって両方いけるイメージだった。むしろ、ゼクスは、可愛い系の男を食ってるのかというイメージだった」
「ぶは、食ってるとか」
「男はいけないのか?」
「さぁ、どうだろうなぁ。女の人と二回だろ、男の人はゼロ回だろ? 次、どう思う? 俺、そもそも三回目があるのかが死ぬほど気になるんだけどな。合計な」
「「「「「ぶはあああ」」」」」
「服はな、スカートの展示が無かったから、俺が作ったんだ。それで、一緒に置くと、もう作っちゃってたから、分けたんだ。可愛いだろ?」
「「「「うん」」」」」
「VRの同性愛は、なぁ、俺、猫アバターだから、性別が無いんだ……どうすればいいんだろうな? 動物愛?」
「「「「「ぶはああああああああ」」」」」
「まぁいいや。さて、帰ろうかな。お前らありがとう。話してたネタ使ったら楽しんでくれ。またな」
「「「「「また!」」」」
「高砂、数珠やろう」
「うん。店舗できたから、設置に行こうか」
「お! 行く! あ、お前ら、数珠屋さんはここになるからな」
「「「「「遊びに行く!」」」」
「うん。楽しみにしてます。よし、行こう!」
「「「「「いってらっしゃい!」」」」」
こうして、俺達は、歩き始めた。少し歩いたら、高砂がポツリと言った。