【3】新聞に書かれた悪役……。(★)




昨日のことは悪夢だったんじゃないのだろうか。
そんなことを考えながら起床すると、生家が静まり返っていた。

「ジェイド……これはどういうことだ?」

朝食の席へと行くと、父がダンと新聞をテーブルの上に置いた。え、何が?
小首を傾げながら受け取ると、そこにはーーエンザイル伯爵家次男、次期公主と婚約! と一面に出ていた。へぇそうかーー……ん!? なんだって!?
ポカンとして朝が弱い俺ですら一気に覚醒した。

「悪役に徹していたのだろうな?」
「勿論です」
「ではこの記事はなんだい?」

俺こそが知りたかった。それから俺は神速で準備をし、学園へと向かった。
するとビシビシと視線が飛んでくる。
しかし構わずまっすぐにスピア様の教室を目指した。

「スピア様!」
「やぁ愛しの婚約者殿。なにか?」
「今朝の新聞、あれはなんだ!」

腕を引っ張り、俺はスピア様を教室から引きずり出して聞いた。

「外堀から埋めるのは貴族の常套手段だろ?」
「な」
「これからは空き時間は全て俺のそばにいることを命ずる」
「ふざけるな!」

確かに、そう確かに俺はスピア様のことが好きだ。
だけど俺の好きなスピア様は、まさかこんなに無理強いをする上腹黒いとは思いもしなかった。

「それよりも確かお前のクラス、次は休講だったな」
「それが?」

優等生の俺は授業をサボったりはしない。
だからこそこんな時間に、スピア様のところへ訪れたのだ。授業開始まであと五分である。

「俺は自主休講する。着いてこい」
「ああ! こちらこそついてきてもらおうじゃないか!」

こうして俺たちは場所を移動した。
スピア様に連れて行かれたのは、保健室だった。
先生は不在だったから都合が良かった。そんなことを考えながら、施錠するスピア様を見る。

「一体どういうつもりなんだ!」
「俺の婚約者は不満か?」
「あ、あたりまえだ!」

本当はちょっと嬉しいが、これでは俺の人生計画が狂う。
今代の公主様にも何を言われるかわからない。

「じゃ、体にたっぷりと教えてやるよ。不満なんてすぐになくなる」
「!」

ニヤリと笑ったスピア様に、俺はベッドへと突き飛ばされた。
鈍い痛みに目を細めた時、のしかかられた。
そしてあっさりと下衣を降ろされた。え。

「膝を立てろ」
「ちょ、ちょっと、おい……」
「俺に逆らっていいのか?」

上は来たままで、下半身を露出させた俺は、膝の間に体を進めてきたスピア様を呆然とみる。

「舐めろ」
「っく、ん」

それから無理やり指を口の中に押し込まれた。指先で舌を嬲られる。
その二本の指に翻弄されて、クラクラしてくる。

「あ、は」

ようやく指が離れたと思ったら、菊門を刺激された。

「ちょ」
「黙れ」
「ひっ」

スピア様が片手で俺の片側の太ももを持ち上げて、もう一方の指を中へと進めた。
第一関節まで一気に押入れられる。

「や、やめ」
「まさか初めてじゃないだろ?」
「こんな経験あってたまるか! ーーひゃっ!」

そのまま第二関節まで押入れられて、指を折り曲げられた。
瞬間、じんと腰に響く場所を的確に刺激された。

「あ、あ、あ」

指を小刻みに動かされ、その頭が真っ白になる場所を何度も嬲られる。

「やだ、嫌だ、やめろ!」
「もっと色っぽい声を出せ」
「んナーーーー!」

その時指が二本に増えた。揃えた指先で、頭が真っ白になる場所を刺激される。
ガクガクと背骨に沿って見知らぬ感覚が這い上がった。

「ここがいいのか?」
「や、違」
「へぇ?」
「うアーーーー!」

中の感じる箇所を強めに刺激されて俺は声を上げた。
砂嵐のように視覚がチカチカする。怖い、怖かった。だけど。
もしかしたら……これが気持ちいということなのかもしれない。
刺激されるたびに全身が熱くなって行く。こんなのダメだ。おかしい。
グチャグチャと水音が響き始めた。それにカッと頬が熱くなった。

「そろそろいいか。入れるぞ」
「え、あ」

急展開すぎて思考が追いつかない。

「うあああーーーー!」

その時圧倒的な質量が中へとおし行ってきた。
スピア様の陰茎が、先ほど暴かれた俺の感じる場所をこするように突き上げる。

「ちょっと黙れよ」

スピア様はそう言うと左手で俺の腰を持ち、もう一方のてで俺の口を押さえた。
ーー尋常ではなく気持ちいい。
その事実が怖くなって、俺は無意識にスピア様の首に両手を回していた。
すると緩慢にスピア様が動き始めた。ゆるゆると感じる場所を突き上げられて、俺は震えた。
前立腺を小刻みに突き上げられると、全身の力が抜けて行く。

「ふ、んあ」
「誰が来るかもわからないぞ」
「っ」
「それにしても学園最高の美を誇る楓の君の始めてを暴くというのは気分がいいな」
「や、ぁァ、ああっ」
「それにしてもお前は危機感がないな。昨日の今日で俺についてくるとは」
「あ、ああああ」

そのまま強く突き上げられて俺は放った。

「後ろだけで行けるなんて随分と才能があるな」
「……」

俺はどうしようもなく恥ずかしくなって泣いた。

「まだ俺は満足していないからな」
「へ? ちょ、あ、ま、まだ無理……! ンな、ああああ!」

硬度を保ったままだったスピア様の陰茎が激しく抽送し始めた。
視界が真っ白に染まって行く。どうしよう、どうしようもなく気持ちがいい。
そのまま両手で胸の突起をシャツの上から弾かれた。

「俺の婚約者候補になるというのはこういうことだ」
「ふ、あ」

それから角度を変えられ、後ろから抱きかかえられるようにされた。
先ほどまでよりも深々と突き刺さる。
その状態で首筋をなめながら、片手で乳首をこすられ、もう一方の手では陰茎をこすられた。正直気持ちが良かった。

「で、出る」
「ダメだ」

俺の言葉に、スピア様がぎゅっと俺の陰茎の根元を握った。
そして後ろから方を噛まれた。

「や、やめ、あああああ」

こえをあげた俺を下からスピア様が激しく突き上げ始めた。
乳首と陰茎と中を同時に刺激され、俺は気づくと意識を飛ばしていた。まるで獣になったみたいにただ喘いだ。親指で線をなぞられ、それから雁首をしごかれる。
そのまま俺はあっけなく射精した。
すると後ろから体重をかけられ、今度は猫のような態勢を取らせられた。
そしてギリギリまで引き抜かれてから、ゆるゆると中へと腰を進められる。

「っく、んあ、ふ、ああっ」
「気持ちいだろう?」
「も、もうできない」
「まだまだだ」

後ろからのしかかられたまま、今度は両手で乳首をぎゅっとつままれる。
その瞬間、快楽で俺の意識は飛んだ。

気がつくと俺は、服を整えられて寝台の上に寝ていた。

「これからは毎日放課後、ゆっくりと開発してやるからな。体も性格も」

スピア様はそう言うと保健室を出て行った。
俺はそのまま泥のように眠ってしまったのだった。