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リア共有でログインするのも初めてだ。ゼクスは黒猫、黒曜宮は紫色の猫アバターだったのだ。
「しっかし美形だなぁ。ほう。そして、白いジャージに茶色いローブのガチ初心者装備か」
「頑張ります」
「うん。挨拶してから、倉庫に行って、装備して、後はレベル上げ直となるからね。ちなみに、君の前、300人以上、3日で止めてるよ」
「え?」
「無課金と連続接続がきついんだって」
「ほー」
「みんな5レベル前後でリタイアかな。期待してるからね」
「は、はい」
さて、開始場所は、アイリスだった。一番人が多い。その一番大きい二番目の街で、運営の公式イベントとして、開始された。「今度は何日持つかな?」とか「どうせ伝説とか嘘(笑)」とか言われた。結構メジャーなイベントだったらしい。俺は知らなかったが。「お兄さんイケメン!」と言われた。言われた事ない……。「装備あげようかー?」とも言われた。もらおうか悩んだのだが、運営さんが「最初は倉庫から出してもらうので、皆さんは支援は後でね!」と言って、倉庫タイムになった。
さて、何からどう上げようかな。
体感最速コンボは、暗殺者・僧侶と、聖職者ちょっとである。僧侶は一見マゾいのだが、後半早いのだ。暗殺者は逆であるのでちょうど良い。魔術師はバランスよく早いが、ソロがきつい。暗殺者と並行しないと辛いので、その場合は、僧侶の方が範囲の中が良い。と、言うことで、聖職者牧師服(鴉羽商會)と僧侶袈裟(鴉羽商會)と暗殺者ローブ・ネックウォーマー・手袋・靴のレベル360装備(実は初公開)と、ゼスペリアの双剣(暗殺者武器:銘・鴉羽)および青き弥勒の錫杖(僧侶武器:銘・鴉羽)および闇の月宮扇(忍者武器:銘・鴉羽)および青き断罪者の槍(聖職者武器:銘・鴉羽)および、銀の光の癒しの十字架(聖職者回復杖:銘・鴉羽)を、二つはしまい、三つは背負い、さらに首から『ゼスペリアの十字架』『青照大御神勾玉』『万象院の緋』(銘・鴉羽)を下げて、手には『ランバルトの青』『匂宮金冠』(銘・鴉羽)『メルクリウス紫&緑』『万象院数珠』(銘・桃花源)を付けた。全部レベル360装備、かつ、プラス9、最高品質である。見守っていた周囲、徐々に黙っていった。
「え? ガチで廃人?」
「つうか……え、やばくない? 前の資産いくら?」
「違うだろ、これ、鴉羽のフレなんじゃね?」
と、ざわざわとなった。俺は身元は言えない契約なので、答えなくて良い。運営は、笑顔だ。さて、装備しながら、亜空間収納という、見た目も消して、使うまで出さない操作をして、そこから、鞄補給に入った。『HP&MP全快薬(全回復)×99×30』である。銘:アンチノワールだ。なおこれ、1個3億だ。3億が99個40セットである。プラス、『状態異常全快薬×99×5』の銘:桃花源。
こちらは、1個13億らしい。普通、ボス戦に使うのだ。けど、俺、有り余ってる。俺が作ってるからで、家では全キャラ共通で生産可能なのだ。それは公表されている。このキャラには生産が無いだけなのだ。さて、100枠の鞄である。65枠は、空っぽである。レベル上げには空が良いのだ。
「終わりました」
「よし! さて、名前を募集しよう! 皆さんどうぞー!」
そう、現在は、『元廃人の新人運営315人目』となっているのだ。
みんな黙った。考えているようだ。さらに迂闊に変なの付けたら、後も怖いという感じが伝わって来る。相手はガチ廃人。背景が怖い、というやつだ。
「イケメン!」
「セレブ!」
「新人!」
「元廃!」
「315でミーゴ」
「鴉羽いっぱいで、黒系だからクロウ」
「装備が神だから、ゼスペリア!」
「顔も神だよね」
