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「え、え!? こ、これは、中に青照大御神の白糸を、さらに赤い紐の束は朱匂宮の赤糸、紫の紐の束は、月宮の紫糸では!?」
「そうだ。この白い糸で、ミナス真珠と同じように聖遺物だの神具だの法具だのと呼ばれるような各歴史階層兵器全部に触れるようになる。さらに赤い糸で、こちらに殺意との悪意や害意を向けてきた人間は、自動反撃でPKが炸裂してそいつの心臓と脳が破裂! 紫の糸で、完全PSYの武力攻撃、傍受系、さらにPSY融合兵器等の全部を無効化し、やってきた人間のPSY受容体を反撃として破壊する! 余程の力と防衛システムを相手が持っていない限り、これでなんとかなる。赤い紐は、完全ロステク兵器使用時等はスイッチ入れる動作とかあるから、そちらにも対応! 最低限、このくらいの防衛システムは常に身につけておくべきだ」
「い、いや、あの、そうかもしれないけど、その糸が繋いでるこの青い数珠さ……まさかと思うけど、青照大御神念珠? それに定期的に入ってる半透明紫の勾玉は、闇の月宮勾玉で、半透明の青の勾玉は青照大御神の青光?」
「そうだぞ高砂。その念珠により、半径100km以内にいる敵を全部ピピピっと理解して、紫の勾玉ではそいつらの考えを全て見通す! 最低限の逃亡に必要な敵の認識と情報収集は必要だろうが! さらに万が一攻撃を受けてしまった場合も、その青の勾玉で身体的外傷は大体治癒する!」
「う、うん。言いたいことは、よくわかった。寺を守るってことだよね?」
「そうだ」
「け、けどさ? この先端の、万象院の緋と呼ばれる緑の逆十字架は、緑羽万象院しか作れなくて、非常に労力が要るとか……」
「労力? あのな、緑羽の御院がサボったんだ。まさに匂宮の朱の曽祖父や金朱様がお役目を果たしていないのと同じこと! 孤児を育てるならば、きちんと労力を割いてつくれ! 当然だ! 頭にくるなぁ! 俺が今後の救済孤児および万象院列院になりたいという人のことも考えて三万個くらい倉庫に入れておいたから、高砂は今後列院総代として配布するように。それを持ってないのに、万象院列院を名乗って言いわけないだろ!」
「……あ、う、うん……けど、これ、青き弥勒菩薩を通して、PSYが枯渇しかかってる人に、余ってる人があげるんでしょう?」
「そうだ」
「つまり俺のとかは逆に減らない?」
「はぁ!? お前、経文も読んでないのか!? 世界は個であり、森羅万象に弥勒は宿る! これは、動植物一般国民を含めた、PSY受容体はあるが、一部しか使っていない休眠状態にある、普段使わない人々から吸収するということだから、万象院列院以外の基本的にPSYを使用していない大自然からゲットするんだ! そもそも枯渇なんかしなくても、自分のPSY値分までならばいつでも吸収可能だし、測定不能なら、例えば30000くらいあるなら30000くらい、大自然が王国周囲に広がっている限りいつでも入手可能だ! それが、森羅万象に宿る弥勒の力だ。わかったか? 仏像は、国内に三つ! 大陸にいる限り、どこに至ってそれを持ってる限り常にそれができる!」
「……うん、経文の理解をゼクスと一致させるところからやり直すし、俺、今の本尊と列院寺院にしかあるのしらないから、仏像の場所を教えてもらうところからやる」
「旧本尊になるに決まっているだろう! 俺が発掘して保存していた。歴史研究と建築が本業だからな! 後で連れて行ってじっくりと教えてやる! その調子で列院総代の道をきちっと歩め!」
「努力するよ……」
「それで良い。今日は素直なのも良い。よし、全員、つけたようだから、次に行く。次はこの緑の数珠を左手首につける!」

 続いて出現した翡翠とエメラルドで交互にできた数珠に高砂が目を見開いた。

「え? え? こ、これさ、緑羽継承の万象院五重の数珠の最初の翡翠と最後のサファイアが交互でできてない?」
「その通りだ」
「確かさ、ESPを……強める?」
「そうだ。万象院なんだから絶対原色の緑を緑羽と同じくらい使えなければ意味がない。これで、さっきの指輪のPKと同じように、ESPが全部緑羽と同じように使えるようになるし、こちらも3000あげる!」
「……」
「あっちの真ん中部分は調整で使うから、基本はこの二つで良いんだ。さっさとつけろ」

