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 俺は、猫アバターで、桃花源お揃いのチャイナ風の外套に、中は動物VerのTシャツとスキニーだ。スキニーはレベル350暗殺者である。インフィニティの奴だ。武器は、死霊術師の長い鎌で、レベル350のデフォルトに、鴉羽銘である。

 現地には、三名の人がいた。一名がカメラである。二名は手ぶらだ。

「こんにちは、ゼクスと申します」
「――お世話になります。ヴァーパス編集部の副と言います」
「政宗です」
「榛名です」
「よろしくお願いします。初めても構いませんか?」
「――ええ。よろしくお願いします」

 三人が微笑した。最初から笑顔だったのだが、ニコッとしたのである。俺も微笑して頷き、向かい、モーションが終わった瞬間に、まぁ――また消えたとしか言えないだろう。そして、鎌を持って、次の瞬間にはボスの横に立っていた。

 もう終了している。
 時間、4秒で、ドーンとボスが倒れるモーションが20秒で、『クリア』と出た。

「ありがとうございました」
「「「……」」」
「あ、ありがとうございました。それで、申し訳ないんですが、リアル共有、最後に猫耳でもお願いできませんか?」
「あ、はい」

 頷いて、俺は、もう一回出かけた。しかし、結果は同じである。最速はこれだ。多分彼らもそれは知っている。これは、200レベルで可能な対応だからだ。

 武器なども、普通レベルで大丈夫だ。そして、「最後行きます」と行って、猫耳もやり、戻ってから、アバターに戻った。

「有難うございました」
「――それであの、非常に申し訳ないんですが、こちらの装備と武器で試してもらえますか? 猫アバターで良いです。各セット10種類、全て暗殺者です」
「分かりました」

 俺はその後10回やった。これは、競合店の装備だと分かる。エキストラのとか、個人店のとかである。200レベル以上装備だから、全て二十四秒である。

「有難うございました」

 服を返却して、俺は自分の装備に戻った。そうしたら、言われた。

「インタビューを少しよろしいですか?」
「が、頑張りますが、口下手です……」
「大丈夫です! 率直にお尋ねしますが、武器間で使用感覚に違いはありましたか?」
「持ちやすさを追求している武器と、振り下ろす速度抵抗重視の武器の二個ずつは、方向性は四つとも違いますが、個人的には違いました。適正レベルの場合は、速度なんですが、レベルがボスよりも上の時は、持ちやすさだと思います。これは、デフォルト武器の体感でそう思っていたから、俺が思っているだけかもしれないです」
「なるほど。十本を高評価の順番に並べてください」
「――どれも個性があるので、個人的に好きな順でも良いですか?」
「ええ」

 俺は並べた。持ちやすさ1位、2位、共通、速度、速度、残りのデザイン重視四本は横並びの縦、最後の鴉羽銘デフォルトの名前部分にテープは、一位の上に置いた。

「一位の上は?」
「自分のは基本好きなので」
「あ、わかります? すみません」
「いえいえ」
「仰っていた通りの順番だと編集部でも思います。その上で伺いたいんですが、ハーヴェスト武器は、必ずしも機能性重視では無い事に、理由はありますか?」
「俺的に、これを使う頃、機能性や使いやすさよりも、気合を上げたいとかテンション、勢いを上げて攻略に望むぞ、という気分だなと思った場合は、デザインです。同じ効果の露店武器は、普通に溢れているのに、なぜ課金するのかといったら、こう、気合を入れたり、目標を持ったり、と、勝手に思ったパターンが多いです」
「――なるほど。確かに、エグエリアの剣は、ハーヴェストのデザイン重視ですが、同じ効果というか、少し効果が優れたミゼスタの剣は、露店の定番ですしね」
「ええ。マグア杖がハーヴェストで、ルルダ死霊杖が露店定番だとかもあります」
「納得しました。いつ参入を決めたんですか?」
「五月の六日に弟が引っ越してきて、VRを貸してくれと言って、その次の日に、武器店やろうかと二人で決めました。ハーヴェストです。後は、イリスとは、五月の半ばくらいに、武器込みの職店やりたいと話して、そこで決めました。ただ、デザインのみで、俺が趣味で作っていたのが、倉庫に結構あったりしました。ハーヴェストは、レクスの提案で俺がデザインが多いです。レクス配色とかも結構あります」
「そうなんですね! 早いですね」
「好きなんです……こう、やると止まらなくて。ずっと、やっていて、終わると爆睡して、という流れです」
「なるほど。次、俺が暗殺者&僧侶&錬金術師&蘇生、こちら暗殺者&聖職者&魔術師でカンで行くので、ミレイゼ渓谷地下2階フロア&ボスをお願いします。そちらは自由です」
「あ、はい。直で良いですか?」
「はい!」

 パーティを貰った。二名が出るみたいだが、カメラの榛名さんも入っている。副さんが僧侶だ。全員レベルなどは非公開設定だが、カンと聞いた。どうなんだろう。戦うのかなと思いつつ、移動した。

「指示ありますか?」
「俺達からは無いです。逆にありますか?」
「大丈夫です」
「分かりました。では、行きましょう!」

 こうして、進み、モーションを見た。終わったので、俺は消えた。出ると同時に範囲でフィールドモブが全滅し、ほぼ同時に俺がエクゼスラーナという剣でボスの首を切り落としたので、『クリア』となった。終わって見たら、一応戦う体制だったようだが、彼らはポカンとしていた。

「えっ、ソロ!?」
「しかも、五十二秒?」
「うわぁ……すみません、舐めてました。ここ、だって、ソロとか初めて聞きました。パテ最速が三十秒とは聞いてましたが……すごいなぁ」
「あ、あの、先に仕事として、生産風景を見せていただきたいんですが」
「あ、は、はい。俺の家――は、今、あ、大丈夫だ。行きますか?」
「「「はい!」」」

