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 二ヶ月目に入って、やっと人が増え始めた。ルシフェリアが手伝いに行って連れてきた人がかなりいる。後はイリスが初心者の街にPOTを売りに行ったのもこの頃である。俺は、レベル上げも終わったので、ずーっと作る方に回っていた。ルシフェリアの代わりに武器を作って、ルシフェリアが支援している人に持って行ってもらったりという事である。後は素材集めで、これはクラウ達にももらったりしたのを管理だ。いっぱい集まって来たから、使わないと大変だったのである。二ヶ月目に、倉庫が拡張されたから、ちょこっとだけマシになったが、それでも足りない。カバンは10個で変わらないが、倉庫は一人30個までになったのだ。後は共同のお店に倉庫が配布されて、ここも30個である。1個につき99入れられるが、種類がいっぱいあるから足りないのだ。

 三ヶ月目には、大体の人が新しい街――『エルナの街』に来られれるようになった。レベルはまちまちだが。この頃には、ルシフェリアの名前を知っている人が増えた。薬剤ポットといえばイリス、僧侶といえばクラウ、とかもある。後は、『桃花源』が有名になってきた。また、武器と装飾具だと『鴉羽』も有名だ。俺はむしろ、ゼクスより鴉羽の方が知られている。そんな中で、ギルドを作ろうという話が出来たのである。

 ギルドが実装されたのだが、ギルドメンバーだと24人までパーティが組めるというのが、まず魅力的だった。パーティ人数が6人までになったのだが、それを4組まで増やせるのだ。さらに、ギルド倉庫も50枠ついてくる。ギルド露店も出せる。こちらは30枠だ。ギルドチャットも使える。ギルドの最大メンバー数は24人である。

「どうする?」

 という話になったが、メンバーはもう決まっていた。ルシフェリア・イリス・クラウ・ハルベルト・双子の義兄弟二名と俺である。仲良くなって最近このメンバーでばっかりいるのだ。7名である。つまり、パーティで丁度一人あまる、というのもあるし、倉庫と露店は多い方が良い。グループチャットも大体このメンバーだからギルドの方が良い。どうするかというのは、ギルドマスター1名とサブマス2名とその下に執権というのが3名なれるから、それである。これも6名だ。ギルマスは、「やりなよ」という推薦多数で、ルシフェリアになった。本人もそういうのが好きだ。俺は何もやりたくないと言ったら、イリスとクラウもそうだった。ハルベルトと義兄弟はやりたいと言う。だが、三名は執権をやりたいというのだ。えっ、となった。だってサブマス1名は必要なのだ。執権はゼロでも良いし、サブマスも2名でなくとも良いのだが、ギルマス1名とサブマス1名は必要なのである。結果、何もしなくて良いという条件のもと、俺がサブマスになった。ひどい話である。まぁルシフェリアに協力は、したいので良い。

 ギルド名は、『ゼスペリアの教会』である。ギルド創設イベントがあって、一覧から好きな名前を選んで良かったのである。俺達は、これを選択したと言う事だ。なお、一覧の中にあるギルドには、NPCが一つ付いてくるという特典があり、今後解散しても、そのNPCが、ずっとギルドを維持してくれるそうだった。普通はメンバーがいなくなったらギルドは無くなるが、ここは無くならないという事である。一度入ると『ゼスペリアの教会』の称号が貰えるそうだった。それを持っている限り、いつでも復帰できるそうである。さらに、この称号を持っていれば、グループチャットでこの称号のグループで話せるそうだ。なお、『桃花源』という称号も、俺はルシフェリアとイリスと一緒に貰った。つまり、ギルドを今後変更しても、グループチャットの3個目として使用可能という事である。

 この時点で、四ヶ月目にキャップ開放と、抽選組でさらに100人増えるというのも聞いていた。さらにボスの追加だ。その後も五ヶ月目に次のフィールドからダンジョン・ボス、その次の街までが開いて、六ヶ月目の半年時点で公開テスト開始という話だった。六ヶ月目からは、レベル制限が一気に99まで伸びるらしいが、全部を上げると考えると、六ヶ月目までに開放分が終わっているかも怪しいし、どうなるか不明だ。六ヶ月目から半年間は誰でも参加できるテストとなる。先着順で500名が毎月増えるそうだ。また、毎月ダンジョンが追加されるそうで、攻略も大変そうである。生産も増えそうだ。だが、それが良いのである。ワクワクする。という事で、楽しみにしながら四ヶ月目を待った。

