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俺はそのままキッチンへと行って、本日はレーズンパンを食べた。超美味しいのだ。専門のパン屋さんから届く。そうしながら、明日からの二人分手配と、各業者さんへの清掃しなくて良い部屋の追加や洗濯物が二人分の連絡などをした。後は、冷蔵庫とテーブルの上に軽く食べられるものがある事や飲み物を確認して、そうしてシャワーを浴びた。なんだか上手くやれそうだなと思ったけど、どうなんだろうか。うーん。悩むのは、ギルドだ。ユレイズに行ったら、俺、友達できないような気もする。友達じゃなくて、弟子自称とかが増える気がした。今まで俺にいないのが不思議がられていたから、一人くらい見てみたいが。しかし今日は、ルシフェリアに弟子を自称されたから吹いた。けど、それは、ギルマスのレクスもだるい事態になって迷惑させる気もするし、そういうのが嫌でユレイズに行った時東さんという人に話を聞いてからも良さそうだが、会う機会も特になさそうだ。うーん。かつ、レクスも俺に本気で来いとは言っていない。行ったら迷惑なのか良いのか不明だ。手伝いを何度かして考えるというのもアリだ。さて、その場合である。一体俺は、どこへ行けばいいんだろう? 新大陸なのだろうか? などなど考えながら、シャワーから出て、冷蔵庫に向かうと、レクスがリビングにいた。
「あ、待たせたか?」
「いや、まずルシフェリアからブログにコメントまでもらい、さらにゼストとラフ牧師からも着た上、他の人々も初めて込みですごい反応で、ゲーム内掲示板がパンク仕掛けて、ハーヴェスト外にゼクス兄上が見せてくれた一枚目から五枚目、複合スキルのみ、派生のみ、総合、生産の各スレッドが乱立して、みんなで勉強・検証・検討・相談が始まってる」
「ぶは」
「じっくりキャップで見たかったとか、ギルメンに見せたかったんだとして、ルシフェリアもゼストもグッジョブとの事だ。さらにゼストは、今度俺と会ってくれるようだ。ハーヴェスト宛でメールが着ていた。緊張しすぎて返信内容は忘れた」
「あはは。あいつらな、案外言わないからな、そういうの。ただ、検証以外は、勉強はダメな例の事もあるかもな。いらないのもいっぱいだろうし。検討と相談は、何をだ? 今後の進路か?」
「進路だ」
「ああ、迷うよな。いいなぁ、こういうのをリアルにできるって。俺、ゲーム内ですら、滅多にできなかった……! 昔はしてたけど、最近誰もしないから、俺もまた逆に聞けなかった」
「そうだったのか。俺はいくらでも付き合うというか、俺に付き合って欲しい」
「あはは。いいぞ。俺は誇張じゃなく、365日24時間暇に等しい。レベルキャップがある限りな。残りは、あまってる取り急ぎいらない派生のレベル上げのみだ……」
「ぶはっ、リアルにそれが分かって良いな。俺もリアルに感動している」
「良いよな、こういうの」
「ああ。それと食べ物を置いてくれてありがとう。食べて良かったんだよな?」
「うん。いや、ほら、やる前には腹ごしらえをしないとな」
「ぶはっ、そうなんだよな、それ。空腹の中断はだるい」
「わかる」
「――本当にありがとう。良かったら、中に戻りたい」
「ああ、行くか。さっきの場所か? どこかあるか? なければ、俺の家とか来る?」
「行きたい。死ぬ程行きたい」
「はは、じゃあ、さっきの所で開くから、行こう」
「ああ!」
こうしてゲームに戻った。見たら、ゼストとラフ牧師からメールが着ていた。合わせろという話だ。メールを返したら、両方からチャットが着た。位置を伝えた瞬間に、もう姿が見えた。ゼストが到着である。そのちょっと後、次に返したラフ牧師から着た。レクスは固まった。
「わあああああああああああああ! 本当だ、そっくり!」
「ああ、ルシフェリアに聞いたのか? ええと、レクスだ。レクス、こっちがゼストで、こっちがラフ牧師だ」
「こんにちはー! 俺、ブログずっと見てた! レクス君だ! 俺はラフ牧師です。鴉羽はゼクス作だから」
「俺はゼスト! ゼクスの一番弟子の座は渡さない」
「あ、っと、レクスです」
「あのさ、ゼストとラフ牧師のその高テンションなんなんだ?」