 そうして移動した。建物を見て「動画通りだ」と彼らは呟いていた。

「これが、今作っているPSY融合医療装置で、あちらがこれから納入するギルドホーム群で、こちらが医療用復古聖遺物で、こっちはスキル書類です。実際に作った方が良いですか?」
「お願いします――350レベルのPOTの青神の秘薬をお願いします。五分と聞いています」
「あ、はい。行きます」

 ポンポンポンと、俺は、素材倉庫から瓶と素材、それから近くのマイ噴水から水、ハーブ園から素材、これをとって、すり鉢に入れて、ピンと押して、棒を動かした。そうしつつ、レシピを取り出して、三枚渡した。

「こういう感じです」
「「「!」」」
「あ、有難うございます……!」

 微笑して頷き、そこから、今度は、ビーカーに薬液素材を3つ入れて、すり鉢の中身を移した。そして、煙を見ながら、ポンポンポン、と音がするのを聞いていて、煙が消えて、四分四十七秒で完成した。

「できました」
「「「おお……」」」
「試して良いですか?」
「あ、はい、けど、どうやって?」
「こちらで、PK手前にします」
「えっ」
「行くよ」
「おう――っ、……うわ、1秒かからず全回復」
「「おおー!」」
「有難うございました。それと宗教建築を見せて頂けませんか?」
「は、はい」

 俺は、この人々やばくないかと思いつつ、中に通した。そして左を開けて、先を見た。

「ここです」

 頷き彼らが、見に行った。俺も行ったんだけど、扉を開けて、中を見る彼らを見ていたのである。大人数は入れないのだ。かつ彼らも別に俺のコメントはいらなそうだった。見に来ただけな気がする。そうして全部の部屋が終わった。

「有難うございました」
「いえ、こちらこそ有難うございました。何か召し上がりますか?」
「タバコを是非。オリジナルと聞いて興味が」
「ああ、分かりました。こちらへどうぞ」

 俺は微笑してリビングに通し、タバコセットを出した。三名が今までで一番テンションが上がった顔をした。そして四名で喫煙した。ファッションかどうかは不明だ。一応コーヒーも出した。

「インタビュー再開しても良いですか?」
「あ、はい」
「ライバルとか、いますか?」
「猫アバター双巨峰として、英刻院閣下と肉球バトル程度で他には特に」
「「「ぶは」」」
「知る人ぞ知る、猫です」
「な、なるほど。不覚にも吹きました」
「英刻院閣下と、に、肉球……」
「すごいな、ある意味……くっ」
「ええと、戦闘キャラ面、攻略歴史面、生産面、現在の露店課金情報でお願いします」
「う、うーん……僧侶戦だとクラウが強いです。俺もあの錫杖使いをマスターしたいと常々思います。暗殺&転移三&魔術速攻なら、英刻院閣下が早いですね。あれ格好いいと俺は思います。攻略は、イリスとラフ牧師とゼストは、やる時の気迫と根性と熱意と勢いが凄すぎて、一人でもいると、『あ、これ、攻略に成功する!』と、無駄な確信を持てるので、俺の歴史を振り返ると、好敵手と書いてマイバディみたいな」
「「「ぶは」」
「生産は、ルシフェリアと橘ですね。あの二人といると、癒されれて」
「ルシフェリアが癒しですか?」
「ええ。ゲーム内で一番優しいです」
「「「ぶは」」」
「橘は、意外と厳しいかな。そこがまた、こう、気が引き締まるから好きで、それで、ホッとした時にコーヒーくれるのがまた良いです。あの二人の気遣い力を、俺はいつも尊敬していて、永遠のライバルというか目標です」
「き、気遣い?」
「はい。それに気遣いできないと、生産は、俺無理だと思います」
「「「おお……」」」
「露店課金情報は、実は、俺、七時過ぎに起きて、ハルベルトの生放送が終わった瞬間くらいに昨日寝たので、ログインしてすぐ、ダンジョンに伺ったので、ほぼ何も知らないんです。その範囲だと、アンチノワールの内部独自と黒騎士の内部独自は、果たしてどちらが伸びるか、自分VS自分ですが、意識を切り替えてデザインしているので、楽しみです」
「そうだったんですか。長いですね。いつもそれくらい寝るんですか?」
「いや、PSY融合医療装置が、45分に一回、再セットで、23時間ずっといないとダメだったんです……あれ、確実に、複数人クランかお店で作るものでした……始めてからそれを知って、呆然としながら、必死に眠気と戦い、戦闘後、寝ました」
「「「ぶは」」」
「すごいですね。また、どうして作ろうと思ったんですか?」
「それが、弟とお店やると決まったら、弟が広告を打つと言って、打つことになったら父上――天球儀のギルマスが察知して、やってきて、祖父もやってきて、こちらもアースタロット・オンラインをしていて、この祖父が、VR医学マニアで、課金露店になぜなのかVR医学の専門資格登録だとか医師免許とかがあり、それらを満たすと出現するPSY融合医療装置と、後はゲーム内部からあった医療用復古聖遺物をどうしてもどうしても飾りたいというので、聞いていたら俺も見たくなって、作成を開始しました」
「その噂、噂じゃなくて、事実で良いんですか?」
「ええ、祖父は医学マニアです」
「いや、そっちじゃなく! 専門資格登録!」
「あ、ええ。調理師とか、色々ありましたよ。俺が見たのと桃花源でチェックできたのは――」

 として、俺は一個ずつ話した。すると段々彼らは唖然とした。それから非常に興味深そうにメモをした。