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ギルドは、ギルチャが1つある。ギルマス1、サブマス2、執権3までの役職がある。人数は、25人、50人、75人、100人、200人、500人、1000人まで、ギルドの資産を増やすなどすると枠が増える。三名以上で作成可能である。一人一箇所しか入れない。だが、俺は一箇所にも入っていない。だってコミュ障だ……。
というか、気づいたら、レベル上げと生産で、十年以上経過していたのである。レベルを上げて生産をして情報ブログを更新してと、そればっかりやって過ごしていたらこうなったのだ……。他のフレは、ギルドを作ったり色々していたからレベルが上がっていないとも言える。俺のフレとか、超少ない。ルシフェリア・イリス・クラウ・ハルベルト・義兄弟二名・ゼストの七名の教会メンバー……これは、ゼスト以外は教会設立前に、ゼストは教会に入る前に交換しただけで、基本的にクランチャットもある。また、ラフ牧師と英刻院閣下。ラフ牧師は、限定テストで一緒で、その後ゼストをお互い『実際に』知っていた経緯で、再会後に仲良くなって交換した。英刻院閣下は、限定初期から鴉羽商會の常連さんで、俺が唯一お客さん経由で仲良くなった人である。この二名は、フレらしいフレだ。英刻院閣下がラフ牧師と、ラフ牧師がゼストとフレである以外は、共通のフレもいない俺のオリジナルフレという感じだ。他にたまに顔見知りがいても、大体それはゼストかルシフェリアのフレで、何かあればそちら経由である。正直寂しい。しかし聞くに聞けない。その二名のフレの俺は近寄りがたいらしい。けどな……俺にはフレが九名しかいない……。しかも俺の数少ないフレは、超強いから、他と組まなくてもクエストが攻略できるのだ。
クエストというのは、簡単に言えば、そこを攻略しないと次の街に行けないとか、そういうのである。ダンジョンのボスを倒して、次の街に行けるようにしたりする。なお、俺の最初のギルドは、一番最初からあるヨゼフ大陸の初心者村から最後までを、全て一番ノリで攻略して開放した。ギルドが出来る前は俺とルシフェリアとイリス、二個目からはギルドができたので、プラスしてクラウとハルベルトと義兄弟二名、その後、ゼストが揃い、最後までクリアして、二番目の大陸に最初に到達した。そこで正式公開で、以後は大陸選択可能になったが、全部クリアしないと他には行けないのである。
そして今は、5番目の大陸までが存在する。基本的に、1つの大陸をクリアするのに、1年以上かかる。俺達は、1つ目を1年ぴったりでクリアしたが、全員が超強い廃人だ。二つ目のアイリス大陸は、一番広くて、場所による難易度もまちまちである。二つ目は、そちら選択で正式公開から始めたヴェスゼストを迎え、その後他も迎え、二年手前で俺達は攻略した。これも全部俺達が初開放である。それをきっかけに今後は各自で頑張ろうという感じで解散した。
ヴェスゼストは、俺達のように今度は自分が支援したい、ゼストも同じでゼストは一つ目の大陸で、みたいな感じだった。他もみんなギルドを作ったりしていた。その数年後に三つ目の大陸ができたが、ここからはバラバラだ。というのも、1つ目や2つ目にも、攻略して進むフィールドができたからである。追加分は、攻略していないくても他の大陸に行けるが、やはり攻略したいと思うものだ。
俺に関しては、とりあえず行き先を増やしたいのと、その理由として新しい生産素材が欲しいというのがあって、三つ目の大陸に出かけた。この頃はまだフレとの攻略が多かったが、強くなってきたから一人で倒せる場所がかなりあったし、攻略が終わる頃には、ソロばっかりになっていた。一人旅である。これも二年ちょっとで終わった。
そして四つ目の大陸が三年半前くらいにできて、俺はこちらは完全に一人で回った。なにせもう、攻略しなくても、自分の好きな大陸でそこの追加分を楽しみながら過ごすというのが主流だったからである。だから四つ目は、四つ目から始めた人々が攻略したし、考えてみると三つ目もそうだった。そうしてこれらが終わって全部カンストしたのが三ヶ月前で、俺はもう、特にやる事も無いと気づいた。一人でできる事である。
実は、三日前に、五つ目の大陸が公開された。勿論、そこを攻略して回っても良い。しかし発表によると、これで大陸の追加はもう終わりだそうで、五つの大陸に移動可能なのは――そもそも俺しかいなかったのである……。『1名』って書いてあった……。どこか一つをクリアして、もう一つを選択して攻略開始とすると、二個行けるようになり、クリアした場所はいつでも選択可能になるのだが、全部選択可能なのが、俺だけなのだ……。勿論各大陸の追加分は行っていない場所も多数あるが……。この事実は、ゼストとルシフェリアとラフ牧師と英刻院閣下しかしらない。「ゼクスか?」と聞かれたからである。吹かれた。まあ選択制だから、古参もいるが、やはり新規が多いし、それはやりやすいからだ。また五つ目には四つ目が行きやすいとか、結構特色もある。
