【5】十二使徒
まず、『第一使徒:ランバルト』だ。現在のランバルト大公爵家の始祖であり、ローランド法王猊下は、この直系の末裔である。この人物は、唯一、第二使徒ヴェスゼストより早くから使徒ゼストと共にいた存在だと言われている。よって、ヴェスゼストの『もう一人の師』とされているのだ。なお、使徒ゼストが神と知る前からの『友人』であるが、『信徒ではない』とされ、他の十一名とは異なり『神の友人』であるらしい。
それでこの人物というのが、ハーヴェストクロウ大公爵家の分家の一つだった『エリアス伯爵家』の『ランバルト・エリアス伯爵子息』なのではなかろうかと言われているのである。使徒ゼストと最初からいたというのだから、使徒ゼストも血縁関係があるのかもしれないとの見解もあるが、そちらは諸説あるし、教会院は関知しておらず貴族院にも記録はない。貴族院の生存記録にも『エリアス伯爵子息』の名前は無い。だが、仮にそうだとすれば、英刻院大公爵が避難先として選んだと考えられる。ハーヴェストクロウ大公爵の指示であった可能性も高い。しかし、特に避難していた場所に関しての記録は、一切残っていないので、確かなことはわからない。
次が、『第二使徒:ヴェスゼスト』だ。そもそも『法王』とは『第二使徒ヴェスゼストの代理』のことであり、『東方ヴェスゼスト派の開祖』である。現在の花王院王朝開始直後から、ゼスペリアの教えを『東方ヴェスゼスト派』として広めた人物であり、使徒ゼストを器として宿った、主の一番の信徒とされている。教会を作ったり最終的には教会院として絶大な権力を持つまでの宗教としたくらいなのだから、使徒ゼストを真面目に進行していた直弟子で間違いないし、終末というか前文明の滅亡という大混乱を知っているわけだから、元々広がっていたゼスペリア教や旧約聖書も熟読したのだろうとは分かる。それはそれとして、仮に使徒ランバルトが避難先ならば、使徒ゼストもそこにいたのだろうし、よって二人の弟子といえるヴェスゼストも同じ場所にいたと考えるのが普通だ。また、使徒ゼストが「契約の子」と認識されていたとするなら、「使徒ゼストの保護・避難」のために、一緒にいたとも考えられる。
つまり、『ラファエリア王家の血筋』と『契約の子であり神の器の血筋』の人間が一緒に避難していたのではなかろうか、ということなのだ。
さらには、『第三使徒:オーウェン』である。この人こそが、『花王院王族の祖』であり、現在の世界の、『初代国王陛下』だ。今なお、『国王陛下とは使徒オーウェン代理』であるとされている。普段は、『人を総べるため、使徒としての仕事の免除されている』という形式になっている。院系譜的にこの人物は『最後の花王院本院総代』である。
院系譜は、御仏に仕える者は、人としての戸籍を喪失し、神の手足となる、という理由から、素性記録は残されていない。だが、なにやら『花王院総代は、王家の出自であった』という一行が見つかったのである。『王家』とあり『王族』ではない。つまり『ラファエリア王家直系』だった可能性が高いのだ。王族ならば、分家か兄弟姉妹となるが、違うらしいのだ。そして昔からこの時代は、王家や王族の人間が、有事の際に院系譜で秘匿保護されていたらしいのである。
また、『第九使徒ラファエリアの福音書』に、『主のご加護により、甥の一粒種と再会できた』という記述がある。使徒ラファエリアが、最後のラファエリア王弟とすると、二人兄弟だったそうなので、甥というのは、『兄である国王の実子』であるはずで、『即位しなかった第一王位継承権』ということになる。なお、最後のラファエリア国王には、第一王子と他に三人の子がいて、全員殺された記録がある。甥は一人しかいないわけだが――その子供がいたのではないかと、考えられるわけである。さらに『ラファエリアの福音』には、『一粒種は神の御業を使えなかったが、敬虔な者だった』とあるのだが、これは『花王院血統』と同じである。また『第三使徒オーウェンの福音書』には、『祖父がくれた白百合の首飾り』というものが出てくるのだが、白百合は、ラファエリア王家の証であり、くれたのだから、王位継承権を与えられたという意味合いに読める。第一王子は即位前に殺害されているのだから、祖父のラファエリア最後の国王から譲り受けた王位と読めるのだ。
