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「ありがとう」
「うん?」
「正直、一人だったら、どうしようもなかったから。ゼクスのおかげで助かったよ」
「あはは。いやいや。俺も楽しかった。なぁ――価格設定、あれ、どう思った?」
「ユーザーとしては、理想だよね。中学生の課金制限でも買えるから」
「うん。それも思った。今の子達、古参っぽい事を言っていたけど、ユレイズ開放直前くらいからアイリス開始でレクスとかと年齢が変わらなそうだなと思ったかな」
「同じ意見です。10万円――10億円切ると未成年ひっかかるから、俺は、あれでロックして様子みてただけで、武器界隈なら激安のはずだよ」
「うん」
「ゼクスのに30億円は、あれ、リアルマネーだからね」
「え!?」
「99億円までしかないからリアルだと思ってたら、違ってて吹いた」
「ぶはっ、俺が今吹いたからな」
「はは。中学生って、下ネタ好きなのかな。俺も大学海外でしばらくそっちにいたから、その年代は日本にいなくてわからないんだよね」
「んー、俺もわからないが、びっくりした」
「どこまで本当なのか、俺にはわからなかった。周囲は冗談だと思ってたみたいだね。黒曜宮キャラ」
「あー、ね。俺も思った。ちなみにVRは経験なし。けどリアルも童貞とは言わなかった。二回盛った。ハリウッドスターと芸能人」
「えっ? それ、本当?」
「うん。誰も近寄って来ないから。俺の外見だと逆に。拒否されたら立ち直れないらしい。ひどい話だ。女性ファンが羨ましいのは本音だ。俺、男ファンが大半だから男向けデザインが浮かんで、の、悪循環なんだ。目の前にいる人で、こう、浮かぶとかあるんだよなぁ……俺もこう、女性向けというよりは、ユニセックス系を作りたいんだけど、メンズよりになるんだ。なんだかな」
「動機が格好良かった。まぁ女性向けは、なりきってやる人もいるんでしょう?」
「うん。むしろそれが多いみたいだ。で、男に食われて、同性愛デビューコース。俺多分、それを周囲で見てるから、あんまり女装が好きじゃないんだろうな。あんまりっていうか、個人的に自分は嫌だ。見てるのは良いけどな」
「なるほどね。男は無理なんだ?」
「いやそれは、不明。っていうか、男女ともに不明だ。俺、真面目にこのままだと賢者一直線だ」
「――興味とかはないの?」
「無くは無いけど、外でもVR内部でも、迂闊になんかあったら、即座にネタだからな。俺が仮にVRで出会い厨とかやったら、袋叩きだ」
「大変だね。友達とかは?」
「頼むの気まずいだろ。それに、今更そういう目で見られる相手がなぁ」
「探してるの?」
「積極的にではないけど、機会があればくらいにはな。誰かいたら紹介してくれ。口が堅い人が良い。かつ、バレない場所。とか言ってるのをお前にネットで流されても俺、気まずいという感じだな。なんてな」
「あはは。そんな事をしたら、俺がVR界を追放だと思うけどね。俺は、口が堅い事に定評が有るから、流さないよ」
「ぶはっ、そうか。高砂は、いるのか? VRの相手」
「適度にね。俺も仕事柄バレると面倒だから、バレない場所で、好みの相手を捜すとなると、VRは楽だよね」
「例えば、バレない場所は?」
「それは秘密でしょう」
「ぶはっ、口硬い」
「あはは。俺は、男女問わず行けるけど、男同士は、意外と後腐れがあるよね。男女はカラっとしてる」
「へぇ、そうなのか? 逆かと勝手に思ってた」
「あ、女装は女に入れた」
「あ、あはは。なるほど。うん、ほう。それで?」
「結構、本気になられると、やばい、っていうのが印象かな」
「どういう、やばい?」
「束縛と嫉妬」
「えー……俺、想像しただけで、きつい」
「束縛されるの苦手そうだよね」
「う、うーん、された事がないからな。けど、そうじゃなくて、俺は束縛するかもしれないし、嫉妬もするかもしれないと思ってな。俺は、ぼっちだ。相手が違う場合、ほら」
「ぶは、そうきたか。ぼっちって、どの程度?」
「ん? フレとか、伝説級ばっかとか言われるけど、つまり開始直後のみんなフレ作ってて声かけてたタイミングか、リアか、ギルドしか、フレがいないってことだ。今回の露店で、ちょこっと増えた。けどそれでも、合計で、二十人程度だ。普段、ログアウト時に連絡する半VRフレも同じメンバーだ。リアフレも家族も同じだ。仕事は全て父上経由」
「――へぇ。溜まったらどうしてるの?」
「なんか、あんまり好きじゃないから、何もしてない。結果、EDを自分で疑った。んだけど、そうでもなかったから、安心して終わった。定期的に検診項目チェックしてる。それだけだな」
「本格的だね。心因性じゃないの? VRかリアルで、そっち系トラウマ。爛れた家族関係とかね」
「んー、かもなぁ。俺もな、両親がダブル不倫で、弟ができて、俺は日本で、放置で、ゲーム没頭して、連れてった母親が亡くなり、父側に戻り、もうこうレクス跡取りだからいらん的なノリの中でデザイア流行ったら担ぎ出されて、レクスのお母さんも亡くなって、みたいな流れだからな。レクスのお母さんも浮気相手と旅行中に事故だ。父上は自由恋愛派だしなぁ。トラウマもあるだろうし、VR失ったら俺も後も無いからな。顔じゃ食べれないからな」
「今のゼクスは、ダルっとしたイケメンクールモデルになった感じだね」
「そうか?」
「うん。投げやり感。本心はどうでも良い感じ。面倒になってきた。毒とかではなく、さらっと、投げた。事実を述べるだけ、とした感じに思ったよ」
「はは」
「俺はそのモデルのファンで、アンチノワールが好きだった。から、インフィニティを見ていたら、僧侶和服を見て、なんだか驚愕して気づいたら冷や汗かいて固まってたよ。別人かと思った。俺は、あの1ページに関して言うなら、顔で十分食べられると思ったね」
「ふぅん。そうか。評判良いな、あれ。何が良かったのか、実は本当にいまいちわからないんだよな。具体的に分かりやすく、とか、ないか?」
「はっきり言えば、あれを買ってる読者層は、それまでのゼクスはお手本だったわけだけど、あれは――獲物になった感じ。自分がお手本通りになったら、ガツンと捉えて食べていいのかなというような。つまり、犯しがいがあるって事。見る目が変わったというのは、どちらかといえば、犯されても良い憧れだった存在が、頭の中で汚す対象になったって意味。ヤりたいって事だよ。色気って、つまりは、それ。あの首とか、噛み付いてどうにかしたいし、和服も、逆にきっちりしてるから、乱したくてしょうがない――という感じかな、具体的にだと」
「え、それ、お前も?」
「うん」
「……」
「さっき誘われてるのかと思って期待したくらいに本気だよ」
「え……」
「本当に若干興味があって、相手を探していないわけでもないなら、俺も試して欲しいな」
「……っ」
「――ふぅん。なんというか――……ごめん、そこまで照れられると、抑え効かないんだけど、こっち見て」
「!」
「――俺にしとけば?」
「え、あ」
「ついてきて」
「……」
「早く」
「……――え、あ、あの」
「ここ、人通りが、今はないだけだよ? 聞こえるかも、しれないけど?」
「っ」
「あちらで、話をしようって事」
「あ、ああ……」

