9:【新着アルバイト】魔術師!(高校生可)
葵は悩んでいた。
最近、忍び設定の強化が目標だ、これも修行だと言って、治樹が抱きついてくることが増えたのだ。大抵の場合、後ろから抱きつかれる。友人として、修行には付き合ってやりたいところだったが、現実問題ひっつかれれば暑いし、肩が凝りそうになる。無駄に治樹は長身で重いのだ。
思わず溜息が出る。すると葵は、幸輔と視線があった。
「……」
「どうしたの? 幸輔」
屋上で二人、トイレに行っている治樹を待っていた所、葵は幸輔の視線に気がついたのだ。
今では、名前を呼び合う仲だ。
最近は、幸輔の分の弁当も治樹が作ってきてくれるので、三人で昼食をとることが多い。昼食に葵が幸輔を誘っている内に、幸輔だけが購買のパンだというのが哀愁を誘い、結果として治樹が、全員分の弁当を用意するようになったのだ。
「さっきから溜息ついてるよな……」
「あ、そうだった?」
「……どうかしたのか、って、聞いた方が良いか? 聞かない方が良い?」
幸輔は、ほぼ人生で初めてと言って良い――初めて出来た友人の姿に困惑していた。
悩みがある様子だが、聞いた方が良いのか、聞かない方が良いのか。
そもそも此処にいて、自分は邪魔ではないのだろうか。
よく分からなかったが、治樹の同意(弁当)も得ているような現状なので、とりあえず共に昼食をとること自体は、問題はないだろうと判断していた。時に、堕天使の力が疼くのだが、彼らの前ならば、それらも問題ない。
「そのさぁ……幸輔も、≪終末創造槍≫の練習とかしてるの?」
「ぶ」
葵の言葉に、幸輔は飲みかけだったカフェラテを吹き出した。
――当然練習はしている。毎日毎日鏡の前で、かけ声と共に、拳の鍛錬と蹴り技の鍛錬を行っている。ああ、行っているとも。家族には、筋トレだと伝えてある。家族は五人だ。たまに入ってこられ、追い出しづらい祖父などに、ほほえましい目で見られると、何とも言えない気持ちになるものだ。
「最近、治樹の練習熱が高すぎると思うんだよ、俺」
いまだに治樹もまた中二病だと考えている葵の声に、合点がいって幸輔は少し冷静になった。
「まぁ……熱中すると、何処までも深まるものだからな」
そんなやりとりをしていると、治樹が戻ってきた。
「あ、おかえり」
葵が声をかけると、笑顔で頷いて治樹が座った。
なんだか居心地が悪く思えて、さっさと食べてしまおうと幸輔は考える。
「今日の唐揚げはどうだ? 忍びの里秘伝のタレで味付けしたのでござる。力作だ!」
幸輔は思わず両手で顔を覆った。
自分が痛いことは自覚していたが、改めて他者から中二病設定を聞くと悶えそうになるのだ。――しかも忍びの里秘伝のタレって何だ!
