【7】目が覚めたら



「飲みながら聞け。二番目の寝不足は、礼拝堂と同じ効果にもう時期なる予定のこの部屋およびお香と同じ効果が期待できるさっきの青い打掛さらにザフィス神父の点滴より優れた俺の自作品により完全に解消される予定だから、おそらく非常事態が発生しない限り困らなくなるだろう」
「そ、そうなのか? 俺はお前は出来る子だと信じていた。けどあの打掛、捨てなくて良かったな。なんかスーツケースが満杯になりそうだったから捨てようか悩んだんだ」
「きちんと今後も身につけておくように。亜空間収納は身につけた状態で。絶対だ」
「ああ。うん、そうする」
「しかしながら、それと昼間の眠気は別問題なので、眠気が出たら俺あるいは身近にいるやつに即座に伝えて俺を呼ばせろ。俺がいない場合は政宗。どっちもいない時は、とにかく寝ないように心がけろ。死んでも寝るな。いいな?」
「なんでだよ? 寝せろよ。時東、お前いつからゼストになったんだよ」
「いいから従え。約束だからな。それと、貧血。これなんだよな。これが俺も気になって、俺が不眠症になったらどうしてくれるんだ?」
「お前にも似たような打掛渡す、それをパジャマにしとけよ。あ、よく眠れる効果付きだからパジャマなのか?」
「そういう意味ではなかったが、まぁそれはありかもな。それより貧血。とりあえず、輸血は完璧に用意してあるから、体感的にも状態的にもそれをやってる間は平気だ。で、原因に関して、ラクス猊下と橘宮様とレクス伯爵と桃雪匂宮様の見解をお聞きしたいと思っていて全員ここにいるし、そこに俺と政宗込みで、これの相談を後でしてもいいか?」
「いいわけないだろ。悪いだろうが。みんな忙しいし、そんな話はしないでくれ。それこそ俺の胃に穴が開くだろうが。超ロイヤルの集合だろうがその人々。というかこの場にいるほぼ全員、俺から見ると雲の上の人だ」
「いや、相談するから」
「時東……それ、俺に聞いた意味ないだろ」
「ちなみにこのベッドの周囲に何人いると思う?」
「へ? 俺、横になってるからお前しか見えない……点滴中だからPSYコントロール装置でPSY知覚情報も切れてる……まさかいるんじゃないだろうな……どうしよう……なんちゃら総取りとか言ってしまった。とても失礼だ。けど沢山匂宮様はいて、かつ、同じ名前の人がいっぱいいるから、俺にはとても覚えられない……」
「きっと怒らないだろ。ま、怒ったら怒ったで謝っておけ。それで、その過程でお前の病気情報と生体データとPSYおよび頭の出来具合等の話をしたいんだ。かつ生育歴の検討もあるから、全部彼らに言う」
「ああ、別にいいけど。なんというか、俺が馬鹿だとか最下層の貧しさについて語るのか? それ以外は、別に変わったの特にないだろ。だってこの病気、数百万人もいるんだろ? かつ俺の生体データとかPSYとか、血液型が三十万人に一人ってところ以外目立たないだろ? まぁ貧血の話なんだから、それだろうけど」
「まぁ大体そんな感じだな。それで、この部屋で話すから、誰に聞こえるか不明だけど、別にお前的には良いんだよな? 変わった所が無いんだから」
「いや、できれば、俺はちょっと頭が良さそうな感じかつ、最下層についてはこうオブラートにつつんでくれ。俺は時東を信じている。俺がちゃんとこう、そうだな善良な牧師であり、かつこうなんというか貧乏じゃなく清貧な暮らしとかをしてるということにしてくれると願う。また、できることならば、俺の好物がゆで卵と広めてくれ。あと、クッキーの差し入れがあると喜ぶことを特に橘に強く伝えてくれ」
「まぁ俺は信頼されるに値する人物であるので、お前が牧師をしながらクソ貧乏な生活をしていて食費の節約も栄養失調の原因の一つで小球性貧血を引き起こしている可能性をきちんと伝えつつ、橘にクッキーを焼いてこいとはいうが、ゆで卵は本日の好物であるだけで、体調からオムライスが食べられないから言っているだけだと判断し、正確にお前の本当の好物がライチであると広めておく」
「食費の節約と換言してくれた部分はまぁ良いけど、貧乏のところ、もうちょっとなんとかならないのか? こう、ほら? なんだろうなぁ――……あれだな。宗教院のお給料が少ないからだという部分を強調してくれ。そして本当にラクス猊下にお話するんなら、お給料を上げてくれるように頼んでくれ。あと五百円でいいから! お金といえば……お前さ、俺が見た限りまた点滴パック増えてるけど……俺、医療費払えないんだぞ……俺は増やすのではなく減らせと言ってるのに、どうしていつも増えるんだ……俺が貧乏な理由の一部は絶対医療費だ。あ、いや、むしろそれを前面に押し出していこう! 医療費のせいで食費が無い風に行こう! そして本当は払えてない部分ばっかりだというのは診療所とお前が自腹だというのはちゃんと言っていいけど俺も出してる感を漂わせてくれ」
「まぁ確かに俺は自腹だが、研究費として国からもらってるの、をきちんとPSY関連病に対して使ってるだけだから、誰にも文句なぞ言わせんし、お前が気にする点はゼロで診療所は基本無料が国の発案だし、お前はきちんとお金を払っているのでそれに関しては伝えるが、宗教院の給料でいこう。500円とわず今後500万円くらい増やすように提案しておく」
「いやそれ無理だろ。最下層の平均収入3万円だぞ!? ガチ勢は他で補っている。俺は宗教院のお給料でギリ、三食食べられる程度だ。500万円とか無理だろ、常識的に。5000円でも驚愕するぞ俺。たぶん時東のいう500万円と、俺の中の500円は、同じくらいの意味だから、500円で良い。セレブは黙っていろ!」
「俺がセレブなら次に目を覚ましたらお前はゼストの写し身として讃えられてるかもな」
「んなわけないだろうが」
「ちなみに今、眠気は?」
「非常にすっきり目が覚めた朝みたいな気分でゼロだ」
「――今度は?」
「え? 今言ったとおり――……あれ、お前なんかした? 眠くなってきた」
「よく眠れる俺オリジナル点滴の成果だ。オムライスかは不明で作成者が榎波になるかも不明だが夕食まで少し寝てろ」
「う、うん……おやすみ」
「おやすみ」

 と、こうして時東がPSYで刺激を送るとゼクスがそのまま眠った。
 スヤスヤと寝ている。
 時東はそんなゼクスをしばらく無言で見ていた。

「ゼスペリアの医師が診るならゼクスも安心だな」

 その時誰かが言った。すると、時東が凍てつくような瞳をした。

「本当にそう思うのか?」