 俺は慌てて歩いた。高砂が一瞬、違う人に見えた……。驚きつつ、そのままついていくと、普通に露店出店予定地について、俺は死ぬほど安堵した。大きく息を吐いたら、高砂が悪戯っぽく笑ったから、思わず目を細めたら、もっと笑われた。

 そして設置された家は、非常にイメージ通りの外観で、外はまず良いが、弄れるなと思った。中は――俺は感動した。広めの床、焦げ茶の木の床に大きめの台で数珠置き場。さらに奥が、高台で畳だ。うわあ、センスが良い。この床の高さが何とも言えない。感動してそれらを口走ったら、微笑まれた。

「奥の扉は何だ?」
「一応、宗教建築をつけたんだ。数珠だから」
「ああ、なるほどな。見てもいいか?」
「うん」

 こうして、上に上がって扉に入った。中に入ると、仏壇があった。すごいが、イメージよりは、家庭的だった。続いて入ってきた高砂に振り返った。そうしたら――? 扉が消えた。俺は首を傾げた。

「建築スキルで、都度扉を消すと、絶対にバレない秘密の場所になる。宗教建築が一個あると、何でも遠隔で見られない。内緒の場所。教えてみた」
「あ……な、なるほ、ど」

 俺は後ずさった。すぐに壁にぶつかった。そうしたら、詰め寄られて、顎を持たれた。じっと見つめられた。俺は緊張して、真っ赤になったと思う。

「あ、あの……その……」
「無理矢理とかはしないよ。ただちょっと、見たかっただけ。さっきゼクスもインスピレーションが湧くっていってたでしょ? 俺もゼクス見てると色々思いつくんだ」
「そうか」
「けど、同意ならするよ」
「っ」
「どうする?」
「……っ、ぁ……」

 首筋をなぞられた。もう片方の手でだ。普段、誰とも接触がないため、ビクンとしてしまった。R18制限コードを、俺は解除している。タバコと課金だ。そして、その場合、性的快楽コードも解除される。これは、レベルが高い相手が低い相手を触った場合、自動的に反応する作用がある。俺はまずいと確信した。高砂はレベルが高すぎる。指先だけで、体の奥がズキンとした。

「ま、待ってくれ……っ……っく」
「本当にしてないんだ? 知ってたけど。だから君見てるR18ユーザーの大半が肉食獣みたいなんだよ。ヤりたくてしょうがないから」
「え」
「例えば、こういう事」
「あっ、っぃ」

 着物の上から、胸の突起を撫でられた。ゾクンと太ももが震えだして、俺は立てなくなってしまった。抱きとめられるように、座らせられた。丁度良く、仏壇前の長いソファ作用絨毯に降りた。長い座布団に見える。そうしたら、抱きしめられた。

