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ここに料理・POT×2枠・武器・オシャレとして、まずはエーデルワイスを整えた。料理は、回復用軽食の初心者用、POTは5枠がHP回復初級、5枠がHP回復中級、8枠がMP回復初級、2枠が状態異常回復初級であり、1枠というのは99個だ。武器は、全職の初級武器で10種類である。オシャレは、安価なカバンの見た目変更やネックレスとか色々だ。この内容なのは、料理初心者用&MP初級&状態異常初級が、まず露店に存在していなかったからである。中級以上で高いのしかない。料理も上級者が使うのばかりだし、オシャレは非常に高いのしかない。武器も、初級用は置いていない職も沢山ある。しかも高い。俺は、安い低レベルを揃えたのだ。低レベルといっても、20レベルくらいまで使えるだろう。アンチノワール銘だ。作ってあったけど銘を入れて無かったものに入れただけである。入れるのは、ハンコのように押すだけだから楽だ。ギルメンは全員既にこれができるようになっている。ちなみにアステナの露店は、検索した結果、やはり時東が言ったようなメンバーがいる気がした。全体的にレベルが高い。だから料理1枠POT3枠武器1枠とした。料理に関しては、今後この先を探索する人用の形態上級職である。10種類のお弁当だ。POTはHPとMPと両方回復の全部最上級を10枠に99個ずつ置いた。全部同じ種類で、HPかMPか両方というだけだ。そして武器は、8個がアンチノワール銘で、2個が鴉羽銘だ。2個は客寄せのつもりだった。武器も99個置けるのだが、まぁ売れなくても良いかなと思っていた。だって一個10億だ。露店は10億までの品物しか置けないのである。
さて、満足した、と、思ったら、完売通知が来たから何かと思ったら、鴉羽武器が二種類とも完売していて、990億ゴールド×2となっていた……え。アンチノワール露店の収入になり、ギルド資産に加えられた。露店の信頼性が『最優良』になった。露店の資産順位がベスト10に入った……。なんかすごいな。ちょっとテンションが上がった。
これ、客寄せ効果はあったのかなと思ったら、アステナは、料理とPOTも完売していた。アンチノワール武器も順調というか――見る間に数が減っていく。超売れてる。レベルとして、キャラカンストで、職が1つはカンストかそれに近いくらいの上級者想定で出したのだが、これで需要があるというのは、結構すごい。多分、現地にいなくても、知り合いがそのレベルなら、代理で買ったりというのはあるだろう。しかも銘が違うだけで鴉羽だしな。さすが、俺、とか、ちょっと笑った。そうしたら、エーデルワイスの方からも完売通知が来た。初心者料理とMPとオシャレだった。MPはやっぱりなぁと思った。料理とオシャレは、初心者の頃って欲しいのに手に入らないから、納得の満足だ。初心者側は、元々追加予定だったので、露店倉庫から自動追加で、そのお知らせが来たのである。同時にこの結果、露店倉庫の枠が増えたので、露店倉庫にも追加した。99個単位よりも、ちょっとずつ買って行く人が多い。客足が途切れないだけだ。10個とかで買うのは、初心者支援をしている人だろうなと思う。武器もそうだ。適度な初級者武器が全然無かったからだろうが、支援者らしき人が10個全職とかで買っていた例がある。後は、1個ずつ売れている。うんうん、いいな。
迷ったが、アステナは、とりあえずPOT枠30も全部料理にして、40枠でお弁当を売ることにした。売れた速度的に需要がありそうだったから。10種類のお弁当の各枠を4としたわけである。こちらはそのまま、倉庫からの自動追加規模を増やして、POTも追加を止めて、その位置にも自動でお弁当追加に変えた。売り切れ表示は出さないようにした。変わりに、武器は、見本もそのままに、売り切れ表示を出している。ただし1枠には、今度は、『鴉羽商會』の、水筒を99個置いた。これは、POTを10枠追加できるカバンであると言える。これも即座に完売した。そしてこちらも売り切れとした頃、アンチノワールの武器も完売が出た。これもわざと売り切れだ。なんかこう、レア感の演出である。中々手に入りません、みたいなのだ。さて――この結果、露店規模を100にできるようになった。設置数も10に増えた。早いだろう……。ただ、設置予定地は特にない。それに一番大きいのが5の10枠合計50個だったのが、100の10枠で1000個だ。1000個か……。既に売上が、2000億を超えた……。
