【二十七】奇跡(SIDE:セギ)
結婚が叶ったと思ったら――奇蹟が発生した。
なんと、推しが神様だったのだ。え、どういう事であろうか? これは、現実なのか?
リアスの死については事実は伏せて伝えた俺だが(公的に処理された内容を伝えたのだが)――……そこまでは、心優しいシノンへの配慮だった。だが、待て。
シノンがギュート氏だと?
俺は、神様まで手に入れたのか? 恋している気さえした神様と、推しであるシノン。やはり空想上のギュート氏とはかけ離れていたが、どちらも何度も脳内で汚した俺だ。いいや、現実でもとっくに二人――同一人物なので一名を汚していたわけではあるが。
こんな幸福、あって良いのか?
しかし、俺は、手に入るものは、貰っていく主義だ。
「――書くと言ったな?」
「ん? ああ」
「全力で続きを待っている。とにかく大至急書いてくれ! 待っていて良かった。この七年、どんなに長く、先の一章だけの納品物にどれほど希望を見出し、そしてまた止まったものだから嘆いたかしれない。頼む、俺のために書いてくれ!」
俺が力説すると、虚を突かれた顔をした後、シノンが優しく微笑した。
このようにして、俺はシノンと結婚する事になった。
――もう、シノンをおびやかすものは、何もないと祈る。仮にそんなものが出てきたら、全力で俺が排除する。俺としての最大限のハッピーエンド、それを俺は、シノンに保証したいと考えている。
【完】