「あ、待ってくれ」
「うん」
「っ……っ……ぅ、ぅあ、あ、あ!」
「待ったら辛いの、そっちだろうけどね」
「あああっ」

 俺はこらえきれなくて声を上げた。慌てて口を押さえたが、そうしたら、両脇の下をガッツリとホールドされた。密着した体温から、露骨に快楽が這い上がってくる。だめだ。触れているだけで、身体が熱を持っていく。俺はすぐに震えだした。やばい。気持ちいい。

「あ、あの……」
「何?」
「口、硬いのか?」
「うん」
「秘密か?」
「うん」
「絶対か?」
「うん」
「誰も来ないか?」
「うん」
「誰も気づかない?」
「どうかな。終わった後の君次第」
「……うん。あの、あ、あの……」
「何?」
「してくれ……」
「同意でいいの?」
「う、うん……な、なぁ、これ、何これ。俺、こんなの知らない。待ってくれ、頭がおかしくなりそうだ」
「――正直に言って。本当は、VRで一人でしてただろ?」
「う、うん」
「だからだよ。知らない知覚情報で、体が跳ねてる。自分パターンしかないからだ」
「ああああああああああああああ」
「こういうの、ゾクゾクするでしょ、何もされてないのに。抱きしめられてるだけなのに」
「あ、あ、あ、っ、く、あ、やめ、ダメだ、も、もう……」
「我慢して」
「え……あ、あ、うわ」
「こうしたかったんだ」

 イキそうなスレスレで刺激が止まり、俺は涙ぐみながら、鎖骨を吸われた。強い快楽が入ってくるが、イけない。そのまま、上着を下ろされて、着物の合わせ目から指を入れられて、乱され、乳首をつままれた。

「ぁ、ン――!」
「声、こらえる方なんだ? 俺は聞きたい方なんだけど」
「ぁぁぁぁぁぁぁあああああ、やめ、だめ、やめやめ、やめてくれ」
「気持ちいい?」

 必死で頷いた。指を振動させられたのだが、その度に電流が走る。押し倒されて、直後乳頭を噛まれて、俺はむせび泣いた。気持ち良すぎた。そのまま同時に陰茎を握られ、しごかれて、もう動けなくなった。体の力が抜けてしまい、高砂の肩の服を掴んだ。震える。指も、手も、体もだ。イきたかった。果てそうだ。

「あ、あ、お願い、だ。イかせてくれ」
「もうちょっと――」
「あっ――! !!!!」

 そのまま銜えられて、俺は目を見開いた。瞬間、下腹部が溶けた。ダメだ、これはダメだ。真面目にやばい。俺は、自分でしかやった事がないから、1レベル。高砂は、おそらく50レベル以上なのだろう。

 俺が知っているどんなヴァーチャルセックスとも違った。本物の舌としか思えない感触がする。しかも上手い。こんなのには、ありえない。普通は、せいぜいオナホだ。その上、快楽刺激が直接送り込まれるから、俺はもう泣くしかなかった。

 さらに、VRでは、男側の後ろは常に入れる準備ができている。指を入れられたら、終わりなのだが――ヌチャリと音がした。俺はこちらは本当に未経験だ。グチュグチュと音がして――ジンと疼きが広がった。俺は目を伏せて首を振った。

「やだ、あ、あ、あ、あ、体が熱い。なに、待ってくれ、ああああ、うあああああ」
「本当に初めてか……ごめん、盛ってると思ってた。へぇ、なんだ、武器開始で人生の運、全部使ってる気がする。大丈夫? ひどい事はしないから。落ち着いて息、して」
「う、うん……ぁ……ぁああ……あ! あ! ああっ!」

 高砂が、指を根元まで入れた。グチュッとお音がして最後まで入ると、それを振動させた。瞬間、一気に全身に優しい波が訪れた。陰茎でなくて、全身で果てそうになった。

 頭が白くなっていく。それから、一度抜かれて、今度は2本。こちらは、抜き差ししながら進められた。グチュグチュと音がし、その度に息を詰めるか大きく呼吸した。頬に涙がこぼれてきた。体がポカポカする。

「ぁ」

 そして落ち着いていた時、指が、内部のある点を強めについた。前立腺だ。思わず声を上げた時、そこを刺激された。小刻みだった。

「あああ――!!!!! あ、あ、あ! あ、あ! ン、ンンン、あ、あ、ま、待って、あ、ダメだ、俺、もう、イく、出る、あ、あ、待ってくれ、ダメだ、あ、あああ」
「中だけでイって」
「えっ、そんなの、あ、ああああああ、うあ、あ、あ、あ、イく、ン――!!!」

 本来は無理だ。俺側のレベルが足りないからだ。普通はレベルが上がるといけるようになる。ただし――相手が超高レベルの場合、初心者を内部だけで果てさせるという高等テクニックが可能となる。

 だがそれは、100レベル以上だ。そんなのは、俺にはもうどうしようもない。俺は、中だけで果てさせられた。前を出していないのに、ずっと果てている感覚がする。長かった。ゆっくりとホワイトアウトが溶けて震えていたら、意地悪く笑った高砂が目に入った。

「もう一回」
「え、待って、今は本当に――うああああああああああああああああ」

 そのまま再度前立腺をグリッと指で強く長く刺激されて、俺は叫んだ。すぐに頭が白くなり、今度はもっと長い。強烈な快楽が体に染み込んでいく。こんな事を初心者のレベル1でされたら、もう抜け出せない。

