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昼飯時。
俺は普段はお弁当派だが、本日は出迎えがあったため、弁当を作る時間がなかった。
なので学食へと来た。
必然的に割り勘で食事をしている井原先生と合流した。
と言うか、何故なのか、今日はお弁当をイラナイ、絶対学食に行こうと井原先生に説得されたりもしていたのである。
「それで狭山先生、編入生はどうだった?」
「モジャモジャのカツラと瓶底眼鏡をかけていますが、金髪で蒼い目の美少年でした」
「王道ktkr」
「おーどー?」
俺は天ぷら蕎麦を食べながら目を細めた。
その時のことだった。
「きゃぁぁぁぁあの一匹狼の砂原様が学食にいらっしゃるだなんて!!」
「だけど横のマリモ、在れなに!?」
「砂原様ぁぁぁぁぁ」
視線を向けると1のLの生徒である、砂原稔が、学食に来ていた。
隣にいたマリモは、編入生の園生菜摘だった。
そういえば書類で、季節外れのため空きが多いLの寮に入ると書いてあったなぁと思い出す。ちなみに砂原は1年生の不良で、一匹狼だ。
「不良×王道……ご飯五杯はいける」
「井原先生おかわりですか? まだ何も来てないですけど」
俺が首を傾げるが、井原先生は編入生をガン見していた。
この人は鼻血を出し過ぎなので、もっと体力をつけるため、大量に食べることには賛成だ。
その時だった。
先ほどまでとは規模が違う嬉々とした大悲鳴が食堂中に谺する。
「生徒会長さまぁぁぁぁぁぁぁ」
「嗚呼、なんて麗しいんでしょう副会長の有里丘様は」
「ああああん、会計の並木様が手を振ってくれた、目があった、死んでも良い」
「大滝様は今日も寡黙で素敵」
「高阪兄弟可愛すぎ。青ちゃんも緑ちゃんもこっち見てぇぇぇぇえぇ」
生徒会の皆様のご登場だった。
相も変わらず凄い悲鳴だなぁと思っていると、彼らは、園生(編入生)達の席へと歩み寄った。俺は興味がないので、天ぷら蕎麦の海老を食べていた。
その海老を食べ終わった頃、ゴスという鈍い音が響いたので何事かと思ってみると、園生が生徒会長を殴っていた。
「この俺様にキスされて、その反応。気に入った」
そうかそうか会長はドMだったのかと、現実逃避をしながら、俺はハモの天ぷらへと取りかかった。
「井原先生大丈夫ですか?」
蕎麦を食べ終えてから、俺は鼻血で大変なことになっている白衣姿の同僚に声をかけたのだった。