 公開テストからは、自分の合成ではなく、ここまでに作られたものから、他と同じようにランダムに運で選ぶ事になるそうだった。何回もやり直ししないと希望にならないという事である。しかしそれも無数にあるから、やり直せばできるというわけでもない。Otherと赤と緑ごとにできるようだった。血核球が最初に当たるから、その範囲でという事になる。他は同じだ。一斉開始となるのは、学習システムで、ここでやっとIQが出てきて、IQが上限じゃないと入れない最高学府、天才技能によって条件が変わる天才機関、その二つとの兼ね合いで所属できるか決まる医療院というのができるそうだった。また、共同露店システムによるお店レベルで、経団連というのに入れるというのもあるそうだ。後は、ここからは、アバターは一個らしい。作成したもののみで、リアルそのままの場合は、変更せずそのままとなるようだ。

 他に、信仰システムというのがあるらしい。唯一崇拝、多神教、無信仰の三つから選べるそうだ。さらに選んだものによって、ゼスペリア教・ゼルリア教・ゼガリア教・万象院仏教・花王院仏教・橘院仏教・月讀神道・天照大御神道・須佐之男神道が追加で選べるらしい。唯一が一個、多神教が教・仏教・神道から各一個、無信仰はゼロ個だが代わりに学習システムで利点があるそうだった。一個の場合もその利点があるらしい。ギルドメンバーは同じ信仰となるそうだったので、俺達のギルドは実装前のギルド宗教決定時に、『多神教』を選択した。四ヶ月目の三日前に選択可能だったのである。名前はゼスペリアの教会だが、別にゼスペリア教に限定というのは無かった。なので、特典で全員持っているから、『ゼルリア教』を選び、仏教は一番攻撃力が強い『万象院』にして、神道は一番生産の効果が上がる『月讀神道』にした。ゼルリアは全員持っていないと選べないし、万象院は、職業の僧侶レベルが五名以上カンストしていないと選べなかったし、月讀は生産レベルを三名以上が全部カンストしていないと選べなかった。そういう理由での取得でもある。後は、『関連文明システム』というのがあって、『ゼルリア』『ラファエリア』『ロードクロサイト』が選べたので、これはロードクロサイトにした。出自五名以上で選べるのだが、義兄弟二人も暗殺者でロードクロサイトだったし、ロードクロサイトにするとPSYとIQが高くなると分かったからである。ゼルリアは回復、ラファエリアは攻撃力らしかった。

 その状態で、四ヶ月目が来たので、人が増えた。レベルキャップが解放されて各80になった。キャラもスキルも生産も全てだ。まず俺達は、攻略をしてから落ち着いて各レベル上げ、という最初からの桃花源の流れを今回もやることにした。最初の三日でダンジョンを攻略して次の街に行った。一番で付いたが、ギルド内では、思ったより時間がかかったという話になった。やろうと思っても一日では無理だったのだ。敵が強いというよりは、フィールドが広大で移動に時間がかかるのだ。そのままひたすらレベル上げに移行した。なのであんまり新規の人と会うこともない。交流重視の人は、初心者の街に溜まるようになったが、俺達は攻略とレベル上げと生産に邁進したのである。次の街だった『コスモの街』は、二週間経っても俺達しかいなかった。ただ、露店の遠隔設置が可能になったので、桃花源を『エルナの街』、ギルドの露店を初心者の街に出したので、飛ぶように売れた。ギルドの露店名は自由変更だったので、こちらは『桃花源クラフト』とした。

 五ヶ月目にもすぐに攻略に出かけた。今回は一週間もかかって唖然とした。その直前にですらコスモの街には五組くらいしか人がいなかったので、ここも俺達しかいない。今度は敵も強かった。今回の街は、『マイセスの都』という巨大な街だった。後一ヶ月でキャップが開放だから、俺は気合を入れた。意地でも全部カンストにしてやるという気分だ。イリスとルシフェリアは生産以外は、暗殺者と聖職者をカンストさせると言っていた。これは、聖職者のスキルにも回復以外もあるし、結構強いというのも理由だ。さらに、イリスとルシフェリアのOtherは、青系統だが、見た目が紫色と赤で、すごく攻撃力があると判明したのだ。俺のも攻撃力もかなり強いが、回復も同じくらいだ。どちらにしろ俺は全部あげるのだが。とにかく上げまくり、結果、俺は全部カンストという目標を何とか達成した……。ルシフェリアも全部ではないが、かなりカンストしていた。他はきっぱりとカンストする場所を決めていて、生産や交流もしていた。俺は全然交流していなかった。レベル上げが死ぬ程楽しいのと、正直VRでも人見知りというわけではないが、あんまり人付き合いが得意ではなかったのである。