 相手なしじゃいられなくなる。ずっと高砂は指でついているから、白いままで俺はイキっぱなしだった。目をギュッと閉じてひたすら耐えた。果て続けているのだが、体全部には開放感があり、なのに陰茎はそのままだ。頬が濡れていた。声も凍りついた。そしてグリっともう一度されて、俺はビクンとして、前からも射精し、解放された。

 ぐったりと体を畳に投げ出した。もうだめだ。逃げないとと思って、必死で体を反転させたら、後ろから腰を掴まれた。それだけでまた体が熱くなった。震えながら止まったら、高砂が俺を猫のようにして、背中に体重をかけた。高砂の先端が俺の乱れ切った着物の下の、菊門にあてがわれた。

 ぬるっとしているから、先端がそのままもう入りそうになっている。俺は震えた。そうしたら、高砂がまた俺の陰茎を手で握った。

「どうする? 嫌ならやめるよ」
「う……」
「入っちゃうよ? 早く決めないと」
「……あ、あ、ああああ、ダメだ、入れてくれ」
「うん」

 俺の理性が崩壊した。そのまま奥深くまで貫かれた。俺は必死で座布団を手でつかんだ。そして――背を反らせた。目を見開いた。

「嘘、嘘、あ、あ、ああああ、嘘! ああああ」
「何が? 女の子快楽よりも気持ちいいから?」
「あーあーあーあーあーあー!」

 高砂の言う通りである。女装アバターの場合、女性器を体験できるのだが、これは、男性の後ろ100レベルよりも、女性1レベルの方が、気持ちいいのだ。そして俺は、女性1は経験があった。だからみんな同性愛にハマるのだ。

 経験といっても、俺は自分デザインだから、相手はいないが。しかし、である。俺は、後ろが1レベルの男なのに、それよりも断然気持ちいい。相手がいるからではない。すんなりと、こんなに太くて長いものが入る時点で、高砂はもう、150レベル以上なのだが、入れるだけで、相手を感じさせるレベルというのがあって、それが200以上なのだ。高砂が内部に全部すすめた後、動きを止めたその瞬間から、俺の中が溶けた。

 ギュウギュウしまっているのは、わかるのだが、中が熱くて、絡みつく俺側と収まっている高砂側が混じり合っているようで、その高砂の陰茎から広がる熱が、俺を内側から絡めとり、全身に広がったのである。

「うああああああああああ」
「教えてよ。どうなの?」
「うん、うん、あ、あ、あ、気持ちいい……っ」
「そう」
「ああああああああ!!!!!!」

 高砂が腰を揺らし始めた。その度に、俺は声が出た。そうしていたら、ズドンと前立腺を刺激されて、また中だけでイかされた。頭が白くなった。今度は前はいきそうじゃなかったのだ。中だけだ。俺は泣き叫んだ。女の子1レベルの絶頂などとは比べ物にならない快楽が押し寄せてきたのだ。指とも違う。白い波が収まったら、腰を掴まれて、ガンガン突かれた。激しく乱暴だ。

 なのに、それが、気持ちいいのだ。ダメだ、ダメだ、あ、あ、あ、あ、理性ではそう思うのに、体が言うことを聞かない。そのまま貪られて、今度は高砂が出した。その瞬間、また俺も果てた。中と外が同時だった。出されたら、強制的に俺も出たのだ。これは、230レベルの同時イきだ。そのまま押しつぶされて、高砂の重みを感じながら白い波を超えた後、繋がったままで抱き起こされて体制を変えられた。

 イったのに萎えていない。250レベルの再復活0秒だ。そして、下から突き上げられて、先端が前立腺に当たる位置で固定された。ギュッと下腹部に手を回されて抱き寄せられた。動けない。中で当たっているが、これだけじゃ、今は足りない。後ろから耳の裏側を撫でられてむせびないた。首を後ろから噛まれて、その繰り返しだった。そうしたら――体が熱くなった。ダメだ、あ、あ、あ、あ、動いて、動いて欲しい「なぁ、動いてくれ」

 俺が頼むと、高砂が俺の耳元で吐息した。ゾクっと、それすらにもした。

「もうちょっとしたらね」
「っ」
「初体験は、どういう気分?」
「なっ、待って、俺今、話せる状態じゃ……っ」
「じゃあ話せるまで動かないで待つね」
「!」
「……」
「あ、あ、あの、気持ちよくて……」
「気持ち良い気分? 日本語が変。やり直し」
「え……っ、あ、あの……幸せで……」
「へぇ。個人的に話すのは初めての相手に誘われて初めてを差し出すのが幸せなんだ?」
「っ」
「それとも、俺が好みだったの?」
「え、あ、あ……う、うん、だ、だから、あ、あの、もう……もう、イかせ……」
「嬉しいね。どこが好み?」
「あああああああ、あ、あ、ああ、あ、あ、ダメ、ダメ、あ、あ、なんかクる……うあああああああ……ああああ」
「教えて?」
「……」

 俺は、繋がったままで、動いていないのに果てていた。陰茎からはタラタラと白い液が流れている。中で果てた。まだ、突き上げられた位置は同じだが、自分でも内部が蠢いているのがわかる。女の子でもこんな風にならない。スローセックスだ。これは、レベル300だ。ダメだ、これが始まったら、もう終わりだ。