 こうしてみんな、唖然としつつも身につけた。
 ゼクスは満足そうにしてから、次にまたバチンと指を鳴らした。

「次はこの足袋だ。万象院とは、身体表現性技能により、歩き方で様々なESP操作が可能! 気配を消すことももちろんだ! さらに左の足首にはこの金の輪! これにより、万象院の神聖さを出したりしまったりできるようになる! 聖職者は、ほら、ゼスペリアならOtherをバーンって出して大聖堂風にしたり、しまったりするだろう!? 万象院は寺なんだから、清浄な空気を出さないとダメだし、ずっと出してて、今首から下げてるようなので周囲が近寄れないと困るから、その金の輪っかで必要な分だけ出すんだ!」
「言ってることはわかるけど、この布……え? 緑羽恩白明けでしょ? 大切な寺院に入る時に高位の僧侶がつける……それに足輪、これ、PSY融合装置だよね? なにこれ?」
「お前らは寺なんだから、僧侶よりも上の存在だろうが! 常にはけ! PSY融合装置は俺が作った。出し入れできないゼスペリアの聖職者が大量にいるからついでだ」
「つ、作ったの?」
「そうだ。アクセ作りが趣味だからな! さて、ここからはまず、列院総代の他の装飾具だ。あれだけ付けろって言ったのに、全然つけない! デザインが気に入らないなら消せと言ってもつけない!」
「つける! ごめん!」
「うん。まず、左手の人差し指にこれをつけろ。万象院森羅金冠だ。次、右手人差し指にこの、万象院悠羅金青の環、最後、左手首に万象院環羅の三重輪!」
「――!? え!? え!?」
「さっさとはめろ」
「……こ、これ、確かにゼクスが言っていた、蛇みたいに指に絡む感じの金の指輪でキミドリから深い緑に光る指輪だけど、森羅金冠って、緑羽万象院本尊本院総代の特別な許しを得た特別な列院総代のみが許されるんでしょう?」
「まさにその通り。俺は本尊総代! お前は列院総代!」
「そ、それは、そうだけど……これ、俺が受け取るのは、さ、さすがに……」
「はぁ!? 本尊本院総代が渡したら、列院総代はつけないとダメだ! それが義務だ! お前やっぱり列院総代、やる気ないんじゃないのか!?」
「……う、うん、そ、そ、そうだね。義務だ。うん、つける――……!? え!? ちょっと待って、何これ?」
「何これって、列院総代のお前は、列院全員のPSY値を確認できないと責任者なんだから問題だろうが! そして一人でも多く逃がすために、逃げるにはPSYいらない連中からは吸収し、必要な連中には補給! 最初に配った緑の数珠を経由する。さらにあれはあれをつけてる人間の連絡装置でもあるから、その指輪からもパーっと一括指令が出せる! ま、万象院版の、闇猫なら使徒ゼストの黒翼とか、ギルドなら使徒ゼストの聖刻印みたいなものだ。当然武装僧侶だって持っているべきだ」
「ま、まぁ……そうかもね……で、さぁ、この腕輪なんだけど……つけた瞬間、完全PSYの閾値が、もう測定不能な感じで広がって、今までの俺の細かいと言われていた感知メモリを定規とすると、なんていうかシルクの布みたくなって感知できないPSY域がゼロになって、ESP知覚刺激も視覚と聴覚だけじゃなく嗅覚・触覚・どころかなんかこう完全に特定指定Otherの領域の第六感的な直感みたいなのまでバシバシくるようになったのは、何? ゼクスが言っていた左手に付ける金の腕輪が三個、メビウス見たく絡まっているというのが、この万象院列院の中で、最高位認定された過去九名しか身につけるのを許されなかった環羅の腕輪で、俺は認定されてないことしかわからない」
「何を言っているんだ? 認定するのは当代緑羽! 俺が認定した。俺が五歳、お前が八歳の時だ。以来ずっと付けろって繰り返してきたのに付けない! お前、僧侶階級一覧表くらい読めよ! まず絡まってる一個目の腕輪が閾値を広げる。感知閾値が今、大体大陸全土および周囲の大陸と同じくらいの広さの海と大自然だ。地下は、うーん、50kmくらいかな。空は大気圏くらいだろう。そして二個目の絡まっているので、感知できないPSYを可能な限りなくして、森羅万象に耳を傾ける! 閾値も広がっているから海も空も大地も大自然も対応していてPSY感受可能! 列院総代なんだから弥勒の声に耳を傾けろ! 最後のは、その耳を傾けるには、動植物とか人間の言葉を喋れないから、ありとあらゆるPSY知覚情報を収集しなければならないだろう? それが総合されると、無意識予測が働くから、直感として予知のような効果が現れ、第六感のようになるんだ! それこそが青き弥勒の言葉だ!」
「……読んできます……えっと、後さ、聞くのが怖すぎて最後にしたんだけど、万象院悠羅金青の環……ゼクスが言っていた金なのに青に光る指輪……う、ん、金なのに青に光っている五重の指輪で金色の仏様がついているよね。うん。こ、これさ、これ……青き弥勒の仏像の代わりとして伝わってるやつ……?」
「そうだ。列院総代は、緑羽と逆方向に逃げて万象院を再建する可能性が高いんだから、当然持っていないとダメだ。国内三つが全部壊れた時は、自動的にそれが弥勒の仏像の全機能をもって仏像形態になるから、お前はそれを寺院を建てて飾り、すぐに他の生き残りのPSYを補給してあげないとならない。わかったか?」
