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 二年目が終了する頃、ちょっとみんなで話す事になった。理由は、ゼストとルシフェリアがそれぞれギルドを作りたいという話だった。実はクラウも高砂と作りたいらしくて、クラウが言ったら「実は俺も」という流れだ。居心地が良いし、何となく言うのも躊躇われたらしい。が、クラウは言うタイプである。ゼストとルシフェリアは、もっとこう大規模なのを作りたいというか、既にもう、ギルドじゃないが、大規模グループがあるようで、作ってくれという話があったようだ。義兄弟二名は、ルシフェリアの所に行く事にしたようである。メンバーが俺のみでも、当選して当てたギルドだからギルドは残るので、俺も好きな所に行って良い事になった。これは、イリスやハルベルトの所にも誘ってもらった。後は、ラフ牧師にも誘ってもらった。ラフ牧師はハーヴェストクロウ大教会を続けるからである。決まらなかったから、俺は決まったらどこかに行くからとりあえず残っていると伝えた。それに、一名だとギルドランキングには表示されないから、いてもそんなに困らない。むしろ、あんまり恥ずかしくない。

 こうして三年目に突入した。この時、今後はキャップ無しというアナウンスが出た。「えっ!?」と、なった。どこまで上がるのかは不明だというのだ。そして、職をクロスしたスキルと、特定スキル二個を取得していると取れるようになる攻撃スキルなどが、一気に出てきた。最早、誰も数えられないくらいの数のスキルになったのである。これは、全部習得可能なのがまずもう俺だけだし、さらにに新しいスキル同士を取得していると出るとか、何が何だか分からないレベルで多い。かつ、弱いレベルのスキルは、逆に俺がとりずらい……。キャラレベルが高いから経験値が入りにくいのだ……。なお、生産は、レベルキャップが300だと発表された。個別もそうである。追加は無い。追加されたのは、新大陸である。こちらは、ヨゼフ大陸とアイリス大陸の両方から行ける。ヨゼフ大陸はマイセスの街に転送魔法陣ができたのだ。そこまで進めば途中からでも行ける。アイリス開始組みは、右の道のダンジョン三個をクリアすると、たどり着くあの大きな街に転送魔法陣がある。アイリスからヨゼフには行けないが、アイリスから新しい大陸に行ってヨゼフには移動できるようになった。また、アイリスの左側は、今後もずっと追加されるらしい。ただ、不定期だという。一ヶ月から三ヶ月の間に一個みたいだ。さらにヨゼフ大陸も、エルナの街から新しい道が出来て、同じように追加されるそうだった。

 新しい大陸は、ディアバルト大陸というそうだ。ここは既に170ものダンジョンがあると、公式に出ていて、さらに毎月追加だし、出ていないのも30あるという。こう聞いただけで、これまでのように全部クリアというのは、かなり厳しいと分かる。毎日やっても200日以上、1年以上なのだ。それも1日で終わった場合で、である。また、ディアバルト大陸から開始組の新規参入もあるそうだ。何やら、そこの初心者の街の隣の隣に、ヨゼフとの魔法陣、その先の先にアイリスとの魔法陣があるそうだった。

 すごいなぁと思いながら、俺は今後について考えていた。他の知識といえば、なんでも、クラウと高砂が作ったギルドは、『万象院』を選べたらしい。また、『匂宮』も選べたらしい。マスターやメンバーの信仰でも選択肢が変わるようだという知識を得た。そして、この二つになったら、高砂が劇的に強くなったらしいのだ。順位などは同じなのに、なぜなのか戦うとクラウが圧倒的だった理由が判明したのである。スキル数や他の職レベルかと思っていたそうだが、こちらがかなり関係していると分かったそうだった。知らなかった。また、ギルドを抜けても、一度身につけた信仰は残るらしかった。これは、ルシフェリアから聞いた。まぁ、要するに、ギルドを抜けて新しい所に入ると、増えるという事でもある。今後を考える要素でもある。

