【十】死ねってことか?(SIDE:シノン)








「――という部分を含めて、尊かった! 最高です。好き」
「なぁ、モブ」
「ん?」
「俺の家に来ないか?」

 その言葉を聞いて、俺は最初、何を言われたのか分からなかった。

 ――神の家?
 ――それって天国?

「遠まわしに死ねって言ってます?」
「は?」
「だって、天国じゃん!」
「何言ってんだ、お前?」

 セギ神が、俺を見て、奇っ怪なものを見る顔つきになった。だって神様の家だぞ!? あの素晴らしい物語の数々が生み出される家なんだぞ!? 天国以外の何者でもないじゃないか。絶対俺、死ぬ。

「良いから来いよ」
「え、え?」
「ほら、行くぞ」

 神様が立ち上がり――なんと俺の右手首を掴んだ。
 俺はド緊張して呆然としている内に、引っ張られ、そのまま歩き出す事になった。