「ん? ゼクスの弟というのと、後だってハーヴェストのレクスって、クラウンズ・ゲート内でいう、モデルのゼクスみたいな存在だからな? 俺、ミーハーだろ? 知ってんだろっ」
「そうそう。俺むしろ、ゼクスの弟より、レクスに会いたかった」
「えっ、そうなのか!?」
「「そうだよ!」」
「レクスすごい!」
「い、いや……」
「あ、俺達俺の家に行くけど、二人も来るか?」
「「行く」」
「レクス、良い?」
「ああ、俺は勿論」
と、なって、俺達は向かった。レクスは、まず俺の家に感動した。まぁ、自分で生産したオリジナルだし、見た事無いからある意味珍しいのだろう。リビングに通してソファに促した。
「兄上、これ……」
「家と同じで悪いな」
「「!?」」
「いや、まぁ……あれは、兄上のブランドなのは分かる。は? ゲームに自宅を再現か? 逆か?」
「え、何、ゼクスの家、リアルでこれなの?」
「まじで?」
「ああ、まぁな」
「ああ……俺も今日初めて行ってこれから住ませてもらうんですが」
「「すごい……」」
「インテリアは、あんまりやってないんだけどな。居心地の良い家を目指して――自宅が先だからな! こっちは後だ」
なんか恥ずかしいなと思いつつ、お茶を出した。微妙に味がする。VR内でだが。そういうのより、気分の問題である。そこから、今度は四人で撮って、お家も撮影になった。リアル住居と同じなのは黙っていて貰う事にした。ゼストインタビューとかラフ牧師インタビューが開始された。ブログに『インタビュー』として出すらしい。逆二名は『レクス君インタビュー』だそうだ。ラフ牧師はブログを見ていたのかとさっき思った俺は、普通にブロガーで吹いた。三人は意気投合している。ルシフェリアの時より、ノリが軽い。しかしレクスは敬語である。不可思議な馴染み方だった。ただ、居心地は良い。そうしたら高砂からチャットが着た。来るという。呼んだら、これには、ゼストも吹いた。ラフ牧師だけ「おおお! 久しぶり! お前、ゼクスのスキル一覧見たがってたもんな!」と明るく笑っていた。高砂も満面の笑みだ。高砂は時東さんの話題を出して、レクスも緊張しながら頷いていた。こうして今度は、五人で撮った。高砂のキャプとか史上二例目らしい。前例はラフ牧師だそうだ。なおこれは、ゼストも撮っていた。インタビューは高砂が拒否した。ちなみに俺も拒否した。
「時東さんと言う人は呼ばないのか? いないの? お前ら知り合いなんだろ?」
「いるけど、来るかな? あいつあがり症だからね。ガチファンだと。時東はゼクスのロードクロサイト色相に憧れて入ったからね」
「ああ。誘ったけど、動揺されて心の準備をすると言って大分経っている」
「時東って、ルシフェリアの所いた聖職者? イリスの運命のライバル的な」
「それそれ。イリスちゃんと時東の喧嘩、面白いよな」
「ラフ牧師、それがあるのも時東が来にくい理由だと俺は思いますよ。だって、ゼクスってイリスと仲いいというか、イリスのみゼクスと親しそうな噂が多数だったからですね」
「ああ、俺も兄上が兄上だと知る前はそういう印象でした。実際親しいんだろ?」
「まぁ親しいよ? けど、イリスは、多くの人と喧嘩をするから、俺慣れてるけどな」
「「「「ぶは」」」」
「え、ゼスト、違う見解か?」
「いや、合ってるでしょ。ハルベルトの件が最初かな、俺が知る限り」
「あはは。運命のライバルは、俺が知る限り、その頃はルシフェリアだったけどな」
「「「「ぶはっ」」」」
「え、なにそれ、その二人の喧嘩とか、世界滅亡のイメージしか俺無いんだけど、どうやってゼクスは対応してたの?」
「ん? いや、高砂、俺はほら、仲裁とかしないタイプだから、眺めてると終わったよ? 無対応?」
「「「「ぶは」」」」
「まぁゼクスって、人の悪口聞いても『そうなんだ』とか『大変なんだな』とか言ってさ、『あいつまじ無理!』とかイリスが言って、俺が超同意して、あの心が広すぎるルシフェリアですら『確かにあれはちょっとな』となった場合ですら、その三十分後に、悪しき人と話してて、俺達が大丈夫だったかと聞いたら『え、何が?』とかそういう感じだからね。捉えどころが無い」