「……」
「ねぇ、俺のどこが好み?」
「あ……あ……顔も、スタイルも、着物のデザイン、も」
「そう。じゃあ、その好みの外見の相手に貫かれてダラダラに白く濡れてる自分は?」
「!」

 高砂が俺の耳元に唇を近づけて囁いた。首に髪の毛が当たる。見れば、真正面に姿見があった。俺は泣きながら目を見開いた。乱れた俺の和服、露出した下半身。太ももは震えていて、白い液がそそりたった、レベル1だからリアルそのままの俺の陰茎から垂れている。しかしこれは、どろりとしていて大量の液だ。本物はこうじゃない。

 それよりも、結合部分がはっきりと見えた。そこからも、VR特有の粘着質なローションのような液体が溢れている。これは、感じていないと出ない。そしてこれを男で出せるのは、レベル100以上の後ろか、レベル300以上の男側となる。高砂だ。ギュッとと俺を抱きしめている高砂が、意地の悪い笑顔で鏡を見た。目が合う。

 もう完全に俺は囚われていた。俺の顔は、ドロドロで、頬が涙に濡れていて、蒸気して真っ赤で、けど色白で、汗で髪が肌にはりついていて、青い目が欲情に染まってチカチカしている。涙ぐんでいるが、艶っぽい。俺もわかった。色気がある。体の内側では、また、何かが這い上がってきた。

「自分はどう?」
「あ……あ……」
「初めてなのに、レベル高い男娼みたいな体になっちゃった気分は?」
「っ、ぁぁ、あ」
「俺も、初めての相手にこれはした事がないんだけど、聞く所によると、あ、また?」
「あああああああああああああ」
「ごめん、言うのが遅かったんだけど、スロー中2で、もう男以外ダメみたい」
「あああああああああああああああ」
「三回目、はい」
「うああああああああああああああああああ」
「四回目、もう一回」
「いやあっ、あ、ああああ、あ、あ、あ、ああ、あ、息できな――っ」
「五回、うん、イって良いよ。もうこれで、俺か俺よりレベル上以外とじゃないと満足できないから」
「あああああああ」

 俺は、中を強く突き上げられて、前をこすられた瞬間に果てて、気絶した。

 ――目を覚ましたら、横長の座布団に寝ていて、俺の知らない打掛が、かけてあった。布団アイテムへのデザイン適用だ。体は綺麗になっていた。VRだから可能なのだ。高砂は、近くのテーブルの前に座り、タバコを吸っていた。俺の商品だ。

「……そのタバコ、どうだ?」
「っ」

 ポツリと声をかけたら、高砂が驚いたようだった。そして俺を見た。

「俺は好きだよ」
「そうか。あの――……さっきの、時間の全部、VRシステムログからお前側の家装置データ、消してくれ。消して、俺に教えてくれ。大至急」
「どうしようかな」
「っ、高砂、え……」
「俺は、口は誰よりも硬いし、この場所は絶対に誰にもバレないけど、その二点と同意を得た部分までしか約束はしていないからね。システムログを消すなんていうのは特に」
「け、けど、外部接続再生されたら――」
「されないよ。俺は一人暮らしだから。されるとしたら、そちらじゃないの?」
「俺はDNAコードで俺以外の閲覧制限をかけていて、俺の死亡時は自動破壊だ」
「――流石に太刀打ち不可能な防衛体制だね」
「ああ。俺はこれ以下は不安だ。だから高砂、頼む」
「うーん」
「何故だ? この部屋だけで良い」
「それはやっぱり、見たいからでしょ」
「え?」
「ほら」
「っ」

 俺は凍りついた。高砂が、先程の光景を再生したからだ。録画していたのだ。体が冷え切った。それから――ヨダレを飲んだ。ゴクリと音がした。そして慌ててきちんと座り直した。着物も着ていた。だが、露骨な赤いキスマークだらけだ。

「高砂、頼む、やめてくれ、け、消してくれ。なんで、そんな」
「みんなが見たら、なんて言うかな?」
「!」

 思わず息を飲んだ。高砂を睨んだ。そうしたら、面白そうに目を細められて、口元に笑を浮かべられた。俺は多分動画と同じ感じの顔なのだろうが――直後、泣いた。すると高砂がポカンとした。しかし俺は、波が止まらない。声は出さずに、涙だけだ。すぐにこぼれた。高砂が、焦ったようにこちらへ来た。俺はもうこらえきれなくて、両手を膝の上に置いて着物をギュッと掴み、俯いて泣いた。

「え、ごめん」
「……」
「ごめんていうのは、酷い事を――というのもあるけど、ごめん、ドキッとした」
「……?」
「したというか、し続けてる。え、何その泣き顔の麗しさ」
「……」
「舐めてた。心臓がやばい。俺、惚れたみたいです。俺の恋人になって欲しいんだけど、どうしたら良い?」
「……」
「俺もDNAコード制限と死亡時自動破壊にすれば良い? 消すのは絶対に嫌になった。今の泣き顔もあるから。もしどうしても君が消したいなら、俺を殺せば良い」
「……――家はどこだ?」
「っ、つつじヶ丘だよ、京王線の近所の。住所コードがR423N87」
「そうか……」
「来るの?」
「……」
「来て欲しいというか、どこででも良いから会いたい。俺は、リアルに恋人になりたい。君を俺のものにしたいんだ。こんなに短時間で惚れた経験ゼロなんだけど、惚れてる。それ以外ありえない動悸がする。好きだ、俺、これ」
「……」
「泣かないで。本当にごめん。泣き顔、好きなんだけど、泣かれると胸が痛い」

