6:モンスターの部屋:二回目:二人目の魔王と犬(★)



 扉を開けると、今度は宮殿のような場所の内部に出た。正面には赤い絨毯が敷かれた階段がある。ビクビクしながら杖を両腕で握りしめていた時、階段を下りてくる人物がいた。

 二匹の犬を連れていて、その一歩後ろには、金髪の青年が立っていた。

「おや」
「こ、こんにちは」
「新しい魔王なんだね――グリム君か」
「あ、はい」

 そうだ、ステータスを見なければと思い、俺は静かに口にした。

「≪ステータス閲覧≫」

【基本ステータス】
NAME(名前):アルカナ
Lv.(レベル):10550AGE(年齢):19歳
JOB(職業):魔王ダンジョンマスター
HP(体力):8528800
MP(魔力):998579
SP:3950000
CR:10960000000
LUC(幸運):120069

【基本ステータス】
NAME(名前):砂漠犬(大)
Lv.2500


「アルカナ?」
「うん、そうだよ。よろしくね」
「よろしく」
「初めてだから分からない事だらけでしょ?」
「うん」
「実地で教えてあげるよ」

 そういうと、アルカナが近寄ってきて、急に僕を抱きしめた。

「え」
「自分で脱ぐのと、脱がされるの、どっちが好み?」
「いや、そういうのはちょっと……」
「じゃあ脱がせるしかないね」

 あっけにとられて銀色のアルカナの目を見ていたら、服を、そばにいた犬たちに噛みちぎられた。

「っ」
「僕は魔王の中でも、召還者だから、モンスターと仲が良いんだよね。大抵は魔術師か剣士になるんだけど。初期ステータスだから、職業は変えられないんだけどね。グリム君は魔術師みたいだね」

 唐突に裸に向かれ、僕はぽかんとするしかない。
 そのまま腕を後ろにひねりあげられて、無理矢理反転させられた。
 後ろから抱きしめる形で座らされる。両足を投げ出した僕は、完全に動揺していた。
 そうされていたら、良い匂いがした。
 嗅ぎ覚えがある。これは――……バターだ。
 見れば、アルカナは、容器から白と黄色の中間の、溶けたバター(?)を手に取っていた。すると二匹の犬が近寄ってくる。

「待て」

 アルカナの言葉に、その場で犬たちは座った。

「まずは中を確かめようかな」

 指に絡め取ったバターで、唐突にアルカナが僕の中に指を突っ込んできた。
 ドロドロとしていたので、すんなりと入ってくる。

「や、ヤダ」

 体を捩って逃げようとすると、そのまま体重をかけられて、僕は四つんばいにされた。
 そのまま指でグチャグチャと後孔をかき混ぜられる。

「はっ、うッ」
「初めてじゃなさそうだね」
「……」

 羞恥に駆られて唇を噛む。

「!」

 その時前立腺を見つけられ、しびれるような感覚が全身に走った。

「ああああ」
「此処が好きなんだ」
「や、やめ――ン、ぁ!!」

 そこばかり刺激され、バターを塗り込まれる。

「挿れるよ」
「うッ」

 あっという間に、訳が分からないうちに、アルカナの男根が押し入ってきた。
 長くて固い。
 奥まで一気に付き入れられて、僕は酸素を求めて口を開いた。だけど苦しくて、声が喉に張り付いた。そのまま、ゆっくりと腰を揺らされ、すると一気に快楽が募ってきて、思わず目を伏せた。この世界(?)に来てから、僕の体はおかしくなってしまったのかもしれない。

「ふ、ン、あ」
「気持ちいいところを突いて欲しい?」
「ああっ、う、うん」

 思わず素直に答えると、アルカナが嘲笑したような気配がした。

「駄目」
「っ!」

 しかしアルカナは、激しく腰を動かすだけで、僕の感じる箇所などお構いなしだった。
 けれどそれでも、擦られる感覚に、少しだけ刺激され、僕の陰茎がユルユルと立ち上がった。すると楽しそうに笑ってから、動きを止めて、再びアルカナがバターを手に取った。