 とりあえず俺は、一人で可能な、生産のレベル上げと、上げやすいスキルのレベル上げを開始した。キャラも職も、とりあえず一位のまま、というか、二位や三位になるまでの間は、スキル系と生産をやろうと考えたのである。僧侶はすぐにクラウと高砂に抜かれ、暗殺者はルシフェリアとゼストが一位で、俺は二位、聖職者は一位を時東という人とイリスが争っていて、俺は二位固定という感じで、他は変動ゼロで半年ほど経った。カンストが分かるのは生産だけであるので、とりあえず料理関係と薬剤関係と総合だと武器・装飾具・服飾をギリギリ上げた。泣くかと思った。そのままさらに半年頑張って、総合全部と暗殺者関連の派生スキル一個目と複合スキル一個目を全部取った。取ってから出てきたのは後回しか、よほど気になるののみ取った。取ったというのはカンストということだ。レベル1は最初から使えるのである。数だけなら俺は一位だ。次の半年までに、個別の残りを農耕と牧畜を残してカンストさせた。この二つは、時間が経つとちょこっと勝手に上がると判断したので、他を上げている間に伸びる分を考えたのである。さらにここまでに、聖職者と魔術師も派生&複合の一段階目を上げた。その後、様子を見ていた錬金術師をほぼ追加分から全部上げ切り、生産も全部カンストさせた。そして四年目になった頃から、僧侶と冒険者に本格的に取り掛かり、僧侶を三ヶ月目、冒険者を五ヶ月目に上げ切った。その状態から、二個目以降と、キャラレベルなどの順位を見た。職は、複合スキルが出た今なのだが、逆に一個を極める人が圧倒的に多かった。派生スキルを多数取る人の方が多いみたいだ。聞いた話だけど。

 ランキング表示が四年目に変更になり、各職の上位50までが出るのみで、それはキャラレベルである。だから不明なのだ。生産も総合のそれぞれの上位30以外出なくなった。ただ代わりに月1更新だ。生産は、もうずっと俺が1位だ。薬剤がイリスも1位という以外は、全く変化ない。俺とイリス以外は、微妙に変わっている。ギルドランクは、ギルドの名前しか出ない。15位までのようだ。一位争いは、ゼストとルシフェリアのそれぞれのギルドだ。不動の三位がクラウの所となった。彼らは圧倒的である。なお、クラウの所は、大規模じゃなく、メンバーは十五名前後だと聞いた。十位以内に、なんだかんだで、ラフ牧師の所が入る。イリスとハルベルトの所も、ランキングから消えた事はない。みんなすごいなぁと俺は思っている。俺に関しては、職ランクには名前がもう無い。お店ランクが、『クラン』のランキングとなって、そちらは、一位が『桃花源』と『鴉羽商會』で、二位が『ショコラ・クラフト』で、三位が『紅き黒翼』だから、俺は一位に二個で、これは生産一位とあんまり変わらない。錬金術師に関しては、生産者で錬金術師のみというのもあるし、錬金術師の生産部分以外というパターンの人もいるしで、俺は一覧に無い。イリスとルシフェリアは逆にいる。ただ、一年経っても、8レベルくらいしか上げていなくて、新スキルがそちらでレベルアップにより出てきたとは聞いていなから、上げるか迷うのだ。迷いながら一ヶ月お休みとして、四年半目を迎えた。パーティを組まなくてもできることしかやっていなかったので、たまにみんなとチャットしたり、武器をオーダーメイドしたりという感じだった。けど、生産者も増えてきたし、高レベル帯武器はそんなに必要者がいないというので、俺はあんまり頼まれなくもなっていた。ただ、俺でも理解できるほど、『鴉羽・銘』の武器はやばい高額である。ランキング十位以内に三連続くらいで入り、これを持っている、となると、トップ入りかつ落ちてもトップ経験者を名乗れるらしい。それを聞いてから、ランキングを見て、この人買ってくれそうだという新顔に適した武器を流すようにしている。結構当たっているらしく、購入者の名前を見ると予想通りか、その人のギルメンやフレだと分かったりする。桃花源経由で売っているから、イリスやルシフェリアが教えてくれるのだ。後はルシフェリアやゼスト、他のみんなからもそういう人に関して、あの人ようの武器を作って売ってくれと言われたりするのだ。別にあげても良いのだが、なんかこう、逆に買いたい人も多いという話だった。お金を貯め、彼らを通して頼んでもらうという流れが楽しいらしい。羨ましい。俺も直接頼まれたいんだけどなぁ、と思った……。

