【五】






 力が抜けてしまった僕を抱きとめると、風紀委員長が吹き出した。

「大丈夫か?」
「……」

 大丈夫なはずが無い。
 僕はどうしてこのような目に遭っているのだろうか。
 言うのが遅かったから?

 理性ではそう考えたのだが、すぐに体がふわふわしている事に気がついた。
 風紀委員長は僕の顎を持ち上げると、再び唇を落とす。

「ふ、ぁ……」

 巧みなキスに、僕の腰骨が熔けた。
 歯列をなぞられ舌を絡め取られると、それだけで体がゾクゾクする。

 それから寝台に移動した。
 制服を脱がされた僕は、力なく寝台に沈む。
 僕のシャツを脱がせた風紀委員長は、己のネクタイを引き抜くと、じっと僕を見下ろした。

「どうせ誰からに散らされるなら、その相手が俺だって良いだろう?」
「……」

 蒙昧とした思考で、僕は風紀委員長の言葉を聞いていた。

「ん」

 唇が僕の首筋に降ってくる。吸われると、ツキンとした。
 キスマークをつけた風紀委員長は、その箇所を何度か舐める。
 それから僕の右胸の突起に吸い付いた。

「……っ……」

 チロチロと舌先で僕の乳頭を嬲ってから、風紀委員長が僕の陰茎を握る。
 そしてゆるゆるとその手を動かし始めた。
 僕の陰茎はすぐに反応を見せる。

「ッ、ぁ……」
「今度からは、きちんとその場で言えるか?」
「……っ」
「正直なんだな。そうか、言えないか」

 口ごもった僕を見て、風紀委員長が残酷な笑みを浮かべた。
 いつも冷徹な顔をしているのだが、本日はどこか呆れたように笑っている。

「ぁ……ァ、ぁ」

 風紀委員長の手の動きが早くなった。
 僕が声を漏らした時、風紀委員長が僕の太ももを持ち上げる。

「ひゃ、っ!」

 そして唇に僕の陰茎を咥えた。
 熱い。全身を震わせて、僕は涙ぐんだ。
 口淫しながら風紀委員長が、目を細める。
 初めて他者から与えられる感覚に、僕は涙を零す。

「ん、ン――!」

 そのまま僕は呆気なく放った。
 風紀委員長は僕の出したものを飲み込むと、大きく吐息する。

「あ!」

 そして僕の中に、指を挿れた。

「ん、んン、あ」
「少し体から力を抜け」
「出来無――っ、ぁ……」

 進んできた人差し指が、孤を描くように僕の内側で動く。
 羞恥に駆られて、僕はギュッと目を閉じた。
 そのままじっくりと解され、その内に指が二本に増えた。

「ひ、っ!!」

 風紀委員長が指を軽く折り曲げた瞬間、僕の全身に快楽が走った。
 頭が真っ白になってしまう場所を、指が刺激したのだ。

「あ、あ、あ」
「声を出しすぎだ」
「風紀委員長、そ、そこは……ああ……あ……あああ!」

 何度も意地悪く、僕の感じる場所を指で風紀委員長が刺激する。
 すると僕の陰茎が再び張り詰めた。

「挿れるぞ」
「っ、うあ……あ、あ……ああ、ア」

 風紀委員長に挿入され、僕は押し広げられる感覚に震えた。
 体が酷く熱い。
 背を反らせた時、強く腰を掴まれた。
 そうして激しく抽挿され――僕は泣きじゃくった。
 痛みからでも恐怖からでもない。
 気持ち良かったのだ。

「あ、あ……ああ……っ、あ、あ!」

 そのまま激しく貫かれて、僕は果てた。
 中に飛び散る風紀委員長の白液も、ほぼ同時に感じたのだった。