「美味しいよ」
葵は、とても言い笑顔で笑っている。
転生する前の時代から唐揚げが存在していたんだ、と、少し感動していた。
それは兎も角、実際治樹の作った唐揚げは、美味しい。葵は、手作りの唐揚げなんて、母が存命だった頃以来、食べたことはなかった。手作りの料理に飢えていたのかも知れない……とはいえ、それを別にしても、治樹の料理の腕前は、高校生男子にしては驚くほどの力量だった。
「……治樹って家でも料理してんの?」
幸輔が抑揚のない声で尋ねた。基本的に、人と話すと緊張するから、淡々とした口調になってしまうのだ。それが怖い、あるいはクール――時に、気怠そうで格好いいと、周囲に評価されていることを、本人は知らない。
「まぁな。俺、母親が病死して、父親しかいないんだよ。今は、母方のじいちゃんとばあちゃんの家で三人で暮らしてるから、手伝いくらいはちょこちょこな」
治樹が苦笑するように言った。
顔見知りとしては長い付き合いの幸輔と治樹だったが、二人は互いのことをほとんど何も知らない。地雷を踏んで(悪いことを)聞いてしまったかなと思いながらも、変に追求することはだけどに躊躇われて、幸輔は視線を宙に向けたままストローを噛んだ。
「なんでも料理の腕前は、親父譲りらしい」
照れるように笑った治樹に対して、葵が頷いた。
「そうなんだ……どうして俺には、母さんの料理の腕前が遺伝しなかったんだろう?」
「慣れだよ慣れ。葵の飯なら、絶対美味いって。たまには葵が作ってきてくれよ」
「うーん――そうだね、たまには良いかもな。じゃあこれからは、治樹・俺・治樹・幸輔・治樹で交互に作る?」
葵の提案に、幸輔が腕を組む。
「けど、葵の兄ちゃんにも、弁当作ってるんだろ?」
「ああ、それは、登校するときに幸輔が、俺の家に寄ってくれればいいよ」
にこやかな葵だったが、何という無茶振りだろうかと幸輔は頭痛を覚えた。
最近思うのだ、この人当たりの良い委員長――……実は、女王様(?)なのではないかと。
「いや家知らないし……」
何とか断る言葉を探している幸輔に、葵が笑う。
「じゃあ今日来る? 学校から近いよ。明後日数学のテストもあるし、一緒に勉強しよ。治樹も空いてるだろ?」
「勿論でござる、勿論……勿論……」
このようにして、その日三人は、学校帰りに葵のマンションへと向かうことになった。
学校帰りに大山駅前まで少し歩いて、三人は商店街でラーメンを食べることにした。
折角なので、治樹オススメの野菜の安い商店へと向かうことにしたのである。
「……よく食べるな。夕食はいんのかよ?」
特盛り豚骨チャーシュー麺+野菜&チャーシュー&煮卵×2をトッピングして、黙々と食べている葵を眺め、友達三人とラーメンを食べに来るという初体験の最中である幸輔は、『これがリア充か――!』と驚いていた。幸輔自身は、つけ麺の大盛りを食べている。治樹は、もう慣れた様子で、そんな葵を(生)温かい目で見ていた。一番体格は良いが、もっともこのメンバーの中で小食なのは治樹であり、普通の中華そばを食べていた。あるいは栄養状態が良いから、成長期であっても自然と自身にその時必要な量しか食べないタイプなのかも知れない。
「俺はいくらでも食べられるんだよ。薫――……ああ、俺の兄さんなんだけど、兄さんが言うには、若いうちだけだって」
「薫先生も細いでござるし、中年太りの心配は無さそうで良いよなぁ」
治樹の言葉に、幸輔が首を捻る。
「先生なのか?」
「ううん。教育実習で、治樹の所に行っただけらしい……ん、って事は、幸輔も知ってたりするのかな?」
葵が首を傾げると、治樹が首を振った。
「いや、あの時は、俺と幸輔は、クラスが別だった。担当教科の先生も別だったし、知らないだろ」
治樹はAクラスとBクラスをいったりきたりしているのだが、幸輔は大抵Aクラスだった。理由は、こう(不良に)見えて、実は幸輔の成績は、学内では当然守秘義務のため非公開だが、常に学年上位十人に入るからである。――堕天使の血を引く者として、いくら一般人のふりをしていても、頭が悪いなんて許されない! それが幸輔の自負であったし、矜持であったし、果ては、現在ではラノベでよく見るドイツ語の勉強までひっそりと開始したところだった。例えば、『Ich freue mich,Sir kennen zu lernen』くらいであれば言える。そのためAクラスから移動したことが一度も無いのだ。
「だけど資格持ってるって良いよなぁ、薫先生。俺もバイトとかしようと思うとき、少しでも将来役に立ちそうな奴って考えちゃうでござる」
治樹の言葉で、幸輔は我に返った。
「バイト……」
実はここ最近、幸輔は、バイトしようかと考えているのである。
友達が出来た、というのは大変嬉しいが、これまでラノベとアニメと関連グッズにしかお金を使ってこなかった幸輔は、この頃出費が増えたのを自覚していたのだ。
「幸輔も何かバイト探してるの?」
葵が尋ねると、幸輔が箸を止めた。
昨日見ていたアルバイト求人情報サイトのことを思い出す。
「あのさ……これは、妄想じゃなくて、設定でもなくて、昨日見つけたんだけどな」
ポツリポツリと幸輔は話し始めた。
【新着アルバイト】魔術師!(高校生可)
★十七時から二十二時までのアルバイトです。
★作業内容はとっても簡単!