 さて、迷ったので、折角なら新しいことでもと思い、複合二個目と、派生内ですごくじゃないがまぁまぁ気になる二個目の取得を開始した。複合は、二個目になると一個目より数が減った。試しに三個目の出現数を確認できるように取って言ったら、これが結構少ない。なので、一気に複合二個目を全部取っていった。派生は逆で、取れば取る程増える。暗殺者と聖職者の複合スキルは減るが、特定二個からなる派生スキルは、一個終わると別のとの特定に変わったりして、全く減らない。一個取ると2〜3個増えるのである……。これはもう全部など無理である。よって、複合の三個目に取り掛かりながら、派生は、以後、高威力になりそうなものを重視して習得していった。まぁ、レベルが高くないと出ないようなのの派生ばっかりという感じで、上から下に辿って行く感じだ。だが、上をやるともっと上に派生する場合もあるので、その時は戻った。そのまま一年経つ頃には、複合の四個目をほぼ取り終わり、一部五個目に入っていて、どうやら五個目までしかなさそうだと判断していた。さらに、複合スキルの三個目以降が必要な派生スキルの威力が非常に高いとわかっていたので、もうそちらからばっかり習得していた。こうしてあっさり五年目になり、以後一年間は、複合を五個目まで取りきり、三個目から五個目の間に出た派生スキルの習得に専念して、それだけと決めたら八ヶ月で終わった。俺としてはここが五年目だったのだが、最初の一年はテストだったから、来年が五周年だと聞いた。五周年目に何があるのかという発表が五か月前となる先月にあったのだが、複数職と複合スキルを持っていると新職になれるというもので、みんなそちらを上げ始めていた。新職は、六つの職業の組み合わせから四つ追加だった。死霊術師・召喚者・鉄槌士・忍者である。錬金術師と聖職者、魔術師と錬金術師、冒険者と暗殺者、僧侶と暗殺者の組み合わせに、各種任意のもう1職および、特定の複合スキルを所持しているとなれるそうだ。なれるというかあげられる。まあ俺はあげられるので上げる。さらにこれを考えるとキャラレベルはあげないほうが良いという事なのか、みんなそちらも止まった。他に生産には、建築と彫刻と土木と大工と製本と執筆が入るそうだった。すごく楽しみである。

 悩んだが、キャラと職を上げる事にした。ちなみに職は、キャラレベルまでしか上がらない。俺は、キャラと暗殺者をまず一気に三位まで上げて、聖職者と錬金術師を二位、僧侶を四位、冒険者と魔術師を五位にした。キャラは課金だ。他は、スキルが高威力だから、経験値がいっぱい貰える自分より強い相手ばっかりの所に行けたので、すぐに上がったという話である。壮絶に吹かれた。何やら、俺は休んでいると思われたらしい。そんな事はない。ずっとやっていたのだ。むしろ誰よりもやっていただろう。その後も着々と上げていき、残り一ヶ月となる最後の発表時には、全部一位に返り咲いた。超気分が良かった。生産も全部一位である。これ、やばいよな。元ギルメンは、みんな爆笑していた。ラフ牧師は、「やっぱ違うね!」と笑っていた。嬉しい限りである。イリスいわく、やると思ったけどやらないと思っていた、という事でよくわからないがまぁ良い。