つまり花王院王家とは、ラファエリア王家の末裔でもあり、秘匿されていた王位継承権をもつ、国王孫――第一王子の息子も一緒に避難していたと考えられるわけである。だとすると、使徒オーウェンが国王になったのもすんなりと理解できるし、『神の御業が使えなかったから人を統べるのを任せられた』だとか、そういう観点より納得しやすい。
さらに『第四使徒:ルシフェリア』である。『欠番の第四使徒』と呼ばれ、十二使徒の一人だが、『聖人としては認定されていない』という存在だ。理由もきちんとある。この人物は、なんでも、使徒ゼストをゼスト自身の命令により殺害したらしいのだ。よって『欠番』となっているのであるという。また、『ルシフェリアの福音書』は存在しない。ルシフェリアは、ゼストを殺害後、ヴェスゼスト達とは離れて生涯を終えたため、執筆しなかったという話である。
ちなみに、ハーヴェスト侯爵家の始祖とされるので、即ち『ギルドの創設者』ということになる。なので教会院が認めているわけではなく、ギルドの主張だが、『ギルド総長』とは『欠番の第四使徒ルシフェリアの代理』であるらしい。さて、先にも書いたが、ハーヴェスト侯爵家というのも『ハーヴェストクロウ大公爵家の分家の血を引いている』らしいのである。貴族院の記録に生存していたという記載は無い。だが、『ラファエリア王家の分家であるルシフェリア大公爵家当主の配偶者は、バンダイン侯爵家の出自で、息子が一人いた』という記載があり、バンダイン侯爵家とは、ハーヴェストクロウ大公爵家の分家の一つである。名前は伝わっていないが、ハーヴェスト侯爵家は、ハーヴェストクロウ大公爵家の分家の末裔だという古い記録が貴族院にあるし、使徒ルシフェリアの末裔なのだから、そちらの意味でも末裔なのは確かだ。なにより名前が『ルシフェリア』である。
なお、ルシフェリア大公爵家当主は、ハーヴェストクロウ大公爵家の人間、正確には最後のハーヴェスト大公爵の兄か弟のどちらかが最初の配偶者であったらしく、そちらに二人の娘がいたらしい。ただし詳細は記されていない。ルシフェリア本人は、ラファエリア王家の分家であるのだから、王家に次ぐ血統保持者で、ラファエリア王家の血統が途絶えた場合は、こちらが国王となるわけである。この当時は『大公爵位』は襲名制だったようではあるが、政治関係者でもあった記録がある。橘大公爵と同程度の存在感はあっただろう。
とって使徒ルシフェリア自身も、避難した一人である可能性が高いのだ。
そして非常に代表的なのは、『第五使徒:ミヒャエル』である。これは、華族の頂点である、美晴宮の人間だと考えられている。こちらの人物も教会院には所属していないし、福音書も無い。だが美晴宮古文書に『鴉羽卿の助けを受けて花王院総代と若宮と共に避難した』という記述があるのだ。花王院総代が使徒オーウェンなのは間違いない。こちらには『平安朝より奥深き闇の月宮の住処へ逃れた』という記載がある。このことから、『使徒ゼストが逃れた神殿』とは『闇の月宮の住処』であり、つまり『鴉羽卿ことハーヴェストクロウ大公爵家のどこか』と考えられ、それが分家であった使徒ランバルト宅の『エリアス伯爵家領地』なのではないかと考えられているが、それがどの領地かは不明であるし、ハーヴェストクロウ大公爵の領地や隠れ家だった可能性もある。が、ランバルト・エリアスという名の伯爵子息が避難先にいたと考えるのは不思議ではないし、貴族も王族も避難しているわけだから、華族の超重要人物もまた避難していて当然だ。なによりハーヴェストクロウ大公爵家は、相変わらず『鴉羽家』として、華族とも関わりがあったわけであるから、そちらでの『王』であり『神』である美晴宮の当時の当主を逃がすのも理解できる。
