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俺は、引きこもりの、ゲーヲタだ。
まぁ俗に言う、廃人というものである。廃神かもしれない。一日の生活は、起きる→メルチェとサイト確認→VRMMORPG→サイト更新と食事→シャワーと就寝である。なお、俺の一日は、24時間ではない。
俺がやっているVRMMORPGは、クラウンズ・ゲートと言う。限定テスト時からやっているから、もう十年以上だ。俺より古参とか、いるんだろうか……。ちなみに、サイトというのは、内部のスキル関連と生産関連の情報サイトだ。
クラウンズ・ゲートには、6つの職業がある。
冒険者・魔術師・聖職者・錬金術師・僧侶・暗殺者である。
これらは、最初に1つ選択できるが、キャラのレベルを30以上にすると、他の職業のレベルも上げる事ができる。そして職業レベルが30を特定の2つの職業で達成すると新職業の死霊術師・召喚者・鉄盾師・忍者の四つが追加され、最高で4つの職業となる。
各職業には、100のスキルがある。職業レベルが上がるか、弱いレベルでも習得可能のスキルのレベルを30以上や50以上と上げていくと出現する。この100スキルに到達すると、複合スキルとして、二つのスキルの組み合わせて、『複合二個目』が50スキル出てくる。複合は、三個目が25個、四個目が12個、五個目が6個となる。これが各職業である。そして複合二個目からは、他の職業の複合二個目と合計の『再複合一段階』が出現し、また100スキルから、50、25、12、6スキルの五段階まで習得できる。
この時点で、各職独自93スキルで合計930スキル、複数職39組各93スキルとなり、全組出現時に全部の組み合わせによる特別1組7スキルが出現して、40組100スキルとなり、400スキルが習得可能となる。これにより、
1人1330スキルが習得可能だ。
また、職独自の100スキルまでは、デフォルトが2〜5個、それが全て30レベルになると追加で10個、追加のレベルが全部30でデフォルトが50レベルに到達していたらさらに5個、というように、『派生スキル』として、『スキルレベル』『職レベル』『キャラレベル』『他のスキルの出現状況』などから、出るか出ないかが変化する。
こういった、『派生スキル』の出現条件、『複合一個目』から五個目、『再複合一段階目』から五段階目、『特別1組7スキル』および、1330スキルについての情報を記載しているのが、俺のサイトである。
ちなみに、キャラレベルは、現在、350レベルが上限だ。これは、職業を変更しても変わらないそのキャラの総合レベルである。そして職業レベルの上限も350レベルだ。なお、各スキルの上限は、300である。キャラレベルと職業を1つだけ350にするのであっても、3ヶ月以上かかる人が多い。これは、キャラレベルは課金で経験値をアップできるが、職業とスキルはアップできないからである。廃人でもそうだ。
まぁ俺は長くやっているのと、他の廃人が可愛いレベルの廃なのが手伝って、ゲーム内でしか誇れないが、全てカンストだったりする。俺が知る限り、全てカンストなのは俺だけだ。大抵は攻撃か回復に特化して習得していくからというのもある。正直言って、全部カンストさせる必要は、ほとんど無いのだ……。しかも複合は三個目からは死ぬ程強いが二個目までは弱いし、再複合はレベル50まで弱い。だから複合に取り掛かる人はそもそも少ない。それ以前に、必要な職を2つか3つ程度まで選択している人ばかりだ。ただ、複合二個目を10個以上持っていて三個目が5個以上出現しているプレイヤーというのは、各レベルが5とかでも『超強い神プレイヤー』扱いされるから、全部習得していて全部のレベルもカンストの俺は、超すごいと思う。ただ……VR内でも俺はぼっちだ。