「うああっ」

 そして俺の前を、ぬるぬるした指で扱きあげた。

「あ、あ」
「んー、そろそろ出すよ。僕は今日はもう一仕事してきた後だし。僕のレベルとじゃ、レベル差ありすぎて、辛いでしょ、君も」
「!!」

 その時ひときわ激しく突き上げられて、俺は体の奥が熱くなってぬれた気がした。
 同時に前も扱かれて、達してしまった。
 腰を引いて陰茎を抜いてから、改めて僕の両脇に片腕を差し入れて、起きあがらせられる。そして再び、バターを陰茎に塗り込めるように、触られた。

「止め、止めて。もう終わったんじゃ……」
「僕はね。だけど僕の可愛い”ペット”達はそうじゃないみたいだから」

 意味が分からず混乱していると、アルカナが言った。

「GO」

 何のことだろうと思っていたら、二匹の犬が、僕の方へとやってきた。争うようにしながら、僕の陰茎をなめあげ、口へと含んでは、べろべろと舌を動かす。

「あああ――!! や、嫌だ!! ま、待って、嘘、いやだ、ヤ――!!」

 巨大な舌の感触と射精を促される感覚に僕は身を捩ったのだけれど、後ろから抱えたアルカナがそれを許してはくれない。どころか、今度は僕の太ももに手を当てて、菊門までをも見える形にした。一匹はそちらを舐め、もう一匹は僕の陰茎を舐め続けている。

 中へと入ってくる舌の感覚と、男根の先端や側部を舐められる感覚に、気づくと体が震えていた。怖い、怖いのだ。だけど――どうしようもなく、気持ち良かった。

「あ、ッ――!!」

 そのまま僕は果ててしまった。

「うわぁ、バター犬に舐められてイっちゃうとか、淫乱なんだねぇ。まだ、この世界に来たばっかりなんでしょう? いくら魔王の体に成り代わると、快楽を感じやすくなるって言っても、コレじゃあね」

 耳元でアルカナに囁かれ、耳の後ろを舐められた。

「やだやだやだ!!」

 しかしそんな言葉に羞恥を感じはしたものの、僕のそれを舐め続けている犬が怖かった。怖いのに、気持ちいいのだ。グラグラしてきた思考に、僕は涙を流した。

「あ、ああっ」

 二度目の射精をした。その時だった。

「クロウ待て」

 一匹の犬に、アルカナがそう指示を出した。すると僕の陰茎を舐めていた犬が、少し離れた場所で座った。それから僕はまた四つんばいにされたのだけれど、体に力が入らなくて、前の両腕の合間に頭を押しつけてしまった。

「! あ」

 その時だった。僕の後ろの孔に、感じたことのないモノが入り込んできた。
 見ればずっと後ろの孔を舐め、舌を抜き差ししていた犬が、僕の背にのし掛かり、そそりたつ性器を僕の中へと差し入れていた。犬というか、モンスターだけど。

 ギザギザとした突起の突いた性器が僕の中へと押し入ってきたのだ。

「うあア――!!」

 見知らぬ感覚に目を見開くと、涙がぼろぼろとこぼれてきた。
 それから、その突起のある熱に何度も僕の腰を揺らされ、その一部が最も感じる場所へとあたり、僕は射精した。しかし――解放されることは無かった。

「な、あ、ヤぁッ」

 急に、内部で犬の性器がふくらみ抜けないほど大きくなったのだ。

「あ、ああっ、な、何コレ」
「犬型のモンスターは、一定時間性器が抜けないように、そうやって栓をする習性を持っているんだよ。そんなことも知らなかったのかな?」
「うあ、あ」

 愉悦まみれの笑みを浮かべてこちらを見守っているアルカナの声が、耳に入るものの、すぐに消え去ってしまう。苦しい悦楽に、僕は辛くなった。その時正面から、静かに腕を伸ばし、ゆるゆると乳首をアルカナに撫でられた。そして摘まれた。

「ひゃッ」
「胸も好きなんだ」
「う、ンあ、ああ、やぁ」
「体がピンク色に染まっているね、色が白いなぁ」
「ふぁア、あン、ぁ」
「それに快楽で乱したくなる、いじめたくなる顔をしているね」
「や、ヤダ、あ、抜いて、抜いてぇっ」
「一時間はそのまま我慢して。何せ餌の時間なんだからね」