★やりがいのあるお仕事です。
★自給:1200円
★連絡先→ミドガルズオルム社・人事担当・佐藤瑠架
「自給1200円? 高くない、それ。怪しいバイト何じゃ……」
「いや葵、つっこむべきは『魔術師』でござる」
幸輔に向かって葵と治樹が、それぞれ呟いた。
「やっぱり怪しいよな……だけど俺、昨日……勢いで応募した……」
ポツリと言った幸輔を見て、葵は吹き出した。
「なんだよそれ、気になるなぁ! 帰ったら、その求人見せて」
――そんなバイト誰がするんだよ。する奴は、馬鹿だろう。
吹き出しそうになりながら、幸輔ってちょっと馬鹿だよなぁと葵は考えていた。
「本当に有難うございます、浅木さん」
翌日、休みになった薫は、浅木が車で送ってくれるというので、家までお願いした。
浅木は自家用車を持っていて、高級車に乗っていた。
――クラウンかぁ……マンションも、独りで住んでるにしては随分高そうな所だったし(完全に家族用物件)……もしかしてあの仕事、やればやるだけ、金がもらえるんだったりして。俺も高給取りになれたり……?
運転の上手い浅木の隣で、ひたすら薫はそんなことを考えていた。
よくよく見てみると、無精髭を生やしていて、職場ではスーツをだらしなく着ている浅木だが、かなり身なりは洗練されていて、そのスーツなんてアルマーニだった。時計はロレックスだ。若干それだけ羅列すれば成金志向に見えるが、どうしようもなくそれらが似合っているのだから、恐ろしい。香水はブルガリブラック。営業時代にも似たような先輩社員は多数見てきたが、イヤミではない感じで着こなしている辺りが、心底格好良い。そういうタイプの人間を、薫は高校時代の友人だった某会社の御曹司と、営業先で出会ったデザイン会社の若手社長しか知らない。
さしてブランド物に興味があるわけではなかったが、高い物が似合うやつって格好いいよなぁと薫は思っていた。結構ミーハー(死語)なのである。
実のところ、浅木のそれらの持ち物は、全てもらい物である。気を遣わない浅木に見かねたルカスが、ちょいちょい買っては持ってきてくれるのだ。その為、マンション以外の価値を、浅木は知らない。
それにしても、病み上がりにもかかわらず送ってくれるなんて、本当に気の利いた先輩だと薫は思った。
「ここか?」
川越街道を通り、一軒家の前に着いたところで、浅木が車を止めた。
「あ、はい」
頷いた薫は、その時スマフォが震えていることに気がついた。
――ルカスからだ。
一応今日は、異世界トリップしないまでも会社に顔を出すつもりだった薫だが、そんなことは不要だと浅木に断言されて、今に至る。
「出て良いぞ」
浅木の言葉に、あんまり出たくないなと、小言を言われるのを覚悟しながら薫は電話に出た。
「はい、高杉です」
『おはよー、今どこ?』
「……すいません、家の前です」
テンションの高いルカスの声に、電話越しだというのに思わず薫は俯いた。
『丁度良かった。実はさ、バイトの応募があってね、それで、すっごく強い魔力の持ち主みたいだから、是非採用したいんだけど』
「はぁ」
『高杉君の家に、今いるみたいなんだよね、魔術でサーチした結果。弟君のお友達かな?』
「え?」
『それに君の弟も中々見所在りそうだって、こっちで調べた結果分かったから、勧誘しちゃいなよ』
「は!?」
『じゃ、明日から来るように伝えておいて。よろしくね』
