【5】★



 わざとらしくゆっくりと舐める。すると彼女が震えた。

「やぁああっ――ぅ、ぁ、ぁ、あああああっ! は、ンあ!」

 かなり長時間ゆっくりと焦らしながら舐めていると、礼がすすり泣きを始めた。
 口を自分の両手で覆って必死に声をこらえている様子だ。
 先程までよりも大きくなったのが分かるのだろう、声が恥ずかしいみたいだ。
 ――声をこらえきれないほど、感じているみたいだ。
 目の色が情欲で滲んでいるのが分かる。礼の女性性が前面に出ていた。
 これを知らない周囲が哀れだ。礼を女扱いしないほうがおかしい。
 そもそも彼らが変人の集まりだということは、とっくにわかっていたのに、なぜその色に染まっていたのだろう。僕は危うく、礼を逃すところだったじゃないか。その点では恨むことに決めた。

「ああああっ、やぁあ、あ、あ、や、何、何、なんで、あ、変、なにこれ、まって、おかしくなる、おかしくなっちゃう、や――! あ――!」
「いきたい?」
「あ、あ、あ、や、いくってどんなの? っあ、あ、何、あああああ」
「今、辛いでしょう?」
「は、はいっ、ぁぁっ!」
「楽になるってこと」
「楽にしてぇ!」
「違うよ。いかせって言って」
「いかせて! お願い、いかせて!」

 泣きじゃくっている礼に微笑して見せてから、僕はきつく吸いながら舌先で強めに刺激した。すると大きく声を上げて、礼が果てた。がくりと首を横にし、全身をベッドにあずけている。肩で息をしている彼女の白い肌は、少し蒸気していた。

 そのまま秘所の割れ目を撫でると、しっかりと濡れていたが、固く閉ざされていた。なので愛液を掬って何度かなぞっていると、ハッとしたように礼が息を飲んだ。

「柾仁さん、ダメです」
「なにが?」
「これ、こんな、だって」
「僕とするのは嫌?」
「嫌じゃないけど、そういう問題じゃ――」
「ふぅん。嫌じゃないんだ」
「っ、だから、でも、待って、だってこんな」
「初めてが僕じゃ問題があるってこと?」
「私はないけど、柾仁さんは――っ、ぁ! ック、ン――!」
「礼が嫌じゃなくて問題ないんなら、別にいいと思うんだけど」

 ゆっくりと中指を差し入れた。かなり狭い。そんな僕を礼が必死に押し返そうとしている。分かっている。これは強姦に等しい。だが僕はそれよりも、いつ他の男がこうしていても同じ状況だったのだろうと考えて、そちらが頭にきていた。また、いつかそうなるくらいならば、今、僕がもらおうじゃないか。そんな気分で、指を進めた。第一関節までやっと入った時には、礼の抵抗は止まっていた。そこからもう少しだけ進め、僕は指をゆっくりと左右に動かした。

「ひっ、ぅ」

 基本的に妃候補は処女だ。だから処女の抱き方を習った方が多い。最初に経験豊富な人間に手ほどきされた後、あとは処女ばっかり相手にしてきた。まさか、実際に処女相手に行う日が来るとは思っていなかったけど。多くの場合、良家のご息女でも経験済みが多いのが最近の実情だ。父が廃止したから、内々の待機婚約者制度はもう無い。いつまでも僕が未婚ならば、それこそそれとなく誰かを勧められはするだろうけれど。

「やぁあああ」

 少し中が広がったので、一気に中指の付け根まで勢いよくさしいれた。
 声を上げた彼女には知らんぷりして、今度は指を振動させた。

「う、ぁ、ああ、や、っ」
「痛い?」
「あ、あんまり」
「そう」

 その後、振動させたまま左右に動かした。
 それから一度動きを止め、余裕を確認してからかき混ぜた。
 礼が体をこわばらせると、中が少ししまった。緊張しているのがよくわかる。
 しかし余裕は十分だと判断して、ゆっくりと引き抜き、今度は人差し指と一緒にいれた。

「や、やぁっ、入らないっ」
「入るよ」

 そして今度は、問答無用で第二関節まで進めた。

「ふ、ぁア、あ、嘘」
「ね? 入ってるでしょ?」

 その状態で振動させてから、かき混ぜるようにして、二本の指を奥深くまでいれた。根元まで入ったのを確認し、再び振動させた。どうやら濡れやすい体質らしい。

「息して、ちゃんと」

 僕の声に必死に頷き、礼が大きく呼吸を始めた。時折交じる小さな声に、ひどくしてやりたい気分になったが、そこはこらえた。しばらくそうしたあと、僕は迷いなく、経験上というか講義上知っていた女性の多くが感じる場所を刺激した。

「ひっ、うあ!」

 礼が目を見開き、声を上げた。

「あーあーあー! やだ、やだ、そこ、やだ!」
「嫌じゃないでしょ、良いってちゃんと言わないと」
「待って、あ、待って、や、っ、あ、死んじゃう」
「死なないから。気持ちいいでしょ?」
「あ――! だめ、変になる、やだ、あああああああ」
「気持ちいいの。覚えて」
「だめ、無理、体が自分じゃどうにもできな――ヤぁああああ!」

 そこから二本の指先をバラバラに刺激したり、そろえて刺激したりを繰り返すと、礼は声を上げることと涙を流すことしかできなくなった。嬌声しか出てこない様子だ。いつもならば優しい僕は、処女はこのまま一度いかせてあげて中イキを教える。しかし礼は僕の契約した閨の講義の相手じゃない。それに嗜虐心が止まらない。抑えきれなかった。

 僕はなぜなのか笑いながら、舌先でゆっくりと再び彼女の蕾を舐めた。

「うああああああああああああああああああ」

 中の動きを少し鈍くし位置を逸らし、蕾はいけない強さでゆっくりと舐める。
 これは経験豊富な女性もよがり狂うことが多い。
 経験0の礼は、呆然としたように、ただただ泣き叫んだ。
 ――それがどうしようもなく愛おしい。
 普段はついていけないほどの天才の彼女が、僕の下でひとりの女としてただ喘いでいるこの姿が、たまらなくそそる。どんどん愛液が溢れ、僕の指が濡れて、動きやすくなっていく。唾液じゃない。しばらく嬲ったあと、どろどろに溶け切った目をして、僕を見ている礼に告げた。

「いれてって言ってよ。それまで続けるから」
「いれてぇッ」
「――僕以外としないって誓う?」
「誓う、誓うから!」
「一生だよ?」
「うん、うん、誓う、誓う、あ、あ、っ」
「僕が要求したら、必ずする?」
「するからぁっ!」

 礼は約束を破らない。僕はそれをよく知っている。
 ――中で出すか迷ったけど、そうすると、楽しむ期間が減る。