【十三】好き避け(SIDE:シノン)
あの日、神様がシャワーを浴びている間に逃げ帰った俺は、その後意識してしまって、神様の前を通る度、チラっと見て、目が合うだけで真っ赤になってしまうようになり、通り過ぎるようになった。本当はいっぱい感想を語りたい。でも、自分の痴態を思い出すと恥ずかしすぎて無理だった。
神様はそんな俺を見て、ニヤニヤ意地悪く笑っていたが――その内、不機嫌そうな顔に変わり、ある日俺を引き止めた。
「おい。避けすぎ」
「だ、だ、だって!」
「嫌だったのか?」
「待っ、誰かに聞かれたら――」
「あ?」
俺も気配では分かってる。神様は貞操が緩いようで、他の人々ともヤっているようだ。俺もその中の一人なのだとは思う。だが、俺にとって神様はたった一人だ。
元々、憧れていた人物なのだ。
それを、あんな風に体を繋いでしまったら、もう意識しないなんて不可能だ。
神様が、俺の中で、なんというか、恋愛対象になってしまう。
しかし神様にはその気は無いだろうから、俺の恋心は迷惑だろう――し、実際、他にも色々あって、万が一相思相愛になれても、俺は神様の恋人には相応しくないと思ってもいる。
「……ま、また!」
「おう」
俺は逃げるようにその場を歩き去ったが、頬が終始熱かった。