これは悩みどころだ。とりあえず倉庫から供給しているから、売り切れ無しで、複数枠分に等しい供給はできるのだ。これは、在庫表示に関連するだけだから、別にどちらでも良いのである。また、置こうと思えば俺は、1000商品とか余裕である。ちなみにアステナのPOTを止めた理由は2つで、一つは俺以外の所が売れなくて値下げを余儀なくされたから、もう一つは、時東と相談してからにしようと思ったからである。ぼったくっていた連中はざまぁだが、良心的だけどレベルが低いというパターンで、ただでさえ生産代がかかるだろうに大打撃みたいな露店もあったからである。逆に、料理はHP回復とMP回復しかなくて、お弁当のように各職業特化の効果切れまでHP持続回復&攻撃力アップみたいなのは一個も無かったのもある。これらは攻略最前線で大規模ギルドか、売りに来た生産ギルドが売っている場合が多いのだが、最前線は、各大陸の新規追加フィールドであるから、新大陸の敵も弱そうなここにはまだ露店としては無いのだろう。あるいは、最初はあったかもしれないが、思いのほか、購入者が高レベルで、売れるお弁当が無かったのだろうな。無論、特定スキルの威力がアップだとかもあるから、お弁当だけで1000もやれるが、汎用性が高い方がいいから、今は10種類で良い。武器は、アンチノワールの名前を売るのとプレミア感演出だから、とりあえず売り切れたら終わりにする。後はスキル書を、高砂と相談して、置くかどうか決めよう。確かに、高レベルが秘匿というよりかは、ギルドの力量上げにより、ギルメンだけでやり取りとかというのは多い。
増やすなら、初心者街のエーデルワイスである。うーん。一応、防具・体装備各種と、武器も剣は剣でも、長剣・双剣・大剣とか色々あるといえばあるのだ。装備の方は20レベルくらいでも使える、で、良いが、後ろは、そうするよりも、20レベル前後が使い、30レベルくらいでも効果がある、というのがいい気もする。しかしドカンと40くらいが使い、50レベルくらいまで耐えられる、としても、30からも使えて良い。とりあえず、〜20までの装備各種を作って、エーデルワイスの規模や枠を増やした。それの売れ行きを見ながら、20レベル前後武器と40レベル前後武器を用意した。装備がガンガン売れるので、武器より足りなかったのが分かる。だが、用意したものも追加してみた。そうしたら、40レベル前後武器が飛ぶように売れた。ほう、と、思って 40レベル前後装備を出したら、こちらが即座に完売した。これを見ると、初心者・中級者手前・超上級者で、エーデルワイス&アステナは構成されているような気がした。
という事で、店舗を分けて増やす事にした。エーデルワイスに初心者特化とその他、アステナには超上級者とその他として、4つを展開したのである。レベルとしては、初心者から20レベル過ぎまでのお店である『アンチノワール・クラフト』というエーデルワイスの初心者のお店が1つある。エーデルワイスのもう一箇所は、『アンチノワール商會』である。ここが40前後で、30〜50レベルくらいまでに対応している。アステナは、『アンチノワール・クラフト&ワークス』が、超上級者である。そして、『アンチノワール商會』が、汎用でレベル関係なく色々置いてある感じとなった。各、100種類99個である。中身は超上級武器以外は露店倉庫からの自動追加で、俺は露店倉庫をひたすら大きくして行き、10億枠各99個という、一番の倉庫規模になるまで拡張した。ただし全部使っているわけではない。また、倉庫が終わったので、四店舗の枠に埋まっている分が完売したら、販売終了設定をした。別に俺は商人になりたいのではなくて、増やせる枠を増やしたかっただけである。その観点からの需要模索もあるが、一応こちらは、「初心者頑張れ!」とか、「支援者ファイト!」みたいな気分でもあった。
