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こうしてパーティを組んで、トレード画面にした瞬間、レクスが息を飲んで目を見開いた。口がパクパクしている。ふふふっ。気分いいなー!
「あ、あ、あ、あ、あ、兄上! 約束する! するから!」
「良いだろう。絶対だからな。約束だぞ」
俺は頷いて、トレードOKを押した。すると神速でレクスが受け取った。瞳がキラキラしている。頬が紅潮した。完全に俺を見る目が変わっている。
「兄上有難う! 愛している!」
「ははは。どうだ、見直したか?」
「見直した」
「戻って座ろう。なんか倉庫にしまうならしまえ。装備もしたければしろ――もう、してたな。うん、似合う」
「わー! まずルージュノワールは欲しかった。これはいつか買うつもりだった。だからそれは良い。売り切れで買えなかっただけだが、再入荷したら買えたかもしれないからな。だ、だだ、だけどな!」
歩きながら俺は頷いて聞いた。
「他は正直無茶ぶりしたんだ……どうせ持っていたとしてもPOTだろうと思ったから。POTであっても鴉羽ならすごいんだけどな、けどな、うわー! わー! 額もやばいけど、金があっても買えない。そして俺には、金も足りないレベルの鴉羽武器だ。一個も俺には買えない。そ、それが……うわー! というか、俺、俺、初めて鴉羽武器を見たんだ。そ、そ、それが、うわー! だ、だってこれ、ルシフェリアしか持っていないだろう……そう思っていた……ルシフェリア武器なんて神剣だ……わー! し、し、しかも、桃花源……桃花源なんて、幻だっ!!!!! それに、それに、闇竜セット!! 鴉羽の闇竜セットなんて、ルシフェリアですら持っていないはずだ! だって欲しいって書いてあった! 欲しいものインタビューに! 兄上、本っ当に有難う!!」
「レクスが喜んでくれて俺は嬉しいな」
「喜ぶもなにも、今なら死ねる。本当に泣きそうだ。ユレイズじゃ絶対に手に入らない。鴉羽なんて。けどな、鴉羽は鴉羽でも、この内容は、アイゼンバルドですらも無理な神装備だ!!! 伝説級だ!!!」
「あはは。意外とヨゼフにしか鴉羽武器無いからな。アイゼンバルドは、エクエス・トルネードの方が多いだろう」
「兄上は、本当に錬金術師だったんだな! 生産商人と聞いて、舐めてた。プロだった。ガチだった。有難う!」
「うっ、い、い、いや……レクス、頼むから廃人へのコースは諦めろ」
「今後のやる気が再燃した」
「ちゃんと規則正しくやるんだぞ? ご飯食べるんだからな?」
「ああ! ご飯も兄上から話を聞けると考えると楽しみになった」
「ぶはっ」
「俺はあんまり自慢は好きじゃないんだが、ギルチャで叫んでしまった!!!」
「う、うん。うーん、まぁ良かった」
キラキラした瞳で興奮しているレクスとベンチに座った。もう十一時である。
「兄上、ちなみに、どうして持っているんだ? 聞きたい! 教えてくれ! ルージュノワールがポストに入っているということは、あれは、あれは、兄上が売る側企業ということだよな? 兄上は、デ、デザイナーだ! ま、まさか!?」
「うん、まぁな。俺のブランドで、リアルマネーで参画してる」
「!!!!!」
「買ってくれていて、俺、嬉しいな……」
「一番人気のオシャレブランドのデザイナーが兄とか俺も嬉しい……」
「レクス……」
「兄上を心から見直した。ただのひきこもりじゃなかったんだな。むしろ家から出なくて良い」
「ぶはぁっ、ちょっ」
「他は? 他は? 長くやってるって、俺と同じ年くらいの頃って、それってもう、結構前だろう? いつからやってるんだ? ま、ま、ま、まさか、知り合いだったりするのか?」
「まぁ、ちょっとな。知り合いといえば知り合いだ。開始は――ま、まぁ、その、あれだ。一番最初からだ」
「テストからか!? 公開? 抽選? 限定?」
「限定だ」
「!!!!!!!!! すごい!!! 最古参!!!!! ゼストよりも前か!?!?」
「まぁな」
「うわああああああああ!!! 知り合い!? なぁ!?」
「ゼストとか?」
「そ、そ、その、ルシフェリアとも」
「まぁな。両方知ってるぞ」
「!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ルシフェリアの装備言ってたし、ファンか?」
「ああ!!!!! 俺の憧れだ!!!」
レクスが、俺を完全に尊敬する顔になった。なんかこう、優越感がある。