 僕はその言葉に絶望的な気分になった。
 何度も声を上げ、そのうちにナニカを中に放たれた時――……僕は気を失った。
 多分元々貧血気味だったこともあるのだと思う。

「大丈夫?」

 目を開いた時、そこには心配そうなアルカナの顔があった。

「あ、僕……」
「具合悪かったみたいだね。ごめんね、本当にごめん」
「……いえ」

 どうせ隙だらけだった自分が悪いのだろうと僕は思った。
 この前会った北斗もそうだけど、魔王たる者、ガンガン率先して相手を襲っていくべきなのかもしれない。

「けど、レベルはちゃんと上がったから安心して。あと僕から、ピアスと腕輪はプレゼント」

 その言葉に僕は確認してみることにした。

「≪ステータス≫」

【基本ステータス】……基本最低項目と、本日の新規項目のみ表示します。

NAME(名前):グリム
Lv.(レベル):201AGE(年齢):0歳
JOB(職業):魔王
CR:18400000
LUC(幸運):17GOLD:0

【スキル】

≪悲愴のグレーテル≫……火属性の炎で出来た槍で最強威力の単体攻撃↑New


【アイテム】

・お財布≪Lv.200特典≫↑New
・初心者魔王の服(上・下・靴)――破損
・初心者魔術師の杖
・初級魔術師の腕輪(攻撃力+5)↑New
・霧の魔術師のピアス(致命傷を一撃だけ無効化)↑New
・ヒトデの涙(弛緩薬)×299
・触手の滴(媚薬)×1099
・砂漠のオアシス(HP全回復)×500↑New
・星の砂(MP全回復)×500↑New
・バター(食材)×700↑New


 どうやら、魔王相手でレベルが沢山上がり、さらに×2分の砂漠犬との交わりの効果もあったようだ。201……201……一応お財布を持てる目標レベルに到達した! のは良かったが、疲れてしまった。

「だけど、意識を失うなんて一体どうしたの? 魔王の体力ならそんなこと滅多にないのに」
「……作り出したモンスターに、一年後から餌がいるって聞いて……血を抜いてたから」
「え?」

 うつむきながら言った僕に、驚いたような声をアルカナがあげた。

「そんなの適当に人間をあげればいいんじゃない?」
「あの子達に、人殺しなんてさせたくなくて」
「うーん。初心者だからこその悩みだね、複雑。それなら、いっそ、”快楽ダンジョン”にしちゃえば?」
「快楽ダンジョン?」
「そ。設置するモンスターをこれから全部、性的なモンスター……要するに”精液”を吸い取るモンスターだけにして、人間を殺すんじゃなくて、快楽責めにするダンジョンにすれば良いんじゃない? ま、気持ちよすぎて狂って死ぬ人はいるかもしれないけど。自分の血を貯めておくよりも、アイテムの”精液”が勝手に手に入る方が、餌をあげやすいでしょ。まぁ取りすぎた場合に備えて、レベル350で手に入る”無限鞄”を持っていた方が良いかもね。あれなら、アイテムがいくらでも入るからさ。モンスターが吸った”アイテムの”精液”は自動的に、こっちのアイテム欄に入ってくるからね。レベルが1000になると”無限倉庫”も手にはいるよ。こっちは、モンスターとかも収納できるんだ。人間とか獣人とか色々とね。調教向き」

 良いかもしれないと僕は思った。それならば、基本的には人は死なないだろうし。
 取りあえず、次の目標は、レベル350か……。

「じゃあまたね。なにかと魔王同士、会う機会もあるだろうし」

 そう言うと、アルカナは姿を消した。


 その後すぐに僕も転移で帰った。シャワーを浴びて、それからまだ貧血状態のままだったから、転びそうになりながら、髪を乾かすのも億劫なままで、寝室のベッドにダイブした。

 どちらかといえば固めのマスター室のベッドとは違い、フカフカしていて、僕はすぐシーツにくるまって眠ってしまったのだった。