例えば、一つ目の大陸のヨゼフは、限定テストからの古参もかなりいるが、あまり高レベルの集まりではなく、死ぬ程戦闘スキルを上げているとかではない。ラフ牧師は高レベルでスキルも高いが、基本的には、まったり交流メインで初心者支援をしている。ここは、ここから始める本当の初心者も多い。ラフ牧師やゼストのブログでも有名な大陸だし、なにせ最古の大陸だ。ここの初心者の街に、当選名そのままの、『ハーヴェストクロウ大教会』というギルドを作って、ギルドホームを建てて、ギルドマスターをしているラフ牧師は、知らなかったら古参じゃないレベルで有名だという。確かに最初から居た。また、俺のブログから『鴉羽色相』と名前がついたあれの名手だから、『鴉羽卿』とも呼ばれている。結果、俺の作った武器は、ラフ牧師が作っていると思っている人もいたりして笑う。なお、ここには、ゼストが作ったが今は他の人がマスターをしている大規模な高レベルギルドがあったりして、ゼスト関係者の拠点の一つではある。
二つ目のアイリス大陸は、ヴェスゼストやミナス、ハルベルト、ミュールレイだとか、まぁこういった教会メンバーが多い。二つ目から始めた人と、一つ目をクリアしてここにきた高レベルとが作り始めて、どちらかといえばこちらが『古参高レベル』という感じになっている。露店などが一番安定していて、ちょっとゲームに慣れてきた人々と、あとは支援体制が整っているから、その情報を得た新規が入ってきやすい。初心者でも勉強してきたとか、他のゲームをやっていたとか、そういうのが多いのだ。ここは大規模でレベルもそこそこ交流もそこそこである。
さて三つ目であるが、このアイゼンバルド大陸は、古参中の古参の中でも選び抜かれた高レベルのみとか、後に始めたとしてもそこからトッププレイヤーに追いついた実力派高レベルだとかばっかりである。戦闘の話である。生産古参や高レベルは、レベルではなく素材などで好きな場所に集まり、その場所の内部にまたコミュニティがある感じだ。しかしここは、スキル数とそのレベルや戦闘数重視である。現在のゼストのギルドや、ルシフェリアのギルド、義兄弟達の所なんかはここである。ヴェスゼストの所も攻略はしていったようだ。このレベル帯が集っている理由は――敵が死ぬ程強いから、である。
俺は一人で行けた場所も多いが、それでもここは、確かにルシフェリアやクラウ、ゼストと一緒に回ったところや、ラフ牧師と英刻院閣下と出かけたり、色々だった。いつもは「手伝うか?」と、一人だと言われていたのだが、この大陸に限り、ルシフェリアやゼストから「手伝って」という要請が来た。クラウからもである。クラウから来たのは後にも先にもこの大陸だけだ、今のところ。そして彼らは、俺はまあ我ながら廃人だが、俺の次くらいに強い人々なのだから、彼らがクリアできないというのは、多くの場合みんなクリアできないという事なのである。今は、みんな攻略したが、みんなの周囲は必ずしもクリアしていない。ギルドパーティで、そこにいるギルメンは全員クリア、というのはある。その中でパーティを組んでいれば、ギルド外も行ける。だから俺は、ゼストの所とルシフェリアの所とクラウの所とイリスの所とヴェスゼストの所と義兄弟の所と、というように、ギルドごとでも何回か行った。ラフ牧師のギルドと英刻院閣下のギルドが合同で、俺達三人パーティで繋いでとかもあった。一人ずつとのペアもある。
まぁ三つ目を制覇していれば、『高レベル』『強い』『トッププレイヤー』といった評価を受けるので、中級者以上になってくるとみんな目指すというわけである。
そして四つ目であるが、こちらは、四つ目から開始の人々や、初心者、後半組でテストなどは聞いたことが無い感じの人々が多い。だからといって弱いというわけではない。なんというか、新しい風である。二つ目のアイリスあたりだと、長くやってる事がステータスだったりして、老害感があるのだが、四つ目のユレイズはそういうのではなく、実力主義だ。三つ目は以上に強いが、四つ目で力を上げて三つ目に行くコースもある。古参も、他の所の空気が好きじゃない人々とかがいる。例えば英刻院閣下のギルドはここにある。二つ目から移住したのだ。
まぁこんな感じである。他の大陸のことは知らない人も多い。別に、他に行かなくても十分だからだ。強いて言うなら、三つ目とトッププレイヤーや伝説のギルドみたいなのはみんな知っている、という感じである。だが、もう、ゼストとルシフェリアとヴェスゼストが同じギルドだったとか、そこら辺からして知っている人は少ない。
さて、五つ目の大陸は、セントラルと言う。
もうやることも無いし、フレもみんな自分のギルドに忙しいし、クリアしていないのもここだけだし、新大陸だから様々な層がいるし新規もいるし――しばらくここで遊ぼうかなぁ……と、俺は思った。目標は、『フレを作る!』である。ギルドとかに入ってみるのもいいかななんて思った。