10:増築と、奴隷
快楽って良いよね――多分決して悪い事じゃないんだと思う。
だって気持ちいいんだから仕方ないじゃないか。
僕はもう止めることにした。
見知らぬ快楽に怯えることを、僕は止めた。
此処まで来たら悪戯として、僕を虐めたモンスターを配置するとか、
そういうんじゃない。
人間は怖いし――……だけど。
みんなに気持ちいいって思ってもらえるようなダンジョンを作ることにしたのだ。
丸太に跨っていた僕は、勿論レベルだって凄く上がったけど、何よりも沢山のアイテムを手に入れたから。それらも含めて、快楽でおかしくなってしまいそうな、悦楽のダンジョンを作ることに決めたんだ。
もう僕は認めるしかなかった。気持ちの良さを。
僕は、奥を突かれて、気持ちよくなって、そうして精液を吸って生きていくことにしたのだ。献血なんかをするんじゃなくて、精液を吸い取る。それで良いじゃないか。誰が死ぬわけでもないんだから。
あるいは、冒険者相手にモンスターと交わらせて。
このようにして。
次に僕は5つ目の階層を作ることにした。
全面がかなり部屋の広い部屋にした。迷路の壁も全て鏡にした。ただ攻略するためには、”孤独な小枝(バイブ:弱)”または”太陽の小枝(オナホール:弱)”を使用しなければ歩けないようにした。
ダンジョン入り口にその旨の看板を立て、棚を作り、バイブとオナホを設置していった。一応親切心でローションも置いておく。
孤独な小枝(バイブ:弱)や太陽の小枝(オナホール:弱)を使用しないで進むと、強制的に、三角木馬がある罠の地下室に落とされ、後孔に突き刺さり、六時間ほど孤独な大枝(バイブ:強)に嬲られるようにした。そしてありったけの精液を抜かれ、教会へと転移するようにしたのだ。
そこに七つの、迷路からたどり着く部屋を作った。一カ所にだけ、ダンジョンの外へと帰還できる魔法陣を置き、もう一カ所にだけが地下へと続く部屋を作った。他の五つには、いつの間にか入手していた≪霧の道化師≫を設置し、5人以上の前で自慰をしながら、鏡で自分の痴態を見なければ、決していイない仕様にした。霧が快楽を煽り、自分の両手の指で、菊門の中を刺激しなければ、前では出せない仕様にした。痴態をみんなの前で見せなければならないのだ。
見せなければ、赤いひもで亀甲縛りをされて、蝋燭がたれている自分を12時間ほど鏡の前で見せつけられるのだ。
六階層目には、≪悦楽の雨≫を設置し、”同じパーティ”のメンバーと性交渉しないと先に進めない形にした。小部屋で、媚薬と布団を敷いてある。そうしないとひたすら天井から媚薬が降ってきて、全員が出したくてイきたくて仕方がない部屋にした。全員が達すると、B7に行けるのだ。一人きりで快楽に達した場合は、先に進めないまま、24時間ほど悶えてから、近隣の教会に戻れるようにした。
B7は最も広いダンジョンにした。そこには、≪ヒトデ触手(最大)≫が通路を埋め突くすほど設置し、入ってすぐからよほどの力がない限りは、犯され尽くす仕様にした。その最深部のいかにも階段とアイテムがありそうな部屋には、砂漠犬(最大)と【とろけたバター】を設置し、パーティメンバー全員が、獣姦をして挿れるか挿れられなければ、階段が見えない仕様にした。
B8は射精地獄にした。そこには、空気に≪わがまま吟遊詩人の涙≫が解けていて、入った瞬間にはもう気持ちよくなってしまうのだ。
その為、何度も何度も射精してしまう地獄だ。人間ならば三回は果てる。というよりは、限界まで果てさせられる。此処は複雑な迷宮にし、無理矢理出来る限りの快楽を強制的に煽るのだ。それに耐えきった時、ダンジョンの奥に行くと、木馬と上から下がる手錠と、傍らには目隠しが落ちていて、馬型の木馬を何度も揺らし5時間ほど揺られなければ、地下に降りる階段は現れない仕様になっている。
さらに五回ほどイかなければ、次には進めない。なお捕まらなかった場合は、鞭でひたすら、木馬に乗っている相手を叩き、100回したところで、自慰をしなければならない。
B9は、空イキ地獄にした。降り立った瞬間に、蔦に絡め取られ、ひたすら前立腺を刺激され、陰茎の根本は拘束されるのだ。その状態で10回空イキするまで、離してもらえないのだ。もしくは蔦に絡め取られたパーティメンバーを10回空イキさせるまで、蔦に陰茎を拘束される。
B10には、言葉責めの部屋を用意した。降り立った瞬間に十字架に貼り付けられて、淫乱だ淫乱だと言われ続けるのである。そしてひたすら触手に胸を蹂躙され、胸だけで果てるまで嬲られるのだ。
十字架に囚われなかったパーティメンバーは、あらゆる限りの言葉責めをしなければ射精できない。
B1からB10間での全ての部屋、このダンジョンの全てに、モニターで表示された時の記録をとれることにした。
そして――階を下るごとに感度が上がる仕様にする。取りあえずそこまで作って僕は満足した。勿論、モンスター達は倒されたり、玩具類は、盗賊の腕前次第で解除されたり、剣士に斬られたり、媚薬系統は薬師の実力次第で無効化されたりもする。対抗するPOTも作れると思う。だが、相当なレベルを必要とするはずだ。詳細は省いたけど、各階層に、他にも様々な罠や、アイテム箱も設置してある。魅力的なアイテムじゃないかなぁと個人的には思ったから、きっと攻略に来る冒険者も沢山いるはずだ。