楽しく没頭していたら、5時間くらい経過していた。うう、一人だった。何やってんだ俺。そして他の奴らも何してるんだろう? エーデルワイスのアンチノワール商會と、アステナのアンチノワール・クラフト&ワークスが終了したので、俺は立ち上がった。初心者向けのアンチノワール・クラフトと、アステナの方の超上級者以外にも有効なお弁当および誰でも使える料理やアイテムがごちゃまぜのアンチノワール商會は、開店放置である。ずっとその予定だ。アステナの超上級者露店は、気分と流れで今後もやる。エーデルワイスの中級者は、定期開店放置にするか気分にするかは悩む感じだ。これは、その二箇所は、やるんなら今後は新作を出そうと思うからだ。本日は、在庫を売ったからである。銘だけアンチノワールにしたという事だ。
さて、ギルドホームの中に戻ると、二人共いなかった。ん? と、探したら図書室にいた。装備は変わっていた。俺の武器庫や防具・装飾品など、色々なパターンだが変わっている。時東と高砂が、二人共白衣オシャレで吹いた。
「なんでお前ら白衣なんだ?」
「俺、これ、死ぬ程欲しかったんだよ」
「実は俺も。和服オシャレ別に嫌いじゃないけど好きでもないし」
「ぶは。似合ってるぞ、二人共」
ちなみに白衣オシャレは、最高学府・天才機関・医療院のレベルを全部100以上にして、またどれか一つを200のカンストにしていないと着る事ができない。しかも天才機関は初期ステータスが無いと入れないから、天才技能かIQステータス、PSYステータスが高くないとダメだ。出現させるの自体も大変だが、高い設定だと使えるようになるのが遅いから、これは捨てている人がかなり多い。また、最高学府の医学レベルを上げないと医療院は上げられないとか、色々あるのが学習システムだ。無論俺は、全てカンストである。この二人も、高いレベルということだ。それに白衣オシャレは、条件も厳しいが、生産数も超少ない。なにせ白衣を着れる生産者以外作れないからだ。服飾スキルを持っていないと作れない制服などは大量にある。だが可能者が少ない。俺も、白衣作れる人、俺自身しか知らない。イリスも多分できると思うのだが、カンストしていても、レシピを習得しているか不明だし、レシピを覚えてから何度も作らないと、最高のでき、というのが中々できないのが生産だ。俺は無論最高のできしか作れないレベルになった。繰り返せばそうなるのだ。レシピも知らないものは、今は無い。今後の追加分となる。
「俺、露店やっていい感じかなと思うけど二人は何してたんだ?」
「うん、スキル書を見て、『これ、本当に貰っていいの?』って言おうかと思いながら見ている内に、欲しいのありすぎたから、ダメと言われても困るしと思って、全部習得だけ先にさせてもらって、怒られたらばっくれようと思っていたら、時東もまた同じ考えだったため、二人で持ってないのを全部習得して、ゼクスの様子をチラ見に行ったのが一時間前くらい」
「そう。で、お前が露店に熱中してるから、売上を見たら3000億とかになっていたから、よしそういう事なら、装備見に行こうと思って行ったら『これ、本当に貰ってもいいのか?』という感じで、だが見るうちにダメと言われてもやはり困るからありったけ貰って置こうと二人で貰った。自分が欲しいのを一通り入手し、ああもうこの装備なら死んでもいいとかいう気分になりながら、せっかくだからと生産スキルを見に来たのが30分前」
「そうそう。で、見てみたら生産スキルが凄すぎて、時東が今度はそれを乱獲開始したから、俺も眺めていて、欲しいのは貰ったかなと思いながら、そろそろ何か追加できそうなのはあるかなと見始めたのがついさっき。時東が生産も含めてスキルを終えたあたり」
「俺、本当にもう死んでもいいレベルだ」
「俺もだよ。なんだか、ゼクスに会うまでの悩みがどこかへ行方不明になった」
「あはは。お前らって本当に大げさだよな。うん、露店がいい感じだと思ったんだけどな、熱中して我を忘れて気づいたら一人でやってて、ああ、十年この繰り返しで、こうして俺はぼっちになったんだなと痛感した。脱出すべくこっちにきた」
「「ぶは」」
「スキルは、とりあえず俺が好きなのチョイスだから、高砂が追加検討してくれるのも考えつつ、後で図書室の内容考えた方が良いかもな。なんかな、露店の売れ行き見てたんだけど、最初に時東が行った通り、他から来てる時東みたいな超上級者と、後はここからの新規初心者、それからなんか40レベル前後くらいが多い気がしたんだ。スキル書売るかとかギルドのメンバーどうするかとかは兎も角、図書室に置いとく奴もお客さん来るとしたらその辺のレベルかもしれないから、20レベルスキルとか40レベルスキルの本とかもいいかもなって思った。後、露店は、POTを出す奴は、時東と相談だと思うけど、アンチノワールの瓶を作った。とりあえず、ロゴだけ二人共見てくれ」