一方的にそう告げて、ルカスは電話を切った。
画面を呆然と薫が見る。
「――どうしたんだ、高杉」
浅木が視線を向けると、薫が眉を顰めた。
「ルカスさんに、弟と弟の友達を、バイトに勧誘しろと言われました」
「……急な話だな」
「全くですよ」
浅木は思案するような顔をしてから、ハンドルを握ったまま、体をそれに近づけた。
「……弟の名前はなんて言うんだ?」
「葵です」
「ルカスは言い出したら聞かない。だから――これから、『高杉』は二人になるな。紛らわしいから、名前を呼んでも良いか?」
続いたその声に、どうした物だろうかと薫は溜息をついた。
「名前は良いですけど、弟が職場でバイトするとか嫌だなぁ」
「薫」
「はい?」
「……いや」
ただ、呼んでみただけだ、とは言えずに浅木は嘆息する。
しかし偶然とはいえ、名前で呼べるようになった幸運を、喜ばずにはいられないのだった。
「うわぁ、本当だ――『【新着アルバイト】魔術師!(高校生可)』だって」
ネットで検索した画面を見ながら、葵が爆笑した。
幸輔はなんだか恥ずかしくなって俯く。
「こんなの本当に誰が応募するんだよ」
続いた葵の声に、既に応募澄の幸輔は、更にいたたまれなくなる。
そんな二人の様子を見て、一人治樹は引きつった笑みを浮かべていた。
――からかわれているのだろうか?
二人は同じ求人情報を見ているらしく、『池袋のバイト』やら『ミドガルズオルム社』やらと言った話題を語り合っている。しかし何度、どう目をこらしても、治樹には見えないのだ。裸の王様の気分だ。
「治樹もこれはヤバイと思うよな?」
葵の声に、笑っているのが精一杯になる。
「……あ、ああ」
幸輔と葵の二人は、アルバイト求人サイトの一番下に、『【新着アルバイト】魔術師!(高校生可)』が出ていると話している。しかし何度目を凝らしても、治樹の目に映る一番下の求人は、『板橋区役所前コンビニアルバイト』である。
「ただいま」
その時、声が響いてきた。
リビングにあるデスクトップPCでネットをしていた三人は、帰宅した薫に視線を向ける。
薫の後ろには、浅木が立っていた。
「おかえり、薫。ごめん、友達来てるんだ」
その言葉に、やっぱり俺ってちゃんと『友達』なんだ、と幸輔は嬉しくなった。
それから、緊張極まって、会釈だけした。
無愛想極まりないように、周囲には見える。しかしそれが幸輔の精一杯だった。
「薫先生お久しぶりっす」
一方の治樹は、懐かしい顔を見て、顔をほころばせた。
正直なところ、話題が逸れるというのも、彼にとっては有難かった。
「おう、久しぶり。それに……織田だっけ? クラス違ったから直接話したこと無いけど、覚えてるわ。昔、お前の学校に教育実習に行ったんだよ俺。それに最近、葵から良く聞いてる。仲良くしてやってくれな」
薫がそう言うと、幸輔が小さく頷いた。
家族の間で自分の名前を出して貰っていると思うと、何とも嬉しい物だった。
――本当に委員長は、俺の友達になってくれたんだな!
幸輔が顔に出さずとも感動にうちふるえていると、薫が視線だけで振り返った。
「で、ああ、紹介するわ。職場でお世話になってる先輩の、浅木さん。浅木さん、椅子に座ってるのが俺の弟の葵で、他二人はその同高の奴らです」
「……はじめまして」
喉から絞り出すように、浅木は言った。
――……どうしてここにいるんだ?
