08
次の日からも一緒に講義を受け、お昼ご飯を食べ、さらに一緒に帰宅した。
そして――なんと、そこにマッサージまで加わっていた。
あんまりにも自然な流れで、帰宅すると僕はベッドに座らされ、そして肩と腰からマッサージが始まる。大抵は、後ろから抱き抱えられて、マッサージされるようになった。
はじめこそ恥ずかしかったし、警戒した。
だが、直衛のマッサージがうまかったのと、初日以外は特に妙な真似はせず、指を舐められることもなかったため、僕はマッサージされている。
直衛は、僕を抱きしめられるのが幸せだといった。
抱きしめている姿が監視カメラでみんなに見せつけられるだけで良いと笑っていた。
――実際に、視聴者はいるらしく、昼食の度に直衛は声をかけられている。
僕は最近、「早く脱がせるのを期待しているよ」と、直衛が言われていたのを聞いてしまった。誰が脱ぐものかと思ったものである。
このように、僕は安心しきっていた。
どこかで、直衛はひどいことをしないと確信していた。
もう慣れていたのだと思う。
だから――シャツの上から両方の胸の突起を、それぞれの指で急につままれた時、最初は何が起きたのかわからなかった。
「ン」
マッサージの一つだと思った。気持ち良さは、肩もみと同じジャンルだった。
快感だと気付かなかったのである。
ハッとしたのは、つまんだ指の片方をこするように動かされた時だった。
「え、っ、ぁ」
ジンっと甘い疼きが胸から広がった。
直衛は何も言わないまま、また僕の胸の突起をつまんだ。
「う、ぁ……」
直衛の手の感触と温度に慣れきっていた僕は、ダイレクトに刺激を感じ取ってしまった。いつもとは違いすぎた。繊細な指の動きが、僕の官能を煽った。
「!」
直後、耳に息を吹きかけられて、体を固くした。
「直衛、離して」
「だめだ。まだ、マッサージが終わっていない」
いつかのように、直衛が僕の首筋を舐めた。だが今回は、強く吸った。
キスマークがついたのがわかった。
そして――直衛がポチポチと僕のシャツのボタンを外した。
「っ、ぁ」
抵抗する間もなく、今度は直接乳首をつままれた。
ゆるゆると指で動かされ、こねくり回される。
同時に耳に舌が入ってきた。水音がダイレクトに響いてくる。
僕はそのまま、直衛の手で、ゆっくりと脱がされていった。
雰囲気に飲まれていた僕は――その時はっとした。
天井を見上げた。そうだ、見られているのだ。
「直衛、待って」
「……」
「待って、見られちゃう」
「――そうだな」
「!」
僕がカメラを意識したその瞬間、直衛が、下着の上から僕の陰茎を撫でた。
既にボトムスは下ろされていた。
布の上から最初は握るように撫でられて、その後、すぐに下着も取り去られた。
上にかろうじてまとっているシャツだけが、僕の体を隠してくれる。
その裾で、僕は陰茎がカメラに映らないように頑張った。
「あ」
すると、シャツの合わせ目から手を入れられて、直接陰茎を握られた。
思わず上げた声は、我ながら甘ったるかった。
「あ、あっ、ン」
「気持ちいいか?」
直衛がマッサージをする時と同じように、僕に聞いた。
だけど僕は、恥ずかしくて、涙ぐみながら首を振った。
こんなのはマッサージじゃない。
「舐めていいか?」
「え」
「少しだけだから」
僕は、指だと思った。手を前のように舐めさせたら、許してもらえるのだと思った。
だからきつく目を閉じて、静かに頷いた。
「え!? ひゃっ」
しかし直後、軽くベッドの上に押し倒されて、太ももを持ち上げられた。
反転した体で、僕は直衛を見た。
すると直衛の端正な唇が、僕の半分ほど勃ちあがっていた陰茎を咥えたのがわかった。
「ま、待って! 待――っ……ン……」
生暖かい口の感触に、僕は声を飲み込んだ。
蠢く直衛の口の中は――尋常ではなく気持ち良い。
舌で側面をねっとりと舐め上げられると、腰が震えた。
そのまま、僕は、ゆっくりとゆっくりと、直衛に快楽を煽られた。
激しさはどこにもなくて、ただひたすら優しく、直衛は僕を気持ちよくしていく。
自然と高められていき、ゆるやかな快楽のまま、僕は放った。
するとゴクリと、直衛の喉が上下した。僕は思わず目を見開いた。
「吐き出して」
真っ赤になって僕はそういったのだけれど、直衛は満足そうに笑っただけだった。