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「お邪魔しま――ラフ牧師早すぎ」
「ゼスト、お前は口軽すぎ」
「ぶはっ、え、どれ?」
「どれってどういう意味だよ」
「あー、なんでも無いっ、かな! レクスくん、はじめまして」
「は、はじめまして」
「お前も不純な動機でレクスとフレになるのか?」
「フレにはなりたいけど、不純って何?」
「ラフ牧師が不純だそうだ。多分、テレビ通りのお菓子を作れという下心だ」
「「ぶは」」
「フ、フレ申請有難うございます……で、伝説が三人……兄上以外は、有名人……」
「いやいや、ゼクスは、俺の師匠だから、世間一般の伝説級は全員知ってる。知らないのがむしろモグりレベル。レクスくん、精進しないと」
「え!?」
「間違いないな。ゼストとか別に俺的にその辺にいるが、ゼクスは、再現不可能だからな。モデルとかリアルチート級とは知らなかった。けどズルとかじゃなく、淡々とレベルを上げ続けるし狩るし攻略するし。英刻院とゼクスの2人パーティとか、気づくとアイゼンバルドを余裕で攻略巡りしてるからな。一箇所三分くらいで、サラーって」
「えええっ!?」
「俺は、ハルベルトブログでステを見てゼクスに憧れて開始してゼクスに拾われて、という流れだから、俺はゼクスがいなかったら存在しない。これ、俺ブログの『某フレ』と『某ギルマス』で、つまり、ゼクス」
「な。本当すごいよな。限定テストでみんなとりあえずはじめてるのに、ひたすらステにこったらしいからな。それも、色の綺麗さを重視とか。結果死ぬ程強いしな」
「ぶはっ、ね」

 そこへ、ノックの音がしてから、スっと扉が開いた。

「あ、ルシフェリア」
「――なんというか、二人は早すぎるな。所で外の装置は、PSY融合装置か?」
「そうなんだ。そろそろ見に行く」
「行って良いか? 俺も作ろうと思ってるんだが、手間が生産で一番かかる。武器以上だ」
「だよな。行こう――あ、レクス、すぐに戻る」
「戻ったら挨拶をさせてくれ。はじめまして、ルシフェリアだ」
「は、はじめまして!」

 こうして俺達は庭に出て、再セットまでは語り合い、その後も語り合い、しばらく語り合い、語り合いつつ戻った。

「――とすると、生産個別が各250以上は最低限必要なんだな」
「そうなるな。しかも、素材の素材の用意のフィールド、アイリス右の地下左5」
「厳しいな。まとまった時間が必要だ――ああ」
「あ、レクス、紹介する。ルシフェリアだ」
「改めまして。黒十字同盟の装飾具をいくつか持っている。金赤だろう?」
「え!? は、はい!」
「楽しみだな、黒十字同盟の露店も、ハーヴェストも」
「何々、ルシフェリアさ、桃花源出すのか?」
「ああ。ラフ牧師も久しいな」
「うん。へぇ……そういえば、虎鉄はやらないって宣言してたが、デススターロックって所でやるらしいな」
「そうなのか。楽しみだな。俺もゼクスも武器はそれなりだからな。張りが出る。ラフ牧師は、何かするのか?」
「俺はな、ゼストの同業者だから、二人で本屋さん」
「えっ、ラフ牧師ってそうだったのか?」
「そうそう。ゼクス、俺のも表紙やってくれ。レクスくんと二人で。ちなみに、俺のはゲート内部オリジナルで、既存のスピンオフと、完全オリジナル。レクスくんに依頼書送っておいた。後は、リンクは俺も貼らせてもらう」
「ぶはっ」