「うん」
「青照大御神から、ユエルは?」
「ああ、いいね」
「ユエル!」
「ユエルの再来期待で、ユエル!」
となり、シナリオに出てくるユエル=ロードクロサイト(青照大御神)から、ユエルとなった。俺、吹き出しそうになった。汗、だ。
「では、公式チャンネルにて、レベル上げ、寝落ち時および一部プライベート時以外実況として、ステータスも解放状態で行きます、あ、経験値とかHPとか、ね。元円環は、内緒。メインと同じだからね。調整も無いし。さて、ユエル君、最初はどこ行きますか?」
俺、そんな実況、聞いてない……ステータスが近くで見えるだけだと思っていたのだ。まぁいいが……。さて、そうだな。レベル1だが、装備と円環はパーフェクトである。
「ヨゼフのマイセスの街裏の洞窟行ってきます」
「ほう。これまでに無い選択っていうか、マイナー! みんな知ってる?」
ちょっとざわってなった。知られていないらしい。なお、フィールド船は、全部貰っている。課金品だが、別枠で、カバンに入っているのだ。これも公表されている。
「まぁいいや! 行ってみよう!」
となって、俺と運営は移動した。観衆もついてきた。やりにくい。目元以外隠れている装備で何よりだ。行ってすぐ、地面に十字架を突き立てて、回復フィールドを展開した。これは、レベル350以上のプラス9じゃないとできないから、みんなポカンである。初めて見た人だらけだが、伝説として知られている。
ゼストもよくやるからだ。「まさか、ゼスト?」みたいになったが、答えられない。そしたら誰かが「ゼストは今、アイゼンバルドで目撃情報」とつぶやいて、みんなホッとしていた。まずは、俺、暗殺者武器を構えた。そして運営さんを見た。
「良いですか?」
「どうぞ!」
目の前の敵は一体。レベルは35である。本来、レベル1では無謀だ。ただ、装備補正は存在する。さて俺、一撃だ。消えただろう。なにせ、ステそのままだから加速がある。出てきた時には、一体終わりだ。そのまま次だ。サクサクサクサクずーっと倒した。みんな黙った。1体倒すと、レベル3、5、6、7と上がり、ちょっとして8、少しおいて9、それから10になったのが、30分後だった。レベル5が三日とか頭おかしい。
「次、アイゼンバルドの二番目の南の森に行っても良いですか?」
「あ、は、はい」
運営が敬語になった……。俺達は船、みんなもついてきて、さらにアイゼンバルドにいた人々が噂を聞いたみたいでやってきた。さて、そこの敵は、42レベル。俺はキャラと暗殺者が10。僧侶1だが、僧侶に変えた。錫杖を手にした。武器だけで、みんな顔がキラキラしたのを見た。そして――50体前後湧いているモブを一括範囲。一撃消滅。全員呆気にとられていた。全滅時は、30秒後にまた沸く。
現在、僧侶8レベル、キャラ16レベル。2回目、僧侶13、キャラ18レベル。3回目、僧侶17、キャラ21、四回目僧侶20レベルのキャラ23レベルとなった。五分くらいである。続いて、攻撃用十字架(槍)に持ち替えたら、みんな息を飲んだ。こうして、同じことをやり、聖職者6レベルのキャラ23、聖職者14のキャラ24、聖職者18のキャラ並行、聖職者20のキャラ25となった。これも5分だ。
「あの」
「は、はい!」
「次俺、街でアイテム売ってから、ヨハネスの曙の塔の3Fに行こうと思います」
「どうぞ!」
向かった。お金は20000円くらいになった。3F現地である。ボスが1体。レベル50だ。暗殺者武器を持った。そしてひたすら連戦開始。観客が増えていた。ちょこちょこ職を変えつつだが、1分半くらいで回せる。アイテム連戦なら遅いが、レベル上げだから良いのだ。だが普通、キャラ23では回せないっていうか、即死の敵である。これは、装備や武器というより、職複数だから、回せているのである。