 六ヶ月目の手前に、運営さん操作のNPCが、創設イベントで名前を得たギルドにインタビューがあった。各ギルド10名までの、名前・レベル・職業・一枚目のPSY円環と血核球・生産スキル・職業スキル・装備・備考の一覧を提出するというものである。備考は、共同店舗の名前や個人ブランドを書くのだ。提出するというか、これで良いですか、という確認だ。ギルドの全体情報もそうである。ギルド情報は、ギルド名・人数・信仰・関連文明・配布されたNPC名である。全体へのメール、掲示板、公式サイト、ゲーム雑誌に載るそうだ。俺は、『サブマスター』『桃花源』『桃花源クラフト』『銘・鴉羽』『鴉羽商會』が備考である。恥ずかしくも嬉しくもある。テンションが上がった。円環の所には、『ゼスペリアの青』『朱匂宮』『緑羽万象院』と出るそうだ。なんでも、赤と緑はギルドの信仰により、後ろに名前がついたらしい。個人信仰は、多神教としか書いていないのである。こうして、六ヶ月になり、公開テストが始まった。

 とりあえず俺達は、ダンジョン攻略は常に最新を目指す事に決めていたので、この時もこれに取り掛かった。一週間半かかって六ヶ月目のものをクリアした。敵はそんなに強くならなかった。それもあるが、ここからはレベル上げも含めて自由だ。今までも自由だったが、別に攻略のために上げなくても良いという再確認である。自分の好きなのを上げるのは、確実に言われなくても全員がやるタイプだ。だから逆に、ちょっと休んでもいいからなという笑い話をした話である。だって全員が時間さえあればカンストを志すタイプなのだ。なお、四ヶ月目のコスモの街に、ちょこちょこ人が増えてきたがそれでもかなり少ないらしく、一位は初心者の街、二位はエルナの街だから、露店位置は変化していない。よく見に行くイリスは、桃花源のイリスとして有名らしい。後、手伝いに行くルシフェリアと義兄弟二人は、ゼスペリアの教会のマスターと執権として有名みたいだ。クラウとハルベルトは、エルナからコスモの街までの間の、上級者支援をしている。俺とイリスは、ルシフェリアかクラウに頼まれたら参加が多いが、あんまり頼まれない。待機して生産してPOTを渡す方が多い。しかも俺は街を見に行かないし、レベルばっかり上げているから、ぼっち感に拍車がかかった。

 七ヶ月目になって、やはり最初に攻略に行った。これは五日で終わり、ここまでだと二番目に早い。敵は前回とあんまり強さが変わらないし、俺達のレベルは上がっていた。さらに、フィールドの移動が少なかったのも大きな理由だ。なので自由行動で維持である。なんでも雑誌効果などがすごかったのか、攻略速度がぶっちぎりだからなのか、「ゼスペリアの教会のメンバー……」という尊敬の眼差しがあるらしい。吹いた。

「ゼクスも行ってみたら?」

 と、イリスに言われた。ぼっちだと愚痴った時である。うーん、と、思った。照れる。レベルが上がりにくいというのもある。この結果、ひと段落させた組と、俺のように上げまくる組がいて、後者はルシフェリアとクラウである。パーティの方が経験値が美味しい場合は、この三名でほぼ固定だ。プラスして各自である。俺は素材集めも兼ねてイリスとも度々組んでいる。まぁそんな時に言われたのである。迷いながら八ヶ月目を迎えた。

 八ヶ月目は、一週間と三日かかった。敵の感触は変化がないが、二枚目の色と濃度は段々はっきりしてきた。特定の色を合成してルシフェリアが上に上げたのだが、伸びているそれの威力が格段だし、全部上げて何にでも合成している上に濃度調節可能な俺は回復範囲高威力なんていうものが可能になった。回復はそもそも範囲回復がかなり上位スキルで、かつ範囲が広いと威力が弱いのだ。また状態異常解除範囲なんて俺しか持ってない。なんか誇らしい気分になりつつ、八ヶ月と三週目に総合と暗殺者・聖職者・錬金術師・魔術師が99になったのと、生産もカンストしたのとで、少し出かけてみることにした。どんな生産品の需要が有るか知りたかったというのもある。ちなみに学習システムも最高学府・天才機関・医療院は全部上がったし、経団連にも入っている。