ちなみに俺の基本職業は、暗殺者である。職業は、基本職により、デフォルトとして常に発動可能なスキルとその数が変化する。暗殺者は、10スキルと一番多いが、全部弱いという開始状態だ。それは常に表示され、次に『使用職』として、使っている職のデフォルト数が表示される。暗殺者&暗殺者というのも可能だ。それ以外に、習得している各職業を2個・5個・7個・10個まで、キャラレベルを上げると習得できるようになる。2個は他職習得時点だが、5個はキャラ100レベル、7個は200レベル、10個は300レベルにならないとダメだ。
なので俺は、基本枠10、使用枠10、個別枠10×10で100、このように、常時120スキルを使用できるようにしている。また、複合を習得すると、複合枠が20出る。ここには一個目から五個目、再複合一段階目から五段階目、特別7スキルが入れられる。俺はこれも使用できるので、140スキルとなる。またデフォルトでセットしているだけだから、操作すれば無いものもすぐに使える。
さらに、暗殺者デフォルト1、錬金術師デフォルト2、それ以外は生産独自スキルなのだが、生産枠が10ある。露店開店スキルといったものだ。これを合計すると、俺のスキル合計数は150スキルなのである。かつどのスキルも、レベルは300なのだ。
生産と言ったが、こちらも俺はカンストである。
生産は、総合技能が、料理・薬剤・装飾・武器・防具・体装備・建築・スキル書が存在する。さらに個別技能として、『切る』『練る』『すり潰す』『混ぜる』『茹でる』といった、総合のそれぞれで重複して使えるものや、『採取』『発掘』『鍛冶』『執筆』『製本』だとか、それがないと素材が入手できなかったり、必要素材が生み出せない技能がある。個別は総数が742個ある。つまり合計750個の生産スキルが存在する。これらは全てカンストが200レベルだが、戦闘スキルよりも上げにくい……。勿論俺は全部カンストである。
戦闘スキルもカンストでなければ、全部出ている人もいる。全部出して、その中で特に強いのや好みのものだけレベルを上げただとか、そういう事だ。生産も、生産のみなら全てのレベルを上げている人もいるだろう。数と、最初からの出現数的には生産は分かりやす。ただし両方を全部出現させた上でカンストしているのが俺だけだという事だ。
ちなみに俺は、鴉羽ゼクスという。本名だ。この事から、キャラ名はゼクスとしたし、露店は技能を上げると自分の名前を武器に入れたりブランドを作れるのだが、そちらは『銘・鴉羽』や『鴉羽商會』としている。ぼっちのコミュ障だから、キャラ・ゼクスは、あんまり有名ではないが、『鴉羽の武器!?』と言われるレベルで、そちらは有名になった。鴉羽という伝説の生産者がいると勘違いされている……。ちなみにサイト管理人の名前も『鴉羽』である。スキル情報に関しては、データしか載せていないから、恐らく伝聞だと思われている気がする。聞くフレがいないから自力だけどな……。
なお、『クラン』という共通お店機能などが存在する。俺はそちらを、ルシフェリアというフレおよび、イリスというフレと生産ブランドとして1つ持っていて、そこは『桃花源』という。ルシフェリアは武器、イリスは薬剤POTがメインだが、イリスは生産カンストであるし、ルシフェリアも武器系技能はカンストであり、『桃花源』と言ったら、幻の伝説級生産クランである。レベルやクオリティも高いが、個人露店が出た頃から、『桃花源』は存在するのだ。初期の初期、ゲームテスト時からやっているのである。まぁ最近はあんまり三人で出すという事は無く、俺だって鴉羽商會で出せるから、そちらにたまに『桃花源』としての商品を置くくらいである。
ただしこの結果、『鴉羽はあのルシフェリアと親交があるようだ……』と、噂されている。ルシフェリアは、非常に有名人なのである。今は違うが、俺はルシフェリアの最初のギルドで一緒だった。ギルド制度が出来る前からの固定パーティだったのである。あちらも暗殺者で、俺が知る限り、俺の次に戦闘全スキルレベルカンストに近いのがルシフェリアである。そしてギルド設立イベント時に、俺達は一緒に作った。この時は、ギルド名の抽選イベントがあり、俺達は『ゼスペリアの教会』というギルドにいたのである。これは『国内最古の教会』とか『ゼスペリアの教会の騎士』として、ゲーム内シナリオにも出てきたりする名前である。抽選名ギルドは、解散しても『クラン』となって残る。だから実は俺とルシフェリアは、こちらのクランでも一緒である。イリスもそうだ。