ステータス出しているから、職チェンジが分かるから、見ている人も分かっているようだ。そこに一時間いて、まずキャラが35、暗殺者が28、聖職者が31、僧侶が32となった。さらに二十分くらいやって、キャラ38、暗殺者30、聖職者32、僧侶34となった。
「次俺、ヨゼフのウォークライの地下5階行きたいんですが」
「ど、どうぞ!」
飛んだ。こちらもボスだ。こちらはヨゼフから観客が来ていて、フレのラフ牧師がいた。吹いた。顔色は変えなかったが。ここも、ボスである。1体、さらにモブ3体。レベルは80、65が3体だ。ここは二?だが、1秒で回せる。僧侶範囲と暗殺者単発だ。
1時間まずやって、キャラが50、暗殺者が46、聖職者が42、僧侶が45となった。もうちょっとやろっかなぁと思って、もう1時間。キャラが57、暗殺者が53、聖職者が50、僧侶が52になった。
「次、アイテム売ってから、初心者の地下10階行きます」
と、俺が言ったらラフ牧師が吹いた。注目が集まった。
「え、お前、え!? 何やってんの!? 久しぶり、お前、イケメンだったの!?」
「――ええと」
「身バレしなければ、コメントOKですよ!」
「あ、うん、うん? 別にイケメンではないけど、それに久しぶりだけど、なんで分かったの?」
「いや、わかるだろ。そのチョイス、お前以外、俺は知らん。しかも戦り方と装備、お前、何やってるの? 何があったの? いきなり『リアルの都合』って行っていなくなったと思ったら、え!? 就職!?」
「うん、まぁ、結論から言えば、就職しなきゃでハロワいったら、クラウンズ・ゲートがあったんだ」
「「「「「ぶは」」」」」
「ブラックだからやめろってハロワで言われたから何かと思ったら、レベル上げきつくてみんなやめたらしい。三日で5レベルが大変だったそうだ。俺も、5レベルしか上がらなかったら泣くな。けどなんで、5レベル? 無課金でも、余裕だろ? 俺、ステ無しでも初日32レベルだっただろ?」
「まぁねぇ。お前は、な。やばいよ。同じ日に始めた俺、3レベルで、お前32になってて吹いたからな」
「「「「「え!?」」」」」
「限定初日組!?」
「マジで!?」
「嘘誰!?」
「ガチ伝説!?」
「まぁまぁまぁ、それより、名前、何、ユエルなの?」
「うん」
「フレなって良いんだろ、これ?」
「ええ、どうぞ!」
「じゃ、なろう、ユエルくん」
「ああ」
「ただ、俺、5レベルになるの確か2日だったから、三日で5レベルはさしておかしくないし、ペースとしては早いと思う」
「えっ」
「まぁ、お前の凄さを見せてやれ」
「う、うん?」
「顔的にも惚れ直されるだろうよ! イケメン爆発しろ!!!!」
「「「「「ぶは」」」」
さて、アイテムを売り、10万円になって、地下10階に行った。ここはボス1体100レベル、モブ多数、89レベルだ。暗殺者で二?、僧侶範囲で二?。これも1分以内である。さて、一時間やった。キャラ72、暗殺者71、聖職者68、僧侶69だ。まだ上がる。もう一時間とちょっと。キャラ76、暗殺者74、聖職者71、僧侶72となった。なんか夜になったのだが――人が壮絶に増えてきた……。
「次、ユレイズの三番目の湖洞窟の二階行こうと思います」
「どうぞどうぞ!」
運営さんも付き合ってくれている。この人は、たまに俺の戦闘を実況するようになってきた。さて、アイテムで直行して、現地。ここはボス1体。230レベルだ。普通なら即死であるが、俺は違う。暗殺者5?&僧侶2?で1分半くらい。これも一時間続けた。結果、キャラ101、そう、100になった。さすが俺。今日の目標達成だ。暗殺者が98、聖職者が94、僧侶が93である。まだ上がる。さらに一時間。キャラが112、暗殺者が107、聖職者103、僧侶が100になった。
