【二十三】夢かな?(SIDE:シノン)




 俺は、夢を見ているのだろうか?
 ――なんと、ずっと天国にいるのである。そして、毎朝キスをして神様に起こされて、それからギューギューと抱きしめられて甘やかされて、その後、神様が作ってくれた朝食を食べている。

 その後は、セギ神が執筆するのを眺め、誰よりも先に、魔術図書館に納めるよりも先に、物語を読ませてもらっている。セギ神はとても規則正しくて、その後昼食を俺に与えると、夜までまた執筆する。俺はその間、洗濯を担当し、夜ご飯は俺が作るようになった。

 夕食後は一緒に入浴している。俺の背中を流しながら、セギ神が傷跡を撫でた。

「きちんと消してやる。あいつの痕跡は全部」

 俺に治癒魔術をかけてくれる。ただその時、俺の胸の突起を丹念に刺激したりもするから、正直恥ずかしい。のぼせるわけでもないのに、お風呂上がりの俺は、いつも真っ赤だ。

 そうして夜が深まると、俺達は同じ寝台で眠る。ほぼ毎夜、俺は貫かれ、喘がされている。セギ神は、とにかく優しい。

 最初はふわふわしていた。
 ――夢だと思っていたからだ。
 俺はきっとリアス兄上の拷問が嫌すぎて、現実逃避をしているのだろうと思っていたのだ。だって、夜になって目を閉じると、俺は夢の中で鞭打たれ、酷い媚薬の熱に侵され、ボロボロと泣いて目覚める。あちらが夢ではない保証はない。

「大丈夫だから」
「……」

 次第に、俺は魘されて起きる度、神様に宥められて、現実がどちらか分かり始めた。セギ神の家に、俺は本当にいるみたいだ。だったら――兄上が、来るかもしれない。そうしてセギ神にも、酷い事をするかもしれない。

「俺、帰る」
「帰さない。お前はもう、一生俺のものだ」
「でも、リアス兄上が――」
「忘れろ」
「神様に何かあったら――」
「何かあるとすれば、それは俺の前からシノンが消える恐怖だけだ」

 神様は、優しい。俺の髪を撫でながら、そんな事を言う。
 今日の俺は、怖い夢のせいではなく、その甘い言葉に涙を零してしまった。