目を見開いたまま、体が強ばった。息を飲みながら、浅木は織田幸輔の姿をまじまじと見る。視線が離せなかった。なにせ――……身長や体格こそ自分に似たらしいが(妻は小柄だった)、どこからどう見ても、妻にそっくりな面立ちをしている息子――幸輔がそこに立っていたからだ。織田は、浅木の亡くなった妻の旧姓だ。
会いたいと思わない日はなかったが、それを意識しないようにすることに、浅木は慣れきっていた。銀髪に紅い目という、見慣れぬ色彩をしていたところで、浅木には一目で分かった。自分の息子だという事が。幸輔に気づいた様子は全くないが、祖父母と叔父夫婦とくらしている幸輔の写真は、度々気を遣った浅木の義弟が送ってくれるのだ。
「兄がいつもお世話になっております」
葵が会釈する。
「浅木さん相手じゃなかったら、世話してやってるって言いたいんだけどな、今回は本当に世話になってるんだよ、俺。お茶淹れてくれ、葵」
「あ、俺が」
勝手知ったる調子で治樹が立ち上がる。
「悪いな」
任せることにした薫は(だって明らかに治樹の方が、お茶を淹れるのも上手そうだ)、それから葵に向き直った。
「何見てるんだ? お前が、スマフォ以外でわざわざネット見てるのも珍しいな」
「ああ、そうだよ薫、これ見てよ。面白くない?」
葵はそう言って、画面に表示されている『【新着アルバイト】魔術師!(高校生可)』という記事を指さした。
「ミドガルズオルム社だってさ」
ないよねぇという心境で葵が言うと、薫が朗らかに笑った。
「そこ、俺の職場。俺と浅木さんが働いてるところ」
「は?」
葵がポカンと目を見開いた。
――そんなバイト誰がするんだよ。そんな仕事をする奴は、馬鹿だろうとは思っていたが、何とも身近に馬鹿がいた!
一方の薫はと言えば、ルカスに言われた手前、最早葵にばれることは気にしないことにして、全てを暴露し勧誘する決意をしていた。
「……俺、応募したんですけど、どんなところですか?」
話を聞いていた幸輔が、おずおずと声を上げる。これまでの人生でバイトなどしたことがなかった彼は、不安で一杯だったのだ。
「止めておけ。働くべきじゃない」
ほぼ反射的と言っていい速度で、浅木が口にした。
驚いて薫が振り返る。
なにせルカスに、弟と弟の友達を勧誘しろと言われている以上、此処は少しでも良い印象を与えたい。
「止めろ、関わるな」
浅木が有無を言わせぬ調子で続けた。
そう言えば自分が入社したときも、浅木は結構露骨に、会社の批判をしていたようなと薫は思う。
「おまちどおさまです」
そこに、紅茶を五つ持って、治樹が戻ってきた。
「お前はこのバイトどう思う?」
場の空気を変えようと考えて、薫は、一番下に表示されている魔術師のアルバイト求人を指さした。
「――ん、コンビニのバイトって定番ですよね」
「「「!」」
その何気ない言葉に、治樹以外の全員が言葉を飲んだ。
ルカスが指定してきた、大変魔力が強い薫の弟の友達というのは、確実に織田幸輔のことだと確定した。何せこの求人は、ルカス曰く、魔力がなければ見えないのだから。
それから暫くして、治樹が夕食を作ってくれることになった。
それを待ちながら、薫は浅木の様子をうかがいつつ、幸輔と葵に話しかける。
「長野は兎も角、二人は明日学校が終わったら、バイトの面接に来いよ、多分受かるから」
薫の言葉を、黙って浅木は聞いていた。
このようにして、ミドガルズオルム社には、その後二人のバイトが入ることになるのだった。