【7】★
体を引き抜き、私は空音をそのままにして、ロッカーへと向かった。賢者タイムなのか虚ろな顔でぼんやりとしている空音は何も言わない。そしてルドルフと使用予定だったが、未使用のまま終わったので、私側の方が使う可能性が高いため引き取った各種玩具の入った紙袋を手にとった。ルドルフはどちらかといえば、ノーマルで勢いが強い。なので、私に使う場合があっても、自分がされるのは好きでない部分が、私はあまり好みじゃなかった。だから、それとなく勧めようと思ったっきり未使用だったコックリングを一瞥し、なんだか楽しい気分になってきた。
紙袋を持参して戻り、タバコに火をつけてしばらくすると、気だる気に空音が顔を上げた。案外頻繁に見る、少し不機嫌そうな無表情だ。
「さっさとこのネクタイを外せ」
「――そうね。ネクタイ、外してあげる。吸い終わるまで待って」
「……」
それから私は手錠を取り出し、隠し持って、空音の見えない位置に回った。
そしてネクタイと付け替え、今度こそ本当に拘束した。
「な」
ぎょっとした様子の空音の正面に回り、微笑みながら、膝を立てさせて足も拘束した。
「ふざけるな、離せ!」
「ねぇ、空音。これ、なんだかわかる?」
私はエネマグラとローションを取り出した。
「……? ボディオイルか?」
「ちょっと違うわ。これはね、本当は、初めて経験する女の子に使うの。特にこの器具は、男の子が気持ちよくなることはないんだけど、試してみたくなって」
「!」
私は大嘘をついた。これは最先端のもので、的確に男性の前立腺を突き上げると評判の一品だ。ローションの方は弛緩作用と、快感を強める効果がある。それをまぶして、特にならすでもなく、空音の中に押し込んだ。目を見開いた空音が、衝撃に声と息を呑んだのが分かる。
「あんまりにも、女の子のように胸が感じるみたいだから、入れるより入れられる方が好きなのかと思って」
「や、やめ」
「そうそう、胸にはこれがいいわね」
私は、両乳首に、キャップのようなものを当ててやった。スポイトのように吸着し、内部では先端が乳頭を刺激する構造で、スイッチを入れると振動する。私は迷わずスイッチを入れた。結果、空音が泣き出すまで二十分もかからなかった。必死で大きく体を揺らしているし、私が乗っているわけではないから本気で抵抗しているのだろうが、両手足の手錠のせいで、どうにもならないのだ。
「いやだいやだいやだやだやだやだやめ、お願いだから!」
子供のように泣きじゃくっている空音(考えてみると子供なんだけど)は、普段の様子を思い出すと、もうどうしようもないくらい愛らしい。気持ちいいのだろう。胸の玩具は、胸だけで達することができるようにする開発専門の評判の玩具だし、後ろは大人気商品だ。
「女の子みたいに胸で感じて、女の子が使う道具で後ろでまで感じるなんて、空音は変態だったのね」
「うあああっ、も、もう、やだ、やめ」
「これじゃあまずいわ。まさかこれでいっちゃったら大変!」
わざとらしくそういって、達しそうになっていた直前にコックリングをはめてあげた。泣きじゃくっている色っぽすぎる空音を眺めながら、私はタバコを三本ほどゆっくりとスった。もちろん間隔をあけてだから、一時間くらいはじっと見ていた。全身があせばみ震え、肌が桃色に染まっている美しい男。なんなのだろう、この色気は。私が人生で見た誰よりも美しい。歩み寄り、鈴口を舌で嬲ると、空音が号泣しながら嬌声を上げた。
「空音、いきたい?」
小さく、だがしっかりと空音は頷いた。
「女の子みたいなことされて感じてるって認める?」
これにも、小さくだけど頷いた。素直な空音も非常に可愛い。
胸から玩具をはずしてあげて、それから先端の丸い細く柔らかい棒を取り出した。
「! ま、まって、なにし――ぁ……――!」
鈴口から棒を突き立てると、空音が目を見開いた。恐怖が滲んでいた。
そのまま進め、少しだけ上下させながら耳元で囁いた。
「動かないほうがいいわ、あなた自身のために。暴れると危ないから。安心して、最高に気持ちよくしてあげる」
そして前立腺まで進めたとき、空音がボロボロと涙をこぼした。
「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
「いってるのと同じ感覚がするでしょう? いきたいっていってたから、こうしてあげたのよ。いきっぱなしみたいでしょう?」
そう言って笑ってから、棒を少し刺激させると、空音が気絶した。内外から前立腺を同時に刺激されたのだから、快楽に疎ければ、いいや、そうでなくても、こうなっておかしくはない。私は空音が気絶している間に、棒をひきぬき、後ろの玩具も引き抜いて、後ろを広げておいた。空音が目を覚ますまでの間に、それなりのバイブが入る程度にしておいたのだ。目を覚ました空音は、まだぼんやりしているようで、何が起きているのかわかっていないような顔をしていた。そんな希に見る子供らしい表情が、またすごく良い。
いかせてあげていないのもあるし、私が後ろをいじっていたせいもあるし、なによりリングがそのままなので、三分の二くらい空音の陰茎は反応している状態だ。
「今度こそいかせてあげる」
私はそう告げ、空音の前で自分の指にローションを垂らし、彼の後ろに突き立てた。そして探し当てておいた気持ちよくなる場所を存分に刺激した。
「え」
驚愕したように空音が声を漏らした。
「うああああああああああああああああああああああああ! あああああああ! まて、なんだ、え、うあああああああああああああああああ! あ――!」
そのまま空イキを覚えさせた。数分間呆然と震えていた空音は、二度目に空イキさせた時は、どろどろの顔をしていた。三度目、私は、私のクリも刺激するようにできている、人肌というか陰茎ソックリの温度をした、感触もそっくりのペニスバンドをはめた。かなり巨大で太く長い。新品だが、この品を使用してやった男で、虜にならなかった人間は一人もいない。
「うっ、ぁ――――――――!」
それから少ししてリングを外してあげ、中の刺激だけで射精させてあげた。あとは自分が気持ちよくなる番だと考えて、抵抗力などもはや残っていない空音の拘束を外し、後ろから激しく突き立てて腰を振っていたら、さすがは我が一族の血を引くだけあって絶倫だったらしく、何度もいかせてしまう結果になり、次第に透明の液ばかり出るようになった。結果そちらに夢中になってしまい、空音の気持ちいい場所ばかり突き上げていたので、こちらも行くに行けず、ため息が出た。そこで一度引き抜き、バンドを外して、代わりにバイブを空音の中に入れた。振動を最強にし、意識が朦朧としている空音の上に私は乗った。そして思う存分体を動かし、私は果てた。なかに飛び散る飛沫に、苦笑してしまった。
振動を止めてバイブを抜いた時には、意識を落としたのか寝たのか知らないが、空音はソファの上でぐったりとして目を閉じていた。私はタバコを吸いつつ後片付けをした。しっかし気持ち良かった。こんなに理想通りになった上に気持ち良かったSEXは、人生で初めてだ。絶対に逃してなるものか。それこそ、死なれたりしたら、もうできない。なにより空音以上に理想通りの人物は、他にはいないだろう。
大体の掃除が終わった時、空音が目を開けた。まだとろんとしていた。