5★



 今度は、ソラネは意識を失わなかったが、ぼんやりした後冷静になったようで、苦しそうな顔をしていた。一般常識的にノーマルだったのに男性とのSEXが尋常じゃなく気持ち良かった経験をしてしまったら、普通苦しむだろう。しかも受身だ。男性性の概念にひびが入るだろう。女性に後ろを犯される以上に。

「案外、ソラネみたいな人、多いんだよね。研究中はたまるから、一回すると火がついちゃうんだ。それにだいたいみんな、中が好きだ。僕が例外的に中が嫌いなだけかもしれないけど。だから僕はいれられる場合かなり我慢するけど、ソラネが中が平気なら、ずっとそのほうが助かる」
「……」
「ほら、キリスト教徒だから、暗黙の了解でみんな言わないけど、みんな男は後ろをされるの大好きじゃん? ――あ、東洋人は違うんだっけ? けど、僕が知る限り、東洋人も後ろが好きな人ばっかりだけど」
「……本当に?」
「うん? なんで? なにが?」
「後ろに男に突っ込まれて気持ちよくなる男は異常じゃないのか?」
「異常じゃないよ。子供にはそう性教育するけど、常識じゃないか」
「……」
「トラウマとかあると、逆に後ろでいけなくなっちゃう人がいるけど、普通は後ろでいけないほうがおかしいんだよ」
「本当に?」
「本当に」

 僕は頷くと、ソラネが泣きそうなほどホッとした顔をした。
 その後は、研究の話を交えつつ雑談しながら三時間経つのを待った。
 そしてソラネが再び欲情し始めたのを眺め、今度は優しく僕からいった。

「もしかして、また、したい?」
「……」
「顔でわかるけど、一応言って」
「したい」

 消え入るような声だったが、ソラネは、今度はしっかりと頷いて僕を求めた。
 そしてこの時も、僕は優しく普通に抱いた。
 色気を増したソラネとシャワーを交互に浴び、食事をした。
 それから、次の三時間目が訪れた。
 僕たちは、それぞれのベッドで、既に休んでいる。
 しかし、ソラネが必死に体の熱を逃すために呼吸し、かつそれを僕に気づかれないようにしているのは、十分わかっていた。彼は、どうするのだろうか? 多くの人間は、自慰を始める。だがその様子もない。そのまま五時間がたった頃、ソラネが起き上がる気配がした。トイレに行くのかシャワーに行くのか。少し見守ろうと考えていたとき、物音がした。

「ソラネ?」

 思わず飛び起きて、電気をつけて駆け寄ると、床の上に座り込んで、ソラネが震えていた。うるんだ瞳と放たれている色気に、僕の側の理性がブツンと飛んだ。冷や汗がたれた。これは、まずい。まずいのは勿論僕だ。予定していた計画が、頭から飛んだ。後ろから抱き抱えて顔を覗き込むと、快楽と混乱に染まった目が僕を捉えた。

「……っ、ぁ、触るなっ、だめだ、俺、あ、体があつい、やめ、触られると、おかしくなるっ……中あつい、あっ、もうやだ……息できないっ、うっ、腰に力はいんな――うあああああああああああああああああああああ」

 耐え切れずに、僕は後ろからソラネの乳首をそれぞれつまみ、首筋をかんだ。
 絶叫してソラネは果てた。
 しかし当然、熱はひどくなるだけだ。
 わかっていたが、僕は指を動かした。何度も舌でうなじをなぞり、時折かんで、それから痕もたくさんつけた。そして抱き抱えるように、後ろから突き上げた。中で陰茎を揺さぶってやると、ソラネが嬌声をあげはじめた。

 ――本当は、自慰でどうにもならないことを理解させたあと、自分から頼んでくるのを待ち、いやいや答えてやる予定だった。

 だが、そんなの無理だ。ここまでの色気に当てられたら、抑制がきくほうがおかしい。おそらくそんな人間は、EDだろう。

「いやだ、なんで、うそ、あああああああ、あついの止まらなっ――うああああああああああああああああああああああ」

 何度か中の感じる場所を突き上げて射精させてやったが、僕のほうが出していないから、ソラネの体の熱はひかないし、よりひどくなっているはずだ。行き過ぎて辛いはずだが、それでもいきたくて仕方がない状態のはずだ。そう理性ではわかるのだが、僕も止まらない。彼の乳首をなぶりながら、彼の中を楽しんでしまう。あのローションがなかったら、感じるは愚か、痛み、というよりはいらなかっただろうキツキツのソラネの中に、自分の陰茎が馴染んでいく感覚がたまらない。そのまま次の三時間目である六時間目が来た。三時間で行けなかった場合、薬の効果は倍増だ。完全にその時、ソラネは理性を失った。

 自分の両手を陰茎に添え、腰をがむしゃらに動かしながら、繋がったまま自慰をはじめたのだ。

「気持ちいい、気持ちいいっ」
「――そこは僕がやってあげるから、乳首を自分でいじってごらん」
「ああああ」

 僕が促すと、ソラネは素直に乳首をいじり始めた。僕は片手で根元を軽く掴んで射精を封じ、もう一方の手で亀頭を刺激した。それからソラネの耳元で、腰の動かし方を教える。ソラネは非常に素直に僕の言うことを聞いた。僕はそれだけで果てそうだったが、ソラネの腰使いで本当に出してしまった。床上手とは、こういう事を言うのだろう。そのままソラネは気絶した。

 多分しばらく目を覚まさないとは思ったが、かわいそうなので、気体の強い短期作用型睡眠薬をかがせた。これで七時間は起きないわけで、様子的に九時間目の波で起きるだろうが……その時は、三倍の熱に襲われるわけだ。ソラネは、どんなふうに乱れるのだろうか。とりあえず僕も寝た。起きて考えることにしたのだ、反応を見ながら。

 目を覚ますと、ソラネはやはりまだ寝ていた。
 そして九時間目を過ぎ、十時間目頃、震えながら、小さな声を漏らして目を開けた。
 ゆるゆると動いた視線が僕を捉えた。
 ――ブツンと僕の理性は途切れ、気づくと熱烈にキスしていた。それから「していい?」と聞き、頷かれた瞬間に、襲っていた。考えるも何もなかった。僕は初めて視線だけで理性を吹き飛ばされ、思う存分ソラネを貪ってしまった。残りは約十時間で三度波が来るはずだとわかっていたのだが、気づけばそれ関係なしに、十時間ほどやりっぱなしだった。そして投薬から二十四時間が経つ頃、ソラネは完全に意識を飛ばして、もう起きなくなって、まるで死んでしまったように見えた。――それすらも美しかった。

 冷静に考えて、見た目はともかく、十五歳の子供を口で騙して媚薬を盛って抱き潰す二十歳は、ただの犯罪者だ。しかし僕の体は止まらないし、ソラネなしではいられそうにもない。だが、ソラネの将来を思うなら、やめなければならない。手に入れるなどと考えていたが、これはダメだ。僕のほうが本気すぎる。全く自分を制御できない。こんな経験は初めてだ。どうしていいのかわからない。とりあえずシャワーを浴びてから、僕も睡眠をとることにした。

 次に目を覚ましたソラネは、かすれた声でふらふらとシャワーを浴びに行くといい、時間を見ていた僕の予測通り、その中で体が快楽で染まってしまったようで、僕はそのままシャワールームでソラネを立ちバックで犯した。その前には、洗ってあげると言って執拗に、全身を愛撫した。