「もう見たよ。クオリティ高すぎ」
「これは感動的だった。お前才能あるよ」
「あはは、本当か? 良かった。今、アステナの店舗の一個が、汎用ごちゃまぜ系だから、スキルレベル上げる時に作ったのと、元々得意な奴、POTはそっちに、と、思った。初級・中級はエーデルワイスに一箇所ずつ。で、相談なのは、超上級向けPOTだな。出すとすぐ消えるけど、他のお店は売れない。スキル書は、中級者装備が爆発的に売れたから、こう、ちょっと持ってるとテンション上がる初心者〜中級者が取れる派手な魔法みたいなのを高砂と相談かなと思った」
「露店検索した時に、四つもあんのかよと吹いた。弁当は、倉庫にも全部入れてくれ」
「ああ、分かった。入れとく」
「POTはなぁ、買ってる連中の名前見た限り、買い占めじゃなく不足だし、売れなくなった店は、個人的にアステナからエーデルワイスへの移動を検討するんじゃねぇかと思うから無視で良いだろう。HPとMPと状態異常は、俺も在庫があるから、アンチノワール銘で、露店倉庫に入れられる。一応最優良だから出来は同じはずだ。ただ、全回復は、俺も売れる程の在庫は無い。前のギルドに供給しまくってたからな。作れるが、素材はここの倉庫のを貰う事になる。ただ、それ作るよりも、今回覚えさせて貰ったスキルを上げたいから、三つのみ出したい」
「了解した。そうか、じゃあ他は気にしない。POTは、じゃあ俺、全回復とエーデルワイスやる。時東は、アステナの3つ。それで、売れた収入は、ギルド露店の資産から自由に取る感じというか、まぁこう、お金使う時は、露店分から使うとかでいいのか? ギルド資産でも良いしな、俺、こういうの分かんないんだけど、どうしてるんだろうな、みんな。俺、今まで、なんかこう適当に生きてきたんだけど。置いた店で、売れたら喜んで、お金いる時は、そこから無言で出してた」
「自由に取っていいんならそれが望ましい。売れてない分も取るかもしれないけどな」
「ああ、お金に困ったら使って、後で他のが売れたら補充でいいんじゃないのか? 高砂もスキル書を売るか検討してる段階では、品出さなくて使う感じだ」
「え、良いの?」
「うん。じゃないと、ギルドの資産の使い方がよくわかんない」
「俺はありがたく使わせてもらうが、普通は、会費をギルメンから奪う事はあっても、ギルドの資産を使っていいなんて言わないんだ」
「そうなのか? 知らなかった。何に使ってるんだ?」
「修繕費とかでしょう?」
「ああ。あと、スキル書代や武器貸出費用とかで、超高額の場合も多い。無料でスキル書をくれる上、武器も無料なんていうのは、高レベルギルドでは基本的に無い」
「へぇ。じゃあ、これは、ギルマスとサブマスの俺達三名はこうだけど、今後の加入者はそうではない、という事にしておいた方がいいな。募集しなかったり誰も入らなければOKだけど、入る場合は、まずは俺達だけ。そして入った人が1人とかなら、お前らが良いと言ったら、良い事にしよう。俺、よくわかんないんだよな、そういう細部」
「俺達が良いというのが非常に嬉しい」
「うん。なんかこう、こんなに支援された気持ちでありがたいのは、初心者の時でも無い」
「分かる。しかも上目線じゃないのが良い」
「だよね」
「あはは。ええと、あと、時東は生産スキル上げるのか? これから。高砂は何する予定?」
「いや、俺は全部のスキルを上げたい。覚えたものも今までのものも。特に複合とかな。あと、お前が鴉羽クラフトの管理人だと聞いたからロードクロサイト色相の相談がしたい」
「俺も時東と同じ。俺の場合は、ロードクロサイト色相じゃなくて鴉羽色相の相談。スキルもだし、職もだし、全般的にレベルを上げたい。今まで出来なかったやりたい事がそれ。正直もう人の支援じゃなくて、自分のレベルを上げたいし、してもらえるんなら支援されたい感じ。疲れた」
「わかる、高砂、すごく良くわかる。同じ意見だ」
「でしょ? しかもさ、まともな人に相談したいのにいなかったのに、目の前に一番質問してみたかった人が現れたからね」
「まさにそれだ。ゲー歴とかじゃなく、情報量と上手さ。これに尽きる。実力は当然としてな。頭おかしい古参しかいねぇからな」
「だよね」