 高砂が、俺の頬に片手で触れ、もう一方の手で涙を拭った。正直俺は、頭がいっぱいいっぱいで、何も考えられなくなっていて、どうでもよくなって、身を任せていた。それから高砂が、吐息してから、俺を抱きしめた。ギュッとされた。堅くて力強い。

 R18制限限定設定をしたようで、今はただの体温だ。そのまま頭を撫でられた。しばらくそうしていた。俺は、ぼーっとしたまま泣いていた。静かにだ。

「ねぇ」
「……」
「なんで、泣いてるの? 何が一番、悲しい? 俺、どれで傷つけた? 全部かもしれないけど、今ね、死ぬほど後悔してるんだ。今後は気をつけるから、教えてくれない?」
「……――きっと、みんな大喜びだろうと思ってな」
「え?」
「……」
「ゼクス?」
「……」
「……――世間は騒ぐだろうけど、君のフレも家族もみんな心配すると思うよ」
「……」
「ゼクス?」
「……」
「ごめん、意地悪言いたかっただけで、本当にそれだけ。実際に心配するから、間違いなく。勿論俺も公開なんかする予定は全くない。逆に誰にも見せたくないから」
「……いいや、もう良い。好きにすると良い」
「ゼクス、だから、本当に――……とりあえず、ごめん。謝罪は受け入れてもらえる?」
「ああ。別に気にする必要はない。どの道、限界だった」
「え?」
「俺は、モデルの仕事が好きじゃない。エクエス・デザイアのような仕事もしたくはない。ブランド側のデザインもそうだ。だが、今、これまで連絡を一切寄越さなかったフレも家族も、モデル、エクエス、ブランドデザイン、さらに生産スキル、これが目的でやってくるようになった。俺はゲームを続けたいと思ったから、不協和を生まないようにと打算的に乗り切ろうと思っていたが、今はもうゲーム内部へのリアルの侵食は止められない。そしてゲームを続けたいと思ったのは、他にやる事が無いからだ。けどな、誰からも連絡も来なければ、しても応答が無く、忘れられ、他のユーザーには畏怖され、そちらからも忘れられ、何週間もゲームの中でも、誰とも会う事も無い生活には、どの道終止符を打っていたと思う。俺はいつも決断が遅い。そもそもの話として、俺には、人付き合いなんて上手くできないのだろうな」
「ゼクス、ちょっと待って」
「……」
「ごめん、本当に空気読めなくて悪いんだけど、弱ってる所を見たりとかそういうのを聞いたら心拍数がさらにやばい。俺がついてるからとか慰めたいんだけど、ちょっと待って。俺側の動揺が酷い。俺、誰かを支えたいとか守りたいとか思った経験ゼロなんだけど、ゼクスに関して初めてそう思った。いつもじゃあ止めれば、で、終わるんだけど、ちょっと待って、本当に待って」
「……」
「一つずつ聞くけど、モデルの仕事の何が好きじゃないの? 向いてるように見えるけど」
「……自分の顔だ。生まれた時からやっていれば、向かなかろうがなれるだろう」
「顔? 最高傑作じゃないの?」
「母親と瓜二つでな。見る度に思い出して気分が悪くなる」
「仲が悪かったの?」
「いいや。ただ、男にだらしがなくて、金の亡者だった。常に美貌に気を配っていた。俺のこの顔で、男にだらしのない美貌に気を遣う、金の亡者の女だ。俺でさえ、鏡を見た時、ゾッとする事がある。周囲はそれ以上だろうな」
「顔だけでしょ? 顔が相当良いのはそうだけど、中身がゼクスだとみんな分かっていると思うんだけど」
「そのみんなが共通で認識している俺の『中身』は、デザイアだ。VR市場で世界規模の展開をしている企業の代表。デザイアが俺の企業だと分かった前と後。元々知っていたザフィスお祖父様以外の全ての大学時代からの知人、家族、実母も義母も、使用人も、社員も、掌を返した。無くなれば、また戻るだろう。さらにそれ、各自のイメージにより異なる『中身』だった。実態はない」
「それは周囲に恵まれなかっただけだろう、これまでは」
「いいや、彼らは悪い人間ではない。おそらく、同じ環境で、俺とは異なり、上手く人間関係を構築できる人間は腐るほどいるだろう」
「そう? 俺は、そうは思わないけど。人間関係構築を決意させるような人柄ではないんだから、悪いんじゃないの。そういうのは、客観論ではなく、主観の善悪を俺は選択するから」
「そうか。ならば、俺の選択が遅かったのかもしれないな」
「まだ分からないけどね。ブランド側デザインは何が一番嫌なの?」
「実母から引き継いだ仕事のブランド衣類、義母に頼まれて始めたインテリア置換。どちらも見るだけで気分が悪い」
「やめれば? これに関しては、そう思う。ゼクスは今、独自ブランドで十分だろう?」「ああ、そうするつもりだ」
「うん。人付き合いはこれから俺とすれば良いし、やる事が無いなら俺といれば良いよ。リアルからの侵食が嫌ならば、一度落ち着くまでゲームを離れれば良い。ゲームを続けるのならば、代理を立てて、しばらく、課金ブースに来なければ良い」
「お前と? ゲームは離れるが……」
「少し休んでからで構わないけど、俺もVRMMORPGに参入したいんだ」
「――何? え?」
「ゼクスとなら、アースタロット・オンラインより、良いのできると思うんだよね。VR装置&ゲームセットの販売も含めて」
「……」
「社員、デススターロック、買収とまでは行かずとも、やってくれるかなと俺は思っているんだよね、目をつけてた」
「……」
「別に他でも良い。あくまでも例だから。俺といると、やる事があるよ」
「……そうか」
「うん。人付き合いは、君の家、今、大人数そうだから、俺の所に来なよ。それで俺と付き合っていればいいから。人間関係構築もクリアとなるし、俺は君と恋人になりたい」
「高砂、それは、どこまで本気で言っているんだ?」
「全部本気だけど? 好きだ。惚れた。ドキっとしすぎて、今も腕が震える。ずっとこうしていたい」
「……」
「――うわ、不意打ちで、照れられた。やばいやばいやばい、何その顔」
「見るな」
「見せて」
「あ」

