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「次は生徒会長×美人受けktkr」
「あの、井原先生、真面目に聞いてもらえます?」
俺がそう言うと井原先生が正座した。
「副会長、会長、風紀委員長、ホスト教師、編入生よりどりみどりじゃないですか!!」
「全員女子なら考えますけどね……」
「嫌よ嫌よも好きの内って言いますし」
「あのですねぇ……」
俺はおひたしを作りながら、大きく溜息をついた。
何が悲しくて、男と付き合わなければならないのか、その上真澄先生は兎も角生徒と恋愛なんて普通は御法度だ。普通は――水城先生のことが思い出されてならない。
「井原先生……俺の不幸を楽しんでません?」
「まさかぁ」
「……信憑性にかけます。鼻血出てますよ」
俺は一通りの和食を作って、机の上に並べていった。
「だけどここまでくると、狭山先生もそろそろ覚悟を決めた方が良いんじゃないですか」
「覚悟?」
「みんな『本気で』先生のことを好きだとしたら、男性だろうが女性だろうが、先生だろうが生徒だろうが、真摯に向き合わないと」
確かに井原先生の言う事はもっともだなと思いながら頷いた。
「それに狭山先生は、体育館で好きな人がいる発言しちゃったんだし、誰かそれっぽい人を」
「ってそれ、事の発端は井原先生じゃありませんか!」
「まぁねぇ」
「井原先生、俺と付き合ってるフリして下さい」
「俺自身じゃ萌えられないから却下。俺もノーマルだし」
「ちょっと待って下さいよ」