「あー、それ、俺も分かる。俺、イリスちゃんと一緒で人に愚痴るタイプで、ゼクスは聞き役なんだけどさぁ、『そうか、複雑だな』と言って、終わる。で、俺がスッキリしてしばらくしてから、『あの時はああいったけど良い所もあるんだ』と言ってみると『そうなのか。人は様々な面があるんだな』とかだからな」
「ぶはっ、それ俺も思います。抜けてるんだけど、ある種大人って感じな」
「まさにそれ、高砂くんの言う通り。俺、たまに、スキル面とかじゃなく、人間的に弟子になりたい」
「いや、あのな、なんで今日さ、ゼストは俺の弟子風なの? ルシフェリアもだったけど。レクスに不純な動機で近づいたら俺は怒るぞ」
「兄上……兄上が兄上で兄らしい」
「ちょ、レクス、なんだそれは?」
「うん、思ったよりお兄ちゃんだった。いきなり同居とかって掲示板で見たから、どんな空気か気になったけど、ゼクス大丈夫そうだね。じゃ、俺は帰るよ。レクス君もまた。ラフ牧師とゼストも機会がありましたら」
「ああ、高砂、ありがとうな。お前は友達がいがある」
「でしょ? じゃあね」
「ありがとうございました!」
「またな!」
「うん、俺もまた!」
と、こうして高砂が帰っていった。そうしたら、ゼストがレクスを見た。
「あの高砂に友達だと認めさせてるゼクスってすごいよね」
「ああ……しかも自発的に駆けつけて心配してくれるレベルとは……それはゼストやラフ牧師もですが……」
「え、そんなに高砂って来ないの?」
「来ないってより、高砂の友達とか、信者に殺されるからなぁ。一緒に長く居た俺は許されてる。後はクラウ。ルシフェリアとゼストですらアウトだろうな」
「なにそれ? ラフ牧師、俺にはよくわからない」
「多分な、俺が知る限り、高砂より強いのゼクスだけ。このゲーム内で。そして本日のステ公開まで、お前がやばい強いと知ってたのはごく少数。高砂がどっかに遊びにフラッと行くのと鴉羽アイテムを持って帰ってくる事から、恐らく俺の所か――古参はお前の所だろうと知ってたけどな、『変な奴とは付き合ってはダメ』的な釘が常にあっただろうなぁ。時東とか義兄弟とか雑魚扱いされてるしな。恐らく今回は、万象院関係者もお前の緑が緑羽万象院なのもあるし、好意的だろうけどな。じゃなかったら、高砂は身動きすらできないレベルだったと俺は思うよ」
「ふぅん。高砂も大変なんだな」
「ぶはっ、あ、兄上、本当にスルースタンスなんだな」
「まさにそれ。俺がレクスなら怯えて高砂くんとの付き合いを断つレベル」
「ゼストは小心者だな。あんまり人の言うことは気にしない方がいい」
「ぶはぁあっ、いや違うって。うーん、ゼクスは大物すぎる。俺、人生で初めて小心者とか言われたからね? ぶはっ、ツボった」
「スケールがでかいよな。俺達が池の話してる時に、宇宙見てるレベル」
「「「ぶはっ」」」
「ちょ、ラフ牧師、俺それ電波じゃんか、ただの」
「いやそれが不思議とそうではないんだよな。話は通じるんだよ」
「それ分かる。生きていけるか謎なのに、気づくと俺よりずっと余裕ある」
「それそれそれ。こいつ危ないな、大丈夫かな、と思って見てたら、俺の方がやばくないかとハッとすんのな」
「ね。いやぁ、けど、レクス君がいるなら大丈夫かも? ゼクス、良かったね」
「ああ。俺も絶対、廃人バレして距離を置かれると思って焦ってたから良かった。かつお前のブログのおかげで俺の株が上がっていたようだ」
「ぶはっ。ゼクスはネットやる暇とか、掲示板見る暇にレベルだからね」
「うん。けど今後は、思い出したら見てみようかと思う」
「俺、見ないに50万」
「ラフ牧師、俺、100万」
「ぶはっ、確かに俺、忘れっぽいしな」
「じゃあレクスくん、ゼクスをよろしくね。俺も帰る。あ、フレ良い?」
「あ、ぜひ!」
「俺もー!」
「ありがとうございます」
「何かあったら言って! 俺ができる範囲なら話は聞ける」
「俺も俺も。ゼクスには死ぬ程世話になってるしな。この服とか」
「本当にありがとうございます!」
「いえいえ! じゃあまたね。ゼクスもね!」
「ああ、ゼスト、またな!」
こうして、ゼストが帰った。そして、ラフ牧師が細く息を吐いた。笑顔だ。
「俺も帰るわ。次は、レクス君も、俺の所に遊びに来いよ。大体いるから」
「ああ、今度行く」
「ぜひ伺わせて下さい」
「うん。じゃあな!」
と、ラフ牧師も帰っていった。