つまり華族の美晴宮家当主まで避難していたのだ。
さて、『第六使徒:ミュールレイ』で、こちらは、現ミュールレイ侯爵家の始祖であるが、貴族院の記録にきっちりと『マリス・ミュールレイ侯爵』として、生存記録がある。本人で間違いないだろう。始祖というのは、現王朝においてであり、橘大公爵家や英刻院大公爵家同様、昔からミュールレイ侯爵家として存在していたわけである。侯爵家にも、使徒マリスの末裔だという古文書が残っているし、古くは教会院において『ゼスト・ゼスペリア守護家』として数えられていた。ただ、現在はあまり宗教色の強くない家柄であり、教会院からは、守護家としては認定されていない。当時、左副・鞠洲卿と呼ばれていたらしく、ラファエリア王弟殿下を連れて避難した英刻院宰相の甥でもあったらしい。政治的にも超重要な人物だったので、右副が残る以上、こちらの左副も政治書類一式持って避難していてもおかしくはないのだ。さらに、そちらが本業であるから、宗教に深く関わらなかったのもわかる。福音書の代わりに、大量の政治書類を残した理由も納得できる。また、ミュールレイ侯爵家の古文書によると、『王弟殿下と甥を宰相より預かった』と書いてあり、どうやら英刻院宰相は、甥に託して、別の避難経路をたどったらしい。なお、『王弟殿下は教会に保護され生涯を終えた』と書いてあるのみで、それが使徒ドールかは不明だが、一緒にいたマリスが使徒なのだから、使徒ドールが王弟だという根拠の一つにもなっている。なお英刻院宰相は、王宮にその後引き返して、ハーヴェストクロウ大公爵の死を確認したり、完全ロステク兵器を管理したりしたようで、それが現在貴族院に残っているのである。
まぁ、左副という超大物政治関係者も避難していたということだ。
なお、ミュールレイ侯爵家は、亡くなった王妃を排出してもいるし、現在でも影響力の強い貴族である。
それから『第七使徒:クラウ』であるが、こちらは、現ゼスト守護者家の祖であり、教会院認定のゼスペリア守護家の一つ『クラウ・ゼスペリア家』家の祖先だ。ヴェスゼストのように宗教を開いたわけではないが、福音書も残しているし、使徒ゼストというか、ゼスペリアを非常に信仰していた様子である。だがあまり記述が残されておらず、使徒クラウに関しては謎も多い。また、十二使徒の中で唯一、クラウの名を冠した管区の枢機卿のみが選挙制であり、末裔家も残存していない。
他には、『第八使徒:ミナス』は、『ミナス・ゼスペリア家』というゼスペリア守護家の祖である。『第十使徒:ハルベルト』も同様で、『ハルベルト・ゼスペリア家』の始祖である
クラウ・ミナス・ハルベルト、この三つの家が、宗教院も認定しているゼスペリア守護家ということになる。
おそらく彼らは、使徒ゼストと共に、避難してきた人々を守る側だったのだろうと考えられる。全員福音書も記しているし、敬虔な信徒だったのだろう。
そして『第九使徒:ラファエリア』であるが、これが現在のラファエリア公爵家の始祖である。昔はこちらも、ゼスト守護者家として数えられていたが、教会院の認定は受けていない。昔は、このラファエリア公爵家とミュールレイ侯爵家を含めて、五つが守護家だったのであるが、正式な認定を受けているのは、三つの家柄のみである。また、ミュールレイ侯爵家が王弟としてドール・ラファエリア大公爵を保護していた経緯があるから、信徒ではなく保護したということで、認定していないと考えることもできる。ただし使徒ラファエリア本人は使徒ゼストをヴェスゼストなみに崇拝していたという逸話が残っている。直接の弟子である守護家の三つの人々ですら引くほどで、第一使徒ランバルトなど引きながら笑っていたとか、そんな伝承があるのだ。