それから子犬たちがいる部屋へと向かった。
すると皆が僕に飛びついてくる。ぺろぺろと頬を撫でられ、なんだか僕は久方ぶりに心が和んだ気がした。
「餌、一年経ったらちゃんとあげるからね」
そう言って四匹のそれぞれを撫でるとモフモフしていた。その内の一人を抱きしめると、自分も自分もと言って皆が僕の膝に手を添えた。
「名前を付けてあげないとね」
しばらくの間会わなかったけれど、もう僕は大体の違いが分かっていた。
モニターで見ていたからだ。
「君はエンデ、君はヘッセかな。君はギュンターかな。ケルベロスは、グリードリヒがいいかなぁ」
すると皆が名前を気に入ったように短く鳴いた。
――人間は怖い。
だからこそ、このモフモフ達だけが、僕の友達だった。
一匹――エンデを抱きしめながら、ため息をついた。
階層を作っている内に、半年が経過していたのだ。
半年そして、僕が丸太に乗っかっていたのが三ヶ月だから、後三ヶ月でこのダンジョンは解放される。
やっぱり人間は怖かったけど、だけど、近隣の村……トルテ村は最低限把握したいと僕は思っていた。いきなり何も知らない冒険者が来たら困るからだ。
それに――僕は倉庫を手に入れた。
調教用って聞いたけれど、奴隷制度とかちょっと気になりもしていた。
僕はまだ文献でしか、この国の知識もないし、それどころか村のことも知らない。
というわけで僕は旅人の衣装に替えて、まずは奴隷商がいるところへと向かった。
多分――一人で過ごすのがちょっと寂しかったというのもある。
そこはトルテ村から十三時間ほどかかる都市だった。
――エリーゼ大陸ヴィルヘルム国の都市ゲシヒテだった。
僕は時間にすれば午後十一時くらいに、鉄格子に入れられた、奴隷を眺めていた。
「お買い求めですか?」
店主に言われ、やっぱり表向きには禁止されていても、暗黙の了解で、奴隷商がいる事実を認識した。別に僕は本心から奴隷を買いに来た訳じゃなかったけれど、一応店内へといざなわれるがままに中へと入った。
外にある鉄格子には少年が並んでいたが、中には年かさの獣人達が並んでいた。
右側の檻の中の人々は僕と同じくらいの外見年齢に見える。
再奥には首輪を填められた、一人の獣人がいた。
明らかに他の奴隷達に比べて、やせこけていた。
他の奴隷達とは違い、頬からは血が出ていて、足も折れているようだった。不思議な方向に足が変形している。全裸で、所々に傷があった。何よりも目を惹いたのは、左の鎖骨から胸にかかって、焼き印が入っていたことだ。赤いバラと十字架みたいな形だった。
獣人差別――それがあることは、書庫の本で見ていたので、僕も知っていた。
僕は兎耳をつけた――というか、獣人を初めて見た。
また確実に嬲られているのも一目で分かる。暴力を振るわれているようだった。
「彼は?」
気づけば僕は尋ねていた。
「ああ、ストレス解消用の奴隷ですよ。ただ利き腕の右手と両足が破損しているので、ああして檻に入れて、お客様の方々に、虐めて頂いている、見本品です」
「……見本って事は買えないの?」
「いえ。後孔は誰も押し入ったこともありません。性奴隷には丁度良いかもしれませんね。ただし年がいきすぎて人気がないから、ストレス解消用の見本にしているんですよ。やはり皆様、若い奴隷を好むので」
「いくら?」
「70000Gです」
「買う」
どうしてそんなことを言ったのか、僕自身にも分からなかった。やっぱり寂しかったのかな。すると檻から出された獣人は足が満足に使えない様子で、転んだ。
「感謝しろよ、来月にはお前は殺す予定だったんだからな」
「……」
獣人は何も言わない。それから僕を見上げた。
ひざまずいているためだ。手首を拘束されて無理矢理先ほど立ち上がらされていた時は、僕よりも背が高そうだったが、床にはいつくばっている状況ではさすがに僕の方が見おろす形になる。
「いい加減にしろ。お前みたいなクズを買って下さったんだから、感謝しろ」
「……」
獣人はやはり何も言わない。
まぁいいやと思いながら、僕は抱き上げた。身長はやっぱり僕より高い。だけどHPも上がり腕力がある僕には、抱き上げることは簡単だった。
「お客様、首には≪隷属の首輪≫がはまっていますので、こちらの≪主人の指輪≫で命令なさって下さいね」
僕に対しては腰が低いなぁと思いながら、手を伸ばして指輪を受け取る。
奴隷商人に金を払ってから、その獣人を連れて≪転移≫した。
僕以外の相手も転移させられる事に気がつき、その時の僕は驚いていた。
見慣れたマスター室へと戻り、寝室に寝かせる。
それから丸太のおかげで得た、≪快癒≫で獣人の体を治した。
ベッドに深々倒れるようにして、彼は眠ってしまったから、治ったかは確認できなかった。そばに服を用意しておきながら、随分酷い目にあって疲れていたんだろうなと僕は思った。