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二人共キャラレベルがカンストの350だから、職の暗殺者のレベルを問わずに職350と同じ速度、さらにその複合5個目の加速が自動的に上乗せされる装備だ。勿論、暗殺者もスキル自体上げている俺は、もっともっと早いわけだが、この装備があれば、それのみの人と同じくらい早くなるのだ。これで避けられなければ諦めるしかないだろう。
しかもそれ、靴装備である。体装備は、聖職者の防具で、こちらは自分への治癒魔術が自動発動だ。怪我をしない装備ではなく、しても治る装備である。意外とこれはみんな知らないのだ。二人も効果を確認して息を飲んでいた。さらに帽子、こちらが怪我をしない装備で、バリアを全面に出す。空気膜で、相手の攻撃がゆっくりになる。他にもやろうと思えばいくらでも渡せるが、とりあえずこれとした。そうしたら、身につけていた琉衣洲がハッとした。
「複数装備ができる」
「――! 本当だ。兄上に先程貰ったものと重ねられる。ただし、重量は増す。普通に装備の重さも感じるようになった」
「そうなのか? 速度は維持できる重さにしてくれ。レクスは武器もそれなら良いとして、琉衣洲は、職は?」
「あっ、暗殺者と魔術師で、聖職者が少しです」
「ちょっと待っててくれ」
という事で、俺は鴉羽武器三つを倉庫から持ってきて、手袋もそれ用のを持ってきた。プラス二人にお揃いの結界ネックレスも持ってきた。ガチガチの装備である。あと、せっかくだから、ルージュノワールの黄色貴族セットを上げた。レクスと色違いだ。琉衣洲にトレードで渡したら涙ぐまれた。だからそんな場合じゃない。
「俺、死んでも良い……」
「琉衣洲、俺も先ほどその気持ちになった。あ、着替えたのか。俺も着替える」
「わぁ」
二人が貴族衣装で武器を持ち、嬉しそうな顔になった。瞳がキラキラだ。俺は、HP回復薬をPOT×99とお弁当×99(持続全回復)を渡した。鴉羽商會だ。二人が感激した。まぁこれだけあれば良いだろう。そう思って、さらに『お泊り浴衣セット』を渡した。トランクスも入っている。二人がびっくりしていた。
「洗面所に歯ブラシもあるから。お前ら、お部屋は、客室を二人で使うか? なんかギルド相談とかありそうだし。シャワーは洗面所だ」
「兄上、そうしたいと思っていたんだ」
「本当に有難うございます」
「いやいや。それに本当に敬語じゃなくて良い」
「わ、わかった」
「今後に備えて休もう。俺は朝シャワー浴びる。お前達も自由で良い。冷蔵庫の中とか倉庫の中とか、テーブルの上の飲食物は好きに食べてくれ。あと、POTと食べ物&飲み物は、念のため、いくつかカバンにも入れておいてくれ。おやすみ」
「「おやすみ!」」
という事になった。俺はまだ眠く無かったが、二人は二人で話したそうだったから、空気を読んで部屋に戻ったのである。それで――ちょっと考えた。多分だが、二人は、自分達のギルドへ、飲食物と衣類を支援したいはずだ。シャワーを使ったら、それも欲するだろうが、それは俺も行かないと無理かつ、みんな分散しているというから諦めるだろう。また、俺に結構気を使っているから、あんまり自分達からも言えないだろう。うーん。
532人と言っていた。結構多い……。まぁルシフェリアも知っていたレベルだし、初攻略だから有名でもあるだろう。統制も取れているし、現時点での飲食物確保だってすごい。クランに関しては、他のギルドに入っている人もいるというし、別に今は良いだろうが。うーん。定期供給は、あんまり望ましくない。できなくはないが、宛にされても困るからだ。レクスと琉衣洲は兎も角、俺は善人ではないのだ。
しかし、弟達のギルドへの情熱だって分かる。俺はギルドにそういう思い入れをした事は無いが、周囲にはそういうタイプが多いからだ。さらに鴉羽武器への感動を見る限り、あんまり頼る宛とか情報をユレイズ外でくれるギルドもないかもしれない。そう考えると助けてあげても良いとも思う。
フィールドに行かないのを条件に、とは、思う。だが、ユレイズの有名ギルドならば、ユレイズの大陸クエストに乗り出すか、乗り出させられる可能性はある。そんなのダメだ。飲食物があったら、尚更行っちゃうだろう……。
一応、飲み物は、水は各街の公園の水道だとかがあるから、粉末のお茶とかインスタントコーヒーとかをあげれば良い。自分達で節約して使えるものだ。コップは、一応水筒。それなら550個くらい送れる。食べ物……食べ物……。マジカルクッキーにしよう。回復効果はゼロだが、『体力が戻った!』というアナウンスが出るから、多分お腹は満ちる。五枚入りで袋に入っている。一枚一枚も大きいから、ゆっくり食べて貰おう。「非常食」として渡すのだ。
後は、『塩』の小瓶だ。これは『スタミナ回復』である。MPがちょこっと回復するが、生産の素材だ。それをオリジナルの瓶に入れたものである。全て鴉羽商會の製品だ。書斎に行き、水筒&マジカルクッキー&塩(小瓶)のセットを作った。箱に入れたのだ。これを550個作った。あまりは、レクス達の予備としてもらおう。後は、少しはギルド外のフレとかも混じっていそうだからそれ用だ。
プラス、絶対いる、下着というか、その代わりでフリーサイズの男性用水着を箱に3着、水遊びTシャツを2着入れた。どちらも濡れるの前提だから、手洗いできる。万能石鹸も固形一個だ。飲み物の粉末は、大きい瓶で20個だ。これは、街に一個計算である。どうせ水道は共通のはずだ。
これだけあれば良いだろうと考えて、眠った。そして、朝の十時に起きた。