「アイテム売って、アイゼンバルドの6番目のリーザ塔の8階行きます」
「キター! ここがソロできたら上級者と言われるリーザ塔、8階! 112レベルとか自殺行為だけれども、職3並行でそちらも100! これは、行けるでしょうか!?」
完全に実況だった。俺、曖昧に笑い、街で売ってから、現地に行った。
観客が待機していた。そこにハルベルトがいた。観客、ハルベルトにもざわざわしている。俺、吹いた。顔色は変えないが。さて、ここもボス1体。250レベルだ。俺はこれ、僧侶範囲で1?で、遠隔だから無傷である。みんなポカーンだ。1秒である。
くるくる回した。そして1時間。キャラ132、暗殺者100、聖職者104、僧侶120になった。もうちょっとやるかなと1時間。キャラ137、暗殺者102、聖職者105、僧侶123となった。さて、どうしようかな。
「次、アイゼンバルドの北の砦地下9階行きたいです」
「お、おうふ……ま、マジですか、どうぞ」
と、話していたら、ハルベルトが言った。
「フレ良いか?」
「ん? うん」
なった。俺の返事に周囲びっくりしていた。さて、その場で個別が来た。
「ゼクス?」
「うん。久しぶりだな」
「お前、聞きたかったんだが、アンチノワール?」
「うん」
「そこも引退したと聞いたぞ?」
「うん。お母さんがな、訃報で、働くことになったんだ。そしたらハロワに、この仕事が……」
「えっ、お悔やみ申し上げます……『ゼクス』と『黒曜宮』ってバレないようにするから、応援コメントにそれ書いていいか?」
「ああ、良いよ」
「頑張れよ」
「うん、有難うな」
「後これ、餞別」
「ん? あ! 有難う!」
「どういたしまして!」
さて、俺は、ハルベルトから、『青き弥勒の袈裟(銘:緋龍)』をもらった。その場で付けたら、周囲がざわついた。緋龍は、ハルベルトの銘であり、ハルベルトは体装備のカンスト生産者だが、一切売っていないのだ。
なおこの袈裟は、俺も作れるが、装備できない。自分以外しかつけられないのだ。俺の万象院の袈裟の上位の袈裟である。俺は感動した。みんなは「ハルベルトのフレ? って、つまり、しかも袈裟貰えるレベルの元々のフレ!?」と、ざわついていた。さてハルベルトと別れて、俺は次に行った。
ここは、ボス1体、モブ5体。280レベル、275レベルは五体。袈裟のおかげで予定よりサクサクで、暗殺者3?、僧侶5?で倒せる。1分半。一時間で、キャラ182、暗殺者180、聖職者176、僧侶175になった。僧侶、ちとやっぱり上がりにくいが、クソ強い。そうしたら、スルっと高砂がいた。フレ申請があったのだ。
「あれ、もしかしないと思うんだけど、何やってるの?」
「お母さんが死んで、ハロワ行ったら、クラウンズ・ゲートの求人があった」
「笑うべき? とりあえず、お悔やみ申し上げます――猫からイケメンで最初信じられなかったけど、本当に黒曜?」
「うん。イケメンはお前だろ」
「否定はしないけどさ、そう言ってたくせに自分もっとじゃん。しかも、ラフ牧師は知ってたけど、ハルベルトって……俺と時東と橘は『かなぁ』って言ってたけど、ゼクス様じゃん」
「まぁな。俺も、お前ら知ってると思ってたよ。けど、黙っててくれた」
「うん。逆に、イリスと時東、俺とクラウが険悪だからかなとも思ってたけどね」
「そういうんじゃないけどな」
「これ、俺ともフレだってバレても大丈夫って事? クラウ関係ないなら」
「うん。さっきハルベルトに黒曜宮かって聞かれてうんって言ったしな」
「あ、そう。あっちも知らなかったんだ?」
「うん。話したの、あっちの引退ぶり。かつあっちは、引退してなかったバレ」