 というやり取りをしていた時だった。ガラッと扉があいた。

「ゼクスー! あのさ、ハーヴェストについて聞きたい事があったんだけどそれより外の――……すいませんでした、出直します」

 そしてしまった。

「いや、良いよ橘。入ってくれ」
『メンバーが玄人過ぎます』
「橘、俺いるし!」
『ラフ牧師……』
「レクスを紹介させてくれ! ハーヴェストについても聞いてくれ」

 俺の声に、おずおずと橘が入ってきた。

「あ、えっとな、レクス、こちらは橘だ。ゼストとルシフェリアも俺が会わせるのは初だな。生産同盟のサブマスの生産者カン」
「知ってるよ。えっ、うわぁ、はじめまして、ゼストです」
「ルシフェリアだ。一度話したかったんだ――ああ、レクス、それと橘、フレ良いか」
「「は、はい!」」
「橘さん、俺も」
「あ、有難うございま、す」
「俺はフレだもんな」
「――心臓に悪すぎる。あ、えっと、レクスくん、俺もフレ良い? 俺は、今ゼクスが言った通りかつ、生産のゼクスの弟子で、ゼクスを生産面で尊敬してる」
「え!?!?!?!? フレは、よろしくお願いします」
「聞いた事ある。生産同盟のサイトの料理カンストの秘訣に『カンストの師匠を持つこと』で、ゲーム内の料理カンストは、当時二名。橘さんとゼクスっていう」
「ああ。俺も見た。生産の神様の神様がいたという伝説だな」
「そ、そんな……」
「あ、そうそう、橘、聞いたぁ? ゼクス達、超カッコイイ大規模な露店サイト作ったらしいから、お前、生産同盟にリンクはったら? 貼らせてもらったらレベルでバナーカッコ良いぞ。俺ははる。ゼストとルシフェリアは既にはっていた」
「え、見たい。それに俺のも貼って欲しいな」
「お前のところ、既に貼ってあったぞ、VRモニターで見たら」
「えっ!? あ、ありがとう!」
「――これです」
「――へ!?!?!?!?!?!? う、そ!?!?!?!?!? マジで!? 真面目に!?!?!? これ、いくら積んだの? けど、デザイナー本人だよ? あれ!? あれ、師匠、確かお仕事デザイナー関連……?」
「ま、まぁな」
「え、それさ、二箇所は、わかった。けど、ハーヴェストさ、あれさ、リアル大企業と大元グループ、あれは、何?」
「それさ、天球儀のギルマスがお父さんで、ザフィスがグループの代表なんだって! 俺死ぬほどびびったんだけど」
「ええええええ!?!?!?!?!?!?」
「まぁ、世間は狭かったな。今回の話で明らかにならなければ、一生ならなかっただろうな。全員廃よりで、俺は嬉しいような悲しいような、複雑な心境だった」
「あ、うん。そう言われると納得した。ゲーム好きなんだね、家族で」
「ポジティブに言うならな。そうだ、外の装置、見に行くか?」
「行きたいです」
「じゃあちょっと行ってくる」
「俺も――」
「ルシフェリアは、待って。ゼクスの氷竜ソロを完璧にレクス君が撮ってた」
「なんだと!? 見せてくれ!」
「あはは。普通だ。橘、行こう」
「あ、ああ。え、それ、アイゼンバルドの? ま、まぁ良いや、うん」

 こうして俺は外に行き、装置の話と、露店の話とアンチノワールや黒騎士の話をして、リアル連絡先(半VRメールだが)を交換した。かつ、黒曜宮カフェに、橘のお茶を置いてくれる事になった。超テンションが上がった。

 あと、虎鉄の話を橘も教えてくれた。それで、今、ハーヴェストの話題と、アンチノワールと黒騎士、桃花源、ヴァイオレット・ムーン、エンジェリカの話題がすごいと教えてもらった。照れた。サイトが0時公開の件もリンクを貼ってくれるそうで、俺側は生産同盟も貼ってあったから、良い感じだ。

 けどなんというか、大手古参の集合風で吹いた。だが、橘いわく、黒十字同盟は、最先端で若いのと、アンチノワール&黒騎士もイメージが若いから、そうは感じない不思議だと言われた。

 それで、アースタロット・オンラインの七月一日プレオープンに合わせてリアル店舗で共有商品を出すそうで、アンチノワールのパッケージが欲しいというから、既存の品を見せたら、それを使ってくれることになったので、パターン図を渡した。楽しみだ。

