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「で、琉衣洲様は、伴侶補だから、集団を連れて逃げるのと、カロリー・脱水・衛生管理でトイレ・風呂・洗濯・食事・睡眠不要フィールド作るのと、集団回復が必要だと俺は思うんだ。だから集団テレポートをするダイヤ・フィールド作るグリーンブルートパーズ・回復も一括集団としてゼスペリアの青が出るサファイアと、完全黄金の全能力を強化する双子の義兄弟の聖遺物の金で全てのESP知覚刺激をゲットしたりし、華族文明から現在までの歴史が入ったピンクダイヤの五重の構成の数珠を作ったからこれをあげよう。いつか当主教育時に万象院もやる場合に備えて作っておいたんだ」
「あ、ありがとうございます……」
「榛名には、完全黄金部分を、お前天才技能の全種に才能あると俺は思うから全部身体強化にしたゼガリア白金銀系統にゼルリア細工にして、最後を王家の歴史っていうより政治経済の歴史にしたバージョンでブルーダイヤのやつをあげる。あ、両方最後は最新データまで勝手に追加される」
「す、すごっ、ありがとうございます……」
「若狭は、完全黄金とかの部分を、ロードクロサイトの虹にしたやつ。これでありとあらゆりPSY色素波を放つ情報を入手できる。最後はゴールド・ダイヤで、琉衣洲様の知覚情報ゲット部分あたりを強化してあるから」
「一生ついていくレベルで感謝です」
「いえいえ。さて、桃雪様。なんでもESPが使えないからといって鶯羽をやらないといっていたとか? なぜ補強しないのか。この緑羽の念珠の翡翠鳥ヴァージョンをはめろ。それで送信が完璧になるから、受信は元々完璧すぎて欠乏症に見えてるというのが正確な病状なのだから、これをつけるんだ! ずっと何度も万象院をきちんとやれと俺入ってきたのに!」
「はい! これからは気合を入れて行います!」
「うん。で、レクスは、この受信をちょっと強化しつつゼスペリアの青の封印部分を全開放できる数珠、さらにルシフェリア・ルビーと青の混合のイリス・アメジストの強化、最後に翡翠鳥のESP送信っていうのは、ESPでPKレベルで人をぶち殺せるというすごい力だから、このお前が眠らせているのを全開放するレクスの五重の数珠を身につけろ」
「兄上、本当にありがとう。俺は心を入れ替えて翡翠鳥万象院になる」
「それで良い――さて、まぁ装飾具はこんなものだろうな」
ゼクスはそう言うと大きく頷いた。一同はとりあえず笑っておいた。
もう何も言えない。確かに彼は天才だというのは理解できた。
しかしそれしか理解できなかった。
「さて、最大に重要な袈裟だ。32名はきちんと身につけているのに、何故他は身につけていないのか。せっかく列院倉庫に、ESPが不安な人用、PKが不安な人用、スタミナが不安な人用で入れておいたのに! もう頭にきたから、今からその32名以外にまず装着させる。目の前のやつらの中では、琉衣洲と榛名と政宗にくっつく。若狭は列院副総代予定らしいからそれ、分家2つと、時東先生も緋緑万象院は分家扱いだから別の出すし、高砂も別だから待ってくれ」
そう言ってゼクスがバシンと指を鳴らした瞬間、三名に袈裟が身に付いた。
まずは琉衣洲の袈裟。金色に梅の木、緑色の鳥が止まっていて、大胆に描かれている。金色部分全体からは強い回復系Otherが出ていて、見た限り不眠不休で風邪もひかずにスタミナや体力、集中力が切れずに戦えるのが伝わってくる。普通に書類仕事などにも有効だろう……。梅の花からはPK補強、緑の鳥からはESP補強効果も感じる。次の榛名はPK補強なのか、金に赤い粉がまぶされた袈裟で、緑の松の枝とピンク色の椿が描かれていた。袈裟全体と椿からは強いPKの感覚がする。そして金からはうっすらとやはり回復効果が伝わってきて、緑の松は間違いなくESP補強だった。最後の政宗は金色に緑の粉のESP補強らしく、金色からはうっすらと回復、緑の粉と、描かれている緑の波から池になる模様からは強力なESPを感じ、その水面に浮かんでいる赤い花弁からPK補強の感覚がした。荘厳さと神聖さ、そして能力を完璧に補強している点で、皆、ポカンとした。そして確かになんかこれらの袈裟をつけている人を見た覚えもあった。