他のメンバーは、ゼスト・クラウ・ハルベルト・双子の義兄弟の兄と弟・ミナス・ミュールレイ・オーウェン・ミヒャエル・ヴェスゼストの十名だった。合計で、十三名である。さらにNPCの配布があり、そちらはゲーム内の国名でもある『ラファエリア』である。王族の末裔という設定だった。そしてギルドに称号が配布されたので、NPC込みの十四名で、俺達は『使徒』という称号を持っていたりする。このメンバーは、今は全員ギルドが違うが、クランでいつでもチャットを飛ばせるというわけだ。俺以外みんな有名人になっている。例えばヴェスゼストとゼストも全スキルを特別7個まで出現させている。そしてゼストは、ルシフェリアより一部は高いレベルだ。総合的に上げていて一部が高いのがルシフェリアだから、低い所はゼストは低いが、低いとは言っても俺達基準に過ぎない。
まぁクラウンズ・ゲートのトッププレイヤーと言ったら、攻略情報を載せるゼストがまずみんな思い浮かぶかもしれない。ゼストのステータスはみんなの憧れだ。例えば『ゼスペリアの青』『朱匂宮』『緑羽万象院』であるが、実はこれは、俺と同じだったりする。なんとゼストは俺に憧れてこれが出るまでキャラリセを繰り返して開始したというのだが、俺ってすごいと自分では思う。ゼスペリアの教会メンバー内でも、俺とイリスとクラウンズと義兄弟二名しか知らないのだが……。
そう、実は、俺はかなりステータス作成に気合を入れて始めた最初のプレイヤーだったりするのだ。ちなみに、俺のものは絶対に誰にも出せない。ゼストが一枚目の円環だけ同じに出来たのもかなり奇跡だが、初期だから『混雑型PSY血核球』が出現したのが良かったの一言につきる。これがもう今は出ない。さらに二枚目のロードクロサイト色相と鴉羽色相は、出るが調節が死ぬ程難しい。鴉羽色相なんて、俺が調整しまくって自サイトに情報を出したためについた名前だ。ロードクロサイトの方は公式名であるが。
ロードクロサイト色相は、使用色全部、という設定だから持っている人も多い。ルシフェリアも持っている。だが、調整が難しくて、普通は一枚目の補助に使う色を少数入れて、最初から調整が不要状態で始めるのである。ちなみに鴉羽色相は、その色の混ぜ合わの濃度などである。透明・白・灰・黒で濃淡などを調整するのだが、こちらは範囲や威力が変わる。初期だと、ロードクロサイトはルシフェリアと俺、鴉羽色相は、俺とクラウとラフ牧師しか持っていなかった。そして現在鴉羽色相は、出自を『華族』で信仰を『万象院』にしたキャラが追加取得しかできない。称号の『ロードクロサイト末裔』がいる。
どちらも取得がかなり難しいから、両方持っている俺と同じはきついと思うのだ。他にも最初のテスト参加者に限定特典で配布された『ゼルリア』だとか、正式公開前の限定配布の『ゼガリア』なんて、みんなもらえたが十年以上続けている人が少ないから、滅多にないだろうなと思う。
ちなみにチャットは、全体・街・個別・グルチャ・クラン・ギルドの6種類が存在する。全体は、ログインしていれば全体に聞こえる。街は、同じ街やフィールドで聞こえる。個別は、フレンド登録している相手を指定できる。街で見知らぬ相手と話すのは一体一でも街チャットである。グルチャは、グループを作って、100名までの参加者でチャットが出来る。一人につき1グループしか作れないが、参加はそれを含めて5グループまで同時にできる。クランは、お店は任意で1個、他には抽選ギルドのような配布追加枠が1個で、さらに任意で追加できる。本当は、1枠なのだが、お店制度変更による特典と抽選ギルドの特典で、俺は2枠プラス全員がデフォルトで持っている3枠で、合計5クランのチャットを使える。ただ、桃花源とゼスペリアの教会の2つしか入っていないが。用途は自由だ。チャット機能しか無いギルドみたいなものとしていたり、ギルド内クランを作ったり、生産者の身内でギルドを超えて素材集めのクランを作っていたりする。最後はギルドである。