 両手で頬を挟まれた。俺は不覚にも動画の顔で頬が真っ赤だ。すると高砂にそのままキスされた。限定されていても、キスはできる。上手い……。ゾクゾクゾクとなり、酸欠になって、解放された。口と全身への暖かい熱以外の快楽刺激は無いが、頭がグラグラした。

「もっと赤くなった」
「離せ」
「嫌です」
「……」
「好きです。俺と付き合ってください」
「……」
「愛してます」
「な」
「俺人生で初めて今、結婚しても良いと思った」
「えっ」
「本気で好き」
「い、いや、待ってくれ。俺の事を何も知らないだろう?」
「キャラのゼクスの事なら、多分ゲーム内部でフレ以外では一番詳しいと思うよ。最初からゼクスファンで鴉羽色相だからね。ハルベルトブログ経由。その後も、武器もチェックし、行動範囲もチェックし、家の街経由からの移動経路も知っているから、庭が見えるから、あ、いるなぁ、と、思って一日を開始してた。猫ね」
「え……」
「外部だと、まず、君は嫌いなんだろうけど、俺はルージュノワール時代からのアンチノワールファン。服もインテリアも込みだけど、君デザインやモデル物は全部持ってる。次に黒騎士。VRシティなんてガラクタハンコのみだと思っていた俺に、こういうのもあるんだと教えてくれて、個人デザインを始めるきっかけになったブランドだよ。無かったら、今店を出していない。そして、俺がそのデザインを覚える時に使って今も使っている学習システムも素材も教科書も、習得した資格検定も、エクエス・デザイアが無ければ、無かった。そして俺の中で、エクエス・デザイアは、君の中身ではない。君の装備の一つという形かもね。似てるなとは思っていたけど、動画ビュアーとモデルのゼクスは全く一致しなかった。全部見ていたけどね。さらに大学関連で言うならば、君の研究室の教授は、俺の研究室時代にPhを取りに来ていた知人なんだけど、デザイアが教え子企業だと俺に話していたから、俺はその経由でも君を知っていた。論文も読んでいたよ。次にザフィスさんのグループ。茶道関係で知っていて、俺のVR葬儀、一応同じ国全部にある日系だからちょくちょく話すし、規模と額も変わらない。あちらが助けて、俺が死者担当。そして君の父親の会社。俺の母方が財閥で、経営陣外筆頭株主だから、こちらもよく知ってるよ。この三方向から、君について聞いていた。後に俺と同世代経営者の可能性があると、昔から。これは、詳しいに入らない? 俺は入ると思うけど」
「……入るだろうな。だが、俺は知らない」
「俺は好きになるに足るくらい知っているという事で良い?」
「え、あ」
「いいよね。好きです」
「っ」
「そっちは全部レクスくん相続にして、俺の奥さんになりなよ。全部開放されるよ」
「!」
「そして、VR環境もデザイン環境も、資産も、俺があるし、君は気にしなくて良い。これは、君が露店に5000万円入れたのと同じように、俺側の環境整備の一環だから、君は気にする必要は、本当に無い」
「っ」
「実は前から知人だった。今回色々に出て撮影しまくったのは、結婚前の記念でした。これで許される。結婚後も続けるはずだったから色々開始したが、俺達は急遽仕事の都合で国外だから、アースタロット・オンラインができなくなります。これで良い」
「……」
「どう?」
「……――本当に?」
「どれが?」
「俺を好きなのか……?」
「うん。愛してる」
「……」
「また赤くなった」
「免疫がないんだ。黙れ」
「はは、そう。無くていいよ。俺以外は遮断でいいから」
「デザイアはどうしたら良い?」
「ルシフェリアにプレゼント」
「なるほど」
「アンチノワールと黒騎士は?」
「休止中」
「うん……国外はどこに行くんだ?」
「希望はある?」
「ドイツとフランスとアメリカとスウェーデンとフィンランドとスイス以外」
「イギリス」
「ああ。あちらに行く仕事は?」
「半VR仮想通貨整備。祖父の外資銀行の仕事」
「そうか。完璧だな。結婚って、どうやるんだ?」
「ぶはっ、うん、まず、そのままイギリスに行っても問題がないように、荷物をまとめ、置いていくものは、封鎖および初期化か完全クリアして、必要データも全部持ち、今夜中に、俺の家に来てください。そこで話しましょう。何時になる? 最短で」
「データはいつもまとめて持っている。荷物は捨てて問題ない。ログアウトして、機材初期化のみで大丈夫だが、そちらのデザイン環境とイギリスは大丈夫なのか? VR設備も。持っていった方が良いか?」
「全部一番良い奴だから大丈夫。君のみ6台、今の家で、行けるし、イギリスはもう手配したから、俺達の到着する明後日朝には、全部あるよ」
「明後日朝……」
「閉鎖や休止、そういうのは、遠隔。ルシフェリアやレクスへの譲渡は、俺の弁護士も挟む。君は、『大至急出かける。すぐ戻る。VRの用事だ。四・五日出てくるが、倉庫にある』と、伝えて、こちらへ来るだけで良い」
「わかった。今、行っていいのか?」
「うん。コードは覚えた?」
「ああ。じゃあ、今行く」
「待ってる」