「そう。じゃあ、これあげるよ」
「ん? あ!!!! 有難うございます!!! 高砂様!」
「うん。まぁ、元気そうで良かったよ。みんなも心配してたしね」
「有難う」
俺は、高砂から『神聖なる聖職者の光の癒し(レベル360スキル書)』と『高貴なる菩薩の微笑み(レベル360スキル書)』をもらった。これは全回復プラス状態異常解除の最上級の聖職者回復スキルと最強の僧侶中距離範囲攻撃のスキルで、本来360レベルじゃないと使えないが、スキル書ならば使えるのだ。高砂は、貴重なスキル書生産者なのである。
そうか、黒曜宮引退時359だったが、カンストしたのか。即座に使ったので、ステータスに使用&スキル書(銘・高砂)が出た。周囲が静まり返った。高砂は、超親しくないと、スキル書をあげないと評判だからだ。さらにそこで周囲も、その存在に気づいた。高砂は笑顔で、そう、笑顔という珍しい表情で「早く戻れるといいね。待ってるから」と口にして、帰っていった。まじでマブダチ!? みたいに周囲がざわざわした。
「次俺、アイゼンバルドの氷の塔のボス行きます」
「ぶはっ、は、は、はい!」
運営さん、吹いた。周囲も吹いた。それはそうだろう。そこはみんな、死亡クリアする難関ボスだからだ。ただし、倒した場合、必ず1レベル上がる。美味しいのだ。無論、なかなか倒せないのだが。俺は行った。頑張るのだ。こちら、見物客だらけだった。ボスは1体。氷竜という相性だ。俺は、杖を立てて回復フィールドを張った。そこから――高砂にもらった僧侶スキルを使用した。3発で倒した。4秒〜5秒だ。
みんな、笑顔でざわっとなった。以後繰り返しである。しばらくやり続けて、キャラ250、そう、200を軽く突破した。さらに、暗殺者が232、聖職者が234、僧侶が243となった。倒す速度が2〜3秒になった。ガツガツ頑張った。キャラ289、暗殺者254、聖職者257、僧侶270となった。まだまだいける。キャラ300、暗殺者260、聖職者262、僧侶298となった。倒すのが1秒になった。
キャラ350、暗殺者279、聖職者281、僧侶332となった。あれ、これ、カンストしちゃう……。しよう! 俺、そのままやり続けて、キャラ360、暗殺者360、聖職者360、僧侶360までやった。夜中の四時過ぎになっていた。
「あの」
「は、はい」
「これ、あの、カンストとしては、ダメなのでしょうか? 1個以上って聞いてて……」
「いや、あの、パーフェクトでございます……」
「よ、良かった……」
「それと、ハルベルトブログに、お母様の事が書いてあり、応援コメントが多数来てます」
「え、あ」
「また、高砂さんの一言により、みんな『復帰をお待ちします!』とのことでした」
「あ、ああ……嬉しいです」
「あと、弟さんから問い合わせがありました」
「え!?」
「報酬振込先名からの特定で、『怪しい企業ではないのか?(R18)』であり、兄上は顔だけはいいからなとの事だったので、ゲーム会社の運営であり、健全な企業で――決してハロワでも問題視されていないと伝えておきました」
「ぶはっ、あ、あの、ごめんなさい」
「心配していると思いますので、寝ているかもしれませんが、ログアウトしてあげてください。また明日お話しましょう。午後二時に、VRにて! さて、皆様! 315人目、十二時間未満で、キャラ、職3、カンストでーす!!!」
「「「「「おめでとう!!!!」」」」」
「これにて終了です、有難うございました!」
こうして終了となり、俺はログアウトした。そうしたら、レクスが起きていた。
「レクス、お前、会社に問い合わせたのか?」
「ああ。どうだった?」
「聞いてくれ、無事に達成したんだ! 目標を! 一年間でやるやつを!」
