8:HAPPYEND(★)
俺は見慣れた階段を静かに下りた。
「リオ」
すると、ノーマルENDとは少し違うが、ルスに声をかけられた。
「殿下笑わないで聞いてください」
「ああ、なんだ?」
「俺、殿下のことが好きみたいです」
今度は勝手に俺の口が動いた訳じゃない。それは、俺の本心だった。もう、ルスのことが好きになってしまっていたのだ。脇役の俺なのに、馬鹿げているけど。
「!」
息をのむ気配が伝わってくる。
だが……このとき俺は考えあぐねいていたことを告げなければならないと決意していた。
「――でも俺は、本物のリオ・ブラッディじゃないんです」
「どういう意味だ?」
「別の世界から来て、気がついたら、リオになっていたんです」
何せ彼が好きなのは、本物のリオなのだと思えば、俺は辛くなった。
「――確かに以前のリオと、お前は全く性格が違うな」
「信じてくれますか?」
「ああ」
「だから殿下が好きなのは俺じゃないんですよ」
うつむいたままそう告げると、階段を静かに降りてきたルスに抱きしめられた。
「でもな、今俺が好きなのはお前だ」
「殿下……」
「着いてきてくれ。本当に俺のことを好きになってくれたのならば」
頷いた俺の手を、ルスが握った。
そのままルスの部屋へと連れて行かれた。
そして服を脱がされ、寝台の上へと座らされる。
それから水色の瓶を手に取り、ルスは俺にうつぶせになるように言った。
「ひゃッ」
突然はいってきた冷たい感触の、ぬめる何かをまとった指に内部を暴かれた。
はじめは一本、そしてすぐに二本になり、縦横無尽に指が動く。
ゆっくりと、ゆっくりと。
じれったくなるほど丁寧に、中を解されていく。
入ってすぐのところで指が動き、その後抜き差しされた。
こんな風に穏やかなのは、ノーマルENDの時ですら、感じたことは無かった。
その時、感じる場所を指がかすめた。
「あ」
「ここか?」
俺の声に、その箇所をルスが指で刺激する。
「やぁ、あ、駄目だ」
「気持ちいいんだろ?」
「うん、ァ、けど――うああああ」
「もう我慢の限界だ。挿れるぞ」
「――!」
宣言と同時に深く深く陰茎が入り込んできた。言葉が喉に張り付き何も言えなくなる。
「きつい」
苦笑するようにルスに言われ、体を震わせていると、片手で俺の陰茎を扱かれた。
途端にその熱に浮かされたように、内部に入ってきた液体が熱く変わり、俺は達しそうになった。ぐちゃぐちゃと俺の内部とルスの陰茎が音を立てる。
「や、で、出る」
「出せ」
「あああ――!!」
言われた瞬間には、既に俺は精を放っていた。
飛び散った精液が、ルスの腹をぬらした。
「感じやすいんだな」
そんな風に言われて、羞恥が募ってくる。
それから内部にある陰茎を揺らされた。
「ま、待って。俺まだ」
「大丈夫だから」
浅く腰を引き、俺の最も感じる場所を、ルスが突き上げた。
「待って待って待って、やだ、また出るからッ」
そのようにしている内に俺はいつの間にか意識を失っていた。
ただ何処か、心が満たされている気がしたのだった。
目が覚めようとした時、俺は光に包まれていた。
瞼ごしに、強い光を感じたのだ。
ゆっくりと目を見開く。
「お兄ちゃん!!」
するとなんだか懐かしい、妹の顔がそこにはあった。
「あれ、俺……」
「毒キノコ食べて、もう一週間も意識不明だったんだよ! 心配したんだから」
泣きながら俺に抱きついてきた妹の姿を見て、やはり今までのことは夢だったのだろうと俺は思った。あるいはこれが、『その後、Aの姿を見た者はいなかった』か。
ただ、ルスと離ればなれになってしまったことが、少しだけ寂しかった。