 こうして俺は、ログアウトした。そして、ゲームの俺専用をDNAコードONLYで初期化してから、高砂が言う通りにチャットを打って、カバンに数日分の下着と衣類さらにデータカバンを入れて、靴をはき、フラッと出た。みんな「いってらっしゃい」だった。そのままタクシーを拾って向かった。30分くらいでついた。門の向こうもタクシーだった。そして大豪邸前で下ろされて、呼び鈴を押したら、アバターそのままの高砂がいた。見届けてから、タクシーは帰っていった。

「どうぞ」
「お邪魔します」
「ごめん、緊張しすぎて、鼓動がやばい。夢みたい。この三十分、夢かなと思っていたけど、今、君を見たら、今のこちらが夢な気がしてきた。迫力とオーラがやっぱり全然違うね。アバターとは」
「そうか?」
「うん。こっちの方が俺は好きだけどね。荷物置いて、ちょっと来て」
「ああ」

 言われた通りにしてついていったら、寝室だった。高砂が鍵を閉めた。そして俺を抱きしめた。俺は息を呑んで硬直した。や、やばい、緊張する。それにいきなりこんなのは考えていなかった、と、思ったら、キスされた。死ぬほど上手い。リアル経験ゼロだが、そう思う。なにせ、350レベルのVRキスよりうまいのだ。俺は、息苦しくなって、倒れた。そのままベッドに押し倒された。そして――早急に服を脱がされた。え、え、え、と思っている間に、胸の突起を指で挟まれて揺らされた。さすが現実。VRのように敏感じゃないと、余裕でいた、その時だった。

「っ」
「……」
「……ぁ……あ、嘘」
「気持ちいい?」
「……」
「リアルは声出さないんだ?」
「あっ」

 ギュッとつままれて、声が出た。高砂が気をよくしたようで、片側を舌でなぶり軽くかんだ。俺はびくりとした。そのまま、ゆるゆると陰茎を撫でられた。そして銜えられた。人生で初めてのことである。恥ずかしくて、片手で口を押さえた。もう片方で高砂の頭を押し返そうとしてしまった。そしたら髪の毛をかき混ぜて終わった。その間にも高められて、俺は熱く吐息した所で、イかせてもらった。肩で息をしていたら、「真っ赤」と言われて、頬が熱くなった。それから高砂がローションを取り出して、指にまぶして、人差し指の第一関節まで入れた。ホッとしていたら、第二関節まで進み、折り曲げられた。そして根元までの後、VRと同じようにされた。やはり、大丈夫だ。二本目の指も入ってきた。時々、体がピクンとなる所に触れられると思っていたら――「うあああっ」いきなりズドンと快楽がきた。前立腺だった。

 ローションで、ぬちょぬちょする。水音の中、前立腺を重点的に刺激された。そして中だけでイきそうになった時、まるで見計らったように、前をこすられて果てた。荒く大きく息をしていたら、三本指になり、抽挿された。その後バラバラに動いた後、高砂がゴムをつけた。入るんだろうか……? そう思っていた。が、杞憂だった。

「あ、あ、あ」
「どう?」
「熱い、暑い、あ、あ、あ、あ、あああああ、待ってくれ、体がおかしい」
「これが現実のSEXだよ。二人でするもの」
「怖い、や、なんだこれ、暑い、知らない、待ってくれ」
「待てない」
「あああああああああああああああああああああああ」

 そのまま、一気に進められて、俺はのけぞった。さて、高砂はそこからしばらく動かなかった。俺の中はキツキツだ。俺の穴は小さく拡張ゼロだが、高砂はレベル無しでも長くて大きかったのだ。

「あ、あ、あ、あ、ああああああああああああああああああああ」
「ここでしょ?」
「あっ、ああっ、あ、あ」
「気持ちいい?」
「……」
「言って」
「気持ち、いい」

 それに微笑して、高砂が動き始めた。
 そして――そのまま俺はわけがわからなくなった。