新しい俺の部屋




さて、その日俺にあてがわれたのは、迎賓館の一室だった。
迎賓館――名ばかりである。
俺の木造の部屋と大して変わらない。狭い。違いはと言えば、壁が白塗りであることくらいだ。床も凸凹とした木の板だ。ベッドも木製で固い。そこにほこりっぽい毛布と、やはり固い枕がある。
いつか悠久の昔、旅をしていた頃は、こんな宿屋に泊まったこともあったかも知れない。
少しばかり懐かしいなと思いながら、寝台を手で撫でた。
それから横たわり、毛布にくるまる。
シャワーもトイレもない。
寝て起きたら、壁に空間転移魔法陣を構築して、”逆巻の塔”に繋げよう。
落ちてくる瞼をそのままに、そんなことを考えた。

さて、これからどうするか。

とりあえず、一週間ほどは、食料を無償で提供して、今後の資金を貯めよう。
それで一通り必要な品を用意してから、本格的に食糧供給をした方が良い気がする。

明日は学校に行くことになっている。
うだうだとそんなことを思案している内に、俺は寝たのか寝ないのか分からないまま、朝を迎えた。