「――うん、とりあえずお前らは大変だったようだな。ただな、俺のハードル上げないでくれ。俺、『この程度だったのか……』と言われる未来しか描けない」
「「ぶは」」
「けどな、俺もその二つの相談相手すごく欲しかったから、話したい。あと、それ以外のスキルも、お前ら覚えてくれてしかもレベル上げるなら話せるって事だろ? 俺、スキル相談なんてもう何年もしてないから、わくわくしてる。楽しみだ。なんかこう、相談しながらあれこれ試したいみたいなのがあるのに、なぜこの十年ぼっちだったんだろうな」
「「ぶは」」
「支援になるかは分からないけど、モブの殲滅は出来るし、一緒に遊んでたらレベルも上がると思うんだ。だから三人で、フィールドかダンジョンでレベルを上げよう。なんかこう、空いてる人で行き、後で来たら合流、みたいなの。そういうノリに憧れている……」
「ぶはっ、うん、俺もそういうノリが良い。何時から何時まで支援します、とかより」
「わかる。そうだよな、遊ぼう。ゲームだからな」
「うん。あとはまぁ、各自でやる奴とか二人でやる奴、そういうのは適宜で。露店に出すやつは倉庫に入れて、設定しておいてもらうか俺に言ってもらったら追加するし自由に。俺は一応、この新しい大陸のフィールド見るのと素材見るのを遊びつつして、露店観察とかもしたいかもな。俺基本、睡眠時間以外いるけど気にしないでくれ」
「あはは、分かった。けど俺も大体いるけどね」
「俺もかなりいるから安心してくれ」
「気が楽になった。とりあえず俺、これで良いかなと思うけど、募集とかするか? 露店とか落ち着くまで、俺は別にしなくても良い気もする」
「うん、俺、しなくていいし、しないで欲しい」
「俺も落ち着くまで待った方がいいと思う。ユレイズは俺が抜けていなくて地味な騒ぎ、高砂は各地で騒ぎ、さらに新大陸はものすごい勢いで『鴉羽の武器が売っている!』『アンチノワールという謎の高性能露店!』という大騒ぎになっているからな」
「ん? 時東と高砂は存在感あったんだろうなと思うけど、露店、本当か? なんだそれ、テンションちょっと上がった。どこで騒ぎなんだ?」
「グルチャの武器情報総合とか新大陸情報総合とか露店クランチャットとか」
「わぁ。本当だ。部屋名がそうなっている! いいな、これ」
「素直に嬉しそうな顔してるのが驚きなんだけど」
「だって俺、こんな経験ゼロだからな」
「まぁゼクスは全く見かけないとは言っていたが、ぼっちだからではなく、近寄りがたい存在であり、高レベル帯のどこかにいる幻の存在みたいなもんだったからな」
「それそれ。ルシフェリアでも連絡取るのに躊躇するレベルのプレイヤー的な扱い」
「え!? そうなのか!?」
「ああ。凄すぎて、逆に本当の上位しか存在も名前も知らないレベルだからな」
「ね。知ってるかどうかで、相手のレベルも分かるよね」
「おう」
「お前らそれは俺を褒めてるのか? 遠隔的にぼっちだと言ってるのか? 誰も知らない、存在も怪しい……座敷わらし?」
「「ぶは」」
「それはそうと、クランチャット、俺達のはどうする? このままやっとく? 誰か来るかもしれないし、もう誰も来てないから今後も来ないかもしれないけど。ギルドに入れるとか入れないとかじゃなく」
「――アンチノワールで、建てるか?」
「と言うと?」
「露店にしろ、ユーザー需要にしろ、エーデルワイスとアステナの現地にいる奴らと直で話す方が色々わかるし、ゼクスはフレ作りたいんだろ? それなら、まだ街チャットは混雑でフレ作りって空気でもないし、ブランド名でアンチノワールの名前も今広まったからグルでも話せば良いかもなと思ってな」
「ああ、なるほどな。今後顔を合わせる人とか来るかも知れないという事か」
「俺、それ入らないけど見たい、って場合許される?」
「うん。申請者をギルドで、そうならなかったか?」
「なるな。じゃあ、俺も発言するか分からんが作る」
「え!? 時東も見てるのか?」
「お前が話してお前がフレを作れ。俺はスキルを上げに行く。今は確認もしたいし上げる順序も考えたいから、一人になりたい」
「うん、俺も時東と一緒かも。ちょっと一人で試しつつ上げてくる」
「分かった。合流する時は教えてくれ。あ、作ってくれて有難う。じゃあ俺は、話しつつ、ギルドホームでまったりか、必要な場合、街に行ってくる」
と、こうしてみんな頷き、別れた。