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それがどうしてこうなった――!!
俺は、現在教師よりも権力を持つ生徒会室に呼び出されている。
生徒会長と二人きりの室内だ。
「まず、言っておきたいことがある」
切り出したのは会長の相馬宗一郎だった。
「これまで仕事をせず、菜摘にかまけていたことを認める。謝らせてくれ」
「いや、それは風紀委員に謝ってくれ」
「貴様がファンクラブの召集をして、演説をぶちかましてくれなかったら、菜摘がどうなっていたか分からない」
全部井原先生の案だったから、俺は黙って頷いた。
「それに風紀にも迷惑をかけた。悪いと思ってる」
「それだけの重圧ある生徒会長の任務をしていて、漸く心を開けた相手が園生だったんだろう? お前らはまだ子供なんだから、多少のやんちゃはしょうがない」
「……」
無言になる生徒会長。
「……」
無言になる俺。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……それだけか?」
先に沈黙を破ったのは生徒会長だった。
「怒って欲しいのか?」
「なッ」
「そうすれば気分も楽になるだろうけどな、そこまで俺は優しくないし、それは真澄先生の役目だろうし」
「お前が真澄と出来てるって噂、本当なのか?」
「あのな、俺はお前らと違って共学から進学してるから、同性愛なんてしたことがない」
「そうなのか」
「ああ。そんなこと気にするくらいなら、自分たちの親衛隊を気にしてくれ」
「……制裁か?」
「そうだ。多少マシになったとはいえ、まだまだ生徒会親衛隊の制裁行為は続いているからな」
「俺には分からないんだ。これまで、俺相手に、あんなにごく普通に向き合ってくる奴なんていなかった。だから興味がある」
「そういうのを世間知らずって言うんだ」
「俺に説教したのもお前が初めてだ」
「俺、説教なんかしたか?」
極力生徒会になんて関わりたくないはずなのに、いつの間にそう言うことになったんだろう。
「気に入った」
「いや、俺のこと気に入ってくれるのは嬉しいけどな? それよりも仕事しようぜ」
「分かった」
そう言って立ち上がった生徒会長は、俺を後ろから抱きしめた。
「相馬――っ――ッ」
そのまま唇を奪われて、俺は息苦しくなる。
「お前は俺の物にする。これは決定事項だ」
「な、何言ってるんだよお前」
俺は唇をぬぐいながら、肩で息をした。