「おめでとう、兄上に、そういう才能があるとはな」
「いや、ただゲームをやっていただけだ……け、けど! これで、レクスは二年生になれるし、その年も、生活できる!」
「……もう少し、それは考える。二年目から働くという選択肢もある。そうすれば、生活だけならば、18歳までできるだろうから、就職先の幅も広がるからな」
「あ、そ、そうか……け、けど! もう一年分、俺はまた、何か頑張る! もうちょっと待ってくれ」
「有難う、兄上」
「明日も学校だろう? 寝たほうが良い」
「いいや、寝て起きたんだ。兄上がログアウトするとしたら三時半以降だろうと思って、先に寝ておいた」
「ぶは」
「兄上こそ、寝ろ。おやすみ。ああ、下にシチューを作ってある」
「あ、ありがとう! おやすみ!」
こうしてこの日、俺は寝た。そして、午後一時に起きたので、焦ってシャワーを浴びて、シチューを食べて、午後二時直前にログインした。運営コードなので、公園空間に出た。すると、運営さん数名がいた。
「昨日はお疲れ様です! さすがでした!!!」
「あ、いえ、有難うございました」
「あれこそ伝説って感じだったよねぇ」
「うん。新たな伝説も築いたしね」
「そうそう。さらに友情とかも見られたし」
「うんうん。背景も良い感じだった。あ、お母様については残念だけれどね、弟さんの思いやりとか」
「そうそう。ステ無しのさらっと発言とかも良かったし。無課金装備無しで行けると明らかになったようなものだしね。限定組は、そうなんだから。そしてその人々は伝説になってる」
「さらに複数職あげは、無理とか、デマだと判明だからね。あれはステではどうにもならない。それにボスソロは、装備でもどうにもならない。あちらは職数と判明。やる気ないやつはできないだけなんだから黙ってろと、言いたかった俺達は満足だよ。デマブログは軒並み沈黙か謝罪だからね」
「それでね、ゼクスくん。これから、どうする?」
「え、ええと……どうしたら良いでしょうか? できれば、後一年分の、弟の学費と俺達の生活費で、またなんとか400万円を稼ぎたいです……!」
「一つはユエルくんで運営になる。一つは黒曜宮、一つはゼクス、このどちらか、あるいは黒曜宮ゼクスくんとして両方で、運営になる。内容は、戦闘ソロ、生産、イベントの司会かは兎も角人手、この辺かなぁ。ただねぇ、これなら、良くて、時給1000円で、一日3時間、週4日くらいで、12000円の48000円の、まぁ一年で50万円ちょっととなるんだよね、税抜きだと」
「……」
「なんかこう、350万円出して良いと思える、昨日くらいのインパクトあるの無い?」
「え」
「君の企画」
「……ステもいじってない、無課金初心者をレベル1からカンストさせます! とか……俺からのパテ支援も装備支援もアイテム支援もゼロで……」
「あ、いいかもね。レベル1じゃなくて、初心者で募集かけて、誰でも可としよう。30以下くらいだね。何年くらいかかりそう?」
「わかりません……」
「予想で。最速」
「……希望職とかにもよりますし、もうやってるわけだしなぁ……」
「ゼクスくんの希望の職は? 無論、キャラと職最低限で良いからね」
「……忍者・魔術師・召喚者ですかね……キャラ360、魔術師360、忍者と召喚者320、聖職者と暗殺者250くらいになるかなと。一年半から三年くらいで。接続時間にもよります」
「暗殺者・聖職者・僧侶だったら、ちなみに何年?」
「ステ装備アイテム無しからなら、課金もないし、6年ちょっとかなと」
「「「「ぶは」」」」
「うーん、企画、多分これ、四年と十年とかになるね。ゼクスくん予想は倍見て良い」
「ですね」
「ちょっと期間が長すぎる感が」
「……そ、そうですか」
俺は俯いた。企画、企画……。