「どうだ? いい感じだろう?」
「……ねぇゼクス。これ、さ。標準の袈裟なの?」
「そうだ」
「……」
「次にレクスと桃雪様だ」
こうしてレクスに渡されたのは、銀色の袈裟で、翡翠色の鳥が飛んでいて、全体に黄緑色の粉が、羽の後を引くように描かれていた。桃雪の袈裟も銀で、こちらは黄緑色の鶯が飛んでいて、翡翠色の粉が散っている。そしてそれぞれに梅の木が描かれているのだが、レクスのほうは花弁が真紅、桃雪のほうは薄紅色だ。そして下部は金色に変化し最後は青い粉で覆われていた。
「これが翡翠鳥と鶯羽の正装だ。それぞれの送受信能力を特化し、足りない逆の部分も補い、青き弥勒の力を袈裟で全部吸収するから、PSY値全部が10000くらい底上げされた。お前らは列院総代が自分を守りながら戦っている横で、自分を守りながら補佐する。それが分家のお仕事だ。きっちりと働け!」
二人はもう言葉が何も出てこなくて、頷くことで精一杯だった。今まで感じたことがないほどの力がみなぎっていて、和服でただでさえ強化されていたというのに、今なら指のひとふりで王都を全滅させられそうな勢いになっていた。
「次に列院副総代は、列院総代に真後ろから力をガンガン補給したり情報管理をするのが主要任務だから、この袈裟だ。それもあってお前は列院総代に向いている」
こうして続いてゼクスが若狭に渡した今朝は、金色に青い粉、そして緑の光を放つ菩薩が描かれていた。そしてふち取りが虹色だ。
「袈裟全体で存在するだけで、ガンガンPSYを大自然から吸収し、高砂の指輪に補給していく。さらにその菩薩と虹色部分が敵とかが出た場合および万象院の全情報を取得し、緑の光部分で高砂に直接ESP送信が可能となる。また、内側に、一般の袈裟の回復・ESP・PKの補強の効果を全部入れておいたから、いい感じのはずだ」
「う、うん、いい感じです……全力で高砂列院総代を手伝います」
「その意気だ! で、時東先生は、これだな。うん。これだ」
続いて時東に渡されたのは青で金粉がまぶされていて、下が紫になり、輝く満月と星空が刺繍されている袈裟だった。
「これも内側は三つの補強だ。が、PSYを大自然から、こちらは自分にのみガッツリと補給するから、時東先生はガツンガツンと人々に医療提供するんだ。歴代の黒曜宮が万象院になると大体これだったようだ。これはPSYが50000くらいあがる。IQも10000くらいあがる。それぞれ全部だ」
「やべぇわ。俺今ならなんでもできそうな気がしてきた……」
「うん。全部できるくらいでないとたった一人で生き残った時に万象院は再建不能だからな。特に、ユエルとフェルナが分割して逃げたことを念頭に置き、時東先生は自分が逃げ切ることを最優先で考えるようにな」
「ああ。わかった」
「さて、最後に本題だ。高砂だ。これを持て」
大きく頷いてから、ゼクスが出現させた袈裟を無造作に高砂に押し付けた。
反射的に受け取った高砂は硬直し、目を見開いて、滝汗を流した。
そしてその場に溢れかえった神聖な気配に、時東と琉衣洲は動けず、それ以外の僧侶関係者は、緑羽の御院以外、全員跪いて両手を合わせていた。黒咲を含めた華族や榎波、中にはゼスペリア教の聖職者までそうした。
「さっさとつけろ」
「……え、あ、あの……さ、これ、青き弥勒の金掌の袈裟じゃ……?」
「それを作ってもお前が着ないから、それを進化させて高砂バージョンを作ったんだ。五歳の頃からお前の成長と希望に合わせて縫い続けた俺の気持ちが分かるか!? なのに一回もお前は着ない!」
「……ぬ、縫った? いや、け、けど、これは、華族文明時の左副・鴉羽卿とシルバニアライム卿しか今まで身に付けることが許されなかった、伝説の……青き弥勒の再来の右腕のみが着用する……」
「違う! その二名あるいは近隣にいた人間しか縫う努力をしなかっただけだ!」
「……そ、そう?」
「そうだ! 大体、経文にきちんと袈裟が写真付きで載ってるのに、なぜこれを着ない!? 列院総代の袈裟はこれだろうが!」
「……」
「さっさと着ろ!」
恐る恐る高砂は身につけた。結果、体がふわっと楽になった。