だから、王家でなく宗教院の大元の方で暮らしていたのかもしれないという話も残っている。それと、『公爵』は、現在も『王家の分家』にしか与えられないのだが、一代爵位だ。国内で特例的に唯一、『ラファエリア公爵家』のみ、ずっと公爵なのである。『大公爵』と他の爵位は、完全に襲名制なのだが、公爵だけは違うのだ。これも、旧世界のラファエリア王家の血統だからではないかと考えられている。とはいえ『ラファエリア王朝』など、最高学府の歴史研究専門家か、宗教研究専門家の使徒研究か、PSY血統研究かのいずれかでしか聞くことはない、完全な旧世界の伝承だ。一部古文書保持家が知っている程度であり、多くの国民は、花王院王家の前は、原初文明だったと思っているし、一部の人間はロステクやPSYの文明があったことや廃棄都市について知っているが、きっと花王院王家の昔の時代のものだと考えている。ゼクスはラフ牧師に教わったので知っていたが、なぜそんなことが教えられたのかを考えたことはない。みんな知っているのだろうとなんとなく思っている。
残る使徒は、『第十一使徒:聾唖のヨゼフ』と『第十二使徒:聾盲のヨゼフ』である。双子の義兄弟だとされている。義兄弟なのに双子の謎だというのは全国民がなんとはなしに思っているが、伝説だしと片付けている。科学的解釈としては、双子というのは、『PSY値が同じだったということ』だろうと判断されている。彼らも福音書は残していないが、ヴェスゼストの福音書内に『非常に強力な神の御業を使えた』とあるので、かなり強力なPSY能力者だったと考えられる。
かつ『身を呈して神の器を守った』や『神の剣』であった、『使徒ゼストの黒翼を一つずつ貸し与えられていた』等の記載がある。『使徒ゼストの黒翼』は単独だと『使徒ゼストの黒き片翼』と呼ばれるらしい。なのでふたり揃って、はじめて『使徒ゼストの黒翼』となるわけだ。それも双子の証らしい。なお、これは、『使徒ゼストを守護した最初の闇猫』だとされていて、与えた使徒ゼストが闇猫の祖であり神様らしい。よって使徒ゼストの黒翼を持つ者とは闇猫の神である『ゼスト・ゼスペリア猊下』ということで、闇猫はこれを持つものを絶対的に守護する存在であるし、片翼を与えられた者というのは、ゼスペリア猊下を守る闇猫のことだと言われている。
もしかするとこの二人の使徒は、使徒ゼストのPSY武力的な意味での弟子だった可能性もある。とすると、使徒ゼストとこの二名は、避難してきた人々を護衛していた人物である可能性もあるのだ。神の器だから避難していたというのもあるのだろうが、神の器かどうかは不明だし、護衛のためにそこにいたランバルト伯爵子息の関係者が使徒ゼストである可能性があるのだ。なにせゼスペリアが宿っていたというのだから、即ち使徒ゼストは、神様のように壮絶なPSY能力を持っていた存在と考えるとすんなりくるのだ。
なお、『第十一使徒:聾唖のヨゼフ』は、双子の義兄弟の兄で、声が出せず耳が聞こえなかったという。だが『神の御業で会話ができた』らしいので、ESP聴覚で聞き取り、ESPにより意思伝達をしていたと考えられる。『第十二使徒:聾盲のヨゼフ』の方は、双子の義兄弟の弟で、声が出せず目が見えなかったらしい。こちらはESP視覚を用いていたのだろう。あるいは、それらの能力が秀でていただけで、普通に会話もできたのかもしれない。闇猫は基本喋らないので、それが『声が出ない』として伝わった可能性があるのだ。
しかしESPによるテレパス発話は、非常にPSY値が高くないと困難なので、この点飲みきりとっても、この二人が非常に強力なPSY能力の持ち主だったのは間違いない。なお、ヴェスゼストの福音書には、兄弟愛に免じて本来十までの使徒に特別に加えられたと書いてある。結構泣ける兄弟が再会する逸話が書いてあるのだが、科学的には『兄弟愛』とは、PSYが同一の二名が、PSY共鳴を起こして力を発揮した暗喩だと解釈されている。
