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関西で一大勢力を誇る極道――川口会系松川組。
その跡取りとして生まれた俺は、小さい頃から誘拐されたり、暴行されたりと、なにかと大変だった。
そのため初等部からは、身の安全を確保するため、この鳳凰学園に放り込まれた。
――一言でいうなら窮屈。
周りに誰も知り合いもいず、聞き慣れた関西の言葉とも違う、異質で小さな社会。
俺は、その中で、歯車の一つになった。
児童、生徒、呼び方なんて何でも良い。
ただ一つだけ分かったのは、酷く退屈な毎日が訪れたと言うことだった。
だから俺は、寮を抜け出し、夜な夜な街へと降りるようになった。
そしてある日、レジェンドというチームに入った。
その頃の総長は、ヒロさんという、今では小箱を運営しているマスターだ。
緋龍、それがヒロさんの通り名だった。
だからその跡を継いだ俺は、気づくと木龍と呼ばれるようになっていた。
陸が、陸鬼が入ってきたのは、俺が総長になってすぐのことである。
その腕っ節から、すぐに特攻隊長に任命した。
そして、レジェンドはある日、族潰し”金狼”によって壊滅させられたのだ。