<7>この際だからはっきり言うと言われた。(完結)
どうしていいかわからないので、俺はグラタンを食べ始めた。
すると、ハッとしたように、篁が言った。
「おい、何をなかったことにして食べ始めているんだ?」
「午後も仕事が詰まってるんだ」
「だからお前は仕事のしすぎだ」
「……」
「あと、この際だからはっきりさせておきたい」
「何をだ?」
「というより、この際だからはっきり言う」
「用があるならさっさと言え」
「あれからも俺は、お前の部屋を監視カメラで見ていたんだ」
「ぶはあ」
俺は吹いた。グラタンのスプーンを取り落とした。
周囲の頭の上にはハテナマークが浮かんでいる気がした。
「そして――俺は、お前が好きだと再認識した」
「おかしいだろ」
「最初の時点では、本当にお前を好きじゃないと思っていたんだ。だがそれは気づいていないだけだった」
「おい、黙れ。そろそろ黙れ、頼む黙ってくれ、いい加減黙れ」
「溢れる想いが口から出てきてしまうんだ」
「「「「「「きゃー」」」」」
「ちょ、食堂に奇妙な歓声が上がっちゃっただろうが。お前も周囲も俺をからかうな」
「からかっていない! さらに俺は、この気持ちが本物か確かめるため、勉強をしながらお前を観察した。あんなに長時間一緒にいるのに手を出さなかった俺の自制心。本気以外の何者でもない」
「……」
「そのうえここ一週間ほど綾崎と放課後会えなくて、お前の存在の大きさを思い知った。特に数学の問題の時に」
「先生に聞きにいけよ」
「とにかく好きだ。お前はもう俺のものだ。ここに、綾崎は俺の恋人であるとはっきり宣言する!」
「いや、おい、あの」
「「「「「「きゃー!!!!!」」」」」
俺は頭痛がしてきた。
だが――なんとこの日から、俺は生徒会長と付き合うことになったのだったりする。
そして以後は、毎日突っ込まれた。