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 しかしまぁルシフェリアは人気だ。ゼストもそうだが、あの二人は、ネットでも伝説のプレイヤーとされているから、まぁわからなくもない。俺は、クランリストで、ログイン状況を見た。ゼストもルシフェリアもいる。けどまぁ、ルシフェリアだろう。という事で、チャット画面を起動して、文字で連絡してみた。『今何してる?』である。直ぐに帰ってきた。

『セントラルで待機している。どうかしたのか?』
『リアル弟と、ついにゲーム内で話をするに至ったらお前のファンだったから。アイテムで餌付けして夕食を共にする約束をしたんだけど、お前から、規則正しくゲームしろって言ってくれないか?』
『ぶはぁっ、ああ、良いぞ。今どこだ?』『俺達もセントラルで、右の時計の下のベンチ。俺、この前の福の神』
『今行く』

 と、俺はやりとりした。その間、口頭では、レクスと笑顔で会話だ。

「ゼクス」
「ああ、ルシフェリア」
「!?!?!?!?!?!?」

 突然のルシフェリア来訪にレクスが固まった。俺も周囲がざわっとルシフェリアに合わせて割れたのを見た。みんなレクスとほぼ同じ反応でキラキラした目で、ルシフェリアを見ている。フードをばさっと、俺の近所で取った瞬間の事だった。

「弟のレクスだ。レクス、こちらは、ルシフェリアだ」
「!!!!!!」
「初めまして。ゼクスとは、大親友だ」
「!?!?!?!?!?!?」

 完全に遠くから見たことがある程度の知り合いだと思っていたのだろうレクスが驚愕したように俺を見た。ルシフェリアと俺を交互に見ている。ルシフェリアが『大親友』とか言ったからだ。ルシフェリアのフレとか、双子の義兄弟二名とハルベルトくらいしか知られていない。ゼストともフレだとは知られているだろうが、なんかこう、ゼストとルシフェリアは大親友というよりライバルだし、義兄弟やハルベルトは、弟子やちょっと下くらいの扱いだから、この発言には、周囲もびびっているのが分かった。俺への視線の集中もやばい。福の神で良かった。

「レクスは、もしかして、ユレイズのハーヴェストのギルマスか?」
「は、は、はい!」
「ルシフェリア、知ってるのか?」
「ああ。有名だ。ユレイズの攻略初開放ギルドだからな」
「そうだったのか。規則正しく攻略すべきだと思うんだ、俺」
「ゼクス。お前には誰も言われたくないだろう」
「ぶはっ、ちょ、ルシフェリア!」
「レクス、よろしく頼む。良かったら、フレでもどうだ?」
「い、良いんですか?」
「ああ」
「有難うございます!!!!!」
「ルシフェリア、レクスに変なことを教えたら俺怒るからな」
「あ、兄上はルシフェリアに怒る事が可能で、かつ兄上が怒ったらルシフェリアには問題があるのか?」
「ゼクスを怒らせたら、俺は引退を考えるだろうな」
「「ぶは」」
「ルシフェリア、お前さ、俺をどう言うキャラに持っていきたいんだよ?」
「ゼクスはゼクス以外のキャラは不可能だろうな」
「本当にフレだとは思わなかった……」
「ゼクスのフレになるのは困難だからな。兄を誇りに思っていいだろう」
「えっ!? 逆じゃないのか?」
「はは、俺よりもゼクスが上だ。俺がギルマス以外をやったのは、後にも先にもゼクスの所だけだ。ゼクスが俺のギルマスだ。俺とゼストがサブマスだった」
「ええええええええええええええええええええ!?」
「伝説のギルドの幻のギルマスだからな。非常に強い」
「!?!?!?!?!?!?」
「鴉羽クラフトというクラウンズ・ゲートの情報サイトの管理人で、鴉羽銘で武器などを生産している生産の神様でもあり、俺とイリスと一緒に桃花源もやっている」
「!?!?!?!?!?!?!?」
「ルシフェリア、俺アゲは、そろそろ良いから、規則正しいゲームについて語ってくれ」
「あ、あ、あ、あ、兄上、事実か?」
「そうだぞ。ちゃんと夕食に来たら、なんでも教えてやろう」
「食べる!!!!!」
「さて、そろそろ行く。またな。レクスもいつでも連絡をくれ。俺も今度改めて連絡をする」
「あ、ありがとうございました!!!」

 こうして微笑し、ルシフェリアが去っていった。人混みはルシフェリアをキラキラした瞳で見ている。また、俺が、『大親友』で、納得したようだった。俺結構すごいじゃん。だって「鴉羽クラフト!?」「鴉羽!?」「まじで!?」みたいな声が聞こえる。ルシフェリアがいなくなったのに、俺への視線が半端ない。それから、ルシフェリアを見送ったレクスが、俺を見た。

「兄上……俺は、兄上の弟で良かった……」
「俺もレクスが弟で良かった。ただな、廃人路線はやめておけ。この際言うけど経験談だからな。俺は、確かにルシフェリアとフレだけど、ゲーム内でもぼっちだし、リアルに至ってはお前がよく知る通りだ」
「フレ、何人いるんだ?」
「……十八人だ。レクスが十九人目だ」
「厳選しているんだな。ルシフェリアが言ったとおり」
「違うから! ぼっちなんだって!」
「そういうことにしておこう」
「あのなぁ、レクス……」
「なんだか満たされた気分だ」

 そんなやり取りをしていたら、既に十一時四十五分だった。すぐそばに時計があるから、俺は気づいたのである。