【2】使徒ゼストの導き
ゼストは、ゼクスに、倉庫からさらに巨大なスーツケースを持ってくるように言った。
言われるがままに一番大きいスーツケースを手にして、礼拝堂へと向かい、地下へと降りる。そしてまず地下一階で、祭壇の中に隠し扉があると言われた。
見た目からは全然わからなかったがゼクスが触れると扉が開き、そこにはガラスケースに入った、銀の剣の飾りが付いているネックレスが三つ、銀色の梟のバッチが一つ、白銀色の羽のネックレスが三つ、銀色の王冠がついたネックレスが三つあった。全て銀の鎖がついていた。
それぞれのガラスケースを言われた通りに、空のスーツケースに入れて、さらに二階に降りる。
そしてそこにも、やはり祭壇の後ろに扉があり、そこからはガラスケースにこちらも入っているアメジストの薔薇付きの金色の懐中時計を三つ取り出した。そして一つは即座に身につけるように言われたので、ベルトの紐に鎖をつなぎ、他二つはスーツケースにしまった。
さらに黒い逆十字架で、黒にも銀にも見えるネックレス入のガラスケース二つもしまった。それから、さらに下へと降りた。
そして、左の壁にあった戸棚を開けるように言われて、そうすると、淡い緑の数珠が無数に入った箱があり、全てに濃い緑の紐が付いていた。
それを箱ごとスーツケースに入れた。
さらに金色のフードのようなものと袈裟もしまうように言われたので、そのようにする。
スーツケースに、斜めにするとギリギリ入る、金なのだが虹色にも見える錫杖も突っ込んだ。
それからさらに下へと降りて、左の打掛をまずしまうように言われた。
これは八つも重なってかかっていた。
その後、奥にあった戸棚から、黄色から橙色になる扇子、橙色から黄緑色になる扇子、白と緑から鮮やかな緑になる扇子、白と桃色から鮮やかな赤になる扇子、深紅から真紅になる扇子、完全に紫の扇子をそれぞれ確認させられた。間違いなくゼストが言う通りのものだと確認した後、木箱に戻してそれも全部スーツケースに入れた。
そして下の段にある平べったい木箱を開けるように指示された。
そこには指の付け根から第一関節まで覆う形の、指輪らしきものが五つあった。
黄金で黄色に輝くもの、黄金で半透明のピンクに輝くもの、黄金で紫色に輝くもの、それが中央にあり、少し離れた右端には黄金で緑に輝くもの、左端には黄金で青に輝くものがあった。
それからフタを閉じてそれもしまった。
続いて右側の戸棚に行き、青紫のフチ取りの鏡を二つ、黒曜石のフチ取りの鏡を二つ、金色と虹色で大体が橙色に見える縁どりの鏡を一つ、金色と青緑のフチ取りの鏡を一つ、それぞれガラスケースに入った状態で、これもしまう。
その後、赤や透明、青、紫、緑と、とにかく様々な勾玉が入った木箱をそれごとしまうように言われて、それもそうした。
さらに一番下の段に蛇が絡みついたような剣が一本あり、それもスーツケースに入れた。これはスーツケースを斜めにした場合、半分ほどの大きさだった。
――みんなにはここに居ろと言われたのだが、ゼストはさらに下へ行けという。
ゼクスは……ゼストに従うことにした。
すると岩壁で中央にガラスケースがある他は何もない空間に出た。
そこでまず、中央の銀色の聖剣をしまえと言われた。
錫杖と斜めに交差するように入れると、なんとか入った。
続いて右側にあった、虹色の文字盤をしている銀色の腕時計と、銀色の懐中時計が中に並んで浮かんでいるガラスケースに触れ、それもしまった。
ゼスペリアの聖剣とゼスペリアの医師の終末時計だと使徒ゼストは言ったが、ゼクスにはいまいち分からなかった。
そして最後に左の端の、金の毛皮がついている、王様が着るような赤い外套と、ルビーなどが散りばめられた金色の王冠をしまえと言われ、なんとか押し込んだ。
その上、椅子の横にあった豪奢な宝箱も入れろと言われた。重くてもう持てそうもない。そう思っていたら、ゼストが、いつも身に付けている腕輪の二つ目のPKとOtherのボタンを押せというからそうしたら、重さが軽くなった。複合技で重みを消したらしい。
それからゼクスは、言われるままにさらに地下へと向かう。
そこには――各種の兵器があった。ゼクスはビクビクした。
ゼストはこれまでの大きな赤いスーツケースの上に、そこにある薬品類の入ったケースをのせて片手を開けろというので、ゼクスはそうした。
その後、兵器の並ぶ合間を進み、真正面の出口付近に置いてある、巨大な黒いスーツケースを持つように言われた。これもキャスターつきだ。その隣にはリュックがあり、それを背負えとゼストは言う。
続いて、黒いスーツケースをもって扉を抜け、さらに階段を下りた。
するとそこにはアクセサリーが並んでいた。
――ゼクスはこれらを見たことがあった。PSY融合兵器だ。
ゼストはそこのガラスケースにあるものを全部、壁に掛かっている横掛けカバンに入れろという。ゼクスは怖かったが言われた通りにした。そして肩からさげ、また扉の前にある、今度は小さめの白いアタッシュケースを、黒いスーツケースの上に乗せてもてと言われたのでそうした。
そうして正面の扉に向かった。
幼い頃にも乗ったような記憶があった――エレベーターである。
それで地下まで降りて扉から出ると――そこは廃棄都市遺跡だった。
ゼストはその迷路のような場所を、とにかく直進しろという。
ここまできたら仕方がないのでゼクスは直進した。