してこれは、絶対補色紫つまり美晴宮直系と、絶対黄金である英刻院直系が揃うと起こることが確認されているので、『王弟殿下と一緒に預かったマリスの甥』とは英刻院宰相の子供であるし、美晴宮古文書の『若宮』とは、美晴宮の長子のことなので、『英刻院大公爵家二代目』と『美晴宮家二代目』として花王院国王統治下に記録されている二名ではないかという研究結果がある。だが英刻院家にも美晴宮家にも、各種福音書にも、そうとは書かれていない。
代わりに、『王室の猟犬は、初代伴侶補の二名だった』という記録が花王院王家の機密文書にあり、初代伴侶補二名は、英刻院二代目と美晴宮二代目である。『王家の他に、ハウンド・クラウン(猟犬の首輪)を持つ者を守らなければならない』と決めたのも彼ららしい。猟犬の首輪とは、最強の猟犬の証だそうだ。こう考えると『使徒ゼストの黒翼』とは『猟犬の首輪』かもしれない、と、いうような研究論文を読んだこともあるが、全部ただの文献的歴史研究からの推測の域を出ないため、ゼクスにはよくわからない。
以上が十二名の使徒で、他が神の器兼創世記における契約の子である、暗黙の第十三使徒ゼストとなる。ゼスト・ゼスペリア猊下、ゼスト・ゼスペリア家直系長男に出現するものと同じ、ゼスペリアの青と呼ばれる目の色をしていたそうで、神様であるゼスペリアの瞳も青いらしい。絶対補色の青を持つ者のみが持つ色だという。
使徒ゼストは、少なくとも絶対補色の青を持つ、PSY-Otherが非常に強い人間だったわけである。ゼクスは神ではなく人間だと思う。神の御業と思えるレベルのPSY能力を持っていただけだと思う。
こう考えると、ゼストと英刻院&美晴宮の二代目が護衛で(彼らも避難指示をされていた可能性ももちろんあるが)、ランバルトが避難場所を提供し、さらにゼストの三名の弟子が避難時に保護を手伝い、美晴宮当主と王弟(ドール=ラファエリア)と、隠されていた国王の孫の王位継承者(初代国王花王院陛下=オーウェン)及び、左副である政治家ミュールレイ、王家の分家で万が一の王位継承権保持者のルシフェリア大公爵を避難させていたのが、十二使徒と神の器が神殿に逃れた、という事の実情なのかもしれない。
また、ギルドの設立で忙しくて福音書を書いていないのかもしれないが、ルシフェリアの末裔ことハーヴェスト侯爵によるギルド内の話だと、無名使徒イリスとやらがいたらしく、ギルドの聖典は、イリスの福音書だ。これは使徒ランバルトの福音書に、『パプテスマの聖娼婦』として書いてある、『神殿にて使徒ゼストの赦しを受けた娼婦が世話をした』という避難時の記載があるのだが、ギルドによると、使徒ゼストの奥さんだったらしい。無論宗教院はそんなことは認めていないし、『姦淫の罪』だの『禁欲の推奨』だのをしていて、聖書に出てくる『悪魔』を度々、『性的快楽』と位置づけている。なお、ヴェスゼストの福音書には、『洗礼を受けし淫婦』として一行のみ出てくるのだが、その一行は、使徒が十二名揃うより前に出てくるので、神殿にも同行していたとすると、かなり前から一緒にいたのだろうという感じだ。きっと、避難時には、お世話係をしていたに違いない。
まぁとりあえず、こんな形で旧世界は滅亡したが、恐らくはPSYで対抗し、一部の人々が生き残ったのだろう。滅亡したので、不徳を捨てたというか、それまでの文明がなくなったわけであるし、生き残ったこと事態が救われたということであるし、また満ち満ちたのは、次第に復興していったということで、善良なる信徒に戻ったというのは、威張り散らす貴族がいなくなったということなのかもしれない。
それから、最後となる。