 さて、戻ったら、ルシフェリアが良い笑顔だった。珍しい。こう、爽やかか無表情系クールが多いのだ。橘が驚くレベルだった。

「良いものを見せてもらった」
「ん? あ、動画だっけ?」
「ああ。今から俺達三人とレクスで行ってくる。借りる」
「へ? あ、ああ。いってらっしゃい」
「「行ってきます!」」
「兄上行ってくる」
「ああ。気をつけてな」

 こうして彼らはいなくなった。なので、俺と橘は、お店会議をする事にした。俺は今日は装置だけだと聞いて、橘が、共同店を出したいと言ったからだ。俺も個人で、駄菓子屋デザインとタバコ専門店を作りつつ、上のデザインルームで、二人で仕事しつつである。45分に一回俺はいなくなるが。

 橘は、テディベアショップと、オシャレな時計屋さんをやりたいというので、二個やる事にした。時計屋さんは、プロがいるから参入に迷っていたらしい。俺は参入してからプロがいて焦ったと話したら、「え、けど、ゼクスの方がプロじゃない?」と素朴に聞かれた。どうだろうなぁ。

 テディベアは、橘デザインがあって、俺が服を作った。そこに橘がタグをかけた。時計は、俺が文字盤を作って、橘が腕部分の模様を作った。サクサクできた。ファンシーと超ハイセンスになった。

 そしたら、橘が「リア同期で、俺のリア同期と撮ってくれない? 頼む!」というから、OKして、一緒に撮った。橘は虎アバターなのだが、超イケメンだった。俺よりモデル向いてると思う。

 なので、橘は錬金術師だから、着てくれと要求して、一枚もらった。動物Verでも一枚もらった。激しく照れられた。そうしたら榎波が「私も写真に映りたい。ラフ牧師に聞いた」と行ってやってきたので、榎波には、本人希望で貴族衣装と冒険者甲冑を着せて、バシャッと撮った。榎波はリアルもそのままらしい。

 ロイヤル三つ星の本物のバッチをつけた、プライベートの写真も一枚もらった。すごい。本人も調理師免許があるそうだ。その後、榎波&橘の、橘貴族衣装Verも撮った。紫と緑だ。それから、カフェ的な何かをやろうという話になった。

 牢屋カフェである。全室牢屋で、闇の精霊ダンジョンを再現した。ボス手前の風景である。吹いた。料理は、なんかこうおどろどろしい見た目だがロイヤル三つ星だから死ぬほど美味い。

 試験管に入った飲み物も、見た目は蛍光色だが、中身橘作だから死ぬほど美味い。俺がセット担当という事だ。これは面白かった。それが完成して、榎波が帰っていった。以後榎波経営だ。ちなみに暖簾にロイヤル三つ星×エステリア×黒騎士のマーク入りだ。テディベアと時計はアンチノワール×橘のリアルの『エステリア』だ。そう、エステリアは橘のお店なのである。

 高級豆専門店として、コーヒー好きも紅茶好きもみんな知っている。ロイヤル三つ星も知らない人いないんじゃないかレベルだ。俺のフレ金持ちばかりだ。ただ、VRシステム買えるのは、金持ちといえば金持ちだし、家族で密集もありえるんだったなと納得を再度したものである。

 ちなみに、牢屋で、俺達は三人で自撮りした。リア同期である。榎波、ロイヤル三つ星のサイトに乗せるとか嘘だろみたいな事を言ったので、焦ったら、服は全身アンチノワール指定だった。榎波と橘にもそれを要求で、完全にセレブ友人風リア充みたいになって。吹いた。

 榎波のキメ顔爽やかすぎた。青年実業家以外の何者でもなかったが、普段のこいつは、ただの廃だ。俺を見かけるとPKを試すし。笑った。その後は、橘と雑談しつつ、装置を見た。

 午後になって、橘が帰ったので、俺はどうしようかなと考えた。レクス達は帰ってくる気配が無い。連絡も無いのだが。そう思っていたら、イリスから連絡があって、共同店舗の最終調整をしようという事になった。

 明日からの作業にもう余裕で入れたのである。しかもほぼ終わっている。微修正だけだった。そうしたら、イリスが、雑誌六社を新しくもらってきたから、イリスとの共同店舗ONLYで今から撮らせてくれというから、装置見ながらならばと話して、家に来る事になった。