「……けどさ、これ、初代万象院列院総代以外は、所持したことないよね……?」
「そうだ。そしてその人物が今の列院寺院に仏像にして安置したんだ」
「全機能って何?」
「最高学府・天才機関ジーニアス・医療院の全データおよび万象院の記録等が入っているのと、PSYの補給だな。それ一個あれば、余裕で歴史・知識・技術が継承可能! 常に最新データと同期している! それは、元からだ。なお、指輪の状態だと機能制限があるから、最高学府と万象院の知識しか閲覧できない。ただし、PSYの補給は、万象院以外の人々にも可能になるという特別効果がある。だから近くに枯渇しているやつがいたら、ぶわっと補給してやれ。その際、カロリーと水分も勝手に補強する。さらに衛生フィールドを展開するから、ロードクロサイトの虹の青緑Otherとほぼ同じ効果となる。トイレもお風呂も洗濯も飲食も睡眠も不要にできる! 仏像形態にするとそれはできなくなるが、指輪形態だとそうなる」
「さすがにこれは受け取れない……初代以来なんて」
「はぁ? 初代は旧世界滅亡後に再建! お前も今、滅亡するかしないかの瀬戸際を戦ってるんだろう!? じゃあ持ってないとダメだろうが! もしお前が負けたらどうするんだよ!? ちゃんとリスク分散して再建できるようにしておく! それが万象院の常識だ! しかも万象院の武装僧侶としてみんなと一緒に戦ってるんだろう!? じゃあほか集団にも配慮する精神! そのくらいを持て! なんか黙示録を起こそうとしてる集団と戦ってると言いつつ、なぜ、終末を経験した人物に習わないんだ!?」
「……――そ、そうだね。もらっておくね」
「うん。それで良い。次に、俺のオリジナル念珠二つ。一個目は、万象院の五重の数珠を真似して作った。単体、超狭い範囲から広範囲まで、全部効果は同じくアルト猊下の三倍くらいのゼスペリアの青Otherを発して集団治癒回復できる高砂祐介の青い念珠だ! 青い翡翠から使徒ゼストのサファイアで出来上がっている! これで回復できないのなどほぼない! しかも糸には、使徒ゼストの白糸と使徒ルシフェリアの金糸を復古してネジ合わせて繋いでいるから、外傷・内蔵、完璧に治す! さらにそのネジ合わせ方はゼルリアのプロミスリングで編んであるから、精神的にネガティブになってるのも範囲で直してくれる! お前が、万象院にもゼスペリアのように回復能力があればなぁとかいうからせっかく作ったのに、一回も付けない! 信じられない!」
「……つ、作った?」
「そうだ。アクセ作りが趣味だからな! 聖遺物ばっかりだが、念珠風にした! まずはそれを右手につけろ」
「……う、うわぁ……本当だ、しかも範囲、広っ! 王都全域まで行ける……」
「うん。次にこの透明から虹色になり黒曜石二種類をはさんで紫になり金色になる五重の高砂祐介の万能念珠! お前が花王院王族のように無色透明で完全PSY痕跡を消したり、範囲テレポートができたらなぁというから、透明部分、これ、一個ずつ水晶とダイヤで、それを可能にした! 次に虹色を使って自由にOtherどころかESPやPKを調整できたらなぁというから、それを可能にした! そしてそれを色相濃度固定できるロードクロサイトの虹表層の一個目は時東先生と同じ黒曜石色相。これで思い通りの色が作れる。次が赤紫黒曜石色相。こっちでは思い通りの色相を吸収できる。さらに全部の補色が使えたらなぁとかいうから、絶対紫を再現! これで一生お前のPSY受容体は壊れない! さらに完全黄金だ。この結果お前は、IQを5000底上げされた!」
「え、あのさ、そんなのさ、血統遺伝以外で再現できるの?」
「はぁ!? 血統遺伝っていうのは、そこに誰かがメモリックしたから使えるようになるんだから、石にメモリックすれば使えるに決まっているだろうが!」
「……へ、へぇ……初耳だ」
「さっきの万象院の所有知識を検索しろ。というより、なぜ経文をこれまで読まなかった!? 全部書いてあるのに!」
「経文の読み方をゼクスに教わるところから始めるよ……」
「そこからなのか……悲しくなってきた。俺はこれまでお前が経文を読んで欲しいと思ったのかなと思って作ってきたのに……」
「ご、ごめん。作ってくれてるとは……こ、こうね? そんなの無理だろうけどあったら良いなぁというつもりだったんだ……」
「……あのな、あったら良いなぁと思ったら、無理とかじゃなく作り出す方法を考えないとダメだ。万象院の勉強の姿勢から学び直しだ」
「そ、そうだね。橘より移動範囲広そうな集団テレポートと痕跡痕跡まで出来て、完全PSY的に不可能ない上に、実感ないけどIQとかまで上がったんだしね……」
「うん。これからはもっと努力だな! よし、そうだな、俺オリジナルがあまってるから、ちょっと配ろう。まず、時東先生と政宗当主は、医者だし、時に時東先生はゼスペリアの青さえあれば全部のOtherが完璧だしESPとPKはもう完璧になっているから、とりあえずこの、青い五重の数珠をあげる」
「「!?」」

 欲しいとは思っていたが、真面目にくれるのかとビクビクしながら二人は受け取った。っていうか、予備があるのかと愕然とした。