05




『ああっやァ――!! クルス、も、もう出……ッンああ!!』
『ッ、しめるなっッ、もう少し緩め――』
『も、もう、無理、ァああ――!!』

――背面座位で乳首責め!

現実は勿論服を着ていて、二人は冷静に話し合っている。
サイトの耳元に、屈むようにして後ろからクルスが、何かを囁いているのだ。
僕はそれを眺めながら妄想している。
それにしても、最近は体が怠い日が多い。カルディナ殿下がきてからが特に酷いんだよね。何でかな? 夏バテかな?

ちなみに今熱い妄想は、もう一つある。サイトがクルスにフェラするのだ。形の良い唇で絞り出すように吸っては、舌先で鈴口をチロチロと刺激する。片手を側部に当て、親指を筋に当て――……

「陛下」
「なんだ?」
「カルディナ殿下が謁見をお求めです」
「待たせておけ」

サイトの声にそう返す。僕は今、妄想に忙しい――……というか、暇だと思われると示しがつかないので、必要もないのに、国土資料集を眺めている。後二冊!

読み終わってから僕は、待たせていた部屋へと向かった。

「ラック陛下……これまでの数々の非礼をお許し下さい」
「非礼? 覚えがないが」
「寛大なお言葉有難うございます。所で宝玉の件なのですが、どうか明日にでも――」
「――サイト、殿下はこの王宮がお気に召したようだ。クルス、拘束を。殿下、客室からはお出にならないように」
「! なッ。俺を軟禁する気か!?」
「戦争の口実となり得る大事な人質だからな」

僕はニヤリと笑った。悪役面にも苦労する。
ただ――これは形ばかりの処遇だ。議会が戦争を議決してしまったから、一応国王として同意したという姿勢を示すための行為だ。実際には僕は、戦争反対なので(何故なのか絶対阻止しないと行けない気がする)、折を見て殿下を逃がしてあげるつもりだ。


夜。

「うぁッ、あ、サ、サイト、なんでこんな……ンアっっっ」

僕は陰茎を掴まれ、背何の割れ目に舌先を押し込まれている。何かが尿道から――そう、”力”が入り込んでくる感覚。その感覚と刺激に、僕は悶えて泣いた。イきっぱなしの感覚になり、ガクガクと体が震える。

「僕だってこんな風にしたい訳じゃない。ただ陛下には、体に分かって頂かないと駄目なようだから――本当は、ドロドロに甘くしてやりたくなる」
「ンああッ!! や、やぁ……あ、イっ、イかせて……ッ!!」
「駄目だ。今夜にでも、カルディナ殿下を解放すると誓うまでは」
「や、あ、ああ……それは……」

いくら僕でも、流石に、昼間決定したことを夜の内に変える事なんて無理だ。

「陛下には、『はい』以外の回答は用意されていない」
「やぁあああ――!! ア、何、あ!!」

気持ち良すぎて、僕は気を失った。



「陛下! ……陛下!!」
「え……?」

気づいた時、僕は、寝間着のまま玉座に座っていた。

「いきなりカルディナ殿下を自由のみにするというのはどういう事ですか?」

宮廷魔術師のナイルの言葉に、僕は首を傾げた。

「? 前々から形だけ拘束しようと思っていただけだ」

そうだよね? 議会もそれで納得してるんじゃなかったっけ? サイトを見れば、特に何も言わずに、こちらを見ている。議会の決定が違うなら、何か言ってくるはずだ。

「僕の決定は絶対だ」

そう告げると、ナイルが目を細めた。どうして、この件にそんなに何か言いたそうな顔をするのだろう?

「――本当に陛下のご決断なのですね?」
「? 当然だ」
「……承知しました」

腐葉土色の髪をゆらして、ナイルは帰っていった。猫みたいな目も、髪と同じ色だ。しいていうなら、ナイルは、”当て馬”属性だと思うな。

「陛下」

そこへサイトが歩み寄ってきた。そして僕の首元のリボンに手を伸ばした。

「ほどけております」

耳元で囁かれ、唇が頬に触れそうな距離にある物だから、思わず息を飲んだ。サイトは本当に綺麗